江戸時代、幕府の安定と共に文化がめざましく発展し、多くの書物が木版によって印刷され、出版されました。これらの出版物は、仏教や儒学をはじめとした哲学書、医学書、教養書など学問的な書物を主に出版した版元・書肆問屋(しょしどんや)と大衆向けの娯楽的な書物である黄表紙、滑稽本、絵本、読本を出版した版元・地本問屋(じほんどんや)によって、制作出版されました。黄表紙などに代表される娯楽的書物は、文字や高度な漢詩文の素養がなくとも楽しめるようにと、簡単な文章の他に多くの挿絵が使われました。これらの挿絵が次第に一枚の絵として発展し、書物の一部としてではなく、純粋に絵を楽しむための一枚絵(いちまいえ)として出版されるようになりました。これが浮世絵木版画の始まりです。武家や貴族の注文によって描かれる狩野派などの肉筆絵画とは対照的に、庶民の日常生活に関わりのある題材をわかりやく描いた大衆向けの浮世絵木版画は、大衆文化の発展と共に大きく発展していきました。
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