浮世絵のアダチ版画では、今年没後160年を迎えた広重に注目が集まる中、秋にピッタリの「広重月の名作撰」を企画いたしました。ご好評につき9月30日まで期間延長になった本企画を通して広重の魅力に迫ってまいります!
風景画だけではない!広重の魅力が満載の花鳥画はなぜ生まれた??
浮世絵というと、一般的には美人画、役者絵そして風景画を連想する方が多く、花鳥画をイメージする人はすくないかもしれません。しかし、風景画の絵師として人気の広重も、大変多くの花鳥画を残し「月に雁」は代表的な作品となっています。
江戸庶民の嗜好を常に表現してきた浮世絵の世界において、遊郭のあった吉原の繁栄から美人画が生まれ、歌舞伎人気が役者絵を生みました。そして、東海道など街道の整備と庶民の経済力の向上により旅をする余裕ができると風景画が出版されるようになりました。 |
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では、花鳥画は、なぜ一つのジャンルを確立するほど出版されていたのでしょうか。色々な要因があるとおもいますが、今回は広重の花鳥画の中でも特に季節感あふれる情景を描いた、心和む月を描いた中短冊サイズ名作3点を紹介しながらその謎を考えてまいりましょう。 |
左から月に雁、三日月に松上の木菟、月夜木賊に兎 |
俳句や和歌と共に味わう広重の詩的な世界
広重が花鳥画の中でも多く作品を残したといわれているのが中短冊サイズの作品です。「東海道五十三次」のように大錦サイズといわれる一般的な浮世絵のサイズのちょうど半分のサイズになります。
日本で鎌倉時代の頃から歌人の間で使われていた短冊という形式を花鳥画のジャンルに用いることにより、俳句や和歌に詠まれた世界を江戸の庶民の人々に絵を通して広重は伝えようとしていたと考えることもできそうですね。
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「こむな夜か 又も有うか 月に雁」 |
「三日月の船遊山(ふなゆさん)してみみづくの 耳に入(いれ)たき松風の琴」 |
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「夜はいとど 草のむしろに 露おきて 兎の妻も 寝つきかぬらん 河廼屋幸久」 |
北斎が造形的な美しさを描写し尽くすことに注力するのに対して、広重は、俳句や和歌といった文学的要素を加味しながら詩的世界を表現することを大切にしていたのでしょう。江戸の庶民はもちろんのこと、現代の私たちの心を動かす表現の豊かさは、風景画だけでなく花鳥画においても発揮されています。
花鳥画というジャンルは、江戸時代の園芸ブームがあったことが一因であるとも言われていますが、数多く残された広重の短冊の作品を見ていくと、江戸の人々に癒しを与えるもので、常に身近な生活を彩るためのものとして出版されていたと素直に捉えることも出来そうですね。
広重の中短冊の世界を満喫するのにオススメ! 短冊専用額
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これまでご紹介してまいりました広重の短冊の世界を楽しんでいただくため、アダチ版画がオススメするのが「アダチ特製浮世絵専用額(短冊)」です。
通常ご紹介している大判額(外寸55.5×40.0cm)よりもひと回り小さい(外寸50.0×32.0cm)短冊専用額です。「月に雁」など短冊の花鳥画を一番美しくみせることができるように余白を調整いたしました。
是非、秋の夜長に、広重が描いた月の短冊の詩的世界を身近に味わってみてはいかがでしょうか? |
■ 注文方法
オンラインストアでのご注文の際は、ショッピングカートに「アダチ特製浮世絵専用額(短冊)」とご希望の作品(額なし)をお選びください。ご希望の作品を額装した状態でお送りいたしますので、届いたらすぐに飾ってお楽しみいただけます!
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