アダチ版画をご利用いただいているお客様からのお問い合わせに、「浮世絵を保管するにはどうしたらいいですか?」「収納方法を教えてください」といった浮世絵の保管や収納に関するものが多くあります。

今回は、そんな皆さまからのご要望にお応えし、浮世絵の保管方法と収納方法をご紹介します。

◆ お気に入りの一枚を大切に保管する

雄大な富士山が描かれた「凱風快晴」、大迫力の波しぶきが迫りくる「神奈川沖浪裏」など、お好きな浮世絵をお持ちの方も多いかと思います。 そんなお気に入りの一枚に、シミや日焼け・カビが生えてしまったら大変です。

浮世絵をより長く楽しんでいただくためには、保管の方法が重要になってきます。

 

◆ 最適な保管場所とは?

一般的に年間を通して温度や湿度が一定の場所に保管し、特にカビを防ぐためには湿度の管理が重要といわれています。しかし、一般のご家庭で温度や湿度が一定に保つことは、なかなか難しいかと思います。

直射日光や高温多湿に弱い浮世絵は、着物を保管するときと同じように、比較的風通しの良いクローゼットや物置への保管をオススメします。

さらに除湿剤を利用することで湿度を調整し、より良い環境で浮世絵を保管することができます。

また、四季の移り変わりやお部屋の模様替えに合わせて、定期的に入れ替えることで、作品の風通しにもなり、より長く浮世絵を楽しんでいただけます。

<大切に保管したい、お気に入りの一枚>

 

◆ 整理整頓!浮世絵の収納術 ~差し替え編~

アダチ版画をご利用の方の中には、アダチ特製浮世絵専用額を1点と浮世絵を複数枚お持ちという方も少なくはないかと思います。たくさんの浮世絵を所有していると、その収納にお困りの方もいらっしゃるのではないでしょうか。

前回のコラム記事でご紹介した森様ご夫妻が、シンプルな工夫で手軽に実践されていたオススメの整理整頓術を拝見しましたので、ぜひ皆さんにもご紹介します。

専用額にお持ちのお客さまは、お届けの際に額が入っていた箱を空のまま保管されてないでしょうか。
実は、その空箱を使って手軽に収納することができます!

さらに、森様ご夫妻が工夫されていたのが、空箱の側面に「春・夏」「秋・冬」と季節を書いたシールを貼り、その中に季節ごとに分けて収納していらっしゃいました。
これなら季節ごとに浮世絵整理して保管したことで、お目当ての作品を探すのにも便利ですね。

<専用額の空箱に貼られた季節ごとのラベル>

 

お気に入りの浮世絵を大切に保管・収納する方法をご紹介した今回のコラム。ぜひ参考にしていただき、浮世絵を楽しんでいただけたら幸いです。

今後も、「浮世絵をもっと楽しむ。」情報をご紹介していきます。

アダチセレクト「話題の一枚。」

突然の激しい夕立に慌てる人々が急ぎ足で橋を渡っていく。
そんな一瞬の季節の情景を鮮やかに描いた本図は、印象派の画家ヴァン・ゴッホが模写をしたことで世界的にも知られています。

第三弾となるアダチセレクト「話題の一枚。」は、風景画の大家・歌川広重の最も有名な代表作「大はしあたけの夕立」。その見所と共に、本図が海外の美術へ与えた影響や制作に秘められた技まで3回にわたって詳しくご紹介いたします。

工夫とこだわりが詰まった、歌川広重の集大成!

本図「大はしあたけの夕立」は、江戸近郊の様々な風景を描いたシリーズ「名所江戸百景」の中の一図。隅田川の下流、幕府の御用船安宅丸の船蔵があった辺りに掛かっていた大橋を見下ろすような構図で捉え、唐突に降り出す夏の夕立の激しさを詩情たっぷりに描いた臨場感あふれる傑作です。この作品を描くにあたり広重は様々な表現の工夫を凝らしました。

Pick up!「名所江戸百景」
代表作「東海道五十三次」を始めとする全国各地の風景を描いてきた歌川広重が最晩年に手掛けた、広重の画業の集大成といえる一大シリーズ。大胆奇抜な構図と四季折々の豊かな季節感を感じさせる優れた名作が揃っています。

◎風景画の常識を破る縦長の構図

西洋でもそうですが、ほとんど風景画は横長の画面に広く描くのが定番といえるのではないでしょうか。広重自身も、30代で描いた代表作「東海道五十三次」は横長の画面で描いています。
その後、広重は試行錯誤の末、縦長の画面で風景の一部分を切り取って描く表現方法に辿り着いたといわれています。広重は最も描きたい部分を限定して画面の中に切り取ることで存在感を強調し、更に俯瞰や遠近法といった自在な視点の変化を組み合わせて、非常にインパクトのある構図を作り出しました。
この縦長の画面を最大限に生かしているのが晩年に手掛けた「名所江戸百景」シリーズ。天高くから降る雨の激しさが際立つ本図もその一つです。

歌川広重「庄野 白雨」 歌川広重「大はしあたけの夕立」
歌川広重 「庄野 白雨」 歌川広重 「大はしあたけの夕立」
<30代で描いた雨の傑作「庄野 白雨」は横長の画面> <晩年の60代に描いた本図。縦長の画面は雨の勢いが増して見える>

 

◎躍動感を与える斜めの画面構成

本図を見ると画面を斜めに横切る橋が手前に描かれ、雨に霞む遠景の対岸は橋と逆の角度でやはり少し斜めに描かれています。このジグザグとした傾きが画面に動きを与え、雨や橋の上を行き交う人々の勢いを強調しています。
写実性よりも臨場感を重視した表現方法に、感性を重視する広重の柔軟な発想が伺えます。

<ジグザグとした傾きが画面に動きを与えている>

 

◎世界で賞賛される"広重ブルー"

川の流れに入れられた濃い青のぼかし。水面の浅い水色からのグラデーションが川の深さを感じさせ、画面に自然な奥行きを与えています。

この一際目を惹く濃い青色に用いられているのが、当時、海外から新しく輸入された人工の絵具プルシアンブルーです。元々ベルリンで科学的顔料として作られたため、浮世絵においてはベロリン(ベルリン)の藍、通称「ベロ藍」と呼ばれました。
これまでの浮世絵には使われていなかった鮮やかな発色は江戸っ子の評判を呼び、それを受けて北斎や広重の風景画にも非常によく使われました。

<画面に奥行を与え、水の深さを表現する濃い青のぼかし>

水で溶いた絵具を和紙に摺りこむことで生まれる浮世絵特有のすっきりとした軽さや鮮やかな発色はが、それまでの西洋絵画の厚みのある油彩を見慣れた人々の目に新鮮に映ったのではないでしょうか。

こうして元は西洋で生まれた青色は、浮世絵を生んだ絵師・広重のセンスや職人の高度な木版技術によって、日本の浮世絵を代表する色「広重ブルー」として全く新たな評価をされるようになったのです。

<和紙に水性の絵具を摺りこむ木版画ならではの鮮やかな発色>

 

様々な工夫や拘りを込めて描かれた広重の作品は当時の江戸庶民を楽しませただけでなく、海を越えた印象派の画家たちに大きな衝撃を与えました。中でもゴッホはこの「大はしあたけの夕立」や同シリーズの「亀戸梅屋舗」を熱心に模写し、その作風にも多大な影響を受けたと言われています。
やがて空前のジャポニズムブームへと続く、彼らの驚きと熱狂の正体とは?

次回はその秘密を深く掘り下げていきたいと思います!

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16日から山口県立美術館で「大浮世絵展」が始まりました!それに際して設営のために山口へ行ってきました。

タイトル通り浮世絵の名品を日本国内および世界中から集めた本展覧会。誰もが見たことのある有名な作品が多く展示され、展示を通して浮世絵の歴史を知ることができます。
浮世絵がお好きな方はもちろん、あまり詳しくはないけど興味はあるという方のきっかけにもおすすめの展示内容となっています。


状態の良い作品が揃っているだけでなく時代ごとに展示が進み、まさに「浮世絵の教科書」という言葉がぴったりの展覧会だと感じました。
展示替えも頻繁にありますので、ぜひ何度も足を運んで見比べてみてください。同じ作品でも新しい発見があるかもしれません。

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会場の出入り口には、会期中アダチ版画研究所が出店しています!
会場へ入る前にもご覧いただけるようになっているので、ぜひ摺りたての色と比べて見ていただけると、当時の人たちが楽しんでいた浮世絵の鮮やかさを想像していただけるのではと思います。
「大浮世絵展」全3会場のうち、最後の会場となる本展覧会。ぜひお見逃しのないよう、お休みの日には足を運ばれてはいかがでしょうか。


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大浮世絵展
場所:山口県立美術館
会期:5月16日~7月13日(月曜日休館)
時間:9:00‐18:00

詳細は展覧会サイトにてご確認ください
http://ukiyoe-yma.com/

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清々しい五月晴れが快い本日、少しばかり季節を先取りし「梅雨を楽しむ浮世絵」をテーマに、目白ショールームの展示替えを行いました。

広重の傑作“雨の中津川”や梅雨時の花や蛍、蒸し暑さも忘れる爽やかな美人画など、この季節に似合うしっとりした風情のある浮世絵を集めてみました。江戸のゆったりした時間や豊かな感性に想いを馳せ、雨の描かれた浮世絵を楽しんでみませんか。

ぜひ、目白ショールームにお越しください。
https://www.adachi-hanga.com/ukiyo-e/showroom/

品質へのこだわり

品質へのこだわり

アダチの浮世絵は、手にして初めて分かる、熟練の技術と日本の伝統が詰まっています。

製作工程

制作工程

一切機械を使うことなく一枚一枚職人の手仕事により丁寧に作られている木版画です。

厳選素材・道具

厳選素材・道具

江戸当時の風情を感じられる当時の浮世絵の再現にこだわり、厳選した素材と道具を使用。

職人紹介

職人紹介

最高の作品を創り出すために、日々技術の研鑽を積む熟練の職人たち。

浮世絵の基礎知識

浮世絵の基礎知識

意外と知らない?浮世絵の世界。浮世絵の基礎知識をご紹介。