◆ 5月のPick up!オススメ展覧会

 
 

福岡・太宰府の九州国立博物館では、現在「特別展 北斎」が開催されています。

 
 

日本を代表する絵師・葛飾北斎。80歳を過ぎ、病や火災、借金苦などの災難を経験した北斎が、毎朝魔除けのために描いたといわれるのが、九州国立博物館が所蔵する「日新除魔図(にっしんじょまず)」です。今回、200枚を超える圧巻の連作が全作品初公開。そして代表作『冨嶽三十六景』をはじめ、肉筆画の傑作などが一堂に会します。
90年に及ぶ長い生涯の中、数多の作品を描いた北斎の多彩な活躍を存分に感じられる展覧会です。

 
 

アダチ版画では「凱風快晴」の制作工程の展示に協力をさせていただきました。
また、会場出口付近では、アダチ版復刻浮世絵の販売もございます。展覧会にお越しの際はぜひお立ち寄りください。

 
 

九州国立博物館 (福岡・太宰府)
 特別展「北斎」 
4月16日(土)~6月12日(日)
 アダチ版復刻浮世絵の販売あり!

 

◆ アダチ版復刻浮世絵の取り扱いがある美術館・博物館

下記でご紹介する美術館・博物館では、常時アダチ版復刻浮世絵をお求めいただけます。(お求めいただけない商品もございますので、ご了承ください。) 「実際に復刻版の浮世絵を見てみたいけれど、目白のショールームまで来るのは難しい...」という方も、ぜひお近くの美術館・博物館でご覧いただければ幸いです。

太田記念美術館
(東京・原宿)
北斎とライバルたち
4月22日(金)~6月26日(日)
信州小布施 北斎館
(長野・小布施)
読本が結ぶ縁-馬琴と種彦-
4月2日(日)~6月12日(日)
静岡市東海道広重美術館
(静岡・清水)
江戸名所四日めぐり
4月5日(火)~7月10日(日)
 
東京国立博物館
(東京・上野)
浮世絵と衣装―江戸
通年展示
※本館2室では
現在「見返り美人図」も展示有
中山道広重美術館
(岐阜・恵那)
春季特別企画展「北斎百様」
3月31日(木)~6月19日(日)

すみだ北斎美術館
(東京・両国)
北斎花らんまん
3月15日(火)~5月22日(日)


◆ その他、オススメの浮世絵展覧会


アダチ版復刻浮世絵の販売あり!

サントリー美術館 (東京・六本木)
大英博物館 北斎
4月16日(土)~6月12日(日)

アダチ版復刻浮世絵の販売あり!

徳川美術館 (愛知・名古屋)
広重の旅風景 雨・雪そして人
4月10日(日)~5月22日(日)



水野美術館 (長野・長野)
浦上コレクション 北斎漫画
4月9日(土)〜5月29日(日)
 
八王子夢美術館
(東京・八王子)
最後の浮世絵師 月岡芳年展
4月8日(金)〜6月5日(日)
川崎浮世絵ギャラリー
(神奈川・川崎)
歌川国芳 木曾街道六十九次之内
4月29日(金・祝)~6月5日(日)
貨幣・浮世絵ミュージアム
(愛知・名古屋)
狂歌入東海道-江戸の遊び心
5月11日(水)~7月31日(日)


>>その他全国の浮世絵が見られる美術館・博物館情報はこちら(※「北斎今昔」内リンク)


アダチセレクト 話題の一枚
「北斎花鳥画集」-Part1. 静と動-


アダチセレクト・話題の一枚は、毎回一人の絵師とその作品を取り上げ、木版制作工房としての視点なども含めながら、作品とその制作背景などをご紹介していく連載企画です。

今回ご紹介する作品は、葛飾北斎の大判花鳥画シリーズ。現代にも通用するモダンな雰囲気を持っており、洋室にも飾りやすいと大変人気のあるシリーズです。

北斎は、 富士山、滝、橋、海、そして花鳥風月にいたるまで、この世のあらゆるもの、森羅万象の真を描き出すことに執念を燃やしてきた絵師です。本シリーズのテーマである花鳥画に挑むにあたり、北斎は自然界をどのようなまなざしで見つめ、いかにして描き出そうとしたのでしょうか。前編と後編の2回にわたり、北斎の自然表現と作品の持つモダンな雰囲気の秘密に迫ります。




葛飾北斎「北斎花鳥画集 全10図




■ ジャポニスムにも影響を与えた 北斎の「花鳥画」シリーズ

この花鳥画シリーズは、北斎の代表作「冨嶽三十六景」と同時期に、同じ版元・西村永寿堂から出版されました。
幕末に海を渡った浮世絵は、西洋のアーティストやデザイナーに大きな影響を及ぼしましたが、特にこの北斎の花鳥画は、ガラス器や宝飾品など数々の美術工芸家に感銘を与えました。当時の最先端であったガラス工芸家のガレ、ドーム、ラリックなどのデザインに取り入れられ、世界的にも高い評価を得ています。

エミール・ガレがデザインした花瓶と家具(©The Cleveland Museum of Art)と
葛飾北斎「罌粟」「あやめにきりぎりす」「桔梗に蜻蛉」(部分)


■ 計算しつくされた構図


『北斎花鳥画集』の特徴の一つとして、一色で塗りつぶした背景に、クローズアップした対象物をシンプルに配置した大胆な構図があげられるでしょう。単純な画面構成に見えますが、実はこの構図には北斎の意図や計算が数多く凝らされています。

○「静」を作り出すための構図
初夏を感じさせる青色が印象的な「あやめにきりぎりす」。中央の葉がぴんと真っ直ぐに伸びており、風の吹き止んだ瞬間の静寂を感じさせます。張りつめた空気が漂う画面の中央には、逆さにとまったきりぎりすが隠れています。

さて、この「あやめにきりぎりす」と構図に類似性の見られる世界的にも有名な北斎の作品があります。大胆で無駄のない構図と配色で雄大な富士の姿を描き出した傑作「赤富士」こと「凱風快晴」です。

葛飾北斎「あやめにきりぎりす」「凱風快晴
安定感のある三角形の構図が用いられている

『2図を並べてみてみると、どちらも裾野の広がった山型の三角形を構図に用いていることがわかります。これにより画面に安定感が生まれ、見る者に堂々とした印象を与えます。北斎は長い画業の中で身に着けた構成力によって、見事に「静」を演出しているのです。



○「動」を作り出すための構図
風に吹かれ大きくたわんだ花の様子を描いた「罌粟」。風になびく花びらまで繊細に表した描線や、ダイナミックさが魅力の一図です。こちらの「罌粟」にもまた、構図の類似性を指摘できる作品があります。北斎の最高傑作とも言われる「神奈川沖浪裏」です。

葛飾北斎「罌粟」「神奈川沖浪裏
2図を重ねてみると...

大波がしぶきをあげながら押し寄せてくる、まさしく「動」の瞬間をとらえた「神奈川沖浪裏」と、風に揺れるさまを描いた「罌粟」。この2作品を重ねてみると、なんと「神奈川沖浪裏」の大波と、「罌粟」の花のカーブとがピッタリと重なります。
生涯を通じて追求した「波の表現」によって獲得した構図の躍動感を応用し、北斎は「罌粟」の画面の中に風を生み出しているのです。

本シリーズに見られる「静」「動」を演出する革新的な構図は、北斎がそれまで約半世紀に及ぶ不断の努力によって培った、北斎ならではの効果的な絵づくりの法則の集大成だったのではないでしょうか。 



■ 「静」と「動」で移りゆく自然の姿を捉える

「あやめにきりぎりす」と「罌粟」を例にあげましたが、シリーズ内の10図は全て、風が凪いで草花の揺らぎが止まった瞬間の美しさを描いた「静」、そして風に揺れる草花の一瞬の美しさを切り取った「動」の2種類に分類することができます。
 
こうしてシリーズ全体を通して見てみると、北斎は「静」と「動」の表現を用いることで、時間の経過や、風、空気をも含んだ自然のありのままの姿を表現しようとしていることがわかります。北斎は一種の写実主義であったとも言えるでしょう。

北斎独特の自然のとらえ方は、本シリーズ以外の作品にも表れています。例えば、富士山を描いたシリーズ「冨嶽三十六景」の中にも、荒波、雄大な富士の姿、落雷や強風など、ただ美しいだけではない人知を超えた自然の姿を、畏敬の念をもって見つめ、描き出そうとしている作品が見られらます。
葛飾北斎 冨嶽三十六景のうち、「神奈川沖浪裏」「凱風快晴」「山下白雨」「駿州江尻
そして、本シリーズにおいて北斎は、自ら完成させた「静」と「動」を表現する構図の中に、生命感溢れる花や鳥、昆虫などを描きました。見る者を惹きつけてやまない一瞬を捉えた緊張感みなぎる画面。そこには、花鳥画を越えた「森羅万象」、そして北斎が求め続けた「この世の理(ことわり)」が表現されているのです。



連載企画「アダチセレクト・話題の一枚」の、葛飾北斎『北斎花鳥画集』編。Part1である今回は、北斎が自然の「静」と「動」を描き出すために用いた構図についてお話してきました。お楽しみいただけましたでしょうか? 次回Part2では、北斎が花鳥の「生命」を写し取るために、モチーフをどのように描き出したのかについて、北斎最大のライバル・広重の花鳥画と比較して検証していきます。どうぞお楽しみに!
アダチセレクト 話題の一枚 「北斎花鳥画集」-Part2. 線と面- はこちら>>


○北斎花鳥画集の魅力に迫る特集を開催中!

今なお世界で高い評価を受けている浮世絵師・葛飾北斎。今年2022年の春、日本各地で大規模な「北斎」展が開催され、大きな注目が集まっています。
アダチ版画ではこの機会にもっと皆様へ北斎の魅力を知っていただきたいという思いから、2022年4月12日から2022年5月17日まで『北斎花鳥画集』の魅力に迫る特集を開催中です!


アダチ版画のHPでは、北斎花鳥画集のシリーズ全10図をご紹介中。


また、この大判花鳥画のシリーズを季節ごとに差し替えてお楽しみいただいているお客様にインタビューさせていただいた内容を記事として公開中です。


そしてアダチ版画の目白ショールームでは、北斎の自然の表現に着目した展覧会『北斎が極めた「自然の表現」』を開催中です。お近くにお越しの際には、ぜひお立ち寄りください。
※終了しました。

Part1.北斎花鳥画集〜広重との花鳥画対決でその魅力に迫る〜
展示の様子



飾って楽しむアダチの浮世絵
お客様インタビュー~浮世絵のある暮らし~ 第5回


昨年からスタートした企画「お客様インタビュー〜浮世絵のある暮らし〜」では、お客様にアダチの浮世絵の、ご自宅での楽しみ方を伺っています。

今回お話を伺うのは、SNSでお声掛けをしたMさんです。"#アダチ版画"のハッシュタグで、北斎の花鳥画を飾ってくださっている様子を投稿されていたMさんに、ぜひお話を伺いたい!とメッセージをお送りすると、快くお引き受けくださいました。



 


今回お話を伺ったMさん

英国車のディーラーがお勤め先というMさん。新型コロナウイルスが流行する以前は、旦那様と海外旅行にもよく行かれていたそう。ご夫婦揃っての趣味はスノーボード。近頃はインテリアや植木のお手入れを楽しみながら、愛車でのドライブで休日を過ごされているのだとか。インドア、アウトドア両方の趣味をアクティブに楽しまれているのがとても印象的でした!
 

 





■ 嫁入り道具として、母からもらった『北斎花鳥画集』

―今回はお引き受けいただきありがとうございます。SNSの投稿を拝見したのですが、北斎花鳥画集のセットをお持ちでいらっしゃるのでしょうか?
 
Mさん: 「はい、アダチ版画の『北斎花鳥画集』10図セットを持っています。私の嫁入り道具として、10年程前に母があつらえてくれたんです。確か、名古屋の百貨店のイベントにアダチ版画様が出展していらした際に、額と台紙(差し替え用マット)も一緒に注文をしてくれました。」
 

セットの写真

―そうだったのですね!会場にはMさまも一緒に行かれて選ばれたのですか?
 
Mさん: 「いえ、私は不在でした。母は版画や骨董などが好きで、確かその日も版画を見に行っていたのだと思います。買い物する予定ではなかったそうですが、花鳥画集があまりにも素敵だったため再度売り場へ戻り、注文したそうです。」
 

―わざわざお戻りになられて購入してくださったんですね!
 
Mさん: 「本当に母の優しさですね。(笑) 当時私は30代前半、夫婦ともに忙しく働いておりましたので、生花を室内に飾る余裕は、時間的にも精神的にもありませんでした。掛け替えの手軽さと、北斎の花鳥画図のモダンさに、私自身も惹かれました。」
 

お母様からの贈りもの、という心温まるエピソードをくださったMさん。Mさんご自身も、もともと自然や、草花がお好きだそう。




■ 心を豊かにする大切なエッセンスのひとつ
 
Mさん: 「日々の生活の中で自然を感じることは、心を落ち着かせ、また、心を豊かにするうえで私にとってとても大切なことだと思っています。元々、大学で植物学を専攻していて、動植物が好きなこともあるのですが、生活の中に"自然を感じるもの"があれば、それだけでハッピーな気分になれるんです。とても単純なのですが。(笑)ですので、家の中に植木や花を置くのと同じように、季節ごとに入れ替える北斎の花鳥画も、その大切なエッセンスのひとつになっています。」
 


お話のとおり、シンプルな色合いのインテリアの中に、お花や緑が映えるとても素敵なご自宅。アダチの花鳥画は、そのご自宅の玄関に飾っていただいています。


玄関を入ってすぐのところに飾られた「あやめにきりぎりす」。
シックな暗色の壁とのバランスも、モダンな印象で素敵です。

―飾られてみて、どのような印象でしたか?
 
Mさん: 「玄関を開けて最初に目に入るこの版画たちは、静止画なのにどこか空気感があり優しい風が吹き抜ける、そんな印象を受けます。北斎の版画というと、迫力があり雄々しい印象がありますが、花鳥画の繊細で優しい感じは、ホッと心を和ませてくれています。」
 

―お母様からの贈りもの、というエピソードを伺うと、より作品の持つ優しさが感じられる気がします。お母様からは何か感想がございましたか?
 
Mさん: 「たまに私の家に来た際には『やっぱり素敵ね~』と惚れ惚れしていますよ。『これだけ使ってくれていれば、持たせた甲斐があった』とも言っていました。(笑)
それと母以外にも、自宅に招いた友人・知人からは、これがポスターなどではなく、版画というところにも興味を持っていただいて、会話のきっかけになっています。 」
 

―飾っている作品が会話のきっかけになるというのは、以前インタビューされた方も仰っていました。
 
Mさん: 「皆さん、一様に『素敵なご趣味ですね』『季節感があっていいですね』と言ってくださるのですが、これが北斎の作品というと驚かれます。北斎といえば『富嶽三十六景』。花鳥画も描いているというのは、新鮮なのかもしれません。ちなみに私もこれを手にするまで、北斎が花鳥画を描いていることを全く知りませんでした。」
 

―確かに北斎というと、風景画のイメージが一般的かもしれないですね。「神奈川沖浪裏」などダイナミックな作品の印象が強い北斎が、これほど繊細でモダンな花鳥画を描いていたことに驚かれるお客様は多いです。ちなみにMさんは、10図の花鳥画の中で特に好きな1枚はありますか?
 
Mさん: 「どれも素敵で選び難いですが、どれか一つと言われると『牡丹に蝶』でしょうか。毎年3月下旬になると、この版画に入れ替えるのですがいよいよ待ちに待った春が来るなぁと、気分が高揚します。」
 


牡丹に蝶
 
Mさん: 「豪華に咲き誇る牡丹と、その間をゆったりと舞う蝶。その蝶や牡丹の葉の動きから、右から左へと春の風が吹いているように感じます。また風だけでなく、春の温度感も感じる気がします。自宅に帰ってきたときに、ホッと心が温かくなる1枚です。」
 

お話を伺った3月下旬には、ちょうど「罌粟(けし)」から「牡丹に蝶」へ差し替えをされたそう。差し替える前と後の写真も送ってくださいました。
 
 
 

―先ほども少し伺いましたが、季節ごとに差し替えられているのですよね。
 
Mさん: 「そうですね。また、自然の草花の移ろいが目安になることもあります。我が家の隣には緑豊かな大きな公園があり、四季折々の草木や運河に飛来する季節の野鳥がいて、通勤時などに毎日少しずつ変化する姿を楽しんでいます。今の季節だと桜やモクレン、これからは菖蒲や紫陽花など。それらの花が咲くタイミングで、そろそろ版画を入れ替えよう、と思ったりもするんです。」
 

―すごく素敵なお話ですね。
 
Mさん: 「時には、どこかに版画と同じ花が咲き始めてないかな、と探すこともあります。実は版画を見て、初めて実際の花を知ったものもあるんですよ。芙蓉の花が、会社のすぐ近くに咲いていました。」
 

四季折々の変化を日々楽しまれているMさんの、自然愛にあふれるお話に、なんだかこちらもワクワクしてしまいます。


ご自宅で飾られる際にも、季節感ある小物と合わせられています。
「作品一枚で玄関を模様替えできるのも、魅力の一つ」と仰ってくださいました。




■ 額の中身を差し替えるだけで玄関の模様替えができるのが魅力

続いて、作品の保管や差し替えについてもお話を伺っていきます。


差し替える際のご様子も送ってくださいました。

―飾っていない作品は普段どのように保管されていらっしゃるのでしょうか?
 
Mさん: 「セットはもともと収納帙に入っているので、それを箪笥の上で保管しています。自宅の中でも、湿気がなく、温度変化を受けにくいところなので。」
 

―弊社の作品を大切にしていただき、本当にありがとうございます。ちなみに、作品の差し替えに際して不便に感じたことなどはございますか?
 
Mさん: 「専用マットが2種類あったため、はじめは絵によって入れ替えるのがやや億劫に感じることがありました。」
 

―確かに、対応表を逐一確認して入れ替えるのは、慣れるまで少し面倒かもしれないですね。貴重なご意見ありがとうございます。


アダチの復刻版浮世絵は、江戸時代当時の原寸大で復刻しています。作品の貼られた台紙と、額のアクリル板の間に挟むマットは、作品の画寸法に合わせてご用意。花鳥画集以外の『富嶽三十六景』など、どのシリーズでも大体2~3種類あるので、各シリーズでマットの対応表を同封しています。
 
Mさん: 「あとは欲を言えば、冬にかけることができる花鳥画版画があと1枚あれば、最高だな!!と思っています!(笑)」
 

―北斎の花鳥画集には、冬の作品がないのですよね...!広重の花鳥画でしたら、ぜひご提案させていただきます!(笑)
 
 
 
 
歌川広重「雪中椿に雀」「椿に鷽
冬の花である椿を描いた作品。北斎の花鳥画同様、広重の大短冊の花鳥画も、季節ごとにお楽しみいただいているお客様が多い、人気作です。
 




■ 今となっては我が家にはなくてはならないもの

そして最後に、セットで持つことの魅力や、Mさんが考えるメリットについてもお話くださいました。
 
Mさん: 「この『北斎花鳥画集』のセットは、今となっては、我が家にはなくてはならないもの。今回このお話をいただいて、改めて花鳥画の全ての作品に目を通しましたが、こんなにも掛け替える種類があるのか!と、これから来る季節がとても楽しみになりました。手間をかけずに、ゆとりを持てる、これが単品でなく、セットで持つ意味でしょうか。嫁入り道具としての贈り物には、本当にお勧めです。(笑)
急な来客の際にも、これ一枚玄関に掛けておけば、室礼(しつらい)にも悩みませんので大変重宝しています。本当にお値段以上の価値は、十分にありますね。 」
 

今回は主に文面でのやり取りだったのですが、お母さまからの贈りものといった心温まる経緯から、セットの楽しみ方まで、Mさんご自身のお言葉やお写真で丁寧にお話ししてくださり、実際に皆さまがどのように版画を差し替えて楽しまれているのか、私たちにとっても学ぶことの多いインタビューとなりました。

このたびはご協力いただき、本当にありがとうございました!




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■深い藍色の中に浮かび上がる桜の姿

アダチ版復刻浮世絵によるスマートフォン用の壁紙は、多くの方に日常生活の中で浮世絵をより身近に楽しんでいただけるよう、月に一度、第一火曜日に新作を公開します。2022年4月の壁紙は、桜の小枝に遊ぶ鷽の姿を描いた葛飾北斎の「鷽に垂桜」です。

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スマホ用壁紙(2022年4月版)ダウンロードはこちら
※画像はアダチ版画研究所が制作した復刻版浮世絵を使用しています。
※個人で楽しむ範囲でご利用ください。商用利用、再配布禁止。

■この壁紙に使用されている作品は?

北斎が描いた小ぶりな画面サイズ(中判)の花鳥画。タイトルは「鷽(うそ)に垂桜(しだれざくら)」。深い藍色の背景が潔くモダンです。画中に添えられた句は「鳥ひとつ 濡れて出けり 朝さくら」。朝露に濡れた朝桜の枝を飛び回っていた小鳥が、ひょこっと顔をのぞかせた瞬間をとらえています。
日本の文化が、西洋の芸術に影響を与えたといわれるジャポニスム。その中で北斎が担った役割は非常に大きいものです。特に北斎が描いた花鳥画は、陶磁器やガラス製品、宝飾品などさまざまな西洋の工芸デザインに参照されました。北斎の自然に対する慈しみ深い眼差しと、生命の輝きの一瞬をとらえる確かな描写力を十二分に物語る作品です。

葛飾北斎「鷽に垂桜」商品ページはこちら


品質へのこだわり

品質へのこだわり

アダチの浮世絵は、手にして初めて分かる、熟練の技術と日本の伝統が詰まっています。

製作工程

制作工程

一切機械を使うことなく一枚一枚職人の手仕事により丁寧に作られている木版画です。

厳選素材・道具

厳選素材・道具

江戸当時の風情を感じられる当時の浮世絵の再現にこだわり、厳選した素材と道具を使用。

職人紹介

職人紹介

最高の作品を創り出すために、日々技術の研鑽を積む熟練の職人たち。

浮世絵の基礎知識

浮世絵の基礎知識

意外と知らない?浮世絵の世界。浮世絵の基礎知識をご紹介。