浮世絵が世界的に評価される礎となった「ジャポニスム」という一大ムーブメント。
中でもモネとゴッホという日本人にとっても身近な印象派の画家と浮世絵との関係について2回にわたり紹介してまいりました。モネやゴッホ以外にも浮世絵から影響を受けた芸術家は多く、印象派の音楽家として有名なドビュッシー、そして、ジャポニスムに原点をもつアール・ヌーボーの代表エミール・ガレなどがいます。
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<アダチ厳選の「UKIYO-Eベストセレクション」> |
「モネとゴッホが愛した UKIYO-Eベストセレクション」の魅力をお伝えするコラム最終回となった本コラムでは、ドビュッシー、ガレが愛した北斎の描いた浮世絵の魅力に迫ります。
この世の森羅万象を描き尽くそうとした北斎は、冨嶽三十六景をはじめとする風景画にとどまらず、草木や昆虫、小動物を描いた花鳥画の世界でもその卓越した才能を発揮しています。
ジャポニスムというムーブメントが生まれた19世紀中頃まで西洋では、キリスト教の影響が強く宗教画・神話画・歴史画などが主流で、自然を単独の絵画の主題とすることはほとんどなかったといわれています。
そのような背景の中北斎の描いた花鳥画は、西洋の芸術家たちにとって新しい表現主題となり多大な影響を与えたようです。
中でも影響を強く受けたのは、19世紀末から20世紀初頭にかけてヨーロッパに流行した装飾様式、アールヌーヴォを代表するのがフランスのガラス工芸家エミール・ガレです。
これまで3回にわたって、幕末以降ヨーロッパでおきたジャポニスムというムーブメントと浮世絵との関係。特に、モネ・ゴッホ・ドビュッシー・ガレの4人の芸術家を取り上げましたが、当時浮世絵に影響を受けた芸術家は、枚挙に暇がありません。今回、アダチ版画が厳選した「モネとゴッホが愛した UKIYO-E ベストセレクション」の全12図をご覧いただき、当時ジャポニスムに沸いたヨーロッパの人々の熱狂ぶりを感じていただけば幸いです。