富士山世界文化遺産登録10周年記念特集 浮世絵に描き出された富士山

北斎と広重の富士山 ~人々と富士・四季折々の富士~


今年は富士山が世界文化遺産に登録されてから10周年の節目の年です。
前回のコラムでは、富士山が数多くの浮世絵に描かれてきたその理由に迫りました。
今回は、北斎と広重、2人の名絵師が描いた浮世絵の富士山を、その画中の要素に注目して見てまいります!




■ 北斎が描く「人々と富士山」

「神奈川沖浪裏」や「凱風快晴」をはじめとした風景画で世界的に有名な葛飾北斎。北斎の風景画を見てみると、その場所に暮らし、働き、遊ぶ、生命力あふれる人々の姿が数多く描かれています。

その土地の風土や文化をも表現する北斎の巧みな人物描写は、もちろん『冨嶽三十六景』シリーズでも発揮されています。

こちらは、『冨嶽三十六景』のうち、働く人々を生き生きと描いた2図。

  葛飾北斎 遠江山中 葛飾北斎 本所立川  
  葛飾北斎「遠江山中
絵のみ 14,300円(税込)
葛飾北斎「本所立川
絵のみ 14,300円(税込)
 
  葛飾北斎 遠江山中 葛飾北斎 本所立川  

北斎は、職人が材木を切る動作や、下から投げ上げられた材木をキャッチする瞬間を見事にとらえています。


こちらは同じく『冨嶽三十六景』のうち、江戸市中から富士を眺める人々を描いた2図です。

  葛飾北斎 礫川雪ノ旦 葛飾北斎 五百らかん寺さざゐどう  
  葛飾北斎「礫川雪ノ旦
絵のみ 14,300円(税込)
葛飾北斎「五百らかん寺さざゐどう
絵のみ 14,300円(税込)
   
  葛飾北斎 礫川雪ノ旦 葛飾北斎 五百らかん寺さざゐどう  

当時、江戸にはいくつも富士見の名所が存在しました。北斎は、それらの名所から楽しげに富士山を眺める人々を生き生きと描き出しています。富士山が江戸の人々にとって身近な信仰の対象であり、また心のよりどころであったことがうかがえます。



■ 広重が描く「四季折々の富士山」

こちらは広重の描いた「三保の松原」。古くから和歌や絵画の題材とされてきた、富士見の名所です。

歌川広重 駿河三保之松原
歌川広重「駿河三保之松原

「三保の松原」に代表される富士山と歴史的に関わりの深い景勝地は、富士講の流行によって更に人気を博し、人々にとって憧れの土地となりました。

広重は、こうした富士山の見える名所から、実際に山を眺めるような視点で四季折々の景色を描き出しました。

   

広重が描いた名所絵は、富士山にとどまらず、それぞれの土地の魅力さえも人々に伝えています。


アダチ版画では、富士山の世界文化遺産登録10周年を記念して、こうした四季折々の富士山の姿をお楽しみいただける特別な額装品をご紹介しております。

季節や時間によって美しく変化する富士山の姿を、広重が誇張のない自然な表現でとらえたシリーズ『冨士三十六景』。このシリーズから春夏秋冬の傑作4図を選定し、一つの額に納めました。四季の富士図を縁取る金の縁取り、そして気品のある赤色の額が、空間を華やかに演出します。和洋のどんなインテリアにも、美しく飾っていただけるお品です。

冨士三十六景 特別額装品『四季の富士図』
冨士三十六景 特別額装品『四季の富士図』
143,000円(税込)

本商品は8月13日まで数量限定でご注文を承り、9月上旬ごろお届け予定です。数量限定・完全受注生産品となりますので、ぜひこの機会にお求めください。

このほかにもオンラインストアでは、富士山を描いた浮世絵を多数ご紹介中。ぜひ、お気に入りの富士山を見つけてみてくださいね。


東京・目白に工房を構え、復刻版の浮世絵や現代木版画を制作しているアダチ版画研究所では、毎月、全国各地で行われている浮世絵の展覧会情報を更新しています。現在開催中、および8月開催のオススメ浮世絵展覧会をご紹介します!各地で魅力的な浮世絵の展覧会が目白押しです。
なお、新型コロナウイルスの影響により営業時間等が変更になっている場合がございますので、必ず各館の公式HPをご確認の上お出かけください。

 

◆ 8月のPick up!オススメ展覧会

 

東京・原宿にある太田記念美術館では、企画展「歌川広重 山と海を旅する」が開催中です。

 

風景画の第一人者として、幕末に庶民の人気を得た浮世絵師、歌川広重。広重が江戸の名所とともに盛んに描いたのが、諸国の山や海などの自然を題材にした作品です。広重は自らさまざまな場所へ旅に出たことが知られ、その経験が作品に反映されていると考えられています。本展では山と海をキーワードに、よく知られる名品から展示されることの少ない作品まで、幅広く展観をいたします。
また、展示では広重が実際に現地を訪れた名所や、既存の地理書の挿絵をアレンジして描いた名所など、その作品制作の様子についても紹介するほか、険しい山に建つ神社や海上の大鳥居など、各地の山と海に根付いたさまざまな信仰の形についても読み解きます。浮世絵に描かれた絶景を、旅をする気分で楽しみながら、広重の画業をもっと深く知ることができる展覧会です。



 
太田記念美術館 (東京・原宿)
歌川広重 山と海を旅する
8月1日(火)~8月27日(日)



◆ アダチ版復刻浮世絵の取り扱いがある美術館・博物館

下記でご紹介する美術館・博物館では、常時アダチ版復刻浮世絵をお求めいただけます。(お求めいただけない商品もございますので、ご了承ください。) 「実際に復刻版の浮世絵を見てみたいけれど、目白のショールームまで行くのは難しい...」という方も、ぜひお近くの美術館・博物館でご覧いただければ幸いです。


8/5 アダチ版画の職人による
摺の実演会あり!(外国人向け)


すみだ北斎美術館 (東京・両国)
北斎
大いなる山岳
6月20日(火)〜8月27日(日)




静岡市東海道広重美術館 (静岡・清水)
広重とめぐる名物・名所
8月15日(火)~11月12日(日)




信州小布施 北斎館 (長野・小布施)
北斎"水族"館へようこそ!
6月17日(土)~8月27日(日)
 
東京国立博物館 (東京・上野)
浮世絵と衣装―江戸
通年展示
MOA美術館 (静岡・熱海)
北斎 The Great Wave × Digital
7月14日(金)~8月29日(火)
中山道広重美術館 (岐阜・恵那)
うたう浮世絵
7月27日(木)~8月27日(日)

◆ その他、オススメの浮世絵展覧会

川崎浮世絵ギャラリー
(神奈川・川崎)
国芳×芳幾×芳年
6月3日(土) ~8月20日(日)
長野県立美術館
(長野・長野)
特別展 葛飾北斎と3つの信濃
―小布施・諏訪・松本―
7月1日(土)~8月27日(日)
山口県立萩美術館・浦上記念館
(山口・萩)
浮世絵×カブキ
江戸の役者絵展
7月29日(土)~8月27日(日)
 

8/26 アダチ版画の職人による
摺の実演会あり!


葛飾区郷土と天文の博物館 (東京・亀有)
浮世絵に描かれたかつしか
7月22日(土) ~10月9日(月)




神戸ファッション美術館 (兵庫・神戸)
花のお江戸ライフ
浮世絵にみる江戸っ子スタイル
7月8日(土) ~8月27日(日)




北九州市立美術館 (福岡・小倉)
北九州市制60周年記念
芳幾・芳年―国芳門下の2大ライバル
7月8日(土)~8月27日(日)
 
藤澤浮世絵館 (神奈川・藤沢)
江の島浮世絵と富士山
伝説の宝庫 ~藤沢・江の島~
7月11日(火)~9月3日(日)
岡田美術館 (神奈川・箱根)
歌麿と北斎―時代を作った浮世絵師―
6月11日(日)~12月10日(日)
貨幣・浮世絵ミュージアム (愛知・栄)
これぞ日本の原風景
5月10日(水)~8月6日(日)


>>その他全国の浮世絵が見られる美術館・博物館情報はこちら(※「北斎今昔」内リンク)

品質へのこだわり

品質へのこだわり

アダチの浮世絵は、手にして初めて分かる、熟練の技術と日本の伝統が詰まっています。

製作工程

制作工程

一切機械を使うことなく一枚一枚職人の手仕事により丁寧に作られている木版画です。

厳選素材・道具

厳選素材・道具

江戸当時の風情を感じられる当時の浮世絵の再現にこだわり、厳選した素材と道具を使用。

職人紹介

職人紹介

最高の作品を創り出すために、日々技術の研鑽を積む熟練の職人たち。

浮世絵の基礎知識

浮世絵の基礎知識

意外と知らない?浮世絵の世界。浮世絵の基礎知識をご紹介。