【赤富士特集コラム vol.2】 北斎の描いた稜線をリズミカルに、
そして繊細に彫る。

2013.07.09

北斎の描いた版下絵に忠実に彫る

分業制の浮世絵の制作において、絵師・北斎が描いたのは、「版下絵(はんしたえ)」と言われる輪郭線だけ。北斎の思いを読み取り、版を彫り上げるのが彫師の仕事です。

彫師は、絵師の描いた版下絵を直接版木に貼りつけて、和紙ごと版を彫ります。つまり、北斎が描いた版下絵は、木屑と共に削られなくなってしまうのです。版下絵に忠実に彫ることで、絵師の思いを伝えることができるのです。

絵師の意図を読み取り、思いを込めて版を彫り進めていきます。

[版下絵] 図上
[版下絵の線を忠実に彫る] 図下

リズミカルな稜線が持つ緊張感

彫師・新實曰く、
「北斎はリズミカルな線で山の輪郭を描いるけれど、真っ直ぐな一本線を引いていないのは、恐らく山の高さを出すためだろうね。北斎自身が富士山を登っているようなつもりで、時間をかけて描いた線ではないかと思うね。」

単純な構図なだけに、画面が単調にならないようにと北斎が思いを込めた稜線から緊張感が伝わってきます。


彫師の腕の見せどころ 裾野の森

「筆先で無数の点を打ち、鬱蒼とした富士の森を表現しているけれど、この細かい点々の形を彫るには、刀の刃を色んな方向からリズムをもって入れていかなければならないんだ。北斎は、ただ滅多やたらに点を打っているのではなく、先ず小さな点を打っていき、続いて間を埋めるように中くらいの点を打ち、さらにその間を埋めるように大きな点を打ち......といったように、神経を遣いながら点を打つ作業を繰り返し、丹念に描いたんだろうね。だから、ここは彫師の腕の見せどころだよ。」

このように画面の随所に北斎のこだわりが垣間見られます。ただありのままに描くのではなく、どうすれば絵として面白いかを考え抜いた結果がシンプルな版下絵の中に強く込められています。観る人のことを最優先に考えた北斎のサービス精神の結晶が「赤富士」であり、だからこそ世界中の人の共感を得る名画となったのではないでしょうか。

品質へのこだわり

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