アダチ伝統木版画技術保存財団
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進呈作品とは?
本財団では、財団の活動を支援していただく賛助会員の方に、年一回その年度内に制作された現代作家の木版画作品と新たに制作した版木、また本財団所有版木より制作された木版画作品(カタログ掲載分)から、希望の作品を進呈します。
※ 1口あたり個人会員1点、法人会員5点
 
【平成19年度進呈作品】
1. 福本正「Boy's life」
ヴィヴィッドカラーのポップな背景に、身近なモティーフを軽妙なリズムをもって配した静物画で知られる若手人気実力作家・福本正画伯。初の木版画作品となった本作は、どこかくすぐったいノスタルジィを誘う。遠い日の記憶に焼きついている、さくらんぼの透き通るような瑞々しさ、ブリキのおもちゃのいとおしい不器量さ。幼い指先が触れた小さな感動が、鮮やかな色彩の中で、きらきらと輝いている。何気ない日常のふとした瞬間にささやかな幸福を見出す作家の、温もりに満ちた木版画作品である。(36.5×17.0)

2. 工藤甲人 「秋海棠」
幻想的な作風で知られる日本画家・工藤甲人氏の「聚花円窓」シリーズから。日陰に控え目に咲く小さな花に向けられた、作家の優しい眼差しを感じる作品である。和紙の白い肌の上に、ほんのり淡く色づくピンクの花片。葉には、木漏れ日を思わせる金色がかすかにきらめく。小春日和の日溜りで見た夢のような、珠玉の小品。(22.0×21.0)
3. 中原淳一 「湊や」

中原淳一は、雑誌編集者・デザイナー・イラストレーター等、多彩な才能を発揮し、戦後日本で、賢く美しい女性の理想像を確立したファッションリーダーである。作品の「港や」は、竹久夢二が経営した絵草紙屋であろう。物語の一場面のような抒情的な作品で、着物姿の少女が何とも愛くるしい。(37.8×15.7)
4. 歌川豊春 「浮絵紅毛フランカイノ湊万里鐘響図」

歌川豊春は、西洋の透視図法をとり入れた「浮絵(うきえ)」と呼ばれる浮世絵を多数のこした。本図は、作品名にオランダとあるが、実際にはヴェネツィアの風景を描いたイタリアの銅版画に取材したもの。豊春の進取の気象と柔軟な感性が見事に結実し、異国情緒に溢れながらも、どこか親しみを覚える穏やかな風景画となっている。(24.1×36.5)

5. 東洲斎写楽 「二世中村仲蔵 百姓つち蔵実は惟高親王≪秀鶴≫」
寛政六(1794)年、都座興行「閏訥子名和歌誉(うるうどしめいかのほまれ)」より。清和天皇の皇位継承に伊勢物語の世界を織り交ぜた演目で、三世大谷鬼次は、この舞台で二世中村仲蔵を襲名した。キリリと精悍な面魂。この二年後、僅か38歳の若さで他界する役者の、最も精彩を放った時期の姿を捉えた写楽の役者絵である。(32.4×22.8)
6. 鳥文斎栄之 「雨乞」
鳥文斎栄之は旗本出身の浮世絵師。出自の良さを感じさせる優美な美人画を得意とし、画面から暖色を排した「紅嫌い」と呼ばれる浮世絵を創案し流行を築いた。本図は謡曲「雨乞小町」になぞらえ、雨中を散歩する若い娘を描いている。シックな色調、清楚で気品漂う女性像からは、栄之の洗練された現代的な感覚が読み取れる。(38.2×25.6)
7. 葛飾北斎 「本所立川」

本図は「冨嶽三十六景」36図が好評を博し、追加出版した10図のうちの一。意気揚々と本図の筆を執る北斎を想像させる、明るく活気に満ちた作品である。本所立川は、現在の両国駅南東の一帯。隅田川に注ぐ竪川の両岸には、材木問屋が軒を連ねていた。晴渡った空に響く木挽きの音、職人の掛け声が今にも聞こえてきそうである。(25.8×38.3)

8. 歌川広重 「水道橋駿河台」
広重の「名所江戸百景」は、安政の大地震から復興する江戸の街並みを描いた全120点の一大シリーズで、幕末の社会不安を払拭せんとする江戸っ子の粋が随所に見受けられる。画面いっぱいに鯉のぼりを配した大胆な構図の本図は、武士町であった駿河台地区の端午の節句を描いたもの。明るい未来を祈る希望に満ちた作品である。(33.7×22.0)
【平成18年度進呈作品】
1. 赤木範陸「花一輪」
伝統木版画は、伝統的な工房のなかで長期間熟練した彫師と摺師とによる創作であると言えるでしょう。ここにはもう一人、絵師の存在が不可欠ですが、絵師の意匠を良く解した二者の存在が重要なのです。一つの才能と二つの神業とが拮抗し、緊張しあい大輪の華を付けるのです。ここでは私が絵師を演じ、数枚の下絵を描きました。それらは細い線のみによるもので、彫られた全ての版に色が載せられ摺られて初めて絵として姿を示すもので、それまではイデアの周縁にしか存在していなかったものです。そこにかつての画匠達の芸術を仕上げたのと同じ技術が施され、完成された私の一輪の花の絵は、ここに至って初めて美しい一輪の華を咲かせたのです。どうか皆様に良き華が咲きますように。(赤木範陸)(36.0×24.0)

赤木範陸氏HPはこちら>>
2. 工藤甲人 「鉄線」
「聚花円窓」の題名で四季の花々を書き下ろした連作の一枚。中国原産でクレマチス属の代表といえる鉄線を円の中に巧みに配置された洒落た図で、作者の花に対する愛着を偲ばせる作品。甲人さんは幻想的な自然描写を得意とする作家として知られる。
( 22.2×21.4)
3. 中原淳一 「梅」

中原淳一は1913年香川県に生まれ、1983年に没した作家。瞳の大きい独特の美人絵を描き一世を風靡したイラストレーターで、雑誌「それゆう」「ひまわり」などを創刊した編集者でもあり、若い女性に熱狂的に受け入れられた。本図は春を待ち焦がれる少女の横顔がすてきである。(16.3×38.0)
4. 磯田湖竜斎 「亥」

当時の子供の様子を描いた十二枚の連作は珍しい。その最後を飾ったのが本図である。子供たちが神社に奉納する絵馬を賑やかに運んでいる姿はほほえましい。湖竜斎は春信の後を継いだ絵師で美人画だけでなく花鳥画も得意とした。また肉筆もあり広く活躍した。(27.0×19.3)

5. 鳥高斎栄昌 「若那屋白露」

歌麿と同時代に活躍した絵師で、師は栄之である。「大首絵」と称した美人のクローズアップを得意とした。ガラス製の金魚鉢と背景の兎模様のサラサ染は庶民にとって目新しいもので浮世絵の題材として用いられている。当時のひとのときめきを偲ばせる図である。
(39.5×26.8)
6. 葛飾北斎 「駿州江尻」

このたび、当財団の監修により完全複刻された北斎「冨嶽三十六景」からの一図。強風の吹き荒れる葦原を行く旅人の難儀する様を見事に捉えた傑作である。風に翻弄され紙を飛ばされる女性、笠を飛ばされたり押さえたりする旅人の描写や曲がりくねった道で奥行きを出したり北斎らしさが表現されている。(26.5×39.0)
7. 歌川広重 「佃島初郭公」


広重が風景画家として初めて人気を博した最初の傑作「東都名所」の内の一図。この後「東海道五十三次」で確固たる地位を得る。江戸湾にある佃島は大型外航船の停泊所でもあったので多くの舟で賑わった。前景に帆柱が林立し、その先に漁村でもあった佃島の全景を描いている。夏の到来を告げる郭公で季節感を表している。(21.0×35.0)

8. 小林清親 「東京新大橋雨中図」

明治という新しい時代の到来に合わせた版画家清親は、写真、西洋画、日本画などを学んだ後、光と影を強調した風景画を発表する。その中で、際だった出来映えであったのが本図である。雨がやんで雲間から日の光が差し込み始めた瞬間を見事に捉えている。(25.0×36.7)
【平成17年度進呈作品】
1. ミヤケマイ 「初夢」
日本人ならではの感覚を大切に、“昔”の洒落を現代風に翻訳したような作品が注目されている新進気鋭の作家が、今年度の進呈作品のために描きおろした作品。今年の干支であるイヌや来年の干支のネズミを効果的に配置し、新しさを感じさせながらもどこか懐かしいような作品。“日本の昔の風習や文化”に深い造詣をもつ作家の知恵と遊び心がいっぱいにつまった作品。( 16.2×34.6)

ミヤケマイ HPはこちら
2. 工藤甲人 「菜の花」
昨年に続き「聚花円窓」の第二作。まばゆいばかりの春の陽をいっぱいに受けて咲く菜の花を、丸い窓越しに見る様子が美しく描かれている。工藤先生の描く日本画は幻想的な作品が多く、常に豊かな感性を感じさせる独自の世界を持つ作家である。 ( 22.2×21.4)
3. 粟津潔 「一月」
花札は花カルタともいわれ庶民の娯楽道具の一つ。一月から十二月まで、各月 4 枚、計 42 枚で構成され、花合わせを楽しむ。時には博打に用いられるほど流行った。稚拙のように見せて実は味のあるように描いた絵で、「うまへた」表現が巧みでおもしろみのある図である。 ( 36.5×25)
4. 歌川広重 「薔薇と子犬」

「咲出るいばらの花の紅白を毛いろにみする庭のゑのころ ( いぬころ ) 」の讃がある中短冊サイズの絵。広重はこのサイズの花鳥画を終生にわたって好んで描いた。藤岡屋彦太郎版とした十二支のうち、 8 図ほど知られているが、全図完成したものか不明である。作者の穏やかな性格がしのばれて楽しい。 ( 37.5×13.0)

5. 歌川国芳 「東都首尾の松の図」
美人画・役者絵・風景画・武者絵・戯画などあらゆるものに旺盛な好奇心を持ち続けた。幕末の絵師。船で吉原に向かう客を乗せ、隅田川を行く。途中、川岸に生える松は吉原で首尾よく行きますようにと願ったという。強調された遠近法での川越しからの眺め、洋画風の空の描写、斬新な色彩感覚は鬼才国芳の世界。 ( 24.5×37.4)
6. 鈴木春信 「琴路の落雁」
「巨川」は旗本の大久保甚四郎が俳諧をたしなむときに用いた号であるといわれている。絵も描いたという巨川の発案で春信に制作を依頼した「座敷八景」の 1 図。琴の胴の上に立て移動させて調律する琴柱 ( ことじ ) を列を作って空から降りてくる雁になぞらえている。 ( 29.0×21.8)
7. 歌川広重 「玉川秋月」

広重 42 歳、油の乗り切った時期の傑作である。この江戸近郊八景は、一般売りでなく、狂歌仲間の配り物として大杯堂呑枡が版元喜鶴堂に依頼し、発行されたものである。静寂感漂う傑作として、広重の最高傑作の一つにあげられる。狂歌を入れるため空を大きくとった空間など、計算しつくされた構図で歌が画面と一体感を保ち素晴らしい。 (22.5×35.0)

8. 葛飾北斎 「東海道金谷ノ不二」
富士の見える全国の風景を全 36 図描いた「冨嶽三十六景」があまりの好評であったので、 10 図を追加して制作した。大井川の流れに翻弄されながら大名の一行を生き生きと描写した動感溢れる作。北斎はいろいろの表情を持揩ツ「水」に興味を持ち続けた絵師である。 (26.8×39.0)
【平成16年度進呈作品】
1. 桜井孝美 「富嶽闊」
富士吉田市在住の洋画家として活躍中の作家が、今年度進呈作品のために描き下ろした作品。作家の最も得意とする富士山と太陽。版画から溢れ出るような情熱とちりばめられた色彩が強大な渦となってみるものをひきつけて離さない。版画から溢れ出るような情熱とちりばめられた色彩が強大な渦となってみるものをひきつけて離さない。(35.0×30.5)
2. 工藤甲人 「福寿草」
「聚花円窓」と題された5図の1図。木版画用に描き下ろされたシリーズは春の訪れを期待されるような穏やかな雰囲気を醸し出している。淡い色調で構成された作品は木版画の持つやわらかな特徴が活かされている。工藤先生は1915年青森生まれ。幻想的な作風で独特な世界を構築し、創画会の重鎮として今日も現役で活躍されている大家である。(22.0×21.0)
3. 大橋成行 「雨後」
シルクスクリーンの技術を得意とする現代作家が初めて挑戦した木版画である。白く抜いた蜘蛛の巣は水滴が光みずみずしい。
蜘蛛の糸を彫り上げるのではなく、木版の面を切り抜いた技術法はシャープな線を表現できているし、背景のボカシが奥行きを感じさせる。よくある自然のほんの一部を抜き取った感性は素晴らしい。
木版の持つ可能性を暗示した作品であろう。(23.8×35.8)
4. 歌川広重 「傘と朝顔に鶏」
広重得意の短冊半の花鳥画は、東海道五十三次以前から制作されたものが多く若さに溢れた筆至である。鶏、朝顔、唐傘と盛りだくさんに描き込んだ本図は丹念な描込みあとが偲ばれる。夏の早朝の一瞬をカラフルに書き上げている。図中の「讃」は万葉仮名風で「鳴けばこそお別れをおしめ鶏の音のきこえぬ里の暁もかな」とあり、情緒を添えている。(38.8×17.2)
5. 二代歌川豊国 「大山夜雨」
歌川豊国の門に入り初めは「豊重」と名乗ったが後に豊国の所に養子となり二代を継ぐことになる。豊国の陰に隠れ作品数も少なく目立った活躍は残せなかった。しかし穏和な人柄を偲ばせるその穏やかな画風を好む蒐集家も多い。美人画では「風流東姿」、風景画では「名勝八景」の出来映えがいい。大山は神奈川県丹沢山系にあり、石尊大権現が祭られ江戸の人々の参詣が絶えなかった名刹である。沛然と降る雨に透けて見える修験道と遠くに霞む富士が美しい。(22.5×35.5)
6. 渓斎英泉 「志んきそう」
英泉は幕末に活躍した巨匠。広重と競作「木曾街道六捨九次」を初めとした風景画の佳作を多く発表したが、美人画においても独自の画風を作り上げた。今様美人十二景は女性のみせる豊かな表情を見事に描写した連作。「しんき相」は心が晴れ晴れとしない婦人の表情を捉えている。騒然とした世相を反映して退廃的な美人画がおおいにもてはやされた。
(38.5×26.3)
7. 葛飾北斎 「武陽佃島」
冨獄三十六景には、ベロ藍といわれる舶来の明るい藍を用いた「藍摺絵」が十数図ある。 この絵の具を用いた浮世絵が大流行し多くの絵師が競って使った。佃島は江戸湾に浮かぶ小島で大型船の係留地で積んだ荷をはしけに積み替えて江戸市中に運ぶ中継地であった。
またこの付近で採れた小魚を醤油で煮て出荷したことから「佃煮」と言われ名物となった。対岸の水平線を湾曲に書き広大な湾と多くのはしけが右往左往する様を巧みに表現している。
北斎の面目躍如といったところである。(25.5×38.0)
8. 歌川広重 「瀬田夕照」
東海道五十三次で一躍浮世絵風景画家として名を広めた広重は矢継ぎ早に「近江八景」「京都名所」「江戸近郊八景」などなどを発表した。なかでも近江八景は意識的に伝統的な山水の墨絵の技法をもちいている。色調はあくまで淡く琵琶湖の広大さとのどかな水面を描き鳥瞰図として成功している。瀬田は琵琶湖の南端にあり西岸とを結ぶ唐橋が架かり風光妙媚の地として知られる。(22.9×35.3)
これまで制作した進呈作品の一例
平成 7年度 「光中の牡丹」 工藤 甲人 画伯 ・画面寸法:天地 362?o×左右273?o
平成 8年度 「八重桜」 山本 真也 画伯 ・画面寸法:天地 273?o×左右220?o
平成 9年度 「ナリヤラン」 三井 淳生 画伯 ・画面寸法:天地 330?o×左右245?o
平成 10年度 「柄 長」 中野 嘉之 画伯 ・画面寸法:天地 239?o×左右339?o
平成 11年度 「海からの風」 大津 英敏 画伯 ・画面寸法:天地 335?o×左右240?o
平成 12年度 「ジベルニー幻花」 平松 礼二 画伯 ・画面寸法:天地 256?o×左右334?o
平成 13年度 「富 士」 今野 忠一 画伯 ・画面寸法:天地 244?o×左右323?o
平成 14年度 「観世音」 畠中 光享 画伯 ・画面寸法:天地 340?o×左右255?o
平成 15年度 「実芭蕉」 牧  進   画伯 ・画面寸法:天地 319?o×左右315?o
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