現在開催中、および7月開催のオススメ浮世絵展覧会をご紹介します!
各地で魅力的な浮世絵の展覧会が目白押しです。
事前予約制になっている場合もございますので、各公式HPに記載の最新情報をご覧になってから、お気をつけてお出かけください。

 

◆ 7月のPick up!オススメ展覧会

 

本企画展は日時指定入場制にて開催されます。

 


日本でも有数の浮世絵コレクションを持つ太田記念美術館、日本浮世絵博物館、平木浮世絵財団。日本の三大浮世絵コレクションとも言えるこれらの中から、選りすぐりの浮世絵約450点が展示される本企画展。浮世絵の祖・菱川師宣に始まり、春信や歌麿、そしてもちろん北斎や広重など、総勢約60名の絵師たちの代表作が展示されています。中には重要文化財・重要美術品として指定されている作品や、各コレクション秘蔵の名品が出展されているため、浮世絵ファン必見です。浮世絵の歴史を網羅したラインナップで、各時代を辿りながら知識を深めることができる構成となっており、今夏注目の浮世絵展覧会です!

また会場では、アダチ版復刻浮世絵もお買い求めいただけます。ぜひ足を運んでみてくださいね。



 
東京都美術館 (東京 上野)
The UKIYO-E 2020
日本三大浮世絵コレクション
7月23日(木・祝)~9月22日(火・祝)



◆ アダチ版復刻浮世絵の取り扱いがある美術館・博物館

下記でご紹介する美術館・博物館では、常時アダチ版復刻浮世絵をお求めいただけます。(お求めいただけない商品もございますので、ご了承ください。)




太田記念美術館 (東京 原宿)
太田記念美術館コレクション展
7月1日(水)~7月26日(日)

※チラシ画像より会期変更

すみだ北斎美術館 (東京 両国)
大江戸歳事記
6月30日(火)~8月30日(日)



信州小布施 北斎館 (長野 小布施)
ジャポニズムの源流 北斎漫画
6月20日(土)~8月30日(日)
 

事前予約制

東京国立博物館 (東京 上野)
浮世絵と衣装 江戸
7月21日(火)~



東海道広重美術館 (静岡 由比)
これも五十三次
~広重が描いた三つの東海道~
3月31日(火)~8月23日(日)



広重美術館 (山形 天童)
夏 涼と青
7月3日(金)〜7月27日(月)

◆ その他、オススメの浮世絵展覧会


※チラシ画像より会期変更

森アーツセンターギャラリー
(東京 六本木)
おいしい浮世絵展
7月15日(水)~9月13日(日)



岡田美術館 (神奈川 箱根)
北斎の肉筆画 ―版画・春画の名作とともに―
4月5日(日)~9月27日(日)



和泉市久保惣記念美術館 (大阪 和泉)
浮世絵師 歌川派列伝―国貞・広重・国芳―
6月27日(土)〜9月6日(日)
 

事前予約制

藤沢市藤澤浮世絵館 (神奈川 藤沢)
御上洛東海道と幕末の浮世絵(前期)
6月16日(火)〜7月5日(日)



那珂川町馬頭広重美術館 (栃木 那珂川)
東海道五十三次の旅
7月7日(火)〜 2020年8月10日(月)



ふじのくに茶の都ミュージアム (静岡 金谷)
浮世絵・蘭字にみるお茶の世界
7月23日(木・祝)~10月5日(月)
広重から清親へ 風景画の巨匠が描く雨の風景

■広重作品の叙情性の秘密 ~制作の視点から読み解く~

前回の<Part 1>では、色面と摺師の技を駆使することで「奥行き」そして、広重の抒情的な深みが生まれていることを摺の工程と共に、ご紹介いたしました。本日は、いよいよ作品のメインテーマである「雨」がどのように表現されているか、制作の視点から紐解いていきたいと思います。
>> 前回のおさらいはこちら


同じ「広重の描く雨」といっても、作品によって大きく描かれ方が異なります。
「伯耆大野 大山遠望」と「大はしあたけの夕立」の雨の描写はどのようになっているでしょうか。
それぞれの違いを見比べてみましょう。

歌川広重 伯耆大野大山遠望 「伯耆大野 大山遠望」では、雨線はあまり多くなく、色も薄い灰色で摺られています。雨の中農作業に励む人々の様子や、霞んだような遠景も考えると、静かに降り続く霧雨のような印象を受けますね。
歌川広重「伯耆 大野 大山遠望

歌川広重 大はしあたけの夕立

一方で「大はしあたけの夕立」では細かな雨線が無数に描かれています。色は比較的濃い墨で摺られており、上空にも暗い雲が立ち込めています。急に降り出した強く激しい夕立の様子が臨場感たっぷりに描かれています。
歌川広重「大はしあたけの夕立


■異なる二種類の雨の版木比べ

ここで、この雨の部分を摺る版木を見てみましょう!まずは、「伯耆」は1枚であるのに対し、「大はし」は2枚の版木が使われているのがわかりますね。そして、雨の密度の違いが反映されて、線も間隔が狭く彫られています。

歌川広重 伯耆大野大山遠望   歌川広重 伯耆大野大山遠望
歌川広重 伯耆大野大山遠望   歌川広重 伯耆大野大山遠望
「伯耆大野大山遠望」
間隔も広く、雨が交差する部分も1枚の版木に彫ってあります。雨の色は胡粉(白い絵具)に、墨を少し混ぜた薄い灰色で摺られており、より柔らかな表現になります。
  「大はしあたけの夕立」
間隔は狭く、角度が微妙に異なる無数の直線のみを2枚に分けて彫ってあります。濃い墨と薄い墨で摺っていくことによって、雨に立体感が生まれ、降りしきる雨の描写がより強調されます。



大はしあたけの夕立 版木 ここがポイント!緻密な線を彫り上げる熟練の技
版木に1円玉を置いてみると、その細かさは一目瞭然。
この無数のまっすぐな線は、もちろん定規などを使っているわけではありません。これほどの線を少しの狂いもなく彫り上げるとなると、熟練の高い技術が必要となります。


同じ「雨」でも、描く場面の違いに応じて、それぞれの雰囲気を表現するために、色や線など、全く違うアプローチで制作されていることが分かっていただけたかと思います。
それでは、最後に、前回ご紹介した「大はしあたけの夕立」の摺の工程の続きをご紹介いたします。2枚の版木で摺り重ねられて生まれる名作誕生までの最後の工程をご覧ください!

■主題として描かれた雨の「線」の表現

歌川広重 大はしあたけの夕立 前回の配信では、「大はしあたけの夕立」において「面」で表現された対岸の景色のシルエットが、作品に奥行きと叙情性を生み出す重要な要素である、ということをお伝えいたしました。

これが、作品に「雨」が表現される前の段階です。

ここに雨の「線」の表現が加えられることによって、画面に更なる奥行きと立体感が生まれます。

歌川広重 大はしあたけの夕立
本図の主題でもある「雨」。先ほどご紹介したように、本図の雨の版木は2枚に分かれており、まずは1枚目の版木を薄い墨で摺ります。

歌川広重 大はしあたけの夕立
次に、少し濃い墨で、2枚目の版木を摺ります。
緻密な雨の線の重なりが、たった二枚の版木だけで構成されているようには思えない複雑な雨の描写を生み出しています。

ここがポイント!
雨を摺るのにも、力の加減によって、濃淡や線の太さが全く変わってきてしまい、作品の印象が全く変わってしまいます。また、一度に100枚程度を摺るため、それをすべて同じように摺るためには、熟練の技術を要します。

歌川広重 大はしあたけの夕立 残りの部分を摺って完成。
対岸の遠景の手前に、はっきりとした濃い雨の線が摺られることによって、画面の奥行きが増し、また、雨の存在感がより強調されてみえます。


広重が描いた「雨」を表現するために、作品によって様々な工夫がなされているのをここまでご覧いただきました。
絵師の思い描く世界を最大限表現するために必要なのが、高度な職人の技術です。彫師・摺師が作品の主題を読み解き、作品に合わせて、技を遺憾なく発揮することで、人々を魅了する名作を生み出すことができるのです。


歌川広重 伯耆 大野大山遠望 「伯耆大野大山遠望」では、絵の具をきめ込みすぎず、のせるように摺っていくことで、霧雨のように降る優しい雨が表現されます。


2回に渡ってアダチ版画独自の視点からご紹介してきた、広重の「雨」の作品。
広重作品の持つ豊かな叙情性は、広重が浮世絵制作が分業制である利点を充分に理解していたからこそ、生み出されたものなのではないでしょうか。

>> 季節のうつろいを浮世絵で感じる~広重から清親へ 風景画の巨匠が描く雨の風景~

広重から清親へ 風景画の巨匠が描く雨の風景

■広重作品の叙情性の秘密 ~制作の視点から読み解く~

広重の風景画はどれも詩的な趣や叙情性を高く評価され、今でも風景画の名手としてその名を広く知られています。それでは、なぜ広重の作品はこれほどまでに叙情性に溢れ、人々の心を惹きつけるのでしょうか。現在雨の浮世絵の企画でご紹介している2つの作品の制作工程を通して、広重作品の抒情性の秘密を見ていきましょう。


歌川広重 伯耆大野大山遠望 歌川広重 大はしあたけの夕立
歌川広重「伯耆 大野 大山遠望 歌川広重「大はしあたけの夕立


■雨も山も見当たらない?!広重作品の版下絵

まずは、霧雨を描いた「伯耆大野 大山遠望」と夕立を描いた大はしあたけの夕立」の「版下絵」を見てみましょう。「版下絵」というのは、絵師が描く版画のための下絵のこと。浮世絵版画の場合には、色のついた完成図を絵師が描くのではなく、墨一色の線のみで描いたものが原稿となり、色の部分は、後から色ごとに指定していくことになります。2図ともに、線で描かれている部分は少なく、版下絵を見ただけでは完成する作品の全体像が読みとれません。


歌川広重 伯耆大野大山遠望 歌川広重 伯耆大野大山遠望 歌川広重 大はしあたけの夕立 歌川広重 伯耆大野大山遠望

こちらは葛飾北斎「神奈川沖浪裏」の版下絵。広重の版下絵と比べると、北斎は、細かい部分まで線を描いており、版下絵を見ただけで、作品の完成図がだいたい想定できます。

k葛飾北斎 神奈川沖浪裏

絵師によっても「版下絵」そして版画の作り方、絵の見せ方が異なるのがこれだけでもわかりますね。
広重の「線」で描かれていない部分は、どのように作られるのかというと、「色板」と呼ばれる、色ごとに分けられた板を用いて、一色ずつ「面」として表現されることになります。
それでは実際にどのように表現されているのか、摺の工程とともに見ていきましょう。


■職人の技術が生きる 「面」の表現

歌川広重 伯耆 大野大山遠望

浮世絵では初めに輪郭線を摺り、その後一色ごとに摺り重ねていきます。

これは「伯耆大野大山遠望」の輪郭線と、農作業をする人々の傘と蓑の部分が摺られている段階です。まだ、背景の山や雨は表現されていません。


背景の部分を摺っていきます。
いくつかに分けられた色の板を使い、濃淡を巧みに表現していきます。また、本図では「ぼかし」の技法が多く使われています。

歌川広重 伯耆 大野大山遠望

歌川広重 伯耆 大野大山遠望

摺り上がりを見ると、山や木々などの比較的大きな対象物に輪郭線がとられていないため、作品の印象も柔和で繊細な印象となります。


そして、もう1図「大はしあたけの夕立」のシンプルな版下絵の状態から、奥行きのある抒情豊かな名作に仕上がるのかを摺の工程をふまえ、ご紹介いたします。



■「大はしあたけの夕立」摺師の高度な技術から生まれる作品の奥行き

本図では手前に描かれた橋の遠景に、夕立で霞む対岸の景色が描かれていることにより、画面に奥行き生まれ、作品により抒情的な深みを持たせています。
「大はしあたけの夕立」の20回近くの摺工程の中から抜粋した5つの工程を以下にご覧ください。奥行きの変化が一目瞭然です。


歌川広重 大はしあたけの夕立 歌川広重 大はしあたけの夕立 歌川広重 大はしあたけの夕立
1. アウトライン 2. 手前の橋に色が入りました 3.背景の川と空の部分に
色板の面で色が入りました

歌川広重 大はしあたけの夕立 歌川広重 大はしあたけの夕立

上空に立ち込める暗い雲を、濃い墨を用いて表現しています。
前回のメールマガジンでもご紹介しましたが、「あてなぼかし」と呼ばれるこの技法は、平らな板の上に刷毛で雲の形を描くように絵の具をのせて摺る技法。すべて同じ形に摺るためには、熟練の高度な技術が必要となります。


歌川広重 大はしあたけの夕立

そして薄い墨を用いて、対岸の遠景が摺られていきます。シルエットのみで表現されるこの情景により、作品に一気に奥行きが生まれるため、制作においても大変重要な工程となります。


歌川広重 大はしあたけの夕立

この対岸の部分の版木です。この板を使って、二回の摺を行います。
一度目の摺で対岸部分全体を摺り、二度目の摺で上部にぼかしをかけていきます。


また、彫りにも注目をすると、実は対岸にある木々や建物のシルエットまで、細かく表現されていることがよく分かります。
作品に深みを持たせる重要な部分だからこそ、摺師の高度な「ぼかし」の技術が加わることによって魅力的な遠景を作りだしているのです。


歌川広重 大はしあたけの夕立

このように、広重の作品にみられる「奥行き」のある抒情性あふれる表現の裏には、木版構造や技法が大きく影響していることがご覧いただけたと思います。広重は、線だけでなく色面をどのように使うか、そして摺師の技術をどう活用するかを考えて「版下絵」を描いていたのでしょう。

次回は、いよいよ「雨」の表現についてご紹介していまいります。「伯耆大野 大山遠望」と「大はしあたけの夕立」どのような違いがあるのかも必見です!どうぞお楽しみに。

>> 季節のうつろいを浮世絵で感じる~広重から清親へ 風景画の巨匠が描く雨の風景~


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サイズを2種ご用意しました。(iPhone以外の機種でも画面の縦横比が近ければご利用いただけます。)ご希望の作品名の下の文字をクリックし、表示された画像を端末に保存して待受画面などに設定ください。

※画像はアダチ版画研究所が制作した復刻版浮世絵を使用しています。
※個人で楽しむ範囲でご利用ください。商用利用、再配布禁止。

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厳選素材・道具

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職人紹介

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