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浮世絵木版画の制作工程・「彫(ほり)」「摺(すり)」
葛飾北斎「神奈川沖浪裏(かながわおきなみうら)」の制作過程を通して、浮世絵に代表される伝統木版画の「彫」「摺」の技術をご紹介します。
彫(ほり)の工程を見る
摺(すり)の工程を見る
彫(ほり)の工程
桜の版木に薄くむらなく糊をのばす。糊は、米から作られたものを使用する。
版木にのばした糊が乾かないうちにすぐに版下絵を裏返しに貼る。絵師の描いた版下絵を版木に直接貼付けて、紙ごと版を彫ることにより、版下絵は無くなる。
手の平や指を使って紙を擦り取り、墨線だけを残して見やすくする。しだいに紙が薄くなり、神奈川沖浪裏の線が浮き出して見えてくる。
版下絵に沿って小刀を入れる。この作業は、墨線の両脇に切れ込みを入れるためのもので、この過程を彫(ほり)と言う。
彫師の前には水の入ったフラスコが吊り下げられている。このフラスコに電球の光を当てると、光は乱反射し、彫師の手元に出来る影を消すことが出来る。彫師の作業の中でも特に細かく集中力を必要とする作業である。
複数の版をずれないように摺るための目印「見当」を彫る。摺師はこの見当に和紙をいつも一定に置くことによって、版を摺り重ねてもずれないようにすることが出来る。多色摺の命とも言える見当の彫は、非常に重要な作業である。
全ての線の両側に小刀で切れ目が入ると、鑿で不要な部分を取り除いていく。この作業を「さらい」と言う。
面積の広い部分をさらう(不要な部分を取り除く)時には、小槌(こづち)を使って勢いよく鑿を進めていく。
小さく細かい部分をさらう時には、透鑿(すきのみ)のうちでも特に小さなものを使い、慎重に作業を進める。
全ての彫が終わり、主版(おもはん)が完成する。木版は凸版であるので、必要な部分が高くなるように彫られていることがわかる。
動画で見る「彫(ほり)」 (エキサイトism Vol.86「グレートウエーブ、北斎。」のページへ)
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摺(すり)の工程
竹の皮を棒に巻いて小さな箒型に作られた「とき棒」と呼ばれる道具に、水で溶いた顔料をつける。
とき棒を使って顔料を版木の上に運ぶ。この顔料の分量は状況により異なり、摺師の経験によって作品の摺上がりを一定にするために微妙な変化がつけられる。
版木に置いた顔料が乾かないうちに、素早く刷毛で版木全体に顔料を広げる。
版木に付けられた二つの見当(右下角・下部中央)に合わせて紙を置く。
右手で馬連(ばれん)を握り、和紙の繊維の中まで顔料をきめ込んでいく。
全身の力が馬連の中心に集まり和紙へと伝わるように、馬連に体重を乗せるようにして摺っていく。摺台は手前が高く、奥が低くなっている。これは、版木全体に均等に力がゆきわたるようにするためである。
摺師は一色摺りあがると版木から和紙をはがして自分の左側に和紙を置き、摺りあがりの状態を確認する。
和紙や版木は気温や湿度などのより大きさが変化する。摺師は摺りあがった作品にずれがあった場合、見当の位置を修正する。
動画で見る「摺(すり)」 (エキサイトism Vol.86「グレートウエーブ、北斎。」のページへ)
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