アダチセレクト「話題の一枚。」~ 鈴木春信「雪中相合傘」vol.3~

2014.02.10

アダチセレクト「話題の一枚。」

鈴木春信とは

「雪中相合傘」をはじめとする「錦絵」を生み出した春信ですが、どんな人物だったのでしょうか。
他の浮世絵師同様、その生まれや人となりはあまり資料に残っていないようですが、1725(享保10)年頃に江戸に生まれ、姓は穂積、後に鈴木を名乗ったとされています。京都に出て絵師・西川祐信(すけのぶ)に学んだともいわれ、その後、1760(宝暦10)年頃、錦絵が生まれる前の3色程度で描かれた紅摺絵の役者絵でデビューしたようです。そして、前回ご紹介した絵暦ブームの際に「錦絵」を完成させ、今では錦絵の祖とも言われています。

春信の描く美人画

雪中相合傘をはじめとする春信の描く人物は、華奢で可憐な姿のかわいらしい様子で描かれています。一見、男性女性の区別がつかないくらい中性的な感じもします。
もちろん春信の作画スタイルということもできますが、当時の人々にとっての理想の美人の姿だったとも言えるでしょう。浮世絵に描かれる美人は、その時代によってかなり描かれ方が異なるということは、春信以降、美人画の絵師として人気の高かった鳥居清長や喜多川歌麿の美人の顔をみていただけば一目瞭然です。

各々の絵師の描く美人(あなたのお好みは?)

<鈴木春信・雪中相合傘より> <鳥居清長・九月より> <喜多川歌麿・ビードロを吹く娘より>

春信人気の中で衝撃の事実!春信の贋作絵師あらわる?

錦絵が誕生し、春信そして浮世絵の人気が高まると「巨川」のような好事家ではなく、一般の人々向けに色々な版元から多色刷の浮世絵が出版されるようになります。春信の描く錦絵の人気は、ある衝撃の事実からも知る事ができます。

こちらの作品をご覧ください。

春信という絵師名も入った春信らしい美人を描いた作品ですが、実は、これは当時鈴木春重と名乗っていた司馬江漢(1747-1818)が「春信」の名で偽作として出版したものなんです!

このことは、後に司馬江漢が自著でその旨告白していることで明らかになっています。 何とも驚きの事実ですが、偽物が出てしまうくらい春信人気は絶大だったのでしょう。

  <鈴木春重・雪後>

司馬江漢以外にも春信風の浮世絵として、同時代活躍した浮世絵師、磯田湖竜斎(いそだこりゅうさい)が描いた作品などもあります。
タイトルまで同じ「雪中相合傘」です!

これら司馬江漢や磯田湖竜斎の作品をみていただくと、江戸での春信の人気ぶりが良くおわかりいただける事と思います。また、江戸の浮世絵はその時の流行を捉えて出版されていたことがわかりますね。

そして、錦絵誕生から数年後の1770(明和7)年に春信は46歳という若さでこの世を去ったと言われています。たった10年の絵師人生でしたが、この「錦絵」誕生における春信の残した功績は多大なもので、その後の歌麿・写楽・北斎・広重などの色鮮やかな浮世絵の名作が生まれる土台となりました。

  <磯田湖竜斎・雪中相合傘>

鈴木春信「雪中相合傘」が伝えてくれるもの

鈴木春信「雪中相合傘」

「アダチセレクト 話題の一枚。」の最初の一枚として鈴木春信「雪中相合傘」を3回にわたってご紹介してまいりましたが、いかがでしたか?

木版の魅力を最大限活かし作られた本作は、男女の情感豊かなしっとりとした雰囲気が味わえると同時に、江戸で生まれた浮世絵にかける人々の情熱が伝わってくる作品でもあったのではないでしょうか。

是非、じっくりとこの一枚の作品の魅力をお楽しみください。

<鈴木春信 「雪中相合傘」

鈴木春信「雪中相合傘」商品詳細はこちら >>

品質へのこだわり

品質へのこだわり

アダチの浮世絵は、手にして初めて分かる、熟練の技術と日本の伝統が詰まっています。

製作工程

制作工程

一切機械を使うことなく一枚一枚職人の手仕事により丁寧に作られている木版画です。

厳選素材・道具

厳選素材・道具

江戸当時の風情を感じられる当時の浮世絵の再現にこだわり、厳選した素材と道具を使用。

職人紹介

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最高の作品を創り出すために、日々技術の研鑽を積む熟練の職人たち。

浮世絵の基礎知識

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意外と知らない?浮世絵の世界。浮世絵の基礎知識をご紹介。