【新復刻完成コラム】 国芳の猫づくし~「たとゑ尽の内」編~

2015.09.11

新復刻完成 国芳の猫づくし

 

この度完成した新復刻のひとつ、歌川国芳の「たとゑ尽の内」は猫にまつわる様々な言葉やことわざを絵で表現した楽しい作品。通常の浮世絵3枚分の、三枚続の広い画面いっぱいに様々な言葉を表す猫たちの姿が、生き生きとした筆遣いで描かれています。

今回はその見どころと魅力を詳しくご紹介していきます。

  たとゑ尽の内  

 

猫好き国芳のこだわりが詰まった猫尽くし!

国芳は自宅に沢山の猫を飼い、懐には常に猫を抱いていたという愛猫家。本図の猫たちのリアルな仕草や表情は、日々猫たちと触れ合い、その姿を見ていた国芳だからこそ描けたものと言えます。

また画中の擬人化され着物を着た猫たちにご注目ください。着物の柄が小判や鰹節といった猫にちなんだ国芳オリジナルのデザインになっており、ここにも凝り性な国芳のこだわりが感じられます。

  小判柄の着物   鰹節柄の着物  
<猫の着物だけに何と小判と鰹節柄。凝り性な国芳のこだわりです>

 

どの猫が好き?アダチ版画・猫好きスタッフが選んだ人気の猫ベスト3

本図に登場する沢山の猫たち。「猫に小判」「猫舌」などお馴染みの言葉から、今ではめったに使われない珍しい言葉まで、実に様々な姿が描かれています。

では実際にどの猫がどんな言葉を表しているのでしょうか。下記に一覧でご紹介します。(※たとえには諸説あります)

たとえ一覧
<有名なものから珍しいものまで、様々な猫のことわざを描き分けています>

 

これだけの言葉があることを見ても、いかに猫が人々の生活に身近な存在で、愛されていたかが分かりますね。特に国芳が活躍した江戸時代後期頃は、歌舞伎や合巻本、浮世絵の画題に数多く猫が登場するなど、猫ブームに沸いていました。誰より熱心に猫を描いた国芳の作品は、江戸っ子たちに親しみを持って迎えられたことでしょう。

そして猫を愛してやまないのは、江戸っ子だけではありません。
現代の猫好き代表として、アダチ版画の猫が好きなスタッフ達が本図の中で一番お気に入りの猫を選んでみました!

【第3位】
猫顔


猫顔

 

【第2位】
猫と庄屋に取らぬはない


猫と庄屋に取らぬはない

 

【第1位】
猫が顔を洗うと雨が降る


猫が顔を洗うと雨が降る

1位の「猫が顔を洗うと雨が降る」は「前足をなめる仕草が本物の猫っぽくて良い!」と納得の理由。3位の「猫顔」も同じく「恰好が猫っぽい」とのこと。それに対して2位の「猫と庄屋に取らぬはない」は「猫なのに人間っぽい姿が可愛い」という、まったく真逆の理由だったのが面白いところです。

皆さんはどの猫が可愛いと思いますか?ぜひお気に入りの一匹を見つけてください。

 

絵師のこだわりに応える職人の技!

絵師・国芳の猫への愛情とこだわりが詰まった本図。今回の復刻にあたってアダチ版画の彫師や摺師はどんなところにこだわったのでしょうか。

       
  新實

彫師・新實

「この作品は猫の顔に気を遣ったね。人物画でも目元や口元は一番難しいところで、1ミリ以下のわずかな違いで表情がまったく変わってしまうんだ。一匹一匹がどんな場面を表しているのか考えながら顔を彫り分けたんだよ。」

 
       
  猫の顔 彫り風景  
<人も猫も表情が命。1ミリ以下の彫に職人の技術が試されます。>
 

       
 

摺師・仲田

「こだわりは猫の毛並みの空摺だね。空摺は版木に絵具を付けずに摺り、紙に凹凸を付ける伝統的な技法なんだけど、猫の毛のような細い線の凹凸をきれいにつけるのは力任せでも弱すぎてもいけない。力加減にコツがいるところだよ。」

仲田  
       
  摺り風景 野晒悟助  
<猫の毛並みを凹凸で表現する「空摺」には絶妙な力加減が必要です。>
 

 

猫の表情や毛並みといった制作の面から、職人たちはよりリアルに猫を描こうとした国芳のこだわりの強さを感じ取っていました。 作品をご覧の際は、絵師の意図を汲み、作品をもっとも魅力的に見せるべく技を尽くす職人たちの仕事ぶりにもぜひご注目ください!

この度、2回に渡り「国芳の猫尽くし」と題しご紹介してきた新復刻「国芳もやう正札附現金男 野晒悟助」と「たとゑ尽の内」。「猫」という共通点を持ち、それぞれに見どころのあるこの2作品ですが、その一番の魅力は何といっても作品に込められた見る人を喜ばせ楽しませようとする国芳のユーモアではないでしょうか。

作品の随所にちりばめられた様々なこだわりからは、人を楽しませることを自らも楽しんでいた国芳の人となりが伝わってきます。その人柄こそ、かつて江戸っ子に愛され、現代においても人気を呼んでいる国芳の人気の秘密と言えるでしょう。

歌川国芳 「たとゑ尽の内」 商品詳細はこちら >>

品質へのこだわり

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アダチの浮世絵は、手にして初めて分かる、熟練の技術と日本の伝統が詰まっています。

製作工程

制作工程

一切機械を使うことなく一枚一枚職人の手仕事により丁寧に作られている木版画です。

厳選素材・道具

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江戸当時の風情を感じられる当時の浮世絵の再現にこだわり、厳選した素材と道具を使用。

職人紹介

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最高の作品を創り出すために、日々技術の研鑽を積む熟練の職人たち。

浮世絵の基礎知識

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