6月に入り、いよいよ梅雨がやってこようとしていますね。
春、静かに降る雨を「春雨」、明るい空にふるにわか雨を「白雨」、夏の午後に降る激しいにわか雨を「夕立」と、雨を表現する言葉が様々にあるように、雨は私たちにいろいろな表情を見せてくれます。
憂鬱な気分になりがちな雨の季節、叙情豊かな雨の表情を巧みに描き上げた広重の浮世絵で楽しんでみてはいかがでしょうか。
広重・雨の浮世絵の定番!「大はしあたけの夕立」
ゴッホが模写したことでも知られる「大はしあたけの夕立」は、広重晩年の大作「名所江戸百景」の一図。
橋を大胆に上から見下ろした竪長の画面が、雨脚の激しさに加速度感を与え、対岸の安宅の御船蔵や家々がシルエットのように霞んでいる様子からも、雨の層の厚さが想像されます。
ぼんやりとかすんだ対岸と大橋とが、画面中央の隅田川の広い水面を三角形に切り取り、画面に動きを与えるとともに、雨の隅田川の水の量感を見事に示しています。
すべてにおいて無駄のない画面構成と、真に迫る夕立の描写が魅力的な定番の一枚です。 |
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オンラインストア初登場!夕暮れ時の雨を描いた団扇絵「安倍川」
駿府城の城下町として発展した静岡県・府中の宿のあたりの雨の風景を描いた「安倍川」は、「東海道河づくし」の一図。
茜色の薄いぼかしで夕暮れ時の雰囲気が演出され、遠景には安部川を渡る人々の様子も細かに描かれています。 雨が降りつける中、画面手前の旅の一行は足早に川渡へ向かいます。
街道の両脇に青々と繁茂する草から想像するに、梅雨時の風景でしょうか。爽やかに雨を描いた団扇絵は、じめじめとした梅雨の空気をも吹き飛ばしてくれそうです。
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広重「 安倍川」
通常価格 20,000円(税別)
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限定特価 絵のみ 13,000円(税別)
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荒れた天候も見事に表現!「美作 山伏谷」
広重「 美作 山伏谷」
通常価格 20,000円(税別)
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限定特価 絵のみ 13,000円(税別)
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岡山県北東部の美作国の渓谷を描いた「美作 山伏谷」は、「六十余州名所図会」の一図。
画面右手の切り立つ奇岩は、山伏の修業の場であったという険しい渓谷を描いたものと思われますが、その姿は激しい雨風に半ば隠れています。
画面上部にはぼかしで表現された黒い雲が立ち込め、画面全体を横切る大胆な風の表現からは視界をふさぐような激しい勢いが感じられます。
旅人たちも笠を飛ばされたり激しい向かい風に立ち往生したりと、臨場感あふれる作品です。
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広重「白雨」くらべ
江戸時代、日本橋は各地への街道の起点となった場所で、魚河岸もあり、活気にあふれていました。 そのため、名所絵に描かれることは多く、特に名所絵を得意とした広重は、傑作をたくさん残しています。
そのうちの一図といえるのが本図、東都名所「日本橋白雨」です。
東海道五拾三次の「庄野白雨」と並べてみると、庄野の坂を橋に換えて描いているようにも見え、構図は大変似ているようです。 そして、傘には版元名をいれるあたりも広重らしさを垣間見ることができます。
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広重「日本橋白雨」
絵のみ 13000円(税別) |
「庄野白雨」は、線というよりは、面として束で描かれることによって、激しく、そして、向かい風に拮抗していく緊張感があります。
一方、「日本橋白雨」の雨は、線で描かれ間隔もあるため、にわか雨でも柔らかい空気が画面に広がって見えます。そして中央に描かれた雨にかすんだ富士山が何とも安定感ある作品にしています。
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広重「庄野 白雨」
絵のみ 13000円(税別)
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夜の激しい雨を描いた「江戸近郊八景 吾嬬杜夜雨」
こちらは、広重の傑作に数えられるシリーズ「江戸近郊八景」の一図。もとは狂歌仲間への配り物として描かれた特注品です。 本図は現在の墨田区立花にある吾嬬神社辺りの、夜の雨の風景を描いたもの。 斜めに描かれた無数の線が、打ちつける雨の強さを物語っています。田んぼ道には幟がはためき、土手の上にはすれ違う蓑と傘の人々の姿が見えます。 強い雨風が手に取るように感じられ、広重の表現力が良く表れている一図です。
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広重「吾嬬杜夜雨」
通常価格 20,000円(税別)
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限定特価 13,000円(税別) |
まっすぐに伸びる雨の線が印象的な「江戸名所 浅草金龍山遠望」
小林清親「浅草金龍山遠望」
通常価格 20,000円(税別)
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限定特価 13,000円(税別)
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こちらは船上から浅草の金龍山を望む情景を描いた一枚。 画面の中ほどに描いた遠景の金龍山を境に、上部に空、下部には近景の舟を配し、縦長の構図の中で巧みに空間の広さを表現しています。 画面の上から下までまっすぐに伸びる雨の線が、この構図をより印象深いものにしています。
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明治の広重・清親の雨「東京新大橋雨中図」
こちらは明治の広重と呼ばれた小林清親の代表作「東京名所図」の中の一図。
「光線画」と呼ばれる西洋画の影響を受けた光と影の描き方が脚光を浴びました。
雨雲のかかる空の明暗や、水の映り込み、雨線を描かず雨を表現する描写など、それまでの浮世絵にはない表現が見られ、江戸から明治へ移り変わる時代の大きな変化が伺えるようです。
画面の端に小さく描かれた女性の後ろ姿が印象深く、物語を感じさせる作品です。
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小林清親「 東京新大橋雨中図」
通常価格 20,000円(税別)
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限定特価 絵のみ 13,000円(税別)
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現在、こちらの作品も、期間限定特別価格にてご提供中!
また、目白ショールームでも、叙情溢れるさまざまな雨の浮世絵を展示中です。 いろいろな表情を持つ日本の雨の情景が描かれた浮世絵で、今年の梅雨を楽しんでみませんか。
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