現在開催中、および10月開催のオススメ浮世絵展覧会をご紹介します!
各地で魅力的な浮世絵の展覧会が目白押しです。

 

◆ 10月のPick up!オススメ展覧会

 

さまざまな浮世絵師が理想の美人像を追い求めた「美人画の時代」の軌跡を、約230点の版画や版本・肉筆画で辿る展覧会が、東京・町田の町田市立国際版画美術館にて開催されます。

 


18世紀後半は、数々のスター絵師が活躍したいわば浮世絵の「黄金期」。この黄金期の中心となったのが、人物を美しく生き生きと描いた「美人画」でした。本展覧会では、多色摺の錦絵を生み出した鈴木春信以降、鳥居清長、喜多川歌麿など個性豊かな絵師が次々と登場し、多彩な画風が花開いていく様子がご覧いただけます。さらに、この黄金期の美人画に学んだ鏑木清方や上村松園など大正・昭和期の美人画家たちにも目を向け、黄金期の美人画の普遍的な魅力に迫ります。ぜひ足を運んでみてください!



 
町田市立国際版画美術館 (東京 町田)
美人画の時代
―春信から歌麿、そして清方へ―
10月5日(土)~11月24日(日)



◆ アダチ版復刻浮世絵の取り扱いがある美術館・博物館

下記でご紹介する美術館・博物館では、常時アダチ版復刻浮世絵をお求めいただけます。(お求めいただけない商品もございますので、ご了承ください。)

太田記念美術館 (東京 原宿)
歌川国芳 ―父の画業と娘たち
10月4日(金)~ 10月27日(日)
静岡市東海道広重美術館 (静岡 由比)
今昔東海道ステヰシヨン
8月20日(火)~ 11月24日(日)
中山道広重美術館 (岐阜 恵那)
「新版画展-浮世絵版画のその後
巴水・古邨・深水を中心に-」
9月27日(金)~12月8日(日)
 
すみだ北斎美術館 (東京 両国)
北斎没後170年記念
茂木本家美術館の北斎名品展
9月10日(火)~11月4日(月)
広重美術館 (山形 天童)
うきよえQ
8月30日(金)~10月28日(月)
信州小布施 北斎館 (長野 小布施)
【特別展】北斎没後170周年記念
すみだ北斎美術館名品展
9月14日(土)~11月10日(日)
 
MOA美術館 (静岡 熱海)
リニューアル3周年記念 名品展
第2部 桃山・江戸の華とわび
9月27日(金)~10月28日(月)
東京国立博物館 (東京 上野)
浮世絵と衣装―江戸(衣装)
9月25日(水)~10月20日(日)
 

◆ その他、オススメの浮世絵展覧会

城西国際大学水田美術館 (千葉 東金)
浮世絵でよむ南総里見八犬伝
9月17日(火)~10月12日(土)
佐野美術館 (静岡 三島)
光ミュージアム所蔵
美を競う 肉筆浮世絵の世界
9月7日(土)~10月27日(日)
茅ヶ崎市美術館 (神奈川 茅ヶ崎)
江戸の遊び絵づくし
-みかけはこわいが
遊びつくした楽しい浮世絵だ
9月7日(土)~11月4日(月)
 
山口県立萩美術館・浦上記念館
(山口 萩)
平木コレクション
にゃんとも猫だらけ
9月14日(土)~11月17日(日)
北海道立帯広美術館
(北海道 帯広)
世界を魅了した浮世絵師
北斎展 師と弟子たち
9月14日(土)~11月24日(日)
大分県立美術館
(大分 寿町)
江戸浮世絵の黄金時代
The Ukiyo-e 歌川派
9月20日(金)~10月27日(日)
豊かな実りの秋に 月を描いた浮世絵名作撰

■ぼかしの生み出す豊かな叙情「洗馬」



広重が手掛けた「木曾街道六拾九次」の中でも、最も格調高いとうたわれる「洗馬」。画面中央の川柳にかかる大きな満月、岸辺の葦をなでる夕風、家路に急ぐ船とかがみこむ船頭たちの姿に、夕暮の寂寞感がひしひしと胸に迫ってきます。


歌川広重 洗馬

歌川広重「洗馬

「洗馬」の豊かな叙情性を引き出しているのが、いくつもの「ぼかし」です。

画面右下を流れる川にご注目ください。深く濃い青色と、澄んだ薄い青色がグラデーションになっているのがわかります。ぼかしを多用することによって、川の深さや奥行きがうまく表現されているのです。

歌川広重 洗馬
歌川広重 洗馬

はるか遠くまで続く川の先には、ぼんやりと遠景が見えています。影のようにかすんで見える木々からは、その距離を測り知ることができます。

画面中央の満月が輝くのは、その遠景のさらに向こう側です。空に何層もかかる雲は満月の前にかかり、奥行きと趣を生み出しています。


広い平野に浮かぶ大きな満月を、ぼかしによって叙情豊かに表した、広重円熟期の傑作です。



■にぎわう夜の芝居町を遠近法で描いた「猿わか町夜の景」



こちらの「猿わか町夜の景」は、広重の代表作「名所江戸百景」のうちの一図。猿若町は、現在の台東区浅草六丁目付近で、江戸市中の芝居小屋が集まる芝居町でした。


歌川広重 猿わか町夜の景

歌川広重「猿わか町夜の景

歌川広重 猿わか町夜の景

夜空に浮かぶ満月には、平らな板の上で描くようにぼかしを作る「あてなしぼかし」の技法によって、うっすらと雲がかかっています。

秋の風情を感じさせるこの名作の一番の特徴といえば、やはり遠近法を用いた大胆な構図でしょう。

歌川広重 猿わか町夜の景

    
歌川広重 猿わか町夜の景

遠くまで続く芝居小屋が一点透視図法を用いて描かれており、月に照らされて帰路につく人々の足元には影が伸びています。


ゴッホの名作、「夜のカフェテラス」にも影響を与えたといわれる傑作「猿わか町夜の景」。華やかな夜の賑わいの中にも、秋特有の寂しさが感じられる趣深い作品です。


■明月と影を落とす葉とのコントラストが印象的な「葉ごしの月」



「葉ごしの月」の題名通り、滝上に張り出した枝の向こうにかかる満月が大短冊判に描かれています。


歌川広重 葉ごしの月

歌川広重「葉ごしの月

こうこうと明るく大きく輝く満月に対し、手前の枝は暗く描かれ、そのコントラストによって樹木の造形が浮かび上がって見えてきます。

歌川広重 葉ごしの月
歌川広重 葉ごしの月

紅葉した葉やまだ緑の残る葉が混ざり合っており、秋のしみじみとした情緒があふれています。


縦長の構図を活かした滝の高低差や、滝に散りかかる落ち葉の儚い風情など、画面の隅々まで広重の拘りが感じられる作品です。



■秋の夜の詩情を見事に描き出した「月に雁」



1949年には記念切手として発行されたことでも有名な本図。まばゆい月を背景に空から舞い降りてくる3羽の雁を、「葉ごしの月」より一回り小さい中短冊判に描いた傑作です。


歌川広重 月に雁

歌川広重「月に雁

歌川広重 月に雁

左右から藍のぼかしを交錯させ、立体感を作り出しています。幾重にも盛り上がった雲はまるで飛行機に乗って上空から眺めているかのようです。



冴え冴えと輝く満月、静かに流れる蒼い雲、そして三羽の落雁。澄み渡った秋の空遠く、物悲しげな雁の声が聞こえてくるようにさえ感じられます。

「こむな夜か 又も有うか 月に雁」の賛の通り、一度きりと思えるほど美しい、忘れえぬ夜の光景を描き出した名作です。

歌川広重 月に雁

■丹念な描写によって生まれる臨場感「高輪之明月」



こちらも秋の風景には欠かせない月と雁が描かれた一図。江戸の交通の中心であった日本橋を出発し、品川の手前まで来ると江戸湾の眺望が開けるところ、高輪の情景を描いた作品です。


歌川広重 高輪之明月

歌川広重「高輪之明月

歌川広重 高輪之明月

夕暮れ時の空には大きな白い満月がのぼり、雁の群れが飛んでいます。


俯瞰的に風景を捉え、前景を大きく描く大胆な構図が印象的で、湾曲した海岸線や空の藍色と海の藍色のぼかしが画面に果てしない奥行きを生み出しています。独特のあたたかな色合いや、帯状に伸びた紅色の雲が静かな哀愁を演出する名作です。

豊かな実りの秋に 月を描いた浮世絵名作撰

■「お月見」が広まった江戸時代

今も広く親しまれている「お月見」。十五夜の日にすすきを飾り、月を眺めながらお団子を食べる行事は、日本人なら一度は経験したことがあるのではないでしょうか。

この秋に月を愛でる慣習が庶民にまで浸透したのは、実は江戸時代だと言われています。
中秋の名月を鑑賞する風習は、中国から日本にやってきました。はじめに平安時代の貴族の間に取り入れられ、次第に武士や町民に広まっていったとされています。その後、お月見は収穫祭と結びつき、庶民へと広まりながら現在の十五夜の形式へと発展したそうです。

江戸の庶民の文化を色濃く反映した浮世絵には、観月を楽しむ江戸の人々の姿や、美しい月の情景が多く描かれています。


■お月見にすすきを供えて 「鏡台の秋月」


鈴木春信 座敷八景 鏡台の秋月

鈴木春信「鏡台の秋月
通常価格  20,000円(税別)

限定特価 絵のみ 13,000円(税別)
本図は日常の生活を風景に見立てて描いた春信の代表シリーズ「座敷八景」の内の一図。

江戸時代中期の俳人で、絵暦交換会の主催として錦絵誕生のきっかけを作った人物でもある大久保巨川の依頼により制作されたもので、画中の豪華な屏風には「巨川」の文字が見えます。
振袖を着て髪を結いあげられている娘の前に置かれた鏡台は、秋空に浮かぶ月を見立てたもの。 鈴木春信 座敷八景 鏡台の秋月

鈴木春信 座敷八景 鏡台の秋月
窓の外には十五夜の日、収穫に感謝して黄金色の穂を垂らした稲に見立ててお供えする「すすき」をのぞかせており、秋の風情を感じさせます。

画面内には描かれていませんが、開け放たれた窓の外にはきっと美しい秋の月が浮かんでいることでしょう。当時の人々の日常や、秋の暮らしの様子も見えてくる趣深い作品です。


■江戸の粋な遊び 「道潅山虫聞之図」



秋の夜といえば、「月」と「虫の声」は欠かせないものですが、秋に虫の声を楽しむという風習は古くから楽しまれていました。
江戸時代には、外へゴザと酒を持って出かけては虫の音を聞く「虫きき」が、粋で風流な秋の遊びとされていたそうです。そんな「虫きき」の様子を描いたのが、本図「道潅山虫聞之図」。

歌川広重 道潅山虫聞之図
歌川広重「道潅山虫聞之図
通常価格  20,000円(税別)

限定特価 絵のみ 13,000円(税別)

歌川広重 道潅山虫聞之図 本図で描かれている谷中の道灌山は「虫きき」の名所として多くの人々で賑わっていた場所。
  歌川広重 道潅山虫聞之図
虫かごをもって「虫きき」へ出かける親子や、丘の上で月見酒に興じる男たちが描かれており、当時の人々が観月を楽しむ様子が広重の描写力によってありありと伝わってきます。

品質へのこだわり

品質へのこだわり

アダチの浮世絵は、手にして初めて分かる、熟練の技術と日本の伝統が詰まっています。

製作工程

制作工程

一切機械を使うことなく一枚一枚職人の手仕事により丁寧に作られている木版画です。

厳選素材・道具

厳選素材・道具

江戸当時の風情を感じられる当時の浮世絵の再現にこだわり、厳選した素材と道具を使用。

職人紹介

職人紹介

最高の作品を創り出すために、日々技術の研鑽を積む熟練の職人たち。

浮世絵の基礎知識

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意外と知らない?浮世絵の世界。浮世絵の基礎知識をご紹介。