アダチセレクト 話題の一枚
喜多川歌麿「蚊帳」-Part1. 前編-


アダチセレクト・話題の一枚は、毎回一人の絵師とその作品を取り上げ、木版制作工房としての視点なども含めながら、作品とその制作背景などをご紹介していく連載企画です。

第2回目となる今回選ばれた作品は、美人画の大家、喜多川歌麿の描いた「霞織娘雛形」というシリーズの中の一点です。

「霞織」という言葉は、おそらく蔦屋か歌麿の創作した造語だと考えられています。シリーズ名の「霞織娘雛形」には、「透けているものを通して美人を眺める」という意が込められているそう。

本シリーズには この「蚊帳」のほかに、「夏衣装」と「簾」の全3図という作品が知られており、そのどれもが薄い布などの透けているものの内と外に対比して美人を置く構図をとっています。
描かれたのは、歌麿が絵師としての絶頂を迎えたと考えられている寛政6~7年ごろ。代表作である「ビードロを吹く娘」とほぼ同時期の作品です。

2人の女性の上半身が描かれた本図。1人が手前、もう1人が向こう側で、蚊帳越しに向かい合って話をしているようです。手前の女性は懐紙をもっており、手水から帰ってきたところでしょうか。蚊帳の内側の女性は鬢を紐でくくり、寝床に入る準備をしているよう。リラックスした様子から、2人は親しい間柄なのでしょう。暑い夏の夜、眠りにつく前の当時の女性たちの様子が垣間見えるようですね。
 
<懐紙を持っています>   <鬢を紐でくくっています>

「霞織娘雛形」というシリーズで歌麿は、「透かし見ることによって現れる女性の美しさ」を表現しています。布などによって遮られ、向こう側にいる人物がはっきりと見えないことによって、鑑賞者は隠された姿を想像し「もっとよく見たい」と強く欲するようになるのです。この好奇心は透けているものの向こう側にいる女性への興味を掻き立て、彼女をより魅力的に、美しく見せます。本作のタイトルとなった「蚊帳」というアイテムもまた、「隠されることで生まれる好奇心」を呼び起こすための舞台装置であり、奥にいる人物の美しさを増幅させるアイテムなのです。

<蚊帳を表現する彫と摺>

美人画の彫の中で、難易度が最も高いとされるのが、顔や髪の毛などの頭彫り。浮世絵版画は色を付けたい部分だけ残して板を彫る「凸版」ですから、この部分の緻密な彫は、一流の職人にしか成しえません。中でも「毛彫」と呼ばれる髪の生え際の部分は、江戸時代には専門の職人がいたと言われている彫師の腕の見せ所です。

そして本作「蚊帳」には、もう一つ彫師の技量が存分に発揮される表現がほどこされています。言わずもがな、本図で主題として取り上げられている「蚊帳」です。
目の粗い織物独特の、透けた質感はどうやって表現されているのでしょう。女性の手前に描かれる蚊帳の部分を拡大して見てみると、細かい縦の線と横の線があるのがわかります。実際の蚊帳と同様に、縦と横の網目を作り出すことで透けた布を表現しているのです。

立体感のある網目を作り出すため、本図の蚊帳は縦線を彫った板と横線を彫った板の2枚を用いて摺られています。実際に摺られた線を見てみると、その細さ約0.4mm。まっすぐで繊細な無数の線を、彫師は熟練の高い技術を持って寸分の狂いもなく彫り上げます。
<蚊帳の版木(縦)> <蚊帳の版木(横)>

蚊帳の細かい線の表現は、摺師にとっても腕の見せ所です。同じ板を使って線を摺るのにも、力のかけ具合で濃淡や線の太さは大きく変わります。力加減を間違えれば、絵具が溜まってしまったり、線が太くなってしまったりと、作品の印象が全く変わってしまうのです。摺師は通常一度に100枚程度の枚数を、高度な技術によってすべて同じように摺り上げています。
また、人物の手前に透け感のあるものを配置する本作の工夫は、伝統木版ならではの手法とも言うことができます。浮世絵では、水性の顔料を和紙の繊維にきめ込みながら色を重ねていきます。重要なのはこの絵具。不透明な油絵具などと違い、摺った後にも下の色が透けて見えるという特徴があるのです。浮世絵版画では、透過性のある色を実際に重ね合わせていくことによって、手前の透けているものと奥の人物という構図を作り上げることが可能なのです。




■ 個性あふれる美人たち

描かれている美人にも注目してみましょう。本来美人画は、絵師ごとに理想の外見があり、その型にはめてモデルを描く「典型美」の世界でした。そんな常識を覆したのが歌麿です。

歌麿の描く美人画は、「典型美」の時代の美人画に比べると、ふくよかで現実的な肉体を持っています。弾力を感じさせる肉体表現は、匂い立つような色気を醸し出します。
蒸し暑い夏の日、襟元に手をやり、涼をとろうとする女性。このしぐさに、何とも言えない色香を感じませんか?
 

  歌麿は、女性のうなじの美しさにクローズアップした作品も残しています。
「襟おしろい」は、鏡を見ながらおしろいを塗る女性を後ろからのぞき込むような構図で描いた作品です。まさに「典型美」の時代には見られなかった歌麿らしい艶っぽい表現ですね。




喜多川歌麿「襟おしろい


もともと遊女や芸者を題材とすることが多かった美人画というジャンル。
しかし歌麿が描いた美人は吉原の娘たちだけに留まりませんでした。彼は、美人と評判の茶屋娘から、働く女性、高級遊女までありとあらゆる世代・身分の女性たちの姿を描いています。そしてその一人一人に事細かなキャラクター設定がなされ、ちょっとした仕草や表情の中に喜怒哀楽を表わしているのも特徴です。歌麿は絵の主人公となる美人に愛すべき個性を持たせ、血の通った人間としてリアリティを持って描きました。
 
喜多川歌麿「難波屋おきた
<江戸評判の町娘を描いた「難波屋おきた」>
  喜多川歌麿「髪梳き
<髪結い職人として働く女性を描く
「婦人手業拾二工 髪梳き
(ふじんてわざじゅうにこう かみすき)」>

本作「蚊帳」で描かれている2人の美人も、理知的な雰囲気の手前の女性と、穏やかでかわいらしい蚊帳の奥の女性という風に、それぞれの魅力が描き分けられています。
 
<穏やかな表情のかわいらしい女性>   <理知的で目元涼やかな美人>



連載企画「アダチセレクト・話題の一枚」の第2弾、喜多川歌麿「蚊帳」。Part1である今回は、本作に凝縮された歌麿の魅力についてお話してきました。お楽しみいただけましたでしょうか? 次回Part2では、歌麿を世に送り出した名プロデューサー蔦屋重三郎や彼らが生み出した様々な美人の表現など、美人画の大家・歌麿誕生の背景に迫ります。どうぞお楽しみに!




  ■ 関連作品
 
       
  喜多川歌麿
襟おしろい
  喜多川歌麿
当時三美人
  喜多川歌麿
髪梳き
 



  ■ テーマ別に楽しむ歌麿作品
 
       
  空摺が使われている作品   透かし表現(蚊帳・着物)  
           
       
  蔦屋から出版された作品   雲母(キラ)の作品  



そのほかの歌麿の浮世絵はこちら >>
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■スマートフォンで江戸デザインを楽しんで

    
アダチ版復刻浮世絵によるスマートフォン用の壁紙は、季節の移ろいとともに浮世絵を身近に感じていただけるよう、陰暦の月替りに合わせて公開しています。陰暦3月の今回は、歌麿の代表作「ビードロを吹く娘」。江戸時代の人々にとって、ファッションアイコンでもあった歌麿の美人画の少女が着ているのは、桜花が散るピンクの市松模様(チェック)の着物。洗練された江戸デザインは、スマートフォンの液晶画面にも不思議なほど馴染みます。(国際版のダウンロードページはこちら) 
また、オンラインストアの企画「話題の一枚」でも、歌麿の美人画をピックアップ!(4/12公開予定)ファッショナブルな江戸美人をお楽しみください。
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スマホ用壁紙(2021年4月版)ダウンロードはこちら
※画像はアダチ版画研究所が制作した復刻版浮世絵を使用しています。
※個人で楽しむ範囲でご利用ください。商用利用、再配布禁止。


アダチ版画研究所のスマホ用浮世絵壁紙は
①あらゆるスマホの画面の縦横比に対応できる
②カレンダー型を希望する方/しない方の双方の需要に応える
という2つの課題をクリアするため「お客様のお好みで画像をトリミングしていただく」というスタイルを採用しています。
お客様にお手間をかけることにはなりますが、上記リンク先の画像を保存の上、こちらの使用例をご参照いただき、ぜひご自身のお好みに合わせてご活用ください!


  


スタッフ(iPhone12miniを使用)が実際にスマホのロック画面(左・カレンダーあり)とホーム画面(右・カレンダーなし)に設定してみたのが下の画像です。さまざまな機種に対応できるよう、今後も改善を重ねていきたいと思います。ぜひご意見・ご感想をお寄せください。

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■この壁紙に使用されている作品は?


今回、壁紙に使用した作品は、美人画の名手・喜多川歌麿の「ビードロを吹く娘」。切手の図柄になったことでも有名な作品。ほかに「ポッピンを吹く娘」「ポッペンを吹く女」とも呼ばれています。ビードロ(ポッピン、ポッペン)は、呼気で音が出るガラス製の玩具。現在では長崎のお土産品となっていますが、当時、江戸ではかなり珍しいものだったと思います。少女は、全面にピンクの市松模様をあしらった華やかな振袖を着て、このビードロを吹いています。市松模様は、当時の人気役者が用いていたことで広まった流行柄でした。可憐な一人の少女像には、流行のファッションや話題のアイテムがギュギュっと凝縮されていて、歌麿がスタイリストとしても一流のセンスを持っていたことがうかがえます。


アダチ版復刻「婦女人相十品 ビードロを吹く娘」商品ページはこちら≫


あやめにきりぎりす■次回の配布作品:北斎「あやめにきりぎりす」
次回は5月11日、北斎の花鳥画より人気作「あやめにきりぎりす」を配布予定です。海外の方にも人気のモチーフです。お楽しみに。
  


2021年4月更新!
アダチ浮世絵ギャラリーでは、アダチ版浮世絵を飾って楽しんでいるところ、贈って喜んでいただいるところ、そして、アダチ版画からの飾り方提案などをアトランダムにご紹介してまいります。
ご自身のSNSでの投稿をお知らせいただいたり、メールでお写真を送っていただければこちらでご紹介いたします。
皆さんからのお写真をお待ちしております!

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飾って楽しむアダチの浮世絵
お客様インタビュー~浮世絵のある暮らし~ 第3回(後編)


2021年1月からスタートした企画「お客様インタビュー〜浮世絵のある暮らし〜」では、お客様にアダチの浮世絵の、ご自宅での楽しみ方を伺っています。
前回に引き続き、建設会社に勤務されているMさんへインタビューをしていきます。前編では、アダチの浮世絵との出会いや影響、そして、昨年リフォームしたばかりというご自宅の、こだわりのインテリアについて伺いました。>> 前編はこちら

後編では、インテリアの一部として、浮世絵やアート作品を飾る際に心がけていることを詳しく伺います。インテリアへの造詣が深いMさんのお話には、アダチのスタッフも参考にしたいポイントがたくさん詰まっていました。
また、アロマも趣味の一つであるというMさんならではの、浮世絵の楽しみ方とは?ぜひ最後までお楽しみください。



 


今回お話をうかがった Mさん

家族4人と、愛犬1匹でお住まいのMさん。趣味はガーデニングや愛犬の散歩、インテリアショップ巡りとのことで、素敵なご自宅での暮らしがうかがえます。今後の浮世絵の楽しみ方を伺った際には、「愛犬の白黒ブチ模様と相性の良い浮世絵も欲しいです」とのこと。
 

 





■ リビングのフォーカルポイントに浮世絵を飾る

―以前からご自宅に絵を飾ってらっしゃったとのことですが、昨年のリフォーム時にも絵をかけることは想定されていたのですか?

  お部屋の奥に飾っていただいている「游亀」も、アダチ版画でご購入頂いています。  
 
Mさん: 「はい。この、3枚の浮世絵を掛けているリビングのスペースは他の壁面と違って、元々絵画を飾るために確保したスペースです。家族が集まる部屋のフォーカルポイント(※)となる部分ですので、良いものを飾りたいと考えておりました。」

※フォーカルポイント...建築やインテリア業界で使われる用語で、飾り棚や床の間など、視線が集中する場所を指します。
 

Mさんはこのスペースに、浮世絵以外にも様々なジャンルの作品を飾られているそう。ミッドセンチュリーアートや、トルコのイズニックタイル、また、キリムの織物など、季節や時期によって掛け替えをして楽しんでいるそうです。

―飾っていない作品は、どのように保管されていらっしゃるのでしょうか。
 
Mさん: 「湿気・カビに注意して、換気の良い場所に保管しております。定期的に布で埃汚れを除去しております。」
 

長く作品をお楽しみいただくために、保管も徹底されている様子がうかがえます。掛け替える作品を選ぶ際のポイントについても伺いました。

―浮世絵以外の作品も含めて、絵を購入される際のこだわりや、気を付けていることはございますか?
 
Mさん: 「内装材・家具は無垢材を使用したものが多いので、天然のウッドとの相性に特に気を付けております。あとキーワードとして、ヴィンテージ、レトロ、ノスタルジック、トラディッショナル、こちらのテイストが感じられるものを選んでいます。
また、絵を掛けるにあたっては、額縁を部屋に合わせることは大事です。」
 





■ 「額」と「余白」で洗練された雰囲気に

「額縁を部屋に合わせることが大事」というMさん。アダチ特製浮世絵専用額については、嬉しい感想をいただきました。
 
Mさん: 「アダチ版画さんの額縁は、濃い茶色でしたので我が家のインテリアにマッチしました。またダーク系ですのでキリッとしたイメージが強く、全体が引き締まった感じとなり、上品で知的な印象になったと思います。アダチ版画さんの浮世絵は、どんな空間にもマッチすると思います。」
 
  Mさんのお部屋にも掛けていただいている、アダチ特製浮世絵専用額は、和洋問わず様々なお部屋に合うと、多くのお客様にご好評いただいています。

そして、額縁以外にも、インテリアに絵を取り入れるうえで、大切にしていることがもうひとつ。
 
 
Mさん: 「特に心がけたのは、作品のディスプレイの仕方です。絵をセンスよくディスプレイするためには、飾るものを厳選することが大切だと思います。たとえ飾るスペースがたくさんあっても、あえて詰め込まず、余白を意識して配置すると、洗練された雰囲気が生まれるのではないでしょうか。」
 




■ 「香り」と「浮世絵」でおもてなし

また、Mさんは、趣味であるアロマと浮世絵の組み合わせが、ご自宅に来られた方々への「最高のおもてなし」でもあると仰います。

 
Mさん: 「私はアロマが趣味で、お香、香水、キャンドル、ポプリなど、香りに関するものを多数所有しています。中でも、白檀、伽羅、沈香など、古くから日本にある香りと、浮世絵との相性は抜群です。香炉やキャンドルなど、おもてなしの香りと組み合わせて使うと、描かれている絵のイメージと相まって、更に素敵な空間を演出できると思います。」
 

そしてなんと、現在、飾っていらっしゃる春信の「二月 水辺梅」に合わせた、おすすめの香りも教えてくださいました。
 
Mさん: 「アロマキャンドルでしたら、MAD et LENの"FIGUE(いちじく)"。作品に描かれている、うるおいに満ちた夜の空気感や少年と少女のシックでストイックな逢引のイメージにぴったりだと思います。お香でしたら、「沈香」の気品と静けさのイメージが、この作品の奥ゆかしさや優しさと重なるように思います。」
 
 
 
 
 
Mさんがおすすめくださった「MAD et LEN」の"FIGUE"
 

お話を伺い、アダチ版画の浮世絵をインテリアとして皆様にさらに楽しんでいただくために、まだまだ様々なご提案ができるのではないかと、改めて考えるきっかけをいただきました。

最後は、今後の浮世絵の楽しみ方について、展望を伺いました。




■ 和モダンスタイルのインテリアの中で、浮世絵を楽しんでいきたい

―最後に、今後どのように浮世絵を楽しんでいきたいかなどございましたら、お教えください。
 
Mさん: 「いくつかビジョンがあるのですが、まず、これまで同様に、新しいものを季節や気分によって、かけ替えて楽しんでいきたいと思います。また、和モダンスタイルが好きなので、そのテイストに合う浮世絵を見繕うのもいいですね。
 
  例えば、仙台箪笥をリビングとダイニングの境目に置いているのですが、この仙台箪笥や、藍色のエントランスラグに合う作品も探していけたらと思っています。」  
インタビュー後、春信の「二月 水辺梅」をこの仙台箪笥のところに飾ったお写真も送ってくださいました!他の陶器やクロスとの相性もよく、とてもマッチしていて素敵ですね。
 

今後もインテリアに合わせて、浮世絵を楽しんでいきたいとおっしゃってくださったMさん。このたびはインタビューにご協力いただき、本当にありがとうございました。次回のお買い物の際には、今回拝見したご自宅とわんちゃんのお写真を参考に、ぜひわんちゃんと一緒に楽しんでいただける作品をおすすめしたいと思います。
 

歌川広重「高輪うしまち
 

歌川広重「京橋竹がし
 
 
広重の「名所江戸百景」より、愛らしい子犬の姿に心和む「高輪うしまち」。そして川岸に竹材が並ぶ京橋の問屋街を描いた「京橋竹がし」。「竹」と「犬」を組み合わせると「笑」になることから、ご家族の団欒の場に、こちらもご提案したいと思います。
 




現在開催中、および4月開催のオススメ浮世絵展覧会をご紹介します!
各地で魅力的な浮世絵の展覧会が目白押しです。

 

◆ 4月のPick up!オススメ展覧会

 

神奈川県箱根町にある岡田記念美術館では、4月3日(土)から始まる「東西の日本画 ―大観・春草・松園など ―」の会期中、映画「HOKUSAI」の公開を記念し、同館所蔵の北斎作品の特別展示を行います。

 

自ら「画狂老人卍」と名乗り、江戸時代としては稀な90歳という長寿を全うした葛飾北斎。その実像に迫ろうと、5月28日(金)から映画「HOKUSAI」が封切られます。
今回の特別展示では、傑作「神奈川沖浪裏」を含む「冨嶽三十六景」3点のほか、岡田美術館が所蔵する北斎の肉筆美人画「夏の朝」と「傾城図」が展示されます。映画にも登場する北斎の良妻・コトや、歌麿の恋人である花魁・麻雪に、それぞれ重ねてご覧いただくこともでき、映画「HOKUSAI」の世界観をより感じていただける展示内容となっています。
今回の映画「HOKUSAI」の撮影には、アダチ版画研究所も全面協力させていただき、アダチの彫師と摺師も制作シーンに出演しています。撮影時に提供させていただいた版木や道具も、本展にて展示予定ですので、こちらもぜひお楽しみください。
200年以上の時を経て今に伝わる作品の魅力と私たちの心を惹きつけてやまない北斎の生き様を、この春、美術館とスクリーンでぜひご覧ください。



 
岡田美術館 (神奈川・箱根)
映画「HOKUSAI」公開記念
"画狂人"北斎 特別展示
北斎が描いた、美人の極み


※企画展「東西の日本画 ―大観・春草・松園など ―」の会期中特別展示
4月3日(土)~9月26日(日)





◆ アダチ版復刻浮世絵の取り扱いがある美術館・博物館

下記でご紹介する美術館・博物館では、常時アダチ版復刻浮世絵をお求めいただけます。(お求めいただけない商品もございますので、ご了承ください。)

太田記念美術館 (東京・原宿)
江戸の敗者たち
4月15日(木)~5月16日(日)
すみだ北斎美術館 (東京・両国)
しりあがりサン北斎サン
-クスッと笑えるSHOW TIME!-
4月20日(火) 〜 2021年6月27日(日)
信州小布施北斎館 (長野・小布施)
てくてく、ふらり、のんびり
旅する浮世絵
4月3日(土)~6月13日(日)
 

事前予約制

東京国立博物館 (東京・上野)
浮世絵と衣装―江戸
3月16日(火) ~4月11日(日)



MOA美術館 (静岡・熱海)
粋と艶-江戸のトップスターたち-
4月23日(金) ~6月8日(火)
 
静岡市東海道広重美術館
(静岡・由比)
名所江戸百景
~広重の残した最後の江戸風景~
3月30日(火)~7月4日(日)
中山道広重美術館
(岐阜・恵那)
ゆる旅おじさん図譜
リターンズ
4月1日(木)~6月13日(日)

◆ その他、オススメの浮世絵展覧会


アダチ版浮世絵販売あり!

江戸東京博物館 (東京・両国)
冨嶽三十六景への挑戦
北斎と広重
4月24日(土)〜6月20日(日)



サントリー美術館 (東京・六本木)
ミネアポリス美術館
日本絵画の名品
4月14日(水)~6月27日(日)



東広島市立美術館 (大阪・和泉)
井上涼展
版画スリスリびじゅチュ館
4月9日(金)~6月13日(日)
 
和泉市久保惣記念美術館
(大阪・和泉)
北斎
―富士山と東海道―
4月10日(土)~5月30日(日)
城西大学水田美術館
(埼玉・川角)
水田コレクション名品展
-美人画-
4月5日(月)~4月23日(金)
藤澤浮世絵館
(神奈川・藤沢)
相模を舞台にした歌舞伎と浮世絵
白浪五人男・曾我物語
3月20日(土)~5月5日(水)

飾って楽しむアダチの浮世絵
お客様インタビュー~浮世絵のある暮らし~ 第3回(前編)


2021年1月からスタートした企画「お客様インタビュー〜浮世絵のある暮らし〜」では、お客様にアダチの浮世絵の、ご自宅での楽しみ方を伺っています。

今回お話を伺った、建設会社に勤務されているMさんは、ご自宅をリフォームされたばかり。第1・2回の記事をご覧になり、アダチの復刻版浮世絵を飾った素敵なお部屋の写真を送ってくださいました。アダチの浮世絵との出会いや楽しみ方、そしてこだわりの詰まったインテリアについてたくさんお話を伺うことができました。前編・後編の二回に渡って、お届けします。



 


今回お話をうかがった Mさん

家族4人と、愛犬1匹でお住まいのMさん。趣味はガーデニングや愛犬の散歩、インテリアショップ巡りとのことで、素敵なご自宅での暮らしがうかがえます。今後の浮世絵の楽しみ方を伺った際には、「愛犬の白黒ブチ模様と相性の良い浮世絵も欲しいです」とのこと。
どんな浮世絵が合うか、アダチのスタッフも考え中です。
 

 





■ "桜"に縁を感じて、桜にまつわる絵を探していた

―最初にアダチ版画を知ったきっかけについて教えてください。
 
Mさん: 「10年前に自宅を新築したのですが、内装材として、ブラックチェリー材(北米産のサクラの木材)を採用しました。その後、庭に山桜を植えたことや自宅の住所が「桜が丘」ということから、サクラにご縁があると感じて、桜にまつわる絵を探していました。おそらくアダチ版画さんのHPだったと思いますが、「桜花に富士図」を見つけ、これだと思い、目白のショールームで現物を確認後に購入させていただいたのです。」
 


葛飾北斎「桜花に富士図
―長い間お付き合いいただいてありがとうございます。
  Mさん: 「アダチ版画さんからの年賀状は大事にとっておりまして、はがきサイズの額に入れて部屋のちょっとしたスペースに飾っております。」  

―最初に「桜花に富士図」を買われたあと、別の浮世絵を3点購入されているのですよね。
 
Mさん: 「はい、広重の「深川洲崎十万坪」、北斎の「木曽路ノ奥阿弥陀之滝」「甲州石班沢」を購入しました。3作品ともそれぞれ魅力や見どころに溢れる作品でどれも気に入っています。」
 

―お送りいただいたお写真では、さきほど挙げていただいた3作品をひとつの壁に掛けていらっしゃいますが、当初から3作品は並べて飾る予定だったのでしょうか。

 
Mさん: 「いいえ、リフォーム以前、この3作は全く別々の壁に飾ってありました。今回お送りした写真は、昨年自宅をリフォームした際に、リフォーム会社のHP掲載のために撮影したものです。同じ壁面に集めたところ、思いの他バランスよく納まったので、これはいいと思い、決定しました。」
 





■ 「甲州石班沢」で知った藍色の魅力

この3作品の中でも、特にご自身の思い入れの強い作品が、北斎の「甲州石班沢」とのこと。


葛飾北斎「甲州石班沢
 
Mさん: 「ワントーンコーディネートがもともと好きで、第一印象としては青の濃淡だけで描かれているところに惹かれました。またこの絵がきっかけで紺青、ベロ藍、広重ブルー、北斎ブルー、ジャパンブルーの藍色文化に興味を持ちました。青色(藍色)の魅力を再発見した、非常に思い入れの深い絵です。」
 

大河ドラマの影響もあり、今年益々注目の集まる「藍色」。Mさんのご自宅では、この作品をきっかけに、浮世絵以外のインテリアにも、藍を取り入れています。




■ インテリアの専門家にも好評です
 
Mさん: 「この作品をきっかけに藍色を好きになったことから、リフォーム時にはエントランスに、濃い藍色のラグを取り入れました。
 

 
また、そのラグを購入したカーペット専門店の方からは、壁に飾ってある浮世絵が素敵だということで、藍色の絨毯をご提案いただいています。
 


写真提供:MUNI CARPETS
  その絨毯は、「甲州石班沢」と同じく、藍一色の濃淡だけで表現されており、非常に美しいデザインです。」  

お部屋のインテリアとも相まって、「甲州石班沢」は、Mさんのご自宅を訪れた方からも大変評判がいいそうです。
 
Mさん: 「リフォーム会社のインテリアコーディネーターさんにも好評で、やはり青の濃淡だけで表現しているところが一番の魅力ではないかと思います。」
 

Mさんも挙げていた北斎の浮世絵に使用されている藍、「ベロ藍」(プルシアンブルー)は、江戸時代当時、海外から輸入された化学顔料。それまでの日本で使用されていた藍色とは異なる、鮮やかな青の色味は、瞬く間に世間で流行したといわれています。その高い人気から「藍摺絵」と呼ばれる、藍色の濃淡だけで表現する作品も登場し、北斎の代表作『冨嶽三十六景』にも「甲州石班沢」をはじめ、藍摺絵の作品が10図ほど存在します。
 

葛飾北斎「信州諏訪湖
 

葛飾北斎「相州七里濱
 

江戸時代の人々を熱狂させたベロ藍の美しさは、いつの時代でも人々を魅了するものなのだな、と改めて感じました。

他にも「中学生の次男が教科書で『冨嶽三十六景』を習ったことをきっかけに、図書館で浮世絵の本を借りてくるようになりました」というエピソードを教えてくださったMさん。ご自宅に浮世絵が飾ってあることも、影響を与えているのかもしれませんね。

続いて、昨年リフォームされたというご自宅についてもお話を伺います。
今回送っていただいたお写真は、お部屋の隅々までインテリアへのこだわりを感じ、アダチ版画のスタッフの間でも話題になっていました。




■ フランク・ロイド・ライトが設計したような家にあこがれて


―差し支えなければ、ご自宅の間取りをうかがえますでしょうか。
 
Mさん: 「二階建ての一軒家です。家全体はコンパクトなのですが、空間は開放的にというコンセプトを意識して作りました。また、初めから、手持ちのミッドセンチュリーデザイン家具が似合うような空間を想定していたこともあり、クラシックかつ、トラディショナルな感じを持つ素材や色使いを採用しました。新しいばかりでなく、ヴィンテージが似合うような、履き込んだジーンズのような味わいのある家といえば判りやすいでしょうか。」
 

―まさにこだわりの詰まったご自宅ですね。
 
Mさん: 「フランク・ロイド・ライトが設計する様な、ミッドセンチュリースタイル(※)の建築が好きで、映画「シングルマン」に出てくるような住宅にあこがれておりました。さすがに映画のような、立派な住宅は作れませんが、少しでも近づきたいという思いから、今回の自宅リフォームでは、ライトの建築テーマ「自然と建築との融合」を目指しています。」
 

フランク・ロイド・ライトは、20世紀に活躍した世界的な建築家。彼が手がけた建築のうち8件が世界遺産に登録されており、日本では帝国ホテルの設計を行ったことでも知られています。また現在も、ライトのデザインした照明器具にはファンが多く、Mさんもそのひとりで、ご自宅には3台の照明をお持ちとのことです。


アダチ版画のある目白にも、ライトが設計した
重要文化財「自由学園明日館」があります。

そして、ライトは浮世絵の熱心な収集家でもあり、その作風には、浮世絵が強く影響を与えていたとする説もあります。
Mさんもそのことはご存知で、そういった背景も含めて、ライトの照明と浮世絵の組み合わせを楽しまれているようでした。

次回は、浮世絵やアート作品を飾る際に心がけていること、そして、Mさんならではの浮世絵の楽しみ方について、詳しく伺います。インテリアへの造詣が深いMさんのお話には、参考にしたいポイントがたくさん詰まっていました。ぜひ後編もお楽しみに。

※ミッドセンチュリースタイル...インテリア業界では、1950年代を中心に1940~1960年代にデザインされた家具やインテリア、建築物などに使われる呼び名。ポップな色合いや、曲線を多用したデザインが特徴として挙げられます。




 
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■いつでもどこでも、浮世絵でお花見を

    
アダチ版復刻浮世絵によるスマートフォン用の壁紙は、季節の移ろいとともに浮世絵を身近に感じていただけるよう、陰暦の月替りに合わせて公開しています。陰暦2月の今回は、広重の「六十余州名所図会」より京都嵐山の桜を描いた「山城 あらし山渡月橋」を。スマートフォンの中の浮世絵で、いつでもどこでもお花見をお楽しみください。(国際版のダウンロードページはこちら
またオンラインストアでは、4月11日まで「歌と巡る桜の浮世絵」と題して、スタッフ一押しの桜を題材にした浮世絵をご紹介しています。

スマホ用浮世絵壁紙_2021年2月版
スマホ用壁紙(2021年3月版)ダウンロードはこちら
※画像はアダチ版画研究所が制作した復刻版浮世絵を使用しています。
※個人で楽しむ範囲でご利用ください。商用利用、再配布禁止。


アダチ版画研究所のスマホ用浮世絵壁紙は
①あらゆるスマホの画面の縦横比に対応できる
②カレンダー型を希望する方/しない方の双方の需要に応える
という2つの課題をクリアするため「お客様のお好みで画像をトリミングしていただく」というスタイルを採用しています。
お客様にお手間をかけることにはなりますが、上記リンク先の画像を保存の上、こちらの使用例をご参照いただき、ぜひご自身のお好みに合わせてご活用ください!


  


スタッフ(iPhone12miniを使用)が実際にスマホのロック画面(左・カレンダーあり)とホーム画面(右・カレンダーなし)に設定してみたのが下の画像です。さまざまな機種に対応できるよう、今後も改善を重ねていきたいと思います。ぜひご意見・ご感想をお寄せください。

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■この壁紙に使用されている作品は?


今回、壁紙に使用した作品は歌川広重の「六十余州名所図会 山城 あらし山渡月橋」。「六十余州名所図会」は、全国各地の景勝地に取材した70図の揃い物です。本作では、古来より和歌に詠まれてきた京都洛北にある嵐山の春の情景を描いています。
山中に咲き誇る薄紅色の桜には春霞が掛かり、大堰川(おおいがわ)には材木を運ぶ筏が悠々と行き交います。大堰川に掛かるのは、鎌倉の昔、亀山上皇が「くまなき月の渡るに似たり」と称えた渡月橋。画面中ほどに流れ落ちるのは、戸無瀬滝(となせのたき)です。嵐山の見所を余すことなく画面に収めており、ちょっと贅沢な旅の気分が味わえる作品です。



アダチ版復刻「六十余州名所図会 山城 あらし山渡月橋」商品ページはこちら≫


ビードロを吹く娘■次回の配布作品:歌麿「婦女人相十品 ビードロを吹く娘」
次回は4月10日、歌麿の美人画「ビードロを吹く娘」を配布予定です。当時の流行のファッションに身を包んだ可憐な少女の浮世絵、ぜひお楽しみに。
  

現在開催中、および3月開催のオススメ浮世絵展覧会をご紹介します!
各地で魅力的な浮世絵の展覧会が目白押しです。

 

◆ 3月のPick up!オススメ展覧会

 

東京・日本橋にある三井記念美術館では、特別展「小村雪岱スタイル―江戸の粋から東京モダンへ」が行われています。

 

大正~昭和初期に、装幀や挿絵、舞台美術などで活躍した小村雪岱。「雪岱(せったい)」の名付け親でもある、泉鏡花の本の装幀をきっかけに、その名が広く知られるようになりました。本展には、こうした装幀本を始め、雪岱の肉筆画や版画が多数出展されています。
そのほか、その作風のルーツとも言える浮世絵師・鈴木春信の作品や、雪岱作品にインスパイアされた、現代作家による工芸品などもあわせて展示。近年再注目される小村雪岱の、源流からその後の影響までを通覧できます。
また、本展覧会のメインビジュアルに使用されている「青柳」をはじめ、主に戦中にアダチ版画が制作した木版画も、本展にて多数ご覧いただけます。アダチ版画とも深い関わりのある雪岱の作品を、ぜひ会場でお楽しみください。



 
日時指定制
三井記念美術館 (東京・日本橋)
小村雪岱スタイル
―江戸の粋から東京モダンへ
2月6日(土)〜4月18日(日)



◆ アダチ版復刻浮世絵の取り扱いがある美術館・博物館

下記でご紹介する美術館・博物館では、常時アダチ版復刻浮世絵をお求めいただけます。(お求めいただけない商品もございますので、ご了承ください。)


時間短縮営業

太田記念美術館 (東京・原宿)
笠松紫浪 ―最後の新版画
2月2日(火)~3月28日(日)



すみだ北斎美術館 (東京・両国)
筆魂 線の引力・色の魔力
2月9日(火)~4月4日(日)



中山道広重美術館 (岐阜・恵那)
双筆五十三次-新規収蔵品お披露目-
2月27日(土)~3月28日(日)
 

事前予約制

東京国立博物館 (東京・上野)
日本美術の流れ
浮世絵と衣装―江戸
2月23日(火)~3月14日(日)

時間短縮営業

静岡市東海道広重美術館 (静岡・由比)
江戸のデザイン帖
~雛形本と浮世絵に見る意匠の美~
1月19日(火)~3月28日(日)



信州小布施北斎館 (長野・小布施)
斬新!
北斎Colors
1月23日(土)~3月28日(日)

◆ その他、オススメの浮世絵展覧会

東京都美術館 (東京・上野)
没後70年 吉田博展
1月26日(火)~3月28日(日)
川崎浮世絵ギャラリー (神奈川・川崎)
黄金期の浮世絵師たち
2月6日(土)~4月4日(日)
奈良県立美術館 (奈良・奈良)
広重の名所江戸百景
1月16日(土)~3月14日(日)
 
千代田区立日比谷図書文化館
(東京・日比谷)
複製芸術家 小村雪岱
~装幀と挿絵に見る二つの精華~
1月22日(金)~3月23日(火)
島根県立美術館
(島根・松江)
島根県立美術館の浮世絵
-北斎・広重を中心に-
2月10日(水) ~3月15日(月)
山口県立萩美術館・浦上記念館
(山口・萩)
雪月花
ー花ー
3月16日(火)~4月18日(日)
 
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■陰暦では2月12日が新年の始まり

    
アダチ版復刻浮世絵によるスマートフォン用の壁紙は、季節の移ろいとともに浮世絵を身近に感じていただけるよう、陰暦の月替りに合わせて公開しています。2021年2月12日は陰暦の元日にあたります。新年最初の壁紙は、歌川広重の「亀戸梅屋舗」です。赤い背景に可憐な白梅の花の色合わせがめでたく、新年にぴったりの作品です。また、もうすぐ梅の便りも届く頃、スマホで一足先に梅見もお楽しみいただけます!(国際版のダウンロードページはこちら

スマホ用浮世絵壁紙_2021年2月版
スマホ用壁紙(2021年2月版)ダウンロードはこちら
※画像はアダチ版画研究所が制作した復刻版浮世絵を使用しています。
※個人で楽しむ範囲でご利用ください。商用利用、再配布禁止。



■次回の配布作品:広重「六十余州名所図会 山城 あらし山渡月橋」

次回は、3月13日に公開予定。桜の便りが待ち焦がれる頃ですね。広重の「山城 あらし山渡月橋」で一足先に、桜満開の京都嵐山をお楽しみいただける予定です。ご期待ください!




 



あらし山渡月橋



アダチ版画研究所のスマホ用浮世絵壁紙は
①あらゆるスマホの画面の縦横比に対応できる
②カレンダー型を希望する方/しない方の双方の需要に応える
という2つの課題をクリアするため「お客様のお好みで画像をトリミングしていただく」というスタイルを採用しています。
お客様にお手間をかけることにはなりますが、上記リンク先の画像を保存の上、こちらの使用例をご参照いただき、ぜひご自身のお好みに合わせてご活用ください!


  


スタッフ(iPhone12miniを使用)が実際にスマホのロック画面(左・カレンダーあり)とホーム画面(右・カレンダーなし)に設定してみたのが下の画像です。さまざまな機種に対応できるよう、今後も改善を重ねていきたいと思います。ぜひご意見・ご感想をお寄せください。

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■この壁紙に使用されている作品は?


今回、壁紙に使用した作品は、歌川広重が最晩年に描いたシリーズ「名所江戸百景」より、「亀戸梅屋舗」です。ポスト印象派の画家、ヴァン・ゴッホが模写したことでも有名。画面中央に梅の木を配した大胆な画面構成、天地の赤と緑の配色など、老年になっても新しい表現に挑戦し続けた広重の姿がうかがえます。なお「亀戸梅屋舗」とは、現在の江東区亀戸三丁目にあった梅園「清香庵」のこと。臥龍梅という奇木があったことで知られていました。


アダチ版復刻「亀戸梅屋舗」商品ページはこちら≫
  

アダチセレクト 話題の一枚
鈴木春信「二月 水辺梅」-Part2. 制作編-


2021年1月より新連載のアダチセレクト・話題の一枚。毎回一人の絵師とその作品を取り上げ、木版制作工房としての視点なども含めながら、作品とその制作背景などをご紹介していく特別企画です。

第1回目の作品は、錦絵の祖、鈴木春信の傑作「二月 水辺梅」。前回の-Part1.作品編ーでは、夢のように可憐で儚い春信ワールドの代表作である本作の作品そのものについて取り上げましたが、-Part 2.制作編-の今回は、その春信の夢の世界を生み出す制作技術や材料などに焦点を当ててお話ししていきます。




鈴木春信「二月 水辺梅




■ 墨摺り絵から錦絵へ -モノクロからフルカラーへー

「錦絵の祖」と呼ばれる鈴木春信。その春信が完成させた美しいフルカラーの浮世絵「錦絵」は、一枚の紙に必要な色の数だけ版を摺り重ねていくことで生まれます。この一見何でもないように見える複数の色をずれないように大量に摺ることは、実は大変難しく、なかなか超えることのできない課題でした。

初期の一枚絵の浮世絵は、「版本(はんぽん:版木に彫って印刷された書物のこと)」と同じく墨一色でした。そして、そこに手彩色で数色の色を入れた浮世絵が作られるようになり、更にその後、現在の「見当(けんとう)」の原型のようなものが開発され、墨の線に二色から三色ほどの色を(通常、赤と緑)版で入れる多色摺が試みられるようになり、少しずつ浮世絵のカラー化が進んでいきました。
 
墨摺絵
懐月堂安知
菊模様着立美人
丹絵
鳥居清倍
竹抜き五郎
紅摺絵
石川豊信
中村喜代三郎 文読美人
 
しかし明和2年(1765)、鈴木春信によって完全な「見当」が完成されてからは、モノクロの時代から一気にフルカラーの時代へと飛躍します。前回お話した趣味人たちの「絵暦」ブームの需要を受けて春信が完成させたこの「見当」によって、浮世絵の黄金時代が幕開けしたのです。
>> 「絵暦」ブームについてお話ししたPart1.はこちら



■ 江戸庶民にカラー印刷をもたらした世紀の大発明 "見当"

物事におおよそのあたりをつけることを「見当をつける」と言いますが、この見当は鈴木春信が完成させた「見当」が語源。

伝統木版画では、カギ型見当と引き付け見当の二つの見当を使い、いつも同じ場所に和紙をセットします。カギ型見当は版木の右下の角に、引き付け見当は版木の左下角から右へ1/3ほどのところにあり、どちらも紙一枚程度に彫られた溝のようなものです。

<紙の位置を決めるカギ型見当(右下)と
引き付け見当(左下)>
<紙一枚分の溝が彫ってあります>

摺師は摺りのたびに、まずカギ型をした右下の角の見当に紙をセットし、直線の溝である引き付け見当に合わせるようにして紙を版木に載せていきます。


摺師としての修業の最初の難関は、「見当を合わせる(見当にいつでも同じように紙を置ける)」 こと。一見、簡単に見える作業ですが、実は長い修業によって習得しなければならない摺師の技術です。

春信が明和2年(1765)に完成させた「見当」は、200年以上の時を超えた今もなお我々の仕事にそのままの形で使われています。ちなみに1770年頃に一般庶民がカラー印刷を楽しんでいたのは、世界でも日本だけ!これも春信の大発明のおかげと言えます。



■ 贅を凝らした春信の作品を生み出す紙 "奉書"


春信は、裕福な趣味人たちの要望によって多色摺を完成させ、次々と手の込んだ作品を生み出しました。それらは色の数も多く、一枚の作品を作るために摺る回数も格段に増えました。

すると、それまで主に使用されていた薄い和紙では度重なる摺には耐えられず破れてしまうようになり、春信の頃から厚みのある「奉書(ほうしょ)」という和紙が使われるようになりました。ふっくらとした厚みを持つこの和紙は、春信が好んで使った特殊な摺による効果も十分に発揮させることができました。
 

 
現在、アダチ版画の浮世絵は、初期など特殊なものを除いて、楮(こうぞ)だけで作られた手漉きの奉書を使っています。楮の長い繊維が柔らかく絡み合ってできたこの紙は、最高の発色を実現するだけでなく、春信のような技巧を凝らした作品を存分に引き立てることができます。



■ 漆黒の闇を作り出すための特別な墨と摺師の技


春信は夜のシーンを多く描きました。本作「二月 水辺梅」も夜が舞台です。月さえもない暗闇を表現するのに、背景を真黒に塗りつぶした春信。実は、このマットな黒の発色は、膠分を除いた特別な墨でしか出せないものです。
 

    

通常、墨は膠と混ぜて固められていますが、アダチ版画ではその墨を水を張った甕に浸し、時々上澄み液を取り替えながら、膠分をゆっくりと除いていきます。こうして甕の底に沈殿した膠分の抜けた墨をすり鉢ですることで、粒子の細かい艶やかで照りのある墨に仕上げていきます。



摺師は、この墨を楮の長い繊維が絡み合ってできた紙の繊維の中にしっかりと摺りこんでいきます。黒のつぶしを均一に摺り上げることは難しく、高い摺の技術が必要とされます。春信の「二月 水辺梅」やその他の作品に見られる背景のマットな黒のつぶしは、和紙と墨と言う日本伝統の素材と摺師の高い技術が結集して生まれたものなのです。



<春信「二月 水辺梅」が北斎「神奈川沖浪裏」に比べて小さい理由 ー浮世絵の紙の大きさのお話ー>

浮世絵の紙の大きさは、時代によって異なります。浮世絵は商業印刷だったことからそのサイズにも規格があり、紙の大きさは漉かれた全判の紙を何等分するかで決められました。全判の大きさは、通常、紙漉きの桁(けた:水に浮いた紙の原料をすくいあげる木枠のようなもの)のサイズによるもので、和紙にはおおむね五種類のサイズがあったとされます。

本作品「二月 水辺梅」を含め、春信の時代に主に使われたのは「中判(ちゅうばん)」というサイズ。これは、大広奉書(おおびろぼうしょ)という縦1尺4寸×横1尺9寸の紙を四等分したサイズです。

ちなみに春信より後の北斎や広重の時代は、一回り小さいサイズの大奉書(おおぼうしょ)という縦1尺3寸×横1尺8寸の紙を二等分した「大判」サイズが主流となります。お馴染みの「富嶽三十六景」や「東海道五十三次」は、このサイズに当たります。
 
※北斎の作品にも「中判」と呼ばれるものがありますが(「鷽に枝垂桜」など)、この中判は大奉書を四等分したサイズなので、同じ「中判」と呼ばれていても、元の紙が一回り大きな春信の「中判」よりも少し小さくなります。
 
春信「二月 水辺梅」   北斎「鷽に垂桜」
浮世絵の紙のサイズが春信の時代とそれ以降に変わっていった背景には、おそらく出版事情や作り手の意図などがあったと思われますが、あくまでも推測の域を出ません。春信が見当を完成させたことで、複雑な多色摺が可能になり、用紙には厚めの奉書が使われるようになりましたが、その大きさは時代やジャンルによっても様々でした。

しかしながら、どの時代にも共通しているのは「無駄を出さずに効率良く」ということ。それは、あくまでも商業印刷であった浮世絵が、いつの時代も徹底した時間とコストの管理下にあったためです。絵画として成立つ最小の極限を求め続けて出来上がったのが浮世絵、まさに「制約の美」の極みと言えるのです。





新連載「アダチセレクト・話題の一枚」第1回目、鈴木春信の「二月 水辺梅」-Part2. 作品編-はいかがでしたでしょうか?
浮世絵の歴史を語る際に欠かすことのできない人物、鈴木春信。今回は、制作の観点から「二月 水辺梅」だけではなく、春信と言う浮世絵師の功績とその立ち位置、また浮世絵をとりまく材料のお話しもさせていただきました。見当の完成だけではなく、その独特の画風から多くの浮世絵師に多大なる影響を与えた浮世絵師・鈴木春信。その傑作の一つ「二月 水辺梅」を通して、鈴木春信という絵師を知っていただく機会になれば幸いです。


この作品以外の春信の作品もアダチ版画でご紹介しておりますので、是非ご覧ください。


  ■ 関連作品
 
       
  鈴木春信
梅折る美人
  鈴木春信
夜の梅
  鈴木春信
雪中相合傘
 



そのほかの<梅>の浮世絵・木版画はこちら >>
品質へのこだわり

品質へのこだわり

アダチの浮世絵は、手にして初めて分かる、熟練の技術と日本の伝統が詰まっています。

製作工程

制作工程

一切機械を使うことなく一枚一枚職人の手仕事により丁寧に作られている木版画です。

厳選素材・道具

厳選素材・道具

江戸当時の風情を感じられる当時の浮世絵の再現にこだわり、厳選した素材と道具を使用。

職人紹介

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最高の作品を創り出すために、日々技術の研鑽を積む熟練の職人たち。

浮世絵の基礎知識

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意外と知らない?浮世絵の世界。浮世絵の基礎知識をご紹介。