現在開催中、および8月開催のオススメ浮世絵展覧会をご紹介します!
なお、新型コロナウイルスによる緊急事態宣言に伴い、休館されている美術館・博物館もございますので、お出かけ前に必ず公式HPをご確認ください。

 

◆ 8月のPick up!オススメ展覧会

 

東京・両国にあるすみだ北斎美術館では、特別展「THE北斎 ―冨嶽三十六景と幻の絵巻―」が開催中です。

 


すみだ北斎美術館が所蔵する二大名品、「冨嶽三十六景」シリーズと、同館の開館記念展において約100年ぶりの再発見として話題となった幻の絵巻「隅田川両岸景色図巻」を中心に、人気の高い北斎作品約100点を前期・後期に分け展観します。
今回、同館初の試みとして、冨嶽三十六景「山下白雨」のバージョン違いを一挙展示。また、錦絵「桜に鷹」など、北斎作品の版木を使用した四面版木火鉢が初公開されています。北斎の、一枚摺の錦絵の版木自体極めて珍しく、資料としても大変貴重な本作は必見です。
誰もが知る名作から本邦初公開の作品まで、見応えたっぷりの本展で北斎作品の魅力をご堪能ください。



 
すみだ北斎美術館 (東京・両国)
THE北斎 ―冨嶽三十六景と幻の絵巻―
7月20日(火) 〜9月26日(日)



◆ アダチ版復刻浮世絵の取り扱いがある美術館・博物館

下記でご紹介する美術館・博物館では、常時アダチ版復刻浮世絵をお求めいただけます。(お求めいただけない商品もございますので、ご了承ください。)

太田記念美術館 (東京・原宿)
江戸の天気
6月26日(土)~8月29日(日)
静岡市東海道広重美術館 (静岡・由比)
浮世絵で見る江戸のくらし
7月6日(火)~9月12日(日)
信州小布施北斎館 (長野・小布施)
あやしい浮世絵
6月19日(土)~8月29日(日)
 

事前予約制

東京国立博物館 (東京・上野)
浮世絵と衣装―江戸



MOA美術館 (静岡・熱海)
クイズで楽しむ
「冨嶽三十六景」と「東海道五十三次」
7月30日(金)~9月7日(火)



中山道広重美術館 (岐阜・恵那)
華の都 江戸
-名所江戸百景名品選-
7月22日(木・祝)~8月22日(日)

◆ その他、オススメの浮世絵展覧会


アダチ版復刻浮世絵の販売あり!
事前予約制

東京ミッドタウン・ホール
(東京・六本木)
北斎づくし
7月22日(木・祝)~9月17日(金)



港区郷土資料館
(東京・白金台)
港区浮世絵さんぽ
7月31日(土)~9月12日(日)




川崎浮世絵ギャラリー
(神奈川・川崎)
世界に誇る大北斎展
7月10日(土)~9月12日(日)
 
江戸東京博物館 (東京・両国)
企画展「相撲の錦絵と江戸文化」
7月17日(土)~9月5日(日)
国立劇場伝統芸能情報館 (東京・半蔵門)
躍動する歌舞伎
―歌舞伎役者はアスリート!?―
6月2日(水)~9月21日(火)
福島県立美術館 (福島・福島)
ミネアポリス美術館
日本絵画の名品展
7月8日(木)~9月5日(日)
 
山種美術館 (東京・恵比寿)
浮世絵・江戸絵画名品選
7月3日(土)~8月29日(日)
町田市国際版画美術館 (東京・町田)
浮世絵風景画
―広重・清親・巴水 三世代の眼―
7月10日(土)~9月12日(日)
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■北斎の真骨頂! 浮世絵の藍色が誘う清涼感

   
アダチ版復刻浮世絵によるスマートフォン用の壁紙は、季節の移ろいとともに浮世絵を身近に感じていただけるよう、陰暦の月替りに合わせて公開しています。陰暦6月(水無月)の今回は、北斎の人気シリーズ「諸国滝廻り」より「木曽路ノ奥阿弥陀の滝」を。清涼感溢れる浮世絵の滝で、蒸し暑い日本の夏を乗り切ってください!(国際版のダウンロードページはこちら) 
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スマホ用壁紙(2021年7月版)ダウンロードはこちら
※画像はアダチ版画研究所が制作した復刻版浮世絵を使用しています。
※個人で楽しむ範囲でご利用ください。商用利用、再配布禁止。


アダチ版画研究所のスマホ用浮世絵壁紙は
①あらゆるスマホの画面の縦横比に対応できる
②カレンダー型を希望する方/しない方の双方の需要に応える
という2つの課題をクリアするため「お客様のお好みで画像をトリミングしていただく」というスタイルを採用しています。下図は主なスマートフォンの液晶画面の縦横比でトリミングした一例です。


wallpaper_202107_sample_20-9.jpg 【画面縦横比[20:9]のスマホの場合】
A.カレンダーあり
B.カレンダーなし
wallpaper_202107_sample_16-9.jpg 【画面縦横比[16:9]のスマホの場合】
A.カレンダーあり
B.カレンダーなし
wallpaper_202107_sample_7-3.jpg 【画面縦横比[7:3]のスマホの場合】
A.カレンダーあり
B.カレンダーなし


お客様にお手間をかけることにはなりますが、ぜひご自身のお好みに合わせてご活用ください!


  

■この壁紙に使用されている作品は?


今回、壁紙に使用した作品は、葛飾北斎の「諸国滝廻り」のうちの一図「木曽路ノ奥阿弥陀の滝」。北斎が、代表作「富嶽三十六景」の成功から程なくして発表した、全国の名滝を描いた8図から成るシリーズです。「富嶽三十六景」と同様、「諸国滝廻り」も、輪郭線の部分に藍色を使用しており(通常の浮世絵は墨色)、画面全体から爽やかな印象を受けます。
森羅万象を描いた北斎が、生涯を通じて取り組んだテーマの一つが「水」。千変万化するその姿を、本作ではデザインとトリックアートを掛け合わせたような、面白い手法で表現しています。


アダチ版復刻「諸国滝廻り 木曽路ノ奥阿弥陀の滝」商品ページはこちら≫



現在開催中、および7月開催のオススメ浮世絵展覧会をご紹介します!
各地で魅力的な浮世絵の展覧会が目白押しです。

 

◆ 7月のPick up!オススメ展覧会

 

7月22日より、東京・六本木にある東京ミッドタウン・ホールでは、特別展「北斎づくし」が行われます。

 

新型コロナウイルス感染拡大防止のため昨年より延期されていた本展。そして今年、名称を新たに開催が決定いたしました。浮世絵師としてデビューし、90歳で没するまでの70年間、常に挑戦を続けて森羅万象を描き抜こうとした画狂の絵師・葛飾北斎。その生誕260年を記念し、『北斎漫画』の全ページの一挙展示の他、代表作「冨嶽三十六景」、『富嶽百景』の全図が一堂に会する前代未聞の特別展です。また、今回の展示では、北斎をリスペクトする、各分野を代表するクリエイターたちが展示空間の構築を手掛けています。日本を代表する絵師・北斎が持つ多彩な側面のすべてと出会える「北斎づくし」を、ぜひお楽しみください。
また、会場ではアダチ版復刻浮世絵もご購入いただけます。ぜひお立ち寄り頂ければ幸いです。



 
東京ミッドタウン・ホール
(東京・六本木)
北斎づくし
7月22日(木・祝)~9月17日(金)
アダチ版浮世絵の販売あり!


◆ アダチ版復刻浮世絵の取り扱いがある美術館・博物館

下記でご紹介する美術館・博物館では、常時アダチ版復刻浮世絵をお求めいただけます。(お求めいただけない商品もございますので、ご了承ください。)

太田記念美術館 (東京・原宿)
江戸の天気
6月26日(土)~8月29日(日)
すみだ北斎美術館 (東京・両国)
THE北斎 ―冨嶽三十六景と幻の絵巻―
7月20日(火) 〜9月26日(日)
静岡市東海道広重美術館 (静岡・由比)
浮世絵で見る江戸のくらし
7月6日(火)~9月12日(日)
 

事前予約制

東京国立博物館 (東京・上野)
浮世絵と衣装―江戸
6月8日(火)~ 7月4日(日)



信州小布施北斎館 (長野・小布施)
あやしい浮世絵
6月19日(土)~8月29日(日)



中山道広重美術館 (岐阜・恵那)
諸国山巡り-山海見立相撲お披露目-
6月17日(木)~7月18日(日)

◆ その他、オススメの浮世絵展覧会

山種美術館 (東京・恵比寿)
浮世絵・江戸絵画名品選
7月3日(土)~8月29日(日)
川崎浮世絵ギャラリー (神奈川・川崎)
世界の大北斎展
7月10日(土)~9月12日(日)
静岡市美術館 (静岡・静岡)
没後70年 吉田博展
6月19日(土)〜8月29日(日)
 
那珂川町馬頭広重美術館 (栃木・那珂川)
帰ってきた!
猫じゃ猫じゃ展
6月19日(土)〜8月29日(日)
海の見える杜美術館 (広島・廿日市)
アート魚ッチング
―描かれた水の仲間たち―
5月29日(土)~8月22日(日)
藤沢市藤澤浮世絵館 (神奈川・藤沢)
ザ・ライバル
広重・国芳・三代豊国の共演
5月14日(金)~7月11日(日)
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■ユーモアたっぷり! 江戸の"カワイイ"を手のひらで

    
アダチ版復刻浮世絵によるスマートフォン用の壁紙は、季節の移ろいとともに浮世絵を身近に感じていただけるよう、陰暦の月替りに合わせて公開しています。陰暦5月(皐月)の今回は、国芳の「金魚づくし」シリーズより「ぼんぼん」を。昨年twitter上で「金魚づくし」9図の人気投票を行ったところ、見事1位に輝いたのが、この「ぼんぼん」。カワイイ擬人化金魚の姿をぜひスマートフォンの画面でお楽しみください。。(国際版のダウンロードページはこちら) 
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スマホ用壁紙(2021年6月版)ダウンロードはこちら
※画像はアダチ版画研究所が制作した復刻版浮世絵を使用しています。
※個人で楽しむ範囲でご利用ください。商用利用、再配布禁止。


アダチ版画研究所のスマホ用浮世絵壁紙は
①あらゆるスマホの画面の縦横比に対応できる
②カレンダー型を希望する方/しない方の双方の需要に応える
という2つの課題をクリアするため「お客様のお好みで画像をトリミングしていただく」というスタイルを採用しています。
お客様にお手間をかけることにはなりますが、上記リンク先の画像を保存の上、こちらの使用例をご参照いただき、ぜひご自身のお好みに合わせてご活用ください!


  


スタッフ(iPhone12miniを使用)が実際にスマホのロック画面(左・カレンダーあり)とホーム画面(右・カレンダーなし)に設定してみたのが下の画像です。さまざまな機種に対応できるよう、今後も改善を重ねていきたいと思います。ぜひご意見・ご感想をお寄せください。

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■この壁紙に使用されている作品は?


今回、壁紙に使用した作品は、歌川国芳の「金魚づくし」シリーズより「ぼんぼん」。「金魚づくし」は色とりどりの金魚を擬人化したシリーズで、現在9図が確認されています。怪談、夕立、シャボン玉売り、うなぎ、といったような夏の風物詩を題材に、江戸の老若男女がカワイイ金魚の姿で描かれています。こちらの作品の主題となっている「ぼんぼん」は、盆唄の風習を描いたもの。お盆の時期になると、江戸の街角では、横並びに手を繋いで「ぼんぼん盆の十六日に〜」と歌いながら歩く少女たちの姿が見られました。あどけない子供達の姿には、国芳の優しい眼差しが感じられます。


アダチ版復刻「金魚づくし ぼんぼん」商品ページはこちら≫


諸国瀧廻り■次回の配布作品:北斎「木曾路ノ奥阿弥陀の滝」
次回は7月9日。生涯、水の表現にこだわり続けた北斎が、皆様を全国の滝巡りツアーにご招待! 「諸国瀧廻り」のシリーズより、人気作「木曾路ノ奥阿弥陀の滝」をスマホ用の壁紙に。どうぞお楽しみに。
  




現在開催中、および6月開催のオススメ浮世絵展覧会をご紹介します!
なお、新型コロナウイルスによる緊急事態宣言に伴い、休館されている美術館・博物館もございますので、お出かけ前に必ず公式HPをご確認ください。

 

◆ 6月のPick up!オススメ展覧会

 

東京・六本木にあるサントリー美術館では、
「ミネアポリス美術館ー日本絵画の名品ー」が行われています。(※6月2日より再開)

 

アメリカ中西部・ミネソタ州にあるミネアポリス美術館は、約9万点を超える美術作品を所蔵しており、そのうち、日本絵画のコレクションは、約2500点の浮世絵をはじめ、質・量ともに国際的にも高い評価を得ています。サントリー美術館の開館60周年を記念して行われている本展覧会では、その豊富なコレクションの中から、100点弱の選りすぐりの優品を展示。
水墨画からはじまり、狩野派、琳派など、中世から近代にいたる日本絵画の変遷が紹介される中で、第5章・浮世絵では写楽の「市川鰕蔵の竹村定之進」や、北斎の「山下白雨」など、厳選された逸品の数々をご覧いただけます。江戸絵画を中心に、日本絵画史の主要ジャンルをほぼ網羅した、見応えたっぷりの展覧会です。
また、公式HPでは展覧会関連動画も公開されています。ぜひあわせてお楽しみください。
ミュージアムショップでは、アダチ版復刻浮世絵もお買い求めいただけるので、そちらもぜひ覗いてみてくださいね。



 
サントリー美術館 (東京・六本木)
ミネアポリス美術館
日本絵画の名品
4月14日(水)~6月27日(日)
6月2日より再開


◆ アダチ版復刻浮世絵の取り扱いがある美術館・博物館

下記でご紹介する美術館・博物館では、常時アダチ版復刻浮世絵をお求めいただけます。(お求めいただけない商品もございますので、ご了承ください。)


時間短縮営業

太田記念美術館 (東京・原宿)
江戸の天気
6月26日(土)~8月29日(日)

6月1日より再開

すみだ北斎美術館 (東京・両国)
しりあがりサン北斎サン
-クスッと笑えるSHOW TIME!-
4月20日(火) 〜 7月10日(土)



東海道広重美術館 (静岡・由比)
名所江戸百景
~広重の残した最後の江戸風景~
6月1日(火)~7月4日(日)
 

6月1日より事前予約制にて再開

東京国立博物館 (東京・上野)
浮世絵と衣装―江戸
6月8日(火)~ 7月4日(日)



信州小布施北斎館 (長野・小布施)
あやしい浮世絵
6月19日(土)~8月29日(日)



中山道広重美術館 (岐阜・恵那)
諸国山巡り
6月17日(木)~7月18日(日)

◆ その他、オススメの浮世絵展覧会


6月1日より事前予約制にて再開
アダチ版復刻浮世絵の販売あり!


江戸東京博物館 (東京・両国)
冨嶽三十六景への挑戦
北斎と広重
4月24日(土)~6月20日(日)




川崎浮世絵ギャラリー (神奈川・川崎)
まだ見ぬ日本に出会う
広重 六十余州名所図会
6月12日(土)~7月4日(日)




藤沢市藤澤浮世絵館 (神奈川・藤沢)
ザ・ライバル
広重・国芳・三代豊国の共演
5月14日(金)~7月11日(日)
 
那珂川町馬頭広重美術館
(栃木・那珂川町)
明治を生きた浮世絵師
―小林清親と井上安治―
5月14日(金)〜6月13日(日)
海の見える杜美術館
(広島・廿日市)
アート魚ッチング
―描かれた水の仲間たち―
5月29日(土)~8月22日(日)
山口県立萩美術館・浦上記念館
(山口・萩)
HOKUSAI★MANGA
5月25日(火)~6月27日(日)

2021年5月更新!
アダチ浮世絵ギャラリーでは、アダチ版浮世絵を飾って楽しんでいるところ、贈って喜んでいただいるところ、そして、アダチ版画からの飾り方提案などをアトランダムにご紹介してまいります。
ご自身のSNSでの投稿をお知らせいただいたり、メールでお写真を送っていただければこちらでご紹介いたします。
皆さんからのお写真をお待ちしております!

アダチ浮世絵ギャラリー アダチ浮世絵ギャラリー アダチ浮世絵ギャラリー
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飾って楽しむアダチの浮世絵
お客様インタビュー~浮世絵のある暮らし~ 第4回


2021年1月からスタートした企画「お客様インタビュー〜浮世絵のある暮らし〜」では、お客様にアダチの浮世絵の、ご自宅での楽しみ方を伺っています。

日本屈指のパイプメーカー・柘製作所の会長である柘 恭三郎さまは浮世絵の愛好家で、弊社の復刻浮世絵も長い間お楽しみいただいています。飾っているお写真を送っていただいたことをきっかけに、今回は柘製作所の本社にて、柘会長と三井社長にお迎えいただき、アダチの復刻浮世絵のお話はもちろん、アダチ版画と共通する部分も多い柘製作所のモノづくりについてもたっぷりとお話を伺いました。



 


柘製作所の三井社長(左)と
お写真を送ってくださった柘会長(右)。


パイプを吹かす姿に惚れ惚れしてしまいます。ゲストルームへの移動中は、柘製作所の本社付近のお店もたくさん紹介してくださいました。
 

 





■ 世界中で楽しまれている"柘のパイプ"


柘製作所は昭和11年創業の、日本を代表するパイプメーカー。パイプやキセルの製造・販売のほか、たばこの輸入販売も行っています。最初にご案内いただいたのは、喫煙具がずらりと並ぶ、柘製作所のショールームです。19世紀のロンドンのスモーキングルームをイメージして作られたという豪華な内装に、アダチのスタッフも圧倒されます。


―とても立派なショールームですね。まるで海外に来た気分です。
 
柘会長: 「現在はこんな状況なのでお招き出来ないのですが、コロナが猛威を振るう前は海外からの客人がたくさん来ていました。」
 

―お客様は、海外の方が多いのですか?
 
三井社長: 「パイプは海外のお客様、キセルは日本のお客様が中心です。特にパイプは、世界中に愛好家の方がいらっしゃって、"柘のパイプ"は、愛好家なら知らない者はいないと言えるほど、世界中の皆様に認知されています。」
 
 
柘会長: 「海外からの客人がきたら、昼間はこのショールームにご案内して、夜は、柳橋にあるゲストルームに案内します。アダチさんの浮世絵はそこに飾っていて、海外の方からの評判もいいんですよ」
 

―ありがとうございます。私たちのお客様も、徐々に海外の方が増えてきているので、やはり日本製のものや、日本らしいものの人気が世界で高まってきているのかもしれませんね。
 
三井社長: 「やはり日本製のものに対する信頼は大きいかもしれないですね。あと、これまでは毎月のように海外出張も行っていたんです。これも今は行けないのですが。その際に、手土産としてアダチさんの浮世絵を持っていくこともありました。」
 

―そうなんですね!様々な場面でご活用いただきありがとうございます。

お話にでてきた柳橋にあるというゲストルームへも、おふたりのご厚意で、このあとご案内をして頂けることになっています。まずは、このショールームでお話を伺います。

―最初にアダチの浮世絵を買っていただいたのはいつ頃なのでしょうか。
 
柘会長: 「40年以上前で、まだ先代の頃ですね。」
 


―御社で製作しているキセルも、江戸時代に大衆へ広まった文化であると思います。浮世絵に興味をお持ちになったのも、キセルが描かれていることがきっかけなのでしょうか。
 
柘会長: 「そうですね。最初は、アダチさんの復刻版でも、キセルの描かれた浮世絵を数点購入しました。その時に色の鮮やかさや美しさに、なんだこれは!?と衝撃を受けたのを覚えています。」
 
 
三井社長: 「あと、浮世絵はいろいろと勉強になる部分も多いんですよ。例えば、携帯灰皿が描かれた浮世絵もあるのですが、それを参考にして携帯灰皿を復刻したりもしています。あとは、持ち方の所作なんかも、とても参考になりますね。」
 


浮世絵と同じように、江戸時代に大衆へと広まった喫煙具。お二人が仰るように、歌麿や国芳の作品にも、キセルを手にした人々が描かれています。


歌川国芳「ほぐぞめ




■ 職人の手仕事という部分に、アダチとの共通点を感じる

また、柘製作所のパイプは、職人による手仕事で製作されています。たとえ機械を使う工程でも、培われた職人の技術や経験によって、仕上がりが大きく異なるそう。柘製作所のパイプやキセルの魅力も、そうした手仕事の中にあるといいます。
 
三井社長: 「お客様はみなさま、パイプを手に取ると微妙な違いや変化にも良く気付かれるんです。だから私たちも、細かい部分まで気を配って製作しています。丁寧な手仕事によって生まれたものだからこそ、弊社の商品もお客様に長い間愛されているのだと思います。」
 
 
柘会長: 「それは、アダチさんの復刻浮世絵との共通点でもあるよね。アダチさんも、実際に職人さんたちが、今でも手仕事で制作しているから。」
 

―そうですね、若手の職人を中心に、今でも彫師や摺師が一枚一枚手作業で制作しています。
 
三井社長: 「私たちも、若手の職人が中心となっています。こうしてモノづくりの文化が継承されていくのは、いいことですよね。」
 




■ 海外のお客様とのコミュニケーションに
 
柘会長: 「それでは、ゲストルームへ移動しましょうか。」
 

ゲストルームは、浅草田原町にある柘製作所の本社から車で約5分。北斎も描いた、柳橋のすぐそばにありました。

中に入れていただくと、ヨーロッパ調の家具で統一されたゲストルームのリビングに、アダチ版画の浮世絵が3点飾られています。


 
柘会長: 「これ、窓から見える景色と似ているでしょう」
 

日除けのブラインドを上げていただくと、窓からは「大はしあたけの夕立」と、ほぼ同じ角度から見下ろした現在の両国橋。そして、「両国花火」や「御厩川岸より両国橋夕陽見」に描かれている隅田川が眼下に広がります。
 
柘会長: 「多分、広重もこの角度から見た新大橋を描いたんじゃないかって思ってるんです。」
 

―本当にどの景色もこのあたりから隅田川をみたような景色ですね。海外からのお客様をこちらに招かれるとのことでしたが、そういった方々からも反応はございますか?
 
柘会長: 「すごく評判がいいですね。だから、アダチさんの浮世絵はもっとたくさん持っていたんだけど、海外からの客人が来た時にほとんどあげてしまったんだよ。アルメニアから来た客人は、アダチさんの浮世絵にすごく感動して、"アルメニアの美術館に寄贈したい!"なんて言っていたよ。(笑)」
 

"あげてしまった"という豪快さに驚きましたが、生粋の"浅草っ子"である柘さまらしいエピソードかもしれません。さらに、『自分が最初に復刻版の浮世絵を見たときに衝撃を受けた感覚を体験してもらいたい』と、お客様には別の楽しみ方でも浮世絵を鑑賞してもらうそう。
 
柘会長: 「額のアクリル板を外して、手に取ってもらうと、鮮やかさにみんな目をきらきらさせて、すごく感動をするんです。特に、空摺なんていうのは、実際に手に取って、初めてよくわかるものでしょう。だから、アクリル板越しだけでなくて、何も挟まない状態でも見てもらうんです。」
 
 
 
 
 
喜多川歌麿「喫煙
 

絵具をつけずに摺ることで、和紙に凹凸をつける空摺。実際に手に取ると、その凹凸がよく分かります。

―なるほど!確かに空摺は、アダチショールームにいらっしゃるお客様もみな驚かれます。
それとお部屋のインテリアも洋風なモダン調で素敵ですね。浮世絵を入れる額はご自身で選ばれているのですか?
 
柘会長: 「そうですね。『御厩川岸より両国橋夕陽見』はアダチさんの額で、他の2作品は別で額を選んで、額装しました。」
 

また、お部屋の調度品も季節によって変えているそう。浮世絵以外のインテリアにも、お客様をおもてなすゲストルームだからこそのこだわりを感じました。




■ 江戸時代の「錦絵」に江戸っ子が感動した体験をアダチ版画で追体験できる!

最後に、柘さまへアダチの浮世絵の魅力について伺いました。


―海外の方のおもてなしの場に、アダチの浮世絵を飾っていただき嬉しく思います。贈り物としても利用されているとのことですが、柘さまの考える、アダチの浮世絵の魅力を伺ってもよろしいでしょうか。
 
柘会長: 「一番は、江戸時代の『錦絵』に江戸っ子が感動した体験をアダチ版画で追体験できる!ということです。これは、ぜひ多くの人に実際に手に取って、知ってもらいたいこと。江戸時代当時に摺られた浮世絵ももちろん良いけれど、アダチさんの浮世絵を見て、初めて浮世絵が"錦"絵と呼ばれた所以がわかりました。江戸時代の人々も、この鮮やかさと美しさに衝撃を受けたんだろうと思います。」
 

"錦"には、「美しいもの、立派なもの」を指す意味もあります。
アダチ版復刻浮世絵は、江戸時代当時の人たちが楽しんだ、色鮮やかな浮世絵を現代でもお楽しみいただけるように、絵のサイズはもちろん、当時絵師・版元の意向がきちんと反映されて作られていた初摺の作品を参考にして、作品の色など、江戸当時を忠実に再現しています。そうしたこだわりが、柘さまが長くアダチの復刻浮世絵をお楽しみいただく理由のひとつとなっていることに、とても嬉しく思いました。

今回は、アダチ版の復刻浮世絵についてお話していただきましたが、木版技術同様、職人によって継承されるパイプやキセルの製作には、訪問したアダチのスタッフも興味津々。
別の機会に、いずれご紹介できればと思います。今回はご協力いただき、本当にありがとうございました!





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■西洋の美術や工芸品に影響を与えた北斎の花鳥画

    
アダチ版復刻浮世絵によるスマートフォン用の壁紙は、季節の移ろいとともに浮世絵を身近に感じていただけるよう、陰暦の月替りに合わせて公開しています。陰暦4月(卯月)の今回は、北斎の「あやめにきりぎりす」。清々しくモダンな花鳥画は、西洋の美術や工芸品にも影響を与えたと言われています。(国際版のダウンロードページはこちら) 
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スマホ用壁紙(2021年5月版)ダウンロードはこちら
※画像はアダチ版画研究所が制作した復刻版浮世絵を使用しています。
※個人で楽しむ範囲でご利用ください。商用利用、再配布禁止。


アダチ版画研究所のスマホ用浮世絵壁紙は
①あらゆるスマホの画面の縦横比に対応できる
②カレンダー型を希望する方/しない方の双方の需要に応える
という2つの課題をクリアするため「お客様のお好みで画像をトリミングしていただく」というスタイルを採用しています。
お客様にお手間をかけることにはなりますが、上記リンク先の画像を保存の上、こちらの使用例をご参照いただき、ぜひご自身のお好みに合わせてご活用ください!


  


スタッフ(iPhone12miniを使用)が実際にスマホのロック画面(左・カレンダーあり)とホーム画面(右・カレンダーなし)に設定してみたのが下の画像です。さまざまな機種に対応できるよう、今後も改善を重ねていきたいと思います。ぜひご意見・ご感想をお寄せください。

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■この壁紙に使用されている作品は?


今回、壁紙に使用した作品は、葛飾北斎の「あやめにきりぎりす」。代表作「富嶽三十六景」を描いたのと同時期に発表した10点の花鳥画(大判錦絵)の中の一図です。水辺にしゃがみ込み、そのまま筆を走らせたかのようなローアングルで、生命力に満ち溢れるあやめの姿をのびやかに描き出しています。画面中央にすっと伸びた葉には、キリギリスの姿。背景の藍色のボカシ(グラデーション)も効果的で、初夏の水面を吹き渡る風を感じるような、爽やかな花鳥画です。あやめ(アイリス)の花言葉は「良き便り」や「愛」。


アダチ版復刻「あやめにきりぎりす」商品ページはこちら≫


金魚づくし■次回の配布作品:国芳「金魚づくし ぼんぼん」
次回は6月9日、国芳のかわいい戯画「金魚づくし」のシリーズより「ぼんぼん」を配布予定です。手(ひれ?)をつないだこども金魚たちの待受、どうぞお楽しみに。
  




現在開催中、および5月開催のオススメ浮世絵展覧会をご紹介します!
各地で魅力的な浮世絵の展覧会が目白押しです。

なお、新型コロナウイルスによる緊急事態宣言に伴い、休館されている美術館・博物館もございますので、お出かけ前に必ず公式HPをご確認ください。

 

◆ 5月のPick up!オススメ展覧会

 

東京・両国にある江戸東京博物館では、「冨嶽三十六景への挑戦 北斎と広重」が開催されています。

 

これまでにも"北斎と広重"をテーマとした展覧会は開催されてきましたが、本展ではより踏み込んだ解釈により、北斎の表現へのあくなき探求、そして広重が人気絵師として飛躍するまでの挑戦を、ストーリー展開で浮き彫りにしています。『冨獄三十六景』に至るまでの北斎作品や『冨嶽三十六景』全46図の一挙展示は大きな見どころのひとつ。そして、北斎に影響されたとみられる広重の風景画や富士を描いた名作も多数展示されています。日本でも有数の"江戸博コレクション"を通して、北斎と広重の挑戦の軌跡をお楽しみください。
また会場出口付近では、アダチ版復刻浮世絵もお買い求めいただけます。

なお、本展をオンラインでもお楽しみいただける、バーチャルツアーも公開されています。ぜひご覧ください!
>>特別展「冨嶽三十六景への挑戦 北斎と広重」バーチャルツアー



 
江戸東京博物館 (東京・両国)
冨嶽三十六景への挑戦
北斎と広重
5月11日まで臨時休館
4月24日(土)~6月20日(日)



◆ アダチ版復刻浮世絵の取り扱いがある美術館・博物館

下記でご紹介する美術館・博物館では、常時アダチ版復刻浮世絵をお求めいただけます。(お求めいただけない商品もございますので、ご了承ください。)


緊急事態宣言解除まで臨時休館

太田記念美術館 (東京・原宿)
江戸の敗者たち
4月15日(木)~5月16日(日)

5月11日まで臨時休館

すみだ北斎美術館 (東京・両国)
しりあがりサン北斎サン
-クスッと笑えるSHOW TIME!-
4月20日(火) 〜 6月27日(日)



中山道広重美術館 (岐阜・恵那)
ゆる旅おじさん図譜リターンズ
4月1日(木)~6月13日(日)
 

当面の間臨時休館

東京国立博物館 (東京・上野)
浮世絵と衣装―江戸
4月13日(火)~5月9日(日)



MOA美術館 (静岡・熱海)
粋と艶
-江戸のトップスターたち-
4月23日(金)~6月8日(火)
 
信州小布施北斎館 (長野・小布施)
てくてく、ふらり、のんびり
旅する浮世絵
4月3日(土)~6月13日(日)
静岡市東海道広重美術館 (静岡・由比)
名所江戸百景
~広重の残した最後の江戸風景~
3月30日(火)~7月4日(日)

◆ その他、オススメの浮世絵展覧会


5月11日まで臨時休館

サントリー美術館 (東京・六本木)
ミネアポリス美術館
日本絵画の名品
4月14日(水)~6月27日(日)

事前予約制

神奈川県立歴史博物館 (神奈川・馬車道)
錦絵にみる明治時代
-丹波コレクションが語る近代ニッポンー
4月29日(木・祝)~6月20日(日)

5月11日まで臨時休館

八王子市夢美術館 (東京・八王子)
世界が絶賛した浮世絵師
北斎展
4月9日(金)〜 6月6日(日)
 
かわら美術館 (愛知・高浜)
浮世絵と日本画
~広重の視点・日本の美~
4月3日(土)~5月30日(日)
島根県立美術館 (島根・松江)
島根県立美術館の浮世絵
-北斎・広重を中心に-
4月14日(水)~5月24日(月)
郡山市立美術館 (福島・郡山)
挑む浮世絵
国芳から芳年へ
4月24日(土)~6月6日(日)

アダチセレクト 話題の一枚
喜多川歌麿「蚊帳」-Part2. 後編-


アダチセレクト・話題の一枚、第2回目は喜多川歌麿の傑作「蚊帳」を取り上げています。前編では、歌麿の描く美人画の魅力、そして「蚊帳(かや)」というアイテムに込められた思いなどについてお話ししました。

今回お届けする後編では、美人画の大家・喜多川歌麿とその生みの親である版元・蔦屋重三郎(つたやじゅうざぶろう)の2人が江戸浮世絵界にもたらした美人画革命に焦点を当ててお話ししたいと思います。




喜多川歌麿「蚊帳




■ 版元&敏腕プロデューサー・蔦屋重三郎

今回ご紹介する歌麿の傑作「蚊帳」は、版元・蔦屋重三郎(蔦重)の元から出版された作品です。歌麿の作品の多くはこの蔦屋から出版されており、その中には歌麿の代表作とされるものが多く残されています。

版元・蔦屋重三郎とは、どんな人物だったのでしょうか?
蔦屋重三郎は、歌麿より3年ほど前の1750年に吉原に生まれたと言われています。1774年から、「吉原細見(よしわらさいけん)」という吉原のガイドブックのようなものの出版・販売に関わるようになってから、新しいビジネススタイルで江戸の出版界に頭角を表していきました。蔦重の仕事は単なる出版・販売にとどまらず、「吉原細見」を読み手目線に大胆にリニューアルしたり、出版物の序文を人気作家に書かせたり、出版の枠を超え、まるで現在のプロデューサー業のよう。そうして出版界に新風を巻き起こした蔦重は、次々とヒット作を飛ばし、1783年には吉原の店だけでなく、日本橋にも出店し、出版界でも一目置かれる存在となっていきました。



■ 美人画の大家・喜多川歌麿 誕生
そんな蔦重が次代の絵師として目を付けたのが、喜多川歌麿(1753年? - 1806年)でした。
歌麿の名が人々に知られるようになったのは、1788年頃から蔦屋が出版した、当時流行していた狂歌に、花鳥画を合わせた狂歌絵本「画本虫撰(えほんむしえらみ)」、「汐干のつと(しおひのつと)」、「百千鳥(ももちどり)」の挿絵でした。それらは、対象物を写実的に緻密に描いたもので、現在知られている"美人画の歌麿"とは全く違う、けれども歌麿の実力を見せつけるには十分な作品でした。
喜多川歌麿 百千鳥「鷹に百舌」



■ 女性の上半身にフォーカスした「大首絵」を考案

この蔦屋から出版された狂歌本の挿絵で成功を収めた歌麿は、その後、蔦重と組んで次々と新しい美人画を発表していきました。その中でも江戸で大きな話題となったのが、「大首絵(おおくびえ)」と呼ばれる、人物の上半身にフォーカスして描いた浮世絵です。元々、役者絵に使われた表現方法でしたが、歌麿と蔦重はそれを美人画に応用したのです。上半身にフォーカスすることで、これまでよりも大きく描けるようになった女性の顔。歌麿は、そこに女性一人一人の内面や性格などを描き出していきました。それまでは絵師の好みで描かれてきた女性像が、歌麿によって実在する女性となったのです。

       
  喜多川歌麿
物思恋

<シリーズ「歌撰恋之部(かせんこいのぶ)」の一枚で、頬杖をつき物思いに耽る女性を描いています。>
  喜多川歌麿
川岸(かし)

<シリーズ「北国五色墨(ほっこくごしきずみ)」の一枚で、気の強そうな下層遊女を描いています。>
  喜多川歌麿
難波屋おきた

<シリーズ「高名美人六歌撰(こうめいびじんろっかせん)」の一枚で、おもてなし精神に溢れた水茶屋・難波屋の看板娘おきたを描いています。>
 

また、大きく描かれた女性の顔や髪の生え際などをより細かく表現するために、彫師もこれまで以上に精度の高い彫の仕事が求められるようになり、木版の技術も大いに進歩していきました。  
↑クリックで拡大




■ 寛政の改革の元で生み出したヒット作の数々

しかし、時は寛政。質素倹約に重きを置いた改革が始まり、娯楽を含む風紀の取締まりが厳しくなっていく中、出版業界にも様々な規制が課されました。しかし、どんな時にも蔦重と歌麿コンビが目指していたのは、女性をより美しく見せること。その思いによって、二人は幕府の規制に対抗するように、次々と新しい美人画の可能性を切り開いていきました。

↑クリックで拡大   その一つが、(雲母)キラの背景を施した美人画です。浮世絵を簡素化しなければいけないという幕府のお達しに対して、2人が考え出したのは、背景に何も描かない代わりに、雲母の粉を引いてきらきら光らせた背景でした。


       
  喜多川歌麿
娘道成寺

<シリーズ「当世踊子揃(とうせいおどりこぞろい)」の一枚で、娘道成寺を踊る若く美しい娘を描いています。>
  喜多川歌麿
高島屋おひさ

<寛政三美人にも数えられた、水茶屋・高島屋の看板娘を女房姿で描いています。>
  喜多川歌麿
ビードロを吹く娘

<シリーズ「婦女人相十品(ふじょにんそうじっぽん)」の一枚で、流行の市松模様の振袖に身を包んだ若々しい少女が描かれています。>
 


この背景にキラ引き(きらびき)が施された歌麿の美人画は、江戸の大ヒット商品となりました。
キラの背景以外にも、今回取り上げている「蚊帳」に見られるような、透かしたものを通して女性の美しさを引き出したり、空摺などによって女性の肌の柔らかさを表現したり、制約の中での試行錯誤から様々な表現方法を生み出していきました。


↓それぞれクリックで拡大
   
<背景以外の人物の部分が隠れるように渋皮の型紙をあて、雲母(きら)を刷毛で引いていく「キラ引き」の様子>
  <蚊帳越しに眺める美人>   <空摺で表現された
柔らかな輪郭線>


そして、それらの表現方法を用いて、実在する様々な女性の真の姿を描こうとしました。吉原の遊女の一日を2時間毎に描いた12枚のシリーズ「青楼十二時(せいろうじゅうにとき)」は、華やかな吉原の表の顔だけではなく、遊女たちがふと見せる素顔を描き出しているとして評価の高い作品ですが、これは吉原に馴染みの深い蔦重と共に活躍する歌麿だからこそ描くことのできたシリーズと言えます。

       
  喜多川歌麿
蚊帳の内外

<蚊帳を挟んで向かい合う若い男女を瑞々しく描いています。2枚の版木を使って、蚊帳の縦横の織を表現しています。>
  喜多川歌麿
未ノ刻

<シリーズ「娘日時計(むすめひどけい)」の一枚で、午後2時の町屋の娘の姿を描いています。顔の輪郭線は絵具を使わずに摺られています。(無線摺)>
  喜多川歌麿
丑ノ刻

<シリーズ「青楼十二時(せいろうじゅうにとき)」の一枚で、午前2時に手洗いへ向かう遊女を描いています。表では決して見ることのない、遊女がふと見せた素顔を描き出しています。>
 


■ 蔦重と歌麿の最期

しかし、1791年に蔦屋から出版された複数の出版物が幕府によって摘発、蔦重は財産の半分を没収されてしまいます。その後も蔦重は、幻の絵師、東洲斎写楽を売り出すなど起死回生を試みましたが、1797年に病気で亡くなりました。

東洲斎写楽「市川鰕蔵の竹村定之進」

蔦重亡き後も、歌麿は絵師として多くの美人画を描き続けましたが、1804年に禁制の画題を描いた浮世絵を出版したとして処罰され、手鎖50日の刑に処されます。それ以降、歌麿は病にかかり、2年後に失意のうちに亡くなりました。

ほぼ同じ時期に生まれ、そして同じような末路を辿って亡くなった、版元・蔦屋重三郎と絵師・喜多川歌麿ですが、この2人の活躍によって浮世絵美人画の歴史は大きく進化を遂げました。蔦重と歌麿の関係からわかるように、江戸の版元が担う役目は現在のプロデューサーのようなもので、出版を企画し、絵師を選び、その絵師と彫師・摺師たちを取りまとめて出版するまでの全工程に深くかかわっていたのです。蔦屋重三郎無くしては、美人画の大家・喜多川歌麿は生まれませんでした。蔦重と歌麿は、まさに浮世絵界における二人三脚の風雲児、そして革命児であったのです。

絵師 歌麿の画像:喜多川歌麿「高名美人見たて忠臣蔵 十一だんめ」18世紀 東京国立博物館蔵
出典:ColBase


「アダチセレクト・話題の一枚」第2弾、喜多川歌麿「蚊帳」後編は、美人画の大家・喜多川歌麿と敏腕版元・蔦屋重三郎の二人三脚についてお話しさせていただきました。版元の存在無くして、江戸における浮世絵の発展はあり得ませんでした。出版を企画し、企画にあった絵師・彫師・摺師を選び、出版までを取り仕切る。江戸の版元は、まさに現在のプロデューサー。そんな版元の視点から、歌麿の作品をご覧いただくきっかけになれば幸いです。




  ■ 関連作品
 
       
  喜多川歌麿
物思恋
  喜多川歌麿
ビードロを吹く娘
  喜多川歌麿
蚊帳の内外
 



  ■ テーマ別に楽しむ歌麿作品
 
       
  空摺が使われている作品   透かし表現(蚊帳・着物)  
           
       
  蔦屋から出版された作品   雲母(キラ)の作品  



そのほかの歌麿の浮世絵はこちら >>
品質へのこだわり

品質へのこだわり

アダチの浮世絵は、手にして初めて分かる、熟練の技術と日本の伝統が詰まっています。

製作工程

制作工程

一切機械を使うことなく一枚一枚職人の手仕事により丁寧に作られている木版画です。

厳選素材・道具

厳選素材・道具

江戸当時の風情を感じられる当時の浮世絵の再現にこだわり、厳選した素材と道具を使用。

職人紹介

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最高の作品を創り出すために、日々技術の研鑽を積む熟練の職人たち。

浮世絵の基礎知識

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