現在開催中、および5月開催のオススメ浮世絵展覧会をご紹介します!
各地で魅力的な浮世絵の展覧会が目白押しです。

なお、新型コロナウイルスによる緊急事態宣言に伴い、休館されている美術館・博物館もございますので、お出かけ前に必ず公式HPをご確認ください。

 

◆ 5月のPick up!オススメ展覧会

 

東京・両国にある江戸東京博物館では、「冨嶽三十六景への挑戦 北斎と広重」が開催されています。

 

これまでにも"北斎と広重"をテーマとした展覧会は開催されてきましたが、本展ではより踏み込んだ解釈により、北斎の表現へのあくなき探求、そして広重が人気絵師として飛躍するまでの挑戦を、ストーリー展開で浮き彫りにしています。『冨獄三十六景』に至るまでの北斎作品や『冨嶽三十六景』全46図の一挙展示は大きな見どころのひとつ。そして、北斎に影響されたとみられる広重の風景画や富士を描いた名作も多数展示されています。日本でも有数の"江戸博コレクション"を通して、北斎と広重の挑戦の軌跡をお楽しみください。
また会場出口付近では、アダチ版復刻浮世絵もお買い求めいただけます。

なお、本展をオンラインでもお楽しみいただける、バーチャルツアーも公開されています。ぜひご覧ください!
>>特別展「冨嶽三十六景への挑戦 北斎と広重」バーチャルツアー



 
江戸東京博物館 (東京・両国)
冨嶽三十六景への挑戦
北斎と広重
5月11日まで臨時休館
4月24日(土)~6月20日(日)



◆ アダチ版復刻浮世絵の取り扱いがある美術館・博物館

下記でご紹介する美術館・博物館では、常時アダチ版復刻浮世絵をお求めいただけます。(お求めいただけない商品もございますので、ご了承ください。)


緊急事態宣言解除まで臨時休館

太田記念美術館 (東京・原宿)
江戸の敗者たち
4月15日(木)~5月16日(日)

5月11日まで臨時休館

すみだ北斎美術館 (東京・両国)
しりあがりサン北斎サン
-クスッと笑えるSHOW TIME!-
4月20日(火) 〜 6月27日(日)



中山道広重美術館 (岐阜・恵那)
ゆる旅おじさん図譜リターンズ
4月1日(木)~6月13日(日)
 

当面の間臨時休館

東京国立博物館 (東京・上野)
浮世絵と衣装―江戸
4月13日(火)~5月9日(日)



MOA美術館 (静岡・熱海)
粋と艶
-江戸のトップスターたち-
4月23日(金)~6月8日(火)
 
信州小布施北斎館 (長野・小布施)
てくてく、ふらり、のんびり
旅する浮世絵
4月3日(土)~6月13日(日)
静岡市東海道広重美術館 (静岡・由比)
名所江戸百景
~広重の残した最後の江戸風景~
3月30日(火)~7月4日(日)

◆ その他、オススメの浮世絵展覧会


5月11日まで臨時休館

サントリー美術館 (東京・六本木)
ミネアポリス美術館
日本絵画の名品
4月14日(水)~6月27日(日)

事前予約制

神奈川県立歴史博物館 (神奈川・馬車道)
錦絵にみる明治時代
-丹波コレクションが語る近代ニッポンー
4月29日(木・祝)~6月20日(日)

5月11日まで臨時休館

八王子市夢美術館 (東京・八王子)
世界が絶賛した浮世絵師
北斎展
4月9日(金)〜 6月6日(日)
 
かわら美術館 (愛知・高浜)
浮世絵と日本画
~広重の視点・日本の美~
4月3日(土)~5月30日(日)
島根県立美術館 (島根・松江)
島根県立美術館の浮世絵
-北斎・広重を中心に-
4月14日(水)~5月24日(月)
郡山市立美術館 (福島・郡山)
挑む浮世絵
国芳から芳年へ
4月24日(土)~6月6日(日)

アダチセレクト 話題の一枚
喜多川歌麿「蚊帳」-Part2. 後編-


アダチセレクト・話題の一枚、第2回目は喜多川歌麿の傑作「蚊帳」を取り上げています。前編では、歌麿の描く美人画の魅力、そして「蚊帳(かや)」というアイテムに込められた思いなどについてお話ししました。

今回お届けする後編では、美人画の大家・喜多川歌麿とその生みの親である版元・蔦屋重三郎(つたやじゅうざぶろう)の2人が江戸浮世絵界にもたらした美人画革命に焦点を当ててお話ししたいと思います。




喜多川歌麿「蚊帳




■ 版元&敏腕プロデューサー・蔦屋重三郎

今回ご紹介する歌麿の傑作「蚊帳」は、版元・蔦屋重三郎(蔦重)の元から出版された作品です。歌麿の作品の多くはこの蔦屋から出版されており、その中には歌麿の代表作とされるものが多く残されています。

版元・蔦屋重三郎とは、どんな人物だったのでしょうか?
蔦屋重三郎は、歌麿より3年ほど前の1750年に吉原に生まれたと言われています。1774年から、「吉原細見(よしわらさいけん)」という吉原のガイドブックのようなものの出版・販売に関わるようになってから、新しいビジネススタイルで江戸の出版界に頭角を表していきました。蔦重の仕事は単なる出版・販売にとどまらず、「吉原細見」を読み手目線に大胆にリニューアルしたり、出版物の序文を人気作家に書かせたり、出版の枠を超え、まるで現在のプロデューサー業のよう。そうして出版界に新風を巻き起こした蔦重は、次々とヒット作を飛ばし、1783年には吉原の店だけでなく、日本橋にも出店し、出版界でも一目置かれる存在となっていきました。



■ 美人画の大家・喜多川歌麿 誕生
そんな蔦重が次代の絵師として目を付けたのが、喜多川歌麿(1753年? - 1806年)でした。
歌麿の名が人々に知られるようになったのは、1788年頃から蔦屋が出版した、当時流行していた狂歌に、花鳥画を合わせた狂歌絵本「画本虫撰(えほんむしえらみ)」、「汐干のつと(しおひのつと)」、「百千鳥(ももちどり)」の挿絵でした。それらは、対象物を写実的に緻密に描いたもので、現在知られている"美人画の歌麿"とは全く違う、けれども歌麿の実力を見せつけるには十分な作品でした。
喜多川歌麿 百千鳥「鷹に百舌」



■ 女性の上半身にフォーカスした「大首絵」を考案

この蔦屋から出版された狂歌本の挿絵で成功を収めた歌麿は、その後、蔦重と組んで次々と新しい美人画を発表していきました。その中でも江戸で大きな話題となったのが、「大首絵(おおくびえ)」と呼ばれる、人物の上半身にフォーカスして描いた浮世絵です。元々、役者絵に使われた表現方法でしたが、歌麿と蔦重はそれを美人画に応用したのです。上半身にフォーカスすることで、これまでよりも大きく描けるようになった女性の顔。歌麿は、そこに女性一人一人の内面や性格などを描き出していきました。それまでは絵師の好みで描かれてきた女性像が、歌麿によって実在する女性となったのです。

       
  喜多川歌麿
物思恋

<シリーズ「歌撰恋之部(かせんこいのぶ)」の一枚で、頬杖をつき物思いに耽る女性を描いています。>
  喜多川歌麿
川岸(かし)

<シリーズ「北国五色墨(ほっこくごしきずみ)」の一枚で、気の強そうな下層遊女を描いています。>
  喜多川歌麿
難波屋おきた

<シリーズ「高名美人六歌撰(こうめいびじんろっかせん)」の一枚で、おもてなし精神に溢れた水茶屋・難波屋の看板娘おきたを描いています。>
 

また、大きく描かれた女性の顔や髪の生え際などをより細かく表現するために、彫師もこれまで以上に精度の高い彫の仕事が求められるようになり、木版の技術も大いに進歩していきました。  
↑クリックで拡大




■ 寛政の改革の元で生み出したヒット作の数々

しかし、時は寛政。質素倹約に重きを置いた改革が始まり、娯楽を含む風紀の取締まりが厳しくなっていく中、出版業界にも様々な規制が課されました。しかし、どんな時にも蔦重と歌麿コンビが目指していたのは、女性をより美しく見せること。その思いによって、二人は幕府の規制に対抗するように、次々と新しい美人画の可能性を切り開いていきました。

↑クリックで拡大   その一つが、(雲母)キラの背景を施した美人画です。浮世絵を簡素化しなければいけないという幕府のお達しに対して、2人が考え出したのは、背景に何も描かない代わりに、雲母の粉を引いてきらきら光らせた背景でした。


       
  喜多川歌麿
娘道成寺

<シリーズ「当世踊子揃(とうせいおどりこぞろい)」の一枚で、娘道成寺を踊る若く美しい娘を描いています。>
  喜多川歌麿
高島屋おひさ

<寛政三美人にも数えられた、水茶屋・高島屋の看板娘を女房姿で描いています。>
  喜多川歌麿
ビードロを吹く娘

<シリーズ「婦女人相十品(ふじょにんそうじっぽん)」の一枚で、流行の市松模様の振袖に身を包んだ若々しい少女が描かれています。>
 


この背景にキラ引き(きらびき)が施された歌麿の美人画は、江戸の大ヒット商品となりました。
キラの背景以外にも、今回取り上げている「蚊帳」に見られるような、透かしたものを通して女性の美しさを引き出したり、空摺などによって女性の肌の柔らかさを表現したり、制約の中での試行錯誤から様々な表現方法を生み出していきました。


↓それぞれクリックで拡大
   
<背景以外の人物の部分が隠れるように渋皮の型紙をあて、雲母(きら)を刷毛で引いていく「キラ引き」の様子>
  <蚊帳越しに眺める美人>   <空摺で表現された
柔らかな輪郭線>


そして、それらの表現方法を用いて、実在する様々な女性の真の姿を描こうとしました。吉原の遊女の一日を2時間毎に描いた12枚のシリーズ「青楼十二時(せいろうじゅうにとき)」は、華やかな吉原の表の顔だけではなく、遊女たちがふと見せる素顔を描き出しているとして評価の高い作品ですが、これは吉原に馴染みの深い蔦重と共に活躍する歌麿だからこそ描くことのできたシリーズと言えます。

       
  喜多川歌麿
蚊帳の内外

<蚊帳を挟んで向かい合う若い男女を瑞々しく描いています。2枚の版木を使って、蚊帳の縦横の織を表現しています。>
  喜多川歌麿
未ノ刻

<シリーズ「娘日時計(むすめひどけい)」の一枚で、午後2時の町屋の娘の姿を描いています。顔の輪郭線は絵具を使わずに摺られています。(無線摺)>
  喜多川歌麿
丑ノ刻

<シリーズ「青楼十二時(せいろうじゅうにとき)」の一枚で、午前2時に手洗いへ向かう遊女を描いています。表では決して見ることのない、遊女がふと見せた素顔を描き出しています。>
 


■ 蔦重と歌麿の最期

しかし、1791年に蔦屋から出版された複数の出版物が幕府によって摘発、蔦重は財産の半分を没収されてしまいます。その後も蔦重は、幻の絵師、東洲斎写楽を売り出すなど起死回生を試みましたが、1797年に病気で亡くなりました。

東洲斎写楽「市川鰕蔵の竹村定之進」

蔦重亡き後も、歌麿は絵師として多くの美人画を描き続けましたが、1804年に禁制の画題を描いた浮世絵を出版したとして処罰され、手鎖50日の刑に処されます。それ以降、歌麿は病にかかり、2年後に失意のうちに亡くなりました。

ほぼ同じ時期に生まれ、そして同じような末路を辿って亡くなった、版元・蔦屋重三郎と絵師・喜多川歌麿ですが、この2人の活躍によって浮世絵美人画の歴史は大きく進化を遂げました。蔦重と歌麿の関係からわかるように、江戸の版元が担う役目は現在のプロデューサーのようなもので、出版を企画し、絵師を選び、その絵師と彫師・摺師たちを取りまとめて出版するまでの全工程に深くかかわっていたのです。蔦屋重三郎無くしては、美人画の大家・喜多川歌麿は生まれませんでした。蔦重と歌麿は、まさに浮世絵界における二人三脚の風雲児、そして革命児であったのです。

絵師 歌麿の画像:喜多川歌麿「高名美人見たて忠臣蔵 十一だんめ」18世紀 東京国立博物館蔵
出典:ColBase


「アダチセレクト・話題の一枚」第2弾、喜多川歌麿「蚊帳」後編は、美人画の大家・喜多川歌麿と敏腕版元・蔦屋重三郎の二人三脚についてお話しさせていただきました。版元の存在無くして、江戸における浮世絵の発展はあり得ませんでした。出版を企画し、企画にあった絵師・彫師・摺師を選び、出版までを取り仕切る。江戸の版元は、まさに現在のプロデューサー。そんな版元の視点から、歌麿の作品をご覧いただくきっかけになれば幸いです。




  ■ 関連作品
 
       
  喜多川歌麿
物思恋
  喜多川歌麿
ビードロを吹く娘
  喜多川歌麿
蚊帳の内外
 



  ■ テーマ別に楽しむ歌麿作品
 
       
  空摺が使われている作品   透かし表現(蚊帳・着物)  
           
       
  蔦屋から出版された作品   雲母(キラ)の作品  



そのほかの歌麿の浮世絵はこちら >>

アダチセレクト 話題の一枚
喜多川歌麿「蚊帳」-Part1. 前編-


アダチセレクト・話題の一枚は、毎回一人の絵師とその作品を取り上げ、木版制作工房としての視点なども含めながら、作品とその制作背景などをご紹介していく連載企画です。

第2回目となる今回選ばれた作品は、美人画の大家、喜多川歌麿の描いた「霞織娘雛形 蚊帳(かすみおりむすめひながた かや)」。蚊帳は部屋に虫が入ってくるのを防ぐために取り付ける網のようなもので、まだ網戸のなかったこの時代には夏の夜の風物詩的な存在でした。

蚊帳をはさんで向かい合う2人の美人を描いた、歌麿の魅力の集大成ともいえるこの作品を通して、数々の美人画の傑作を残した喜多川歌麿という絵師、そして彼の描いた作品の魅力をご紹介してまいります。

前後編でお届けする話題の一枚「蚊帳」。前編では、歌麿が本作「蚊帳」で描こうとしたものと本作の魅力について、制作の視点を交えながら迫ります。




喜多川歌麿「蚊帳




■ 美人画の大家・喜多川歌麿

喜多川歌麿(きたがわうたまろ・1753?-1806)は、江戸時代の浮世絵師。幼少より鳥山石燕に絵を学び、「浮世絵黄金期」と呼ばれる18世紀後期ごろ、表情豊かな美人画で人気を博しました。

歌麿は様々な技法を取り入れ、美人をより魅力的に表現しようと努めました。それまで役者絵に用いられてきた大首絵(バストアップ)の形式を美人画に取り入れたのも歌麿。これによって、一人一人の顔貌や表情の違いを描き分けようと試みたのです。


喜多川歌麿「当時三美人
<3人の顔貌が描き分けられています>
 



■ "透けているもの"を通して眺める美人

↑クリックで拡大   今回ご紹介する歌麿の傑作「蚊帳」は、版元・蔦屋重三郎の元から出版された「霞織娘雛形」というシリーズの中の一点です。

「霞織」という言葉は、おそらく蔦屋か歌麿の創作した造語だと考えられています。シリーズ名の「霞織娘雛形」には、「透けているものを通して美人を眺める」という意が込められているそう。

本シリーズには この「蚊帳」のほかに、「夏衣装」と「簾」の全3図という作品が知られており、そのどれもが薄い布などの透けているものの内と外に対比して美人を置く構図をとっています。
描かれたのは、歌麿が絵師としての絶頂を迎えたと考えられている寛政6~7年ごろ。代表作である「ビードロを吹く娘」とほぼ同時期の作品です。

2人の女性の上半身が描かれた本図。1人が手前、もう1人が向こう側で、蚊帳越しに向かい合って話をしているようです。手前の女性は懐紙をもっており、手水から帰ってきたところでしょうか。蚊帳の内側の女性は鬢を紐でくくり、寝床に入る準備をしているよう。リラックスした様子から、2人は親しい間柄なのでしょう。暑い夏の夜、眠りにつく前の当時の女性たちの様子が垣間見えるようですね。
↑クリックで拡大   ↑クリックで拡大
<懐紙を持っています>   <鬢を紐でくくっています>

「霞織娘雛形」というシリーズで歌麿は、「透かし見ることによって現れる女性の美しさ」を表現しています。布などによって遮られ、向こう側にいる人物がはっきりと見えないことによって、鑑賞者は隠された姿を想像し「もっとよく見たい」と強く欲するようになるのです。この好奇心は透けているものの向こう側にいる女性への興味を掻き立て、彼女をより魅力的に、美しく見せます。本作のタイトルとなった「蚊帳」というアイテムもまた、「隠されることで生まれる好奇心」を呼び起こすための舞台装置であり、奥にいる人物の美しさを増幅させるアイテムなのです。

<蚊帳を表現する彫と摺>
↑クリックで拡大
美人画の彫の中で、難易度が最も高いとされるのが、顔や髪の毛などの頭彫り。浮世絵版画は色を付けたい部分だけ残して板を彫る「凸版」ですから、この部分の緻密な彫は、一流の職人にしか成しえません。中でも「毛彫」と呼ばれる髪の生え際の部分は、江戸時代には専門の職人がいたと言われている彫師の腕の見せ所です。

そして本作「蚊帳」には、もう一つ彫師の技量が存分に発揮される表現がほどこされています。言わずもがな、本図で主題として取り上げられている「蚊帳」です。
目の粗い織物独特の、透けた質感はどうやって表現されているのでしょう。女性の手前に描かれる蚊帳の部分を拡大して見てみると、細かい縦の線と横の線があるのがわかります。実際の蚊帳と同様に、縦と横の網目を作り出すことで透けた布を表現しているのです。 ↑クリックで拡大

立体感のある網目を作り出すため、本図の蚊帳は縦線を彫った板と横線を彫った板の2枚を用いて摺られています。実際に摺られた線を見てみると、その細さ約0.4mm。まっすぐで繊細な無数の線を、彫師は熟練の高い技術を持って寸分の狂いもなく彫り上げます。

本作品の中でも一番長い縦線(画面の最上部から最下部まで)を彫りあげる高度な彫師の技術をご覧ください。


彫師:岸千倉

↑クリックで拡大 ↑クリックで拡大
<蚊帳の版木(縦)> <蚊帳の版木(横)>

蚊帳の細かい線の表現は、摺師にとっても腕の見せ所です。同じ板を使って線を摺るのにも、力のかけ具合で濃淡や線の太さは大きく変わります。力加減を間違えれば、絵具が溜まってしまったり、線が太くなってしまったりと、作品の印象が全く変わってしまうのです。摺師は通常一度に100枚程度の枚数を、高度な技術によってすべて同じように摺り上げています。
↑クリックで拡大 また、人物の手前に透け感のあるものを配置する本作の工夫は、伝統木版ならではの手法とも言うことができます。浮世絵では、水性の顔料を和紙の繊維にきめ込みながら色を重ねていきます。重要なのはこの絵具。不透明な油絵具などと違い、摺った後にも下の色が透けて見えるという特徴があるのです。浮世絵版画では、透過性のある色を実際に重ね合わせていくことによって、手前の透けているものと奥の人物という構図を作り上げることが可能なのです。




■ 個性あふれる美人たち

描かれている美人にも注目してみましょう。本来美人画は、絵師ごとに理想の外見があり、その型にはめてモデルを描く「典型美」の世界でした。そんな常識を覆したのが歌麿です。

歌麿の描く美人画は、「典型美」の時代の美人画に比べると、ふくよかで現実的な肉体を持っています。弾力を感じさせる肉体表現は、匂い立つような色気を醸し出します。
蒸し暑い夏の日、襟元に手をやり、涼をとろうとする女性。このしぐさに、何とも言えない色香を感じませんか?
 
↑クリックで拡大

  歌麿は、女性のうなじの美しさにクローズアップした作品も残しています。
「襟おしろい」は、鏡を見ながらおしろいを塗る女性を後ろからのぞき込むような構図で描いた作品です。まさに「典型美」の時代には見られなかった歌麿らしい艶っぽい表現ですね。




喜多川歌麿「襟おしろい


もともと遊女や芸者を題材とすることが多かった美人画というジャンル。
しかし歌麿が描いた美人は吉原の娘たちだけに留まりませんでした。彼は、美人と評判の茶屋娘から、働く女性、高級遊女までありとあらゆる世代・身分の女性たちの姿を描いています。そしてその一人一人に事細かなキャラクター設定がなされ、ちょっとした仕草や表情の中に喜怒哀楽を表わしているのも特徴です。歌麿は絵の主人公となる美人に愛すべき個性を持たせ、血の通った人間としてリアリティを持って描きました。
 
喜多川歌麿「難波屋おきた
<江戸評判の町娘を描いた「難波屋おきた」>
  喜多川歌麿「髪梳き
<髪結い職人として働く女性を描く
「婦人手業拾二工 髪梳き
(ふじんてわざじゅうにこう かみすき)」>

本作「蚊帳」で描かれている2人の美人も、理知的な雰囲気の手前の女性と、穏やかでかわいらしい蚊帳の奥の女性という風に、それぞれの魅力が描き分けられています。
↑クリックで拡大   ↑クリックで拡大
<穏やかな表情のかわいらしい女性>   <理知的で目元涼やかな美人>



連載企画「アダチセレクト・話題の一枚」の第2弾、喜多川歌麿「蚊帳」。Part1である今回は、本作に凝縮された歌麿の魅力についてお話してきました。お楽しみいただけましたでしょうか? 次回Part2では、歌麿を世に送り出した名プロデューサー蔦屋重三郎や彼らが生み出した様々な美人の表現など、美人画の大家・歌麿誕生の背景に迫ります。どうぞお楽しみに!




  ■ 関連作品
 
       
  喜多川歌麿
襟おしろい
  喜多川歌麿
当時三美人
  喜多川歌麿
髪梳き
 



  ■ テーマ別に楽しむ歌麿作品
 
       
  空摺が使われている作品   透かし表現(蚊帳・着物)  
           
       
  蔦屋から出版された作品   雲母(キラ)の作品  



そのほかの歌麿の浮世絵はこちら >>


アダチセレクト 話題の一枚 喜多川歌麿「蚊帳」-Part2. 後編- >>
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■スマートフォンで江戸デザインを楽しんで

    
アダチ版復刻浮世絵によるスマートフォン用の壁紙は、季節の移ろいとともに浮世絵を身近に感じていただけるよう、陰暦の月替りに合わせて公開しています。陰暦3月の今回は、歌麿の代表作「ビードロを吹く娘」。江戸時代の人々にとって、ファッションアイコンでもあった歌麿の美人画の少女が着ているのは、桜花が散るピンクの市松模様(チェック)の着物。洗練された江戸デザインは、スマートフォンの液晶画面にも不思議なほど馴染みます。(国際版のダウンロードページはこちら) 
また、オンラインストアの企画「話題の一枚」でも、歌麿の美人画をピックアップ! ファッショナブルな江戸美人をお楽しみください。
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スマホ用壁紙(2021年4月版)ダウンロードはこちら
※画像はアダチ版画研究所が制作した復刻版浮世絵を使用しています。
※個人で楽しむ範囲でご利用ください。商用利用、再配布禁止。


アダチ版画研究所のスマホ用浮世絵壁紙は
①あらゆるスマホの画面の縦横比に対応できる
②カレンダー型を希望する方/しない方の双方の需要に応える
という2つの課題をクリアするため「お客様のお好みで画像をトリミングしていただく」というスタイルを採用しています。
お客様にお手間をかけることにはなりますが、上記リンク先の画像を保存の上、こちらの使用例をご参照いただき、ぜひご自身のお好みに合わせてご活用ください!


  


スタッフ(iPhone12miniを使用)が実際にスマホのロック画面(左・カレンダーあり)とホーム画面(右・カレンダーなし)に設定してみたのが下の画像です。さまざまな機種に対応できるよう、今後も改善を重ねていきたいと思います。ぜひご意見・ご感想をお寄せください。

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■この壁紙に使用されている作品は?


今回、壁紙に使用した作品は、美人画の名手・喜多川歌麿の「ビードロを吹く娘」。切手の図柄になったことでも有名な作品。ほかに「ポッピンを吹く娘」「ポッペンを吹く女」とも呼ばれています。ビードロ(ポッピン、ポッペン)は、呼気で音が出るガラス製の玩具。現在では長崎のお土産品となっていますが、当時、江戸ではかなり珍しいものだったと思います。少女は、全面にピンクの市松模様をあしらった華やかな振袖を着て、このビードロを吹いています。市松模様は、当時の人気役者が用いていたことで広まった流行柄でした。可憐な一人の少女像には、流行のファッションや話題のアイテムがギュギュっと凝縮されていて、歌麿がスタイリストとしても一流のセンスを持っていたことがうかがえます。


アダチ版復刻「婦女人相十品 ビードロを吹く娘」商品ページはこちら≫


あやめにきりぎりす■次回の配布作品:北斎「あやめにきりぎりす」
次回は5月11日、北斎の花鳥画より人気作「あやめにきりぎりす」を配布予定です。海外の方にも人気のモチーフです。お楽しみに。
  


2021年4月更新!
アダチ浮世絵ギャラリーでは、アダチ版浮世絵を飾って楽しんでいるところ、贈って喜んでいただいるところ、そして、アダチ版画からの飾り方提案などをアトランダムにご紹介してまいります。
ご自身のSNSでの投稿をお知らせいただいたり、メールでお写真を送っていただければこちらでご紹介いたします。
皆さんからのお写真をお待ちしております!

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飾って楽しむアダチの浮世絵
お客様インタビュー~浮世絵のある暮らし~ 第3回(後編)


2021年1月からスタートした企画「お客様インタビュー〜浮世絵のある暮らし〜」では、お客様にアダチの浮世絵の、ご自宅での楽しみ方を伺っています。
前回に引き続き、建設会社に勤務されているMさんへインタビューをしていきます。前編では、アダチの浮世絵との出会いや影響、そして、昨年リフォームしたばかりというご自宅の、こだわりのインテリアについて伺いました。>> 前編はこちら

後編では、インテリアの一部として、浮世絵やアート作品を飾る際に心がけていることを詳しく伺います。インテリアへの造詣が深いMさんのお話には、アダチのスタッフも参考にしたいポイントがたくさん詰まっていました。
また、アロマも趣味の一つであるというMさんならではの、浮世絵の楽しみ方とは?ぜひ最後までお楽しみください。



 


今回お話をうかがった Mさん

家族4人と、愛犬1匹でお住まいのMさん。趣味はガーデニングや愛犬の散歩、インテリアショップ巡りとのことで、素敵なご自宅での暮らしがうかがえます。今後の浮世絵の楽しみ方を伺った際には、「愛犬の白黒ブチ模様と相性の良い浮世絵も欲しいです」とのこと。
 

 





■ リビングのフォーカルポイントに浮世絵を飾る

―以前からご自宅に絵を飾ってらっしゃったとのことですが、昨年のリフォーム時にも絵をかけることは想定されていたのですか?

  お部屋の奥に飾っていただいている「游亀」も、アダチ版画でご購入頂いています。  
 
Mさん: 「はい。この、3枚の浮世絵を掛けているリビングのスペースは他の壁面と違って、元々絵画を飾るために確保したスペースです。家族が集まる部屋のフォーカルポイント(※)となる部分ですので、良いものを飾りたいと考えておりました。」

※フォーカルポイント...建築やインテリア業界で使われる用語で、飾り棚や床の間など、視線が集中する場所を指します。
 

Mさんはこのスペースに、浮世絵以外にも様々なジャンルの作品を飾られているそう。ミッドセンチュリーアートや、トルコのイズニックタイル、また、キリムの織物など、季節や時期によって掛け替えをして楽しんでいるそうです。

―飾っていない作品は、どのように保管されていらっしゃるのでしょうか。
 
Mさん: 「湿気・カビに注意して、換気の良い場所に保管しております。定期的に布で埃汚れを除去しております。」
 

長く作品をお楽しみいただくために、保管も徹底されている様子がうかがえます。掛け替える作品を選ぶ際のポイントについても伺いました。

―浮世絵以外の作品も含めて、絵を購入される際のこだわりや、気を付けていることはございますか?
 
Mさん: 「内装材・家具は無垢材を使用したものが多いので、天然のウッドとの相性に特に気を付けております。あとキーワードとして、ヴィンテージ、レトロ、ノスタルジック、トラディッショナル、こちらのテイストが感じられるものを選んでいます。
また、絵を掛けるにあたっては、額縁を部屋に合わせることは大事です。」
 





■ 「額」と「余白」で洗練された雰囲気に

「額縁を部屋に合わせることが大事」というMさん。アダチ特製浮世絵専用額については、嬉しい感想をいただきました。
 
Mさん: 「アダチ版画さんの額縁は、濃い茶色でしたので我が家のインテリアにマッチしました。またダーク系ですのでキリッとしたイメージが強く、全体が引き締まった感じとなり、上品で知的な印象になったと思います。アダチ版画さんの浮世絵は、どんな空間にもマッチすると思います。」
 
  Mさんのお部屋にも掛けていただいている、アダチ特製浮世絵専用額は、和洋問わず様々なお部屋に合うと、多くのお客様にご好評いただいています。

そして、額縁以外にも、インテリアに絵を取り入れるうえで、大切にしていることがもうひとつ。
 
 
Mさん: 「特に心がけたのは、作品のディスプレイの仕方です。絵をセンスよくディスプレイするためには、飾るものを厳選することが大切だと思います。たとえ飾るスペースがたくさんあっても、あえて詰め込まず、余白を意識して配置すると、洗練された雰囲気が生まれるのではないでしょうか。」
 




■ 「香り」と「浮世絵」でおもてなし

また、Mさんは、趣味であるアロマと浮世絵の組み合わせが、ご自宅に来られた方々への「最高のおもてなし」でもあると仰います。

 
Mさん: 「私はアロマが趣味で、お香、香水、キャンドル、ポプリなど、香りに関するものを多数所有しています。中でも、白檀、伽羅、沈香など、古くから日本にある香りと、浮世絵との相性は抜群です。香炉やキャンドルなど、おもてなしの香りと組み合わせて使うと、描かれている絵のイメージと相まって、更に素敵な空間を演出できると思います。」
 

そしてなんと、現在、飾っていらっしゃる春信の「二月 水辺梅」に合わせた、おすすめの香りも教えてくださいました。
 
Mさん: 「アロマキャンドルでしたら、MAD et LENの"FIGUE(いちじく)"。作品に描かれている、うるおいに満ちた夜の空気感や少年と少女のシックでストイックな逢引のイメージにぴったりだと思います。お香でしたら、「沈香」の気品と静けさのイメージが、この作品の奥ゆかしさや優しさと重なるように思います。」
 
 
 
 
 
Mさんがおすすめくださった「MAD et LEN」の"FIGUE"
 

お話を伺い、アダチ版画の浮世絵をインテリアとして皆様にさらに楽しんでいただくために、まだまだ様々なご提案ができるのではないかと、改めて考えるきっかけをいただきました。

最後は、今後の浮世絵の楽しみ方について、展望を伺いました。




■ 和モダンスタイルのインテリアの中で、浮世絵を楽しんでいきたい

―最後に、今後どのように浮世絵を楽しんでいきたいかなどございましたら、お教えください。
 
Mさん: 「いくつかビジョンがあるのですが、まず、これまで同様に、新しいものを季節や気分によって、かけ替えて楽しんでいきたいと思います。また、和モダンスタイルが好きなので、そのテイストに合う浮世絵を見繕うのもいいですね。
 
  例えば、仙台箪笥をリビングとダイニングの境目に置いているのですが、この仙台箪笥や、藍色のエントランスラグに合う作品も探していけたらと思っています。」  
インタビュー後、春信の「二月 水辺梅」をこの仙台箪笥のところに飾ったお写真も送ってくださいました!他の陶器やクロスとの相性もよく、とてもマッチしていて素敵ですね。
 

今後もインテリアに合わせて、浮世絵を楽しんでいきたいとおっしゃってくださったMさん。このたびはインタビューにご協力いただき、本当にありがとうございました。次回のお買い物の際には、今回拝見したご自宅とわんちゃんのお写真を参考に、ぜひわんちゃんと一緒に楽しんでいただける作品をおすすめしたいと思います。
 

歌川広重「高輪うしまち
 

歌川広重「京橋竹がし
 
 
広重の「名所江戸百景」より、愛らしい子犬の姿に心和む「高輪うしまち」。そして川岸に竹材が並ぶ京橋の問屋街を描いた「京橋竹がし」。「竹」と「犬」を組み合わせると「笑」になることから、ご家族の団欒の場に、こちらもご提案したいと思います。
 




現在開催中、および4月開催のオススメ浮世絵展覧会をご紹介します!
各地で魅力的な浮世絵の展覧会が目白押しです。
なお、4月25日の緊急事態宣言の発令に伴い、こちらの記事でご紹介している美術館・博物館の中にも臨時休館の措置を取っている館がございます。また、今後の状況に応じて、展覧会の会期や時間、内容に変更が生じる可能性もございます。
お出かけの際などは、必ず各館公式サイトで最新の情報をご確認ください。

 

◆ 4月のPick up!オススメ展覧会

 

神奈川県箱根町にある岡田記念美術館では、4月3日(土)から始まる「東西の日本画 ―大観・春草・松園など ―」の会期中、映画「HOKUSAI」の公開を記念し、同館所蔵の北斎作品の特別展示を行います。

 

自ら「画狂老人卍」と名乗り、江戸時代としては稀な90歳という長寿を全うした葛飾北斎。その実像に迫ろうと、5月28日(金)から映画「HOKUSAI」が封切られます。
今回の特別展示では、傑作「神奈川沖浪裏」を含む「冨嶽三十六景」3点のほか、岡田美術館が所蔵する北斎の肉筆美人画「夏の朝」と「傾城図」が展示されます。映画にも登場する北斎の良妻・コトや、歌麿の恋人である花魁・麻雪に、それぞれ重ねてご覧いただくこともでき、映画「HOKUSAI」の世界観をより感じていただける展示内容となっています。
今回の映画「HOKUSAI」の撮影には、アダチ版画研究所も全面協力させていただき、アダチの彫師と摺師も制作シーンに出演しています。撮影時に提供させていただいた版木や道具も、本展にて展示予定ですので、こちらもぜひお楽しみください。
200年以上の時を経て今に伝わる作品の魅力と私たちの心を惹きつけてやまない北斎の生き様を、この春、美術館とスクリーンでぜひご覧ください。



 
岡田美術館 (神奈川・箱根)
映画「HOKUSAI」公開記念
"画狂人"北斎 特別展示
北斎が描いた、美人の極み


※企画展「東西の日本画 ―大観・春草・松園など ―」の会期中特別展示
4月3日(土)~9月26日(日)





◆ アダチ版復刻浮世絵の取り扱いがある美術館・博物館

下記でご紹介する美術館・博物館では、常時アダチ版復刻浮世絵をお求めいただけます。(お求めいただけない商品もございますので、ご了承ください。)

太田記念美術館 (東京・原宿)
江戸の敗者たち
4月15日(木)~5月16日(日)
すみだ北斎美術館 (東京・両国)
しりあがりサン北斎サン
-クスッと笑えるSHOW TIME!-
4月20日(火) 〜 2021年6月27日(日)
信州小布施北斎館 (長野・小布施)
てくてく、ふらり、のんびり
旅する浮世絵
4月3日(土)~6月13日(日)
 

事前予約制

東京国立博物館 (東京・上野)
浮世絵と衣装―江戸
3月16日(火) ~4月11日(日)



MOA美術館 (静岡・熱海)
粋と艶-江戸のトップスターたち-
4月23日(金) ~6月8日(火)
 
静岡市東海道広重美術館
(静岡・由比)
名所江戸百景
~広重の残した最後の江戸風景~
3月30日(火)~7月4日(日)
中山道広重美術館
(岐阜・恵那)
ゆる旅おじさん図譜
リターンズ
4月1日(木)~6月13日(日)

◆ その他、オススメの浮世絵展覧会


アダチ版浮世絵販売あり!

江戸東京博物館 (東京・両国)
冨嶽三十六景への挑戦
北斎と広重
4月24日(土)〜6月20日(日)



サントリー美術館 (東京・六本木)
ミネアポリス美術館
日本絵画の名品
4月14日(水)~6月27日(日)



東広島市立美術館 (大阪・和泉)
井上涼展
版画スリスリびじゅチュ館
4月9日(金)~6月13日(日)
 
和泉市久保惣記念美術館
(大阪・和泉)
北斎
―富士山と東海道―
4月10日(土)~5月30日(日)
城西大学水田美術館
(埼玉・川角)
水田コレクション名品展
-美人画-
4月5日(月)~4月23日(金)
藤澤浮世絵館
(神奈川・藤沢)
相模を舞台にした歌舞伎と浮世絵
白浪五人男・曾我物語
3月20日(土)~5月5日(水)

飾って楽しむアダチの浮世絵
お客様インタビュー~浮世絵のある暮らし~ 第3回(前編)


2021年1月からスタートした企画「お客様インタビュー〜浮世絵のある暮らし〜」では、お客様にアダチの浮世絵の、ご自宅での楽しみ方を伺っています。

今回お話を伺った、建設会社に勤務されているMさんは、ご自宅をリフォームされたばかり。第1・2回の記事をご覧になり、アダチの復刻版浮世絵を飾った素敵なお部屋の写真を送ってくださいました。アダチの浮世絵との出会いや楽しみ方、そしてこだわりの詰まったインテリアについてたくさんお話を伺うことができました。前編・後編の二回に渡って、お届けします。



 


今回お話をうかがった Mさん

家族4人と、愛犬1匹でお住まいのMさん。趣味はガーデニングや愛犬の散歩、インテリアショップ巡りとのことで、素敵なご自宅での暮らしがうかがえます。今後の浮世絵の楽しみ方を伺った際には、「愛犬の白黒ブチ模様と相性の良い浮世絵も欲しいです」とのこと。
どんな浮世絵が合うか、アダチのスタッフも考え中です。
 

 





■ "桜"に縁を感じて、桜にまつわる絵を探していた

―最初にアダチ版画を知ったきっかけについて教えてください。
 
Mさん: 「10年前に自宅を新築したのですが、内装材として、ブラックチェリー材(北米産のサクラの木材)を採用しました。その後、庭に山桜を植えたことや自宅の住所が「桜が丘」ということから、サクラにご縁があると感じて、桜にまつわる絵を探していました。おそらくアダチ版画さんのHPだったと思いますが、「桜花に富士図」を見つけ、これだと思い、目白のショールームで現物を確認後に購入させていただいたのです。」
 


葛飾北斎「桜花に富士図
―長い間お付き合いいただいてありがとうございます。
  Mさん: 「アダチ版画さんからの年賀状は大事にとっておりまして、はがきサイズの額に入れて部屋のちょっとしたスペースに飾っております。」  

―最初に「桜花に富士図」を買われたあと、別の浮世絵を3点購入されているのですよね。
 
Mさん: 「はい、広重の「深川洲崎十万坪」、北斎の「木曽路ノ奥阿弥陀之滝」「甲州石班沢」を購入しました。3作品ともそれぞれ魅力や見どころに溢れる作品でどれも気に入っています。」
 

―お送りいただいたお写真では、さきほど挙げていただいた3作品をひとつの壁に掛けていらっしゃいますが、当初から3作品は並べて飾る予定だったのでしょうか。

 
Mさん: 「いいえ、リフォーム以前、この3作は全く別々の壁に飾ってありました。今回お送りした写真は、昨年自宅をリフォームした際に、リフォーム会社のHP掲載のために撮影したものです。同じ壁面に集めたところ、思いの他バランスよく納まったので、これはいいと思い、決定しました。」
 





■ 「甲州石班沢」で知った藍色の魅力

この3作品の中でも、特にご自身の思い入れの強い作品が、北斎の「甲州石班沢」とのこと。


葛飾北斎「甲州石班沢
 
Mさん: 「ワントーンコーディネートがもともと好きで、第一印象としては青の濃淡だけで描かれているところに惹かれました。またこの絵がきっかけで紺青、ベロ藍、広重ブルー、北斎ブルー、ジャパンブルーの藍色文化に興味を持ちました。青色(藍色)の魅力を再発見した、非常に思い入れの深い絵です。」
 

大河ドラマの影響もあり、今年益々注目の集まる「藍色」。Mさんのご自宅では、この作品をきっかけに、浮世絵以外のインテリアにも、藍を取り入れています。




■ インテリアの専門家にも好評です
 
Mさん: 「この作品をきっかけに藍色を好きになったことから、リフォーム時にはエントランスに、濃い藍色のラグを取り入れました。
 

 
また、そのラグを購入したカーペット専門店の方からは、壁に飾ってある浮世絵が素敵だということで、藍色の絨毯をご提案いただいています。
 


写真提供:MUNI CARPETS
  その絨毯は、「甲州石班沢」と同じく、藍一色の濃淡だけで表現されており、非常に美しいデザインです。」  

お部屋のインテリアとも相まって、「甲州石班沢」は、Mさんのご自宅を訪れた方からも大変評判がいいそうです。
 
Mさん: 「リフォーム会社のインテリアコーディネーターさんにも好評で、やはり青の濃淡だけで表現しているところが一番の魅力ではないかと思います。」
 

Mさんも挙げていた北斎の浮世絵に使用されている藍、「ベロ藍」(プルシアンブルー)は、江戸時代当時、海外から輸入された化学顔料。それまでの日本で使用されていた藍色とは異なる、鮮やかな青の色味は、瞬く間に世間で流行したといわれています。その高い人気から「藍摺絵」と呼ばれる、藍色の濃淡だけで表現する作品も登場し、北斎の代表作『冨嶽三十六景』にも「甲州石班沢」をはじめ、藍摺絵の作品が10図ほど存在します。
 

葛飾北斎「信州諏訪湖
 

葛飾北斎「相州七里濱
 

江戸時代の人々を熱狂させたベロ藍の美しさは、いつの時代でも人々を魅了するものなのだな、と改めて感じました。

他にも「中学生の次男が教科書で『冨嶽三十六景』を習ったことをきっかけに、図書館で浮世絵の本を借りてくるようになりました」というエピソードを教えてくださったMさん。ご自宅に浮世絵が飾ってあることも、影響を与えているのかもしれませんね。

続いて、昨年リフォームされたというご自宅についてもお話を伺います。
今回送っていただいたお写真は、お部屋の隅々までインテリアへのこだわりを感じ、アダチ版画のスタッフの間でも話題になっていました。




■ フランク・ロイド・ライトが設計したような家にあこがれて


―差し支えなければ、ご自宅の間取りをうかがえますでしょうか。
 
Mさん: 「二階建ての一軒家です。家全体はコンパクトなのですが、空間は開放的にというコンセプトを意識して作りました。また、初めから、手持ちのミッドセンチュリーデザイン家具が似合うような空間を想定していたこともあり、クラシックかつ、トラディショナルな感じを持つ素材や色使いを採用しました。新しいばかりでなく、ヴィンテージが似合うような、履き込んだジーンズのような味わいのある家といえば判りやすいでしょうか。」
 

―まさにこだわりの詰まったご自宅ですね。
 
Mさん: 「フランク・ロイド・ライトが設計する様な、ミッドセンチュリースタイル(※)の建築が好きで、映画「シングルマン」に出てくるような住宅にあこがれておりました。さすがに映画のような、立派な住宅は作れませんが、少しでも近づきたいという思いから、今回の自宅リフォームでは、ライトの建築テーマ「自然と建築との融合」を目指しています。」
 

フランク・ロイド・ライトは、20世紀に活躍した世界的な建築家。彼が手がけた建築のうち8件が世界遺産に登録されており、日本では帝国ホテルの設計を行ったことでも知られています。また現在も、ライトのデザインした照明器具にはファンが多く、Mさんもそのひとりで、ご自宅には3台の照明をお持ちとのことです。


アダチ版画のある目白にも、ライトが設計した
重要文化財「自由学園明日館」があります。

そして、ライトは浮世絵の熱心な収集家でもあり、その作風には、浮世絵が強く影響を与えていたとする説もあります。
Mさんもそのことはご存知で、そういった背景も含めて、ライトの照明と浮世絵の組み合わせを楽しまれているようでした。

次回は、浮世絵やアート作品を飾る際に心がけていること、そして、Mさんならではの浮世絵の楽しみ方について、詳しく伺います。インテリアへの造詣が深いMさんのお話には、参考にしたいポイントがたくさん詰まっていました。ぜひ後編もお楽しみに。

※ミッドセンチュリースタイル...インテリア業界では、1950年代を中心に1940~1960年代にデザインされた家具やインテリア、建築物などに使われる呼び名。ポップな色合いや、曲線を多用したデザインが特徴として挙げられます。




 
wallpaper_202103_image.jpg

■いつでもどこでも、浮世絵でお花見を

    
アダチ版復刻浮世絵によるスマートフォン用の壁紙は、季節の移ろいとともに浮世絵を身近に感じていただけるよう、陰暦の月替りに合わせて公開しています。陰暦2月の今回は、広重の「六十余州名所図会」より京都嵐山の桜を描いた「山城 あらし山渡月橋」を。スマートフォンの中の浮世絵で、いつでもどこでもお花見をお楽しみください。(国際版のダウンロードページはこちら
またオンラインストアでは、4月11日まで「歌と巡る桜の浮世絵」と題して、スタッフ一押しの桜を題材にした浮世絵をご紹介しています。

スマホ用浮世絵壁紙_2021年2月版
スマホ用壁紙(2021年3月版)ダウンロードはこちら
※画像はアダチ版画研究所が制作した復刻版浮世絵を使用しています。
※個人で楽しむ範囲でご利用ください。商用利用、再配布禁止。


アダチ版画研究所のスマホ用浮世絵壁紙は
①あらゆるスマホの画面の縦横比に対応できる
②カレンダー型を希望する方/しない方の双方の需要に応える
という2つの課題をクリアするため「お客様のお好みで画像をトリミングしていただく」というスタイルを採用しています。
お客様にお手間をかけることにはなりますが、上記リンク先の画像を保存の上、こちらの使用例をご参照いただき、ぜひご自身のお好みに合わせてご活用ください!


  


スタッフ(iPhone12miniを使用)が実際にスマホのロック画面(左・カレンダーあり)とホーム画面(右・カレンダーなし)に設定してみたのが下の画像です。さまざまな機種に対応できるよう、今後も改善を重ねていきたいと思います。ぜひご意見・ご感想をお寄せください。

wallpaper_202103_sample.jpg
  

■この壁紙に使用されている作品は?


今回、壁紙に使用した作品は歌川広重の「六十余州名所図会 山城 あらし山渡月橋」。「六十余州名所図会」は、全国各地の景勝地に取材した70図の揃い物です。本作では、古来より和歌に詠まれてきた京都洛北にある嵐山の春の情景を描いています。
山中に咲き誇る薄紅色の桜には春霞が掛かり、大堰川(おおいがわ)には材木を運ぶ筏が悠々と行き交います。大堰川に掛かるのは、鎌倉の昔、亀山上皇が「くまなき月の渡るに似たり」と称えた渡月橋。画面中ほどに流れ落ちるのは、戸無瀬滝(となせのたき)です。嵐山の見所を余すことなく画面に収めており、ちょっと贅沢な旅の気分が味わえる作品です。



アダチ版復刻「六十余州名所図会 山城 あらし山渡月橋」商品ページはこちら≫


ビードロを吹く娘■次回の配布作品:歌麿「婦女人相十品 ビードロを吹く娘」
次回は4月10日、歌麿の美人画「ビードロを吹く娘」を配布予定です。当時の流行のファッションに身を包んだ可憐な少女の浮世絵、ぜひお楽しみに。
  

現在開催中、および3月開催のオススメ浮世絵展覧会をご紹介します!
各地で魅力的な浮世絵の展覧会が目白押しです。

 

◆ 3月のPick up!オススメ展覧会

 

東京・日本橋にある三井記念美術館では、特別展「小村雪岱スタイル―江戸の粋から東京モダンへ」が行われています。

 

大正~昭和初期に、装幀や挿絵、舞台美術などで活躍した小村雪岱。「雪岱(せったい)」の名付け親でもある、泉鏡花の本の装幀をきっかけに、その名が広く知られるようになりました。本展には、こうした装幀本を始め、雪岱の肉筆画や版画が多数出展されています。
そのほか、その作風のルーツとも言える浮世絵師・鈴木春信の作品や、雪岱作品にインスパイアされた、現代作家による工芸品などもあわせて展示。近年再注目される小村雪岱の、源流からその後の影響までを通覧できます。
また、本展覧会のメインビジュアルに使用されている「青柳」をはじめ、主に戦中にアダチ版画が制作した木版画も、本展にて多数ご覧いただけます。アダチ版画とも深い関わりのある雪岱の作品を、ぜひ会場でお楽しみください。



 
日時指定制
三井記念美術館 (東京・日本橋)
小村雪岱スタイル
―江戸の粋から東京モダンへ
2月6日(土)〜4月18日(日)



◆ アダチ版復刻浮世絵の取り扱いがある美術館・博物館

下記でご紹介する美術館・博物館では、常時アダチ版復刻浮世絵をお求めいただけます。(お求めいただけない商品もございますので、ご了承ください。)


時間短縮営業

太田記念美術館 (東京・原宿)
笠松紫浪 ―最後の新版画
2月2日(火)~3月28日(日)



すみだ北斎美術館 (東京・両国)
筆魂 線の引力・色の魔力
2月9日(火)~4月4日(日)



中山道広重美術館 (岐阜・恵那)
双筆五十三次-新規収蔵品お披露目-
2月27日(土)~3月28日(日)
 

事前予約制

東京国立博物館 (東京・上野)
日本美術の流れ
浮世絵と衣装―江戸
2月23日(火)~3月14日(日)

時間短縮営業

静岡市東海道広重美術館 (静岡・由比)
江戸のデザイン帖
~雛形本と浮世絵に見る意匠の美~
1月19日(火)~3月28日(日)



信州小布施北斎館 (長野・小布施)
斬新!
北斎Colors
1月23日(土)~3月28日(日)

◆ その他、オススメの浮世絵展覧会

東京都美術館 (東京・上野)
没後70年 吉田博展
1月26日(火)~3月28日(日)
川崎浮世絵ギャラリー (神奈川・川崎)
黄金期の浮世絵師たち
2月6日(土)~4月4日(日)
奈良県立美術館 (奈良・奈良)
広重の名所江戸百景
1月16日(土)~3月14日(日)
 
千代田区立日比谷図書文化館
(東京・日比谷)
複製芸術家 小村雪岱
~装幀と挿絵に見る二つの精華~
1月22日(金)~3月23日(火)
島根県立美術館
(島根・松江)
島根県立美術館の浮世絵
-北斎・広重を中心に-
2月10日(水) ~3月15日(月)
山口県立萩美術館・浦上記念館
(山口・萩)
雪月花
ー花ー
3月16日(火)~4月18日(日)
品質へのこだわり

品質へのこだわり

アダチの浮世絵は、手にして初めて分かる、熟練の技術と日本の伝統が詰まっています。

製作工程

制作工程

一切機械を使うことなく一枚一枚職人の手仕事により丁寧に作られている木版画です。

厳選素材・道具

厳選素材・道具

江戸当時の風情を感じられる当時の浮世絵の再現にこだわり、厳選した素材と道具を使用。

職人紹介

職人紹介

最高の作品を創り出すために、日々技術の研鑽を積む熟練の職人たち。

浮世絵の基礎知識

浮世絵の基礎知識

意外と知らない?浮世絵の世界。浮世絵の基礎知識をご紹介。