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(税別)
2013.07.12
平面な版画が立体的に! "ぼかし"の効果 |
![]() 皆さんもご存知の通り、浮世絵は木版画で作られる平面のものですが、北斎の描いた"赤富士"は、堂々と高くそびえ、立体的な広がりを感じることができ、見る者を飽きさせません。この北斎の素晴らしい表現を支えている要素の一つとしてあげられるのが摺師の技、"ぼかし"ではないでしょうか。 北斎の代表作である「冨嶽三十六景」のほとんどの作品に、画面の上部から帯状の"ぼかし"が施されています。藍をはじめとするこのぼかしを画面に加えるこ とで、空の広がりを表現することに成功しています。また、地平線などを淡く"ぼかし"を入れることで奥行きも感じられます。 |
摺師の腕の見せどころ "ぼかし" |
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![]() [仕事風景] |
![]() 摺師・仲田曰く、 |
100枚全てを同じ"ぼかし"に仕上げるには、熟練を要する大変難しい技術。まさに摺師の腕の見せどころです。 |
「赤富士」は"ぼかし"が命! |
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![]() 「北斎の赤富士は、富士の山腹の赤い部分と裾野の緑の部分が重なる部分を綺麗にぼかし合わせるのが、一番難しいところだね。赤と緑の部分が重なってしまうと色が合わさりその部分だけが重くなってしまい、富士の持つ雄大さが表現できなくなってしまうんだよ。」 |
![]() ["ぼかし"に使う色板] |
このように赤富士は、"ぼかし"を多用した作品です。特に、山腹の赤い部分と裾野の緑の部分、さらに山頂の濃い部分と、山全体に使われた"ぼかし"の技が、富士山の雄大さを表しています。 |
2013.07.10
NHK国際放送「News Line」で世界にアダチの技術を紹介。![]() 今月に入ってすぐ7月3日にNHKの国際放送「News line」で取り上げられました。 |
東京新聞では「匠が見た北斎の神髄」として赤富士の魅力を紹介!
(7/9付 東京新聞朝刊) |
![]() 毎日、多くのお客様にご来場いただいてます!このように、NHKニュースをはじめ、各メディアでご紹介いただいたこともあり、開催中の展覧会には多くのお客様にご来場いただいています。 作品をじっくりとみながら、制作に関する展示やビデオで職人の技にも触れていただき、アダチ版画ならではの展覧会をお楽しみいただいています。 (展覧会風景) |
![]() イベントも大好評!先週末、7月6日には大久保純一先生による講演会「江戸の富士」と共に第2回目の体験付実演会を開催いたしました。当日は40名を超えるお客様にご来場いただき、大変賑わいを見せました。
(好評のアンケート) そして、体験付実演会では、若手摺師京増の実演中も色々なご質問が途切れることなく、お楽しみいただきました。そして体験では、皆さんご自分だけの富士山を摺っていただきました。やはり赤富士の稜線部分は難しいようですね。力を入れすぎて白い部分に絵具をつけてしまう方が多かったようです。皆さんの笑顔、今回も撮りました! ![]() |
2013.07.09
北斎の描いた版下絵に忠実に彫る![]() 分業制の浮世絵の制作において、絵師・北斎が描いたのは、「版下絵(はんしたえ)」と言われる輪郭線だけ。北斎の思いを読み取り、版を彫り上げるのが彫師の仕事です。 [版下絵] 図上 [版下絵の線を忠実に彫る] 図下
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リズミカルな稜線が持つ緊張感![]() ![]() 彫師・新實曰く、 |
彫師の腕の見せどころ 裾野の森![]() ![]() 「筆先で無数の点を打ち、鬱蒼とした富士の森を表現しているけれど、この細かい点々の形を彫るには、刀の刃を色んな方向からリズムをもって入れていかなければならないんだ。北斎は、ただ滅多やたらに点を打っているのではなく、先ず小さな点を打っていき、続いて間を埋めるように中くらいの点を打ち、さらにその間を埋めるように大きな点を打ち......といったように、神経を遣いながら点を打つ作業を繰り返し、丹念に描いたんだろうね。だから、ここは彫師の腕の見せどころだよ。」 このように画面の随所に北斎のこだわりが垣間見られます。ただありのままに描くのではなく、どうすれば絵として面白いかを考え抜いた結果がシンプルな版下絵の中に強く込められています。観る人のことを最優先に考えた北斎のサービス精神の結晶が「赤富士」であり、だからこそ世界中の人の共感を得る名画となったのではないでしょうか。 |
2013.07.02
制約の中から生まれた究極の富士
驚愕!版木はわずか3枚、4面。「凱風快晴」の版木は、アウトラインを摺る主版(おもはん)1枚と色の部分を摺る色板(いろいた)2枚のわずか3枚。版木に使われている山桜は、当時から安いものではなかったため、主版以外の色板は両面を無駄なく使用しています。なのでこの作品は、版木4面を使い摺り上げます。
7回の摺りで完成!極少な摺り回数通常、浮世絵の制作で使われる版木の数は5枚前後、摺りの回数も、10回~20回の作品が多いのに対し、「凱風快晴」の摺り回数はわずか7回。広重の「日本橋 朝之景」と比べると一目瞭然です。まさに驚異的な数字と言えます。
このように、ただ単に手間が少ないだけでなく、数ある浮世絵の中でも当時桁違いのベストセラー作品である「凱風快晴」は、版元納得の作品です。絵柄だけでなく、制作の視点から見ても、天才絵師・北斎が生み出した赤富士は、まさに"究極の富士"と言えるでしょう。 |