■「お月見」が広まった江戸時代
今も広く親しまれている「お月見」。十五夜の日にすすきを飾り、月を眺めながらお団子を食べる行事は、日本人なら一度は経験したことがあるのではないでしょうか。
この秋に月を愛でる慣習が庶民にまで浸透したのは、実は江戸時代だと言われています。
中秋の名月を鑑賞する風習は、中国から日本にやってきました。はじめに平安時代の貴族の間に取り入れられ、次第に武士や町民に広まっていったとされています。その後、お月見は収穫祭と結びつき、庶民へと広まりながら現在の十五夜の形式へと発展したそうです。
江戸の庶民の文化を色濃く反映した浮世絵には、観月を楽しむ江戸の人々の姿や、美しい月の情景が多く描かれています。
|
|
■お月見にすすきを供えて 「鏡台の秋月」

鈴木春信「鏡台の秋月」
通常価格 20,000円(税別)
↓
限定特価 絵のみ 13,000円(税別) |
本図は日常の生活を風景に見立てて描いた春信の代表シリーズ「座敷八景」の内の一図。
江戸時代中期の俳人で、絵暦交換会の主催として錦絵誕生のきっかけを作った人物でもある大久保巨川の依頼により制作されたもので、画中の豪華な屏風には「巨川」の文字が見えます。 |
振袖を着て髪を結いあげられている娘の前に置かれた鏡台は、秋空に浮かぶ月を見立てたもの。 |

|
|
窓の外には十五夜の日、収穫に感謝して黄金色の穂を垂らした稲に見立ててお供えする「すすき」をのぞかせており、秋の風情を感じさせます。 |
画面内には描かれていませんが、開け放たれた窓の外にはきっと美しい秋の月が浮かんでいることでしょう。当時の人々の日常や、秋の暮らしの様子も見えてくる趣深い作品です。 |
|
■江戸の粋な遊び 「道潅山虫聞之図」
秋の夜といえば、「月」と「虫の声」は欠かせないものですが、秋に虫の声を楽しむという風習は古くから楽しまれていました。 江戸時代には、外へゴザと酒を持って出かけては虫の音を聞く「虫きき」が、粋で風流な秋の遊びとされていたそうです。そんな「虫きき」の様子を描いたのが、本図「道潅山虫聞之図」。 |
 |
歌川広重「道潅山虫聞之図」
通常価格 20,000円(税別)
↓
限定特価 絵のみ 13,000円(税別) |
|
本図で描かれている谷中の道灌山は「虫きき」の名所として多くの人々で賑わっていた場所。 |
|
 |
虫かごをもって「虫きき」へ出かける親子や、丘の上で月見酒に興じる男たちが描かれており、当時の人々が観月を楽しむ様子が広重の描写力によってありありと伝わってきます。 |
|
|