アダチセレクト 話題の一枚
喜多川歌麿「蚊帳」-Part2. 後編-


アダチセレクト・話題の一枚、第2回目は喜多川歌麿の傑作「蚊帳」を取り上げています。前編では、歌麿の描く美人画の魅力、そして「蚊帳(かや)」というアイテムに込められた思いなどについてお話ししました。

今回お届けする後編では、美人画の大家・喜多川歌麿とその生みの親である版元・蔦屋重三郎(つたやじゅうざぶろう)の2人が江戸浮世絵界にもたらした美人画革命に焦点を当ててお話ししたいと思います。




喜多川歌麿「蚊帳




■ 版元&敏腕プロデューサー・蔦屋重三郎

今回ご紹介する歌麿の傑作「蚊帳」は、版元・蔦屋重三郎(蔦重)の元から出版された作品です。歌麿の作品の多くはこの蔦屋から出版されており、その中には歌麿の代表作とされるものが多く残されています。

版元・蔦屋重三郎とは、どんな人物だったのでしょうか?
蔦屋重三郎は、歌麿より3年ほど前の1750年に吉原に生まれたと言われています。1774年から、「吉原細見(よしわらさいけん)」という吉原のガイドブックのようなものの出版・販売に関わるようになってから、新しいビジネススタイルで江戸の出版界に頭角を表していきました。蔦重の仕事は単なる出版・販売にとどまらず、「吉原細見」を読み手目線に大胆にリニューアルしたり、出版物の序文を人気作家に書かせたり、出版の枠を超え、まるで現在のプロデューサー業のよう。そうして出版界に新風を巻き起こした蔦重は、次々とヒット作を飛ばし、1783年には吉原の店だけでなく、日本橋にも出店し、出版界でも一目置かれる存在となっていきました。



■ 美人画の大家・喜多川歌麿 誕生
そんな蔦重が次代の絵師として目を付けたのが、喜多川歌麿(1753年? - 1806年)でした。
歌麿の名が人々に知られるようになったのは、1788年頃から蔦屋が出版した、当時流行していた狂歌に、花鳥画を合わせた狂歌絵本「画本虫撰(えほんむしえらみ)」、「汐干のつと(しおひのつと)」、「百千鳥(ももちどり)」の挿絵でした。それらは、対象物を写実的に緻密に描いたもので、現在知られている"美人画の歌麿"とは全く違う、けれども歌麿の実力を見せつけるには十分な作品でした。
喜多川歌麿 百千鳥「鷹に百舌」



■ 女性の上半身にフォーカスした「大首絵」を考案

この蔦屋から出版された狂歌本の挿絵で成功を収めた歌麿は、その後、蔦重と組んで次々と新しい美人画を発表していきました。その中でも江戸で大きな話題となったのが、「大首絵(おおくびえ)」と呼ばれる、人物の上半身にフォーカスして描いた浮世絵です。元々、役者絵に使われた表現方法でしたが、歌麿と蔦重はそれを美人画に応用したのです。上半身にフォーカスすることで、これまでよりも大きく描けるようになった女性の顔。歌麿は、そこに女性一人一人の内面や性格などを描き出していきました。それまでは絵師の好みで描かれてきた女性像が、歌麿によって実在する女性となったのです。

       
  喜多川歌麿
物思恋

<シリーズ「歌撰恋之部(かせんこいのぶ)」の一枚で、頬杖をつき物思いに耽る女性を描いています。>
  喜多川歌麿
川岸(かし)

<シリーズ「北国五色墨(ほっこくごしきずみ)」の一枚で、気の強そうな下層遊女を描いています。>
  喜多川歌麿
難波屋おきた

<シリーズ「高名美人六歌撰(こうめいびじんろっかせん)」の一枚で、おもてなし精神に溢れた水茶屋・難波屋の看板娘おきたを描いています。>
 

また、大きく描かれた女性の顔や髪の生え際などをより細かく表現するために、彫師もこれまで以上に精度の高い彫の仕事が求められるようになり、木版の技術も大いに進歩していきました。  
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■ 寛政の改革の元で生み出したヒット作の数々

しかし、時は寛政。質素倹約に重きを置いた改革が始まり、娯楽を含む風紀の取締まりが厳しくなっていく中、出版業界にも様々な規制が課されました。しかし、どんな時にも蔦重と歌麿コンビが目指していたのは、女性をより美しく見せること。その思いによって、二人は幕府の規制に対抗するように、次々と新しい美人画の可能性を切り開いていきました。

↑クリックで拡大   その一つが、(雲母)キラの背景を施した美人画です。浮世絵を簡素化しなければいけないという幕府のお達しに対して、2人が考え出したのは、背景に何も描かない代わりに、雲母の粉を引いてきらきら光らせた背景でした。


       
  喜多川歌麿
娘道成寺

<シリーズ「当世踊子揃(とうせいおどりこぞろい)」の一枚で、娘道成寺を踊る若く美しい娘を描いています。>
  喜多川歌麿
高島屋おひさ

<寛政三美人にも数えられた、水茶屋・高島屋の看板娘を女房姿で描いています。>
  喜多川歌麿
ビードロを吹く娘

<シリーズ「婦女人相十品(ふじょにんそうじっぽん)」の一枚で、流行の市松模様の振袖に身を包んだ若々しい少女が描かれています。>
 


この背景にキラ引き(きらびき)が施された歌麿の美人画は、江戸の大ヒット商品となりました。
キラの背景以外にも、今回取り上げている「蚊帳」に見られるような、透かしたものを通して女性の美しさを引き出したり、空摺などによって女性の肌の柔らかさを表現したり、制約の中での試行錯誤から様々な表現方法を生み出していきました。


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<背景以外の人物の部分が隠れるように渋皮の型紙をあて、雲母(きら)を刷毛で引いていく「キラ引き」の様子>
  <蚊帳越しに眺める美人>   <空摺で表現された
柔らかな輪郭線>


そして、それらの表現方法を用いて、実在する様々な女性の真の姿を描こうとしました。吉原の遊女の一日を2時間毎に描いた12枚のシリーズ「青楼十二時(せいろうじゅうにとき)」は、華やかな吉原の表の顔だけではなく、遊女たちがふと見せる素顔を描き出しているとして評価の高い作品ですが、これは吉原に馴染みの深い蔦重と共に活躍する歌麿だからこそ描くことのできたシリーズと言えます。

       
  喜多川歌麿
蚊帳の内外

<蚊帳を挟んで向かい合う若い男女を瑞々しく描いています。2枚の版木を使って、蚊帳の縦横の織を表現しています。>
  喜多川歌麿
未ノ刻

<シリーズ「娘日時計(むすめひどけい)」の一枚で、午後2時の町屋の娘の姿を描いています。顔の輪郭線は絵具を使わずに摺られています。(無線摺)>
  喜多川歌麿
丑ノ刻

<シリーズ「青楼十二時(せいろうじゅうにとき)」の一枚で、午前2時に手洗いへ向かう遊女を描いています。表では決して見ることのない、遊女がふと見せた素顔を描き出しています。>
 


■ 蔦重と歌麿の最期

しかし、1791年に蔦屋から出版された複数の出版物が幕府によって摘発、蔦重は財産の半分を没収されてしまいます。その後も蔦重は、幻の絵師、東洲斎写楽を売り出すなど起死回生を試みましたが、1797年に病気で亡くなりました。

東洲斎写楽「市川鰕蔵の竹村定之進」

蔦重亡き後も、歌麿は絵師として多くの美人画を描き続けましたが、1804年に禁制の画題を描いた浮世絵を出版したとして処罰され、手鎖50日の刑に処されます。それ以降、歌麿は病にかかり、2年後に失意のうちに亡くなりました。

ほぼ同じ時期に生まれ、そして同じような末路を辿って亡くなった、版元・蔦屋重三郎と絵師・喜多川歌麿ですが、この2人の活躍によって浮世絵美人画の歴史は大きく進化を遂げました。蔦重と歌麿の関係からわかるように、江戸の版元が担う役目は現在のプロデューサーのようなもので、出版を企画し、絵師を選び、その絵師と彫師・摺師たちを取りまとめて出版するまでの全工程に深くかかわっていたのです。蔦屋重三郎無くしては、美人画の大家・喜多川歌麿は生まれませんでした。蔦重と歌麿は、まさに浮世絵界における二人三脚の風雲児、そして革命児であったのです。

絵師 歌麿の画像:喜多川歌麿「高名美人見たて忠臣蔵 十一だんめ」18世紀 東京国立博物館蔵
出典:ColBase


「アダチセレクト・話題の一枚」第2弾、喜多川歌麿「蚊帳」後編は、美人画の大家・喜多川歌麿と敏腕版元・蔦屋重三郎の二人三脚についてお話しさせていただきました。版元の存在無くして、江戸における浮世絵の発展はあり得ませんでした。出版を企画し、企画にあった絵師・彫師・摺師を選び、出版までを取り仕切る。江戸の版元は、まさに現在のプロデューサー。そんな版元の視点から、歌麿の作品をご覧いただくきっかけになれば幸いです。




  ■ 関連作品
 
       
  喜多川歌麿
物思恋
  喜多川歌麿
ビードロを吹く娘
  喜多川歌麿
蚊帳の内外
 



  ■ テーマ別に楽しむ歌麿作品
 
       
  空摺が使われている作品   透かし表現(蚊帳・着物)  
           
       
  蔦屋から出版された作品   雲母(キラ)の作品  



そのほかの歌麿の浮世絵はこちら >>

アダチセレクト 話題の一枚
喜多川歌麿「蚊帳」-Part1. 前編-


アダチセレクト・話題の一枚は、毎回一人の絵師とその作品を取り上げ、木版制作工房としての視点なども含めながら、作品とその制作背景などをご紹介していく連載企画です。

第2回目となる今回選ばれた作品は、美人画の大家、喜多川歌麿の描いた「霞織娘雛形 蚊帳(かすみおりむすめひながた かや)」。蚊帳は部屋に虫が入ってくるのを防ぐために取り付ける網のようなもので、まだ網戸のなかったこの時代には夏の夜の風物詩的な存在でした。

蚊帳をはさんで向かい合う2人の美人を描いた、歌麿の魅力の集大成ともいえるこの作品を通して、数々の美人画の傑作を残した喜多川歌麿という絵師、そして彼の描いた作品の魅力をご紹介してまいります。

前後編でお届けする話題の一枚「蚊帳」。前編では、歌麿が本作「蚊帳」で描こうとしたものと本作の魅力について、制作の視点を交えながら迫ります。




喜多川歌麿「蚊帳




■ 美人画の大家・喜多川歌麿

喜多川歌麿(きたがわうたまろ・1753?-1806)は、江戸時代の浮世絵師。幼少より鳥山石燕に絵を学び、「浮世絵黄金期」と呼ばれる18世紀後期ごろ、表情豊かな美人画で人気を博しました。

歌麿は様々な技法を取り入れ、美人をより魅力的に表現しようと努めました。それまで役者絵に用いられてきた大首絵(バストアップ)の形式を美人画に取り入れたのも歌麿。これによって、一人一人の顔貌や表情の違いを描き分けようと試みたのです。


喜多川歌麿「当時三美人
<3人の顔貌が描き分けられています>
 



■ "透けているもの"を通して眺める美人

↑クリックで拡大   今回ご紹介する歌麿の傑作「蚊帳」は、版元・蔦屋重三郎の元から出版された「霞織娘雛形」というシリーズの中の一点です。

「霞織」という言葉は、おそらく蔦屋か歌麿の創作した造語だと考えられています。シリーズ名の「霞織娘雛形」には、「透けているものを通して美人を眺める」という意が込められているそう。

本シリーズには この「蚊帳」のほかに、「夏衣装」と「簾」の全3図という作品が知られており、そのどれもが薄い布などの透けているものの内と外に対比して美人を置く構図をとっています。
描かれたのは、歌麿が絵師としての絶頂を迎えたと考えられている寛政6~7年ごろ。代表作である「ビードロを吹く娘」とほぼ同時期の作品です。

2人の女性の上半身が描かれた本図。1人が手前、もう1人が向こう側で、蚊帳越しに向かい合って話をしているようです。手前の女性は懐紙をもっており、手水から帰ってきたところでしょうか。蚊帳の内側の女性は鬢を紐でくくり、寝床に入る準備をしているよう。リラックスした様子から、2人は親しい間柄なのでしょう。暑い夏の夜、眠りにつく前の当時の女性たちの様子が垣間見えるようですね。
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<懐紙を持っています>   <鬢を紐でくくっています>

「霞織娘雛形」というシリーズで歌麿は、「透かし見ることによって現れる女性の美しさ」を表現しています。布などによって遮られ、向こう側にいる人物がはっきりと見えないことによって、鑑賞者は隠された姿を想像し「もっとよく見たい」と強く欲するようになるのです。この好奇心は透けているものの向こう側にいる女性への興味を掻き立て、彼女をより魅力的に、美しく見せます。本作のタイトルとなった「蚊帳」というアイテムもまた、「隠されることで生まれる好奇心」を呼び起こすための舞台装置であり、奥にいる人物の美しさを増幅させるアイテムなのです。

<蚊帳を表現する彫と摺>
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美人画の彫の中で、難易度が最も高いとされるのが、顔や髪の毛などの頭彫り。浮世絵版画は色を付けたい部分だけ残して板を彫る「凸版」ですから、この部分の緻密な彫は、一流の職人にしか成しえません。中でも「毛彫」と呼ばれる髪の生え際の部分は、江戸時代には専門の職人がいたと言われている彫師の腕の見せ所です。

そして本作「蚊帳」には、もう一つ彫師の技量が存分に発揮される表現がほどこされています。言わずもがな、本図で主題として取り上げられている「蚊帳」です。
目の粗い織物独特の、透けた質感はどうやって表現されているのでしょう。女性の手前に描かれる蚊帳の部分を拡大して見てみると、細かい縦の線と横の線があるのがわかります。実際の蚊帳と同様に、縦と横の網目を作り出すことで透けた布を表現しているのです。 ↑クリックで拡大

立体感のある網目を作り出すため、本図の蚊帳は縦線を彫った板と横線を彫った板の2枚を用いて摺られています。実際に摺られた線を見てみると、その細さ約0.4mm。まっすぐで繊細な無数の線を、彫師は熟練の高い技術を持って寸分の狂いもなく彫り上げます。

本作品の中でも一番長い縦線(画面の最上部から最下部まで)を彫りあげる高度な彫師の技術をご覧ください。


彫師:岸千倉

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<蚊帳の版木(縦)> <蚊帳の版木(横)>

蚊帳の細かい線の表現は、摺師にとっても腕の見せ所です。同じ板を使って線を摺るのにも、力のかけ具合で濃淡や線の太さは大きく変わります。力加減を間違えれば、絵具が溜まってしまったり、線が太くなってしまったりと、作品の印象が全く変わってしまうのです。摺師は通常一度に100枚程度の枚数を、高度な技術によってすべて同じように摺り上げています。
↑クリックで拡大 また、人物の手前に透け感のあるものを配置する本作の工夫は、伝統木版ならではの手法とも言うことができます。浮世絵では、水性の顔料を和紙の繊維にきめ込みながら色を重ねていきます。重要なのはこの絵具。不透明な油絵具などと違い、摺った後にも下の色が透けて見えるという特徴があるのです。浮世絵版画では、透過性のある色を実際に重ね合わせていくことによって、手前の透けているものと奥の人物という構図を作り上げることが可能なのです。




■ 個性あふれる美人たち

描かれている美人にも注目してみましょう。本来美人画は、絵師ごとに理想の外見があり、その型にはめてモデルを描く「典型美」の世界でした。そんな常識を覆したのが歌麿です。

歌麿の描く美人画は、「典型美」の時代の美人画に比べると、ふくよかで現実的な肉体を持っています。弾力を感じさせる肉体表現は、匂い立つような色気を醸し出します。
蒸し暑い夏の日、襟元に手をやり、涼をとろうとする女性。このしぐさに、何とも言えない色香を感じませんか?
 
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  歌麿は、女性のうなじの美しさにクローズアップした作品も残しています。
「襟おしろい」は、鏡を見ながらおしろいを塗る女性を後ろからのぞき込むような構図で描いた作品です。まさに「典型美」の時代には見られなかった歌麿らしい艶っぽい表現ですね。




喜多川歌麿「襟おしろい


もともと遊女や芸者を題材とすることが多かった美人画というジャンル。
しかし歌麿が描いた美人は吉原の娘たちだけに留まりませんでした。彼は、美人と評判の茶屋娘から、働く女性、高級遊女までありとあらゆる世代・身分の女性たちの姿を描いています。そしてその一人一人に事細かなキャラクター設定がなされ、ちょっとした仕草や表情の中に喜怒哀楽を表わしているのも特徴です。歌麿は絵の主人公となる美人に愛すべき個性を持たせ、血の通った人間としてリアリティを持って描きました。
 
喜多川歌麿「難波屋おきた
<江戸評判の町娘を描いた「難波屋おきた」>
  喜多川歌麿「髪梳き
<髪結い職人として働く女性を描く
「婦人手業拾二工 髪梳き
(ふじんてわざじゅうにこう かみすき)」>

本作「蚊帳」で描かれている2人の美人も、理知的な雰囲気の手前の女性と、穏やかでかわいらしい蚊帳の奥の女性という風に、それぞれの魅力が描き分けられています。
↑クリックで拡大   ↑クリックで拡大
<穏やかな表情のかわいらしい女性>   <理知的で目元涼やかな美人>



連載企画「アダチセレクト・話題の一枚」の第2弾、喜多川歌麿「蚊帳」。Part1である今回は、本作に凝縮された歌麿の魅力についてお話してきました。お楽しみいただけましたでしょうか? 次回Part2では、歌麿を世に送り出した名プロデューサー蔦屋重三郎や彼らが生み出した様々な美人の表現など、美人画の大家・歌麿誕生の背景に迫ります。どうぞお楽しみに!




  ■ 関連作品
 
       
  喜多川歌麿
襟おしろい
  喜多川歌麿
当時三美人
  喜多川歌麿
髪梳き
 



  ■ テーマ別に楽しむ歌麿作品
 
       
  空摺が使われている作品   透かし表現(蚊帳・着物)  
           
       
  蔦屋から出版された作品   雲母(キラ)の作品  



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■スマートフォンで江戸デザインを楽しんで

    
アダチ版復刻浮世絵によるスマートフォン用の壁紙は、季節の移ろいとともに浮世絵を身近に感じていただけるよう、陰暦の月替りに合わせて公開しています。陰暦3月の今回は、歌麿の代表作「ビードロを吹く娘」。江戸時代の人々にとって、ファッションアイコンでもあった歌麿の美人画の少女が着ているのは、桜花が散るピンクの市松模様(チェック)の着物。洗練された江戸デザインは、スマートフォンの液晶画面にも不思議なほど馴染みます。(国際版のダウンロードページはこちら) 
また、オンラインストアの企画「話題の一枚」でも、歌麿の美人画をピックアップ! ファッショナブルな江戸美人をお楽しみください。
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スマホ用壁紙(2021年4月版)ダウンロードはこちら
※画像はアダチ版画研究所が制作した復刻版浮世絵を使用しています。
※個人で楽しむ範囲でご利用ください。商用利用、再配布禁止。


アダチ版画研究所のスマホ用浮世絵壁紙は
①あらゆるスマホの画面の縦横比に対応できる
②カレンダー型を希望する方/しない方の双方の需要に応える
という2つの課題をクリアするため「お客様のお好みで画像をトリミングしていただく」というスタイルを採用しています。
お客様にお手間をかけることにはなりますが、上記リンク先の画像を保存の上、こちらの使用例をご参照いただき、ぜひご自身のお好みに合わせてご活用ください!


  


スタッフ(iPhone12miniを使用)が実際にスマホのロック画面(左・カレンダーあり)とホーム画面(右・カレンダーなし)に設定してみたのが下の画像です。さまざまな機種に対応できるよう、今後も改善を重ねていきたいと思います。ぜひご意見・ご感想をお寄せください。

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■この壁紙に使用されている作品は?


今回、壁紙に使用した作品は、美人画の名手・喜多川歌麿の「ビードロを吹く娘」。切手の図柄になったことでも有名な作品。ほかに「ポッピンを吹く娘」「ポッペンを吹く女」とも呼ばれています。ビードロ(ポッピン、ポッペン)は、呼気で音が出るガラス製の玩具。現在では長崎のお土産品となっていますが、当時、江戸ではかなり珍しいものだったと思います。少女は、全面にピンクの市松模様をあしらった華やかな振袖を着て、このビードロを吹いています。市松模様は、当時の人気役者が用いていたことで広まった流行柄でした。可憐な一人の少女像には、流行のファッションや話題のアイテムがギュギュっと凝縮されていて、歌麿がスタイリストとしても一流のセンスを持っていたことがうかがえます。


アダチ版復刻「婦女人相十品 ビードロを吹く娘」商品ページはこちら≫


あやめにきりぎりす■次回の配布作品:北斎「あやめにきりぎりす」
次回は5月11日、北斎の花鳥画より人気作「あやめにきりぎりす」を配布予定です。海外の方にも人気のモチーフです。お楽しみに。
  


品質へのこだわり

品質へのこだわり

アダチの浮世絵は、手にして初めて分かる、熟練の技術と日本の伝統が詰まっています。

製作工程

制作工程

一切機械を使うことなく一枚一枚職人の手仕事により丁寧に作られている木版画です。

厳選素材・道具

厳選素材・道具

江戸当時の風情を感じられる当時の浮世絵の再現にこだわり、厳選した素材と道具を使用。

職人紹介

職人紹介

最高の作品を創り出すために、日々技術の研鑽を積む熟練の職人たち。

浮世絵の基礎知識

浮世絵の基礎知識

意外と知らない?浮世絵の世界。浮世絵の基礎知識をご紹介。