The Great Waveを楽しむ

 

「錦」のように美しい絵・浮世絵


北斎が描いた版下絵をもとに、彫師が版木を彫りあげた後、その版を使って一色ずつ摺りあげていくのが摺師の仕事です。当時浮世絵は、「錦絵」と呼ばれるくらい色の鮮やかさが特徴でした。

多くの色に囲まれて生活している現代とは異なり、江戸の庶民にとって浮世絵は、色をふんだんに楽しむことのできる最高の娯楽だったことが想像できます。そういう意味で、摺師の仕事は、浮世絵の出来を決める最後の要といってもいいでしょう。

神奈川沖浪裏
<錦絵の代表・神奈川沖浪裏>

 

海を渡ってベルリンから来たブルーの色鮮やかさ

今なお国内外で人気の北斎「神奈川沖浪裏」においても色、特に青色の存在は、躍動感あふれる波を表現するのに不可欠だったといえるでしょう。

本図には、アウトラインに使われている本藍といわれる渋めの青の他に、江戸後期にヨーロッパから輸入された化学的顔料のプルシアンブルー(ベロ藍)が使われています。



ベロ藍は、それまで日本にはなかった色鮮さで当時大変人気があり、浮世絵、特に北斎や広重の風景画に見られます。まさに流行の色を取り入れて、庶民に楽しんでもらおうという浮世絵の姿が垣間見られます。

右図の波頭部分に見ていただいても、濃さの異なる2つのベロ藍を用いて、巧みに色を摺り重ねることで色鮮やかかつ立体的な大波を生み出しています。

色
<波頭に使われた3つの青>


絵具鉢

左の写真は、ベロ藍を水で溶いた絵具鉢です。摺られた作品の二種類のベロ藍の色と比べると、全然発色が違いますね。結構濃いですが、摺った作品をみるとどうして綺麗な発色の青になるのでしょう?

そこには、使う和紙と摺師の技に秘密があります。

<ベロ藍を水で溶いた絵具鉢>

 

北斎・波の「青」の発色を生む最高品質の和紙と一流の摺師の技


紙は、楮(こうぞ)を原料にした奉書(ほうしょ)という和紙が江戸時代から使われています。現在、アダチ版画研究所では、越前和紙の人間国宝・岩野市兵衛さんが漉いた最高級の奉書紙を使って、すべての作品の制作を行っています。

岩野市兵衛
<奉書を漉く九代目岩野市兵衛氏>


奉書紙の特徴としては、何回も色を摺り重ねても破れることのない耐久性があると同時に、水性の絵具で摺った時の発色の良さや質感が他の紙と異なります。

ここで、作品の裏を見てみましょう。浮世絵の発色を支える秘密がそこにあります。

<奉書に摺られ美しく発色するベロ藍>


右図をご覧いただくと、和紙の裏に絵具が入り込んでいます。これが浮世絵・木版画の特徴であり、他の印刷物と異なる点です。和紙特有の長い繊維の中に、水性の絵具を摺師が馬連で摺り込むことで浮世絵独特の発色が生まれるのです。

<絵具が摺り込まれる作品の裏面の様子>

 

摺師・京増

摺師・京増曰く、

「和紙の中に絵具を"きめ込んでいく"ことが、摺るときにとっても重要です。奉書は、しっかりとした和紙ですので力をきちんと入れない色がつかないんです。馬連にしっかりと力をのせて摺ることで綺麗に発色させることができます。結構、体力仕事でもありますね。

神奈川沖浪裏は、青の濃淡のバランスで波の立体感をみせるので色の調合も気を遣うところですね。」

 

北斎がイメージした躍動感あふれる波「神奈川沖浪裏」の魅力は、このように最高品質の和紙と一流の技があいまってこそ、生まれることが制作工程からうかがい知ることができます。

世界中を魅了する"The Great Wave"は、絵師・北斎の壮大な創作意図を汲んだ一流の彫師・摺師が技の限りを尽くすことで生まれた傑作なのです。

神奈川沖浪裏
The Great Waveを楽しむ

 

絵師の筆致を忠実に彫りあげる彫師

浮世絵版画は、当時庶民が気軽に買って楽しむためにたくさん作ることが前提の出版物だったため、出版社である版元(はんもと)のもと、絵師・彫師・摺師という各職人が完全分業で制作にあたっていました。


少しでも効率よく作ることが求められたため、版元の依頼を受け、絵師が描くのは「版下絵(はんしたえ)」と言われる大変シンプルな墨一色の輪郭線だけでした。いわゆる色を塗った完成品がないのが浮世絵版画の特徴でもあります。

版下絵
<絵師が描く版下絵(はんしたえ)>

 

その版下絵を直接版木に貼りつけ、版として彫りあげるのが彫師の仕事です。

彫刻刀の中でも刃先が鋭く、ナイフのような形をした小刀(こがたな)を巧みに使い、絵師の繊細な描線の両脇に切れ込みを入れる"彫"は、彫師の仕事のなかで最も集中力を要するところで、作品の出来を決める重要なポイントです。

 

小刀 北斎の筆致を忠実に彫る
<"彫師の命"とも言える小刀(こがたな)> <北斎の筆致を忠実に彫る>

 

小刀で線の両側を"彫"あげると、後は余分な部分を大小さまざま鑿(のみ)で"さらい"、いわゆる凸版に仕上げていきます。つまり、北斎が描いた版下絵は、木屑と共に削られてなくなってしまうのです。

まさに、北斎の繊細で緊張感のある線を活かすも殺すも、すべて彫師の腕にかかっていると言っても過言ではありません。

 

余分な部分をさらい仕上げていく 主版
<余分な部分をさらい仕上げていく> <彫りあがった主版(おもはん)>

 

北斎の線が持つ緊張感をいかに出すか


彫師・新實

彫師・新實曰く、

「北斎自身、若い頃に彫師の修業をしていたということもあり、他の絵師に比べて細かいところまで描き込まれているので、彫りには高度な技術が必要です。

特に「神奈川沖浪裏」の波の線はごまかしの効かない、作品の力強さを支える重要な線でしょう。この北斎の線が持つ緊張感を出せるかどうかは、彫師の腕にかかっているので、彫るときには非常に神経が要ります。」

 

「波頭のような抑揚のある線を彫るのも、実はとても難しいんです。そもそも技術がなければ北斎の線は彫れないんですが、こういう部分は線をただそのとおり彫っているだけでは、動きが出てきません。

迫力のある画面を作るのに、どうすればその線が活きてくるか、線のもつリズムや全体のバランスに配慮しながら刀を入れていきます。」

 

波頭(浮世絵版画) 波頭(版木)
<絵師の筆致を意識して、抑揚のある線で彫られた波頭部分>

 

幾度も波を描き、変幻自在の水の動きを捉えるために試行錯誤を重ね、よりリアルで人々を惹きつける波の表現と演出を追求し続けた絵師・北斎。そして、絵師が描いた線をただ単に彫るのではなく、その描線に込められた思いを読み取り、忠実に版を起こす彫師。

そうした絵師の思いや、彫師の巧みの技で生み出された「神奈川沖浪裏」だからこそ、今なお世界中の人々を魅了してやまない傑作となったのではないのでしょうか。

The Great Waveを楽しむ

 

試行錯誤の連続 北斎こだわりの「波」

世界で最も有名な浮世絵師・葛飾北斎の最高傑作と名高い「神奈川沖浪裏」。

海外では"The Great Wave"という名で親しまれ、愛され続けているこの作品は北斎の努力と鍛錬が重なって生み出されたものです。

神奈川沖浪裏

森羅万象、様々なものを描いた北斎が、特にこだわりを持って挑み続けたのが「波」の表現。幾度も波を描き、変幻自在の水の動きを捉えるために試行錯誤しています。

海を題材とした浮世絵作品の数々や、さらに絵手本(絵の描き方についての教本)でも50代中頃刊行の「北斎漫画」や『富嶽三十六景』後、70代後半刊行の「富嶽百景」などで波の様々な表情を描いており、生涯を通して「波」への強い探求心を持っていたことが伺えます。


「北斎漫画.2編」より 「富嶽百景」より
北斎50代の頃に描いた丸みのある柔らかな波
「北斎漫画.2編」より(北斎50代中頃刊行)
北斎70代後半「神奈川沖浪裏」を描いた後の
躍動感のある波
「富嶽百景」より(北斎70代後半刊行)
出典元:国立国会図書館ウェブサイト(http://www.ndl.go.jp/)

 

初期作「おしをくり はとう つうせんのづ」からの進化


おしをくり はとう つうせんのづ

北斎が70代前半に描いた傑作「神奈川沖浪裏」ですが、その原型といわれるのが北斎45歳頃の「おしをくり はとう つうせんのづ」です。

当時北斎は西洋画の技法を学んでいたと言われ、その影響が強くみられる作品となっています。

原型といわれるだけあり似ている部分も多くありますが、やはりその波の描き出し方は全く違っています。「おしをくり」と比べると「神奈川沖浪裏」では波のせり上がり方や水しぶき、波頭の形状や陰影のつけ方など様々な部分が変化し、迫力とリアリティが増しています。

 

おしをくり はとう つうせんのづ 神奈川沖浪裏
「おしをくり」では丸みの目立つ波頭が「浪裏」は鋭く鍵爪のようなかたちになっています

また構図においてもやや上から俯瞰で見下ろしているような「おしをくり はとう つうせんのづ」と比べて「神奈川沖浪裏」は真横からの視点で描いており、今にも飲み込まれそうな小舟、静かに聳える富士山の存在感と合わさり、見る者に大波が勢いよく迫ってくる感覚を与えます。

北斎がよりリアルで、人を惹きつける波の表現と演出を追求した結果できあがったのが、傑作「神奈川沖浪裏」だったのです。

北斎を楽しむ

 

日本が世界に誇る文化の一つ「浮世絵」。中でも、その多彩な才能を発揮し名作を多く残した北斎は、日本以上に海外での評価が高い浮世絵師です。

1998年に米国「ライフ」誌が企画した「この1000年の間に偉大な業績をあげた世界の人物100人」で、日本人でただ一人北斎だけが選ばれていることからも納得ですね。

左:LIFE誌/右:大英博物館「北斎展」カタログ

 

そして、現在大英博物館で開催中の特別展「北斎ー大波の彼方へ」は開幕以来満員御礼が続いており、また、7月下旬からはオーストラリアのヴィクトリア美術館でも北斎展が開催されるそうで、海外での北斎人気は今なお健在です。

そして、もちろん日本での人気も根強く、今秋には大英博物館の北斎展の巡回があべのハルカス美術館(大阪)で開催される他、北斎の代表作「富嶽三十六景」を取り上げた展覧会がこの後、すみだ北斎美術館・MOA美術館・太田記念美術館で開催されます。

 

北斎「凱風快晴」を身近に楽しむ

アダチ版画では、この北斎が熱い今夏に、世界的絵師北斎の魅力を美術館だけでなく身近に触れていただきたい!との想いで企画「北斎を楽しむ」を実施いたします。

北斎は好きだけど、どうやって楽しめば?という皆さんにアダチ版画ならではのご提案を数回に分けてしてまいりますので、乞うご期待。今回は、たくさんある北斎の名作の中から、まずは一番人気の赤不二こと「凱風快晴」を楽しんでみましょう。


凱風快晴

 

多説あるようですが、「凱風=がいふう」とは、南から吹く柔らかい風のことで、空のうろこ雲の様子からも夏の富士山を描いたと言われています。晴れ渡った空に赤色に染まる富士の姿は、堂々とした存在感で見る者を引きつけ、「静」を感じることから心が穏やかになる作品ではないでしょうか。

お部屋で毎日見る絵としては、飽きることなく見続けられることも重要ですね。そして、その鮮やかな山肌の赤色からは、パワーをもらえるとおっしゃるお客様も多くいらっしゃいます。

 

プロがコーディネートした額でモダンに飾る「凱風快晴」

先月、コラム「~浮世絵のある暮らし~ 住まいのプロ・ミサワホームさまに聞く!」の中で、北欧系のインテリア空間に、特別に用意した額とマットで凱風快晴をコーディネートした様子をご紹介したところ、お客さまからたくさんの反響をいただきました。

「普段ご紹介しているアダチ特製浮世絵専用額額と白のマットの組合せもシンプルで良いけれど、インテリアの配色に合わせ、より空間にマッチした仕上りになって素敵だった」とのお声もいただいております。

そこで、今回特別に、ミサワホームのご担当者の方がコーディネートされた組合せの額&マットで「凱風快晴」をご用意いたしました。

展示風景

 

凱風快晴

 

額は、黒の縁で平らなものを使用し、マットは淡いグレーのものを使用しています。マットにグレーを持ってくることで、凱風快晴の色鮮やかさがさらに引き立っていますね。

是非、皆さんもご自宅でモダンに北斎を楽しんでみてはいかがでしょうか。


     

【 期間限定特別価格 】
特注黒塗り額+カラーマット(グレー)付で通常28,620円(税込)のところ、特別価格27,000円(税込)にて今回ご案内いたします。8月31日(木)までの期間限定販売です。



葛飾北斎 「凱風快晴(特注黒塗り額)」 商品詳細はこちら >>

金魚づくし

 

姿の可愛らしさと涼しげな様子から、日本の夏の風物詩として不動の人気を誇る金魚。江戸時代後期、庶民の間で広く飼育されるようになった金魚は、身近な娯楽であった浮世絵の中にも描かれています。

金魚にカエルやカメなども加え、水中の生き物たちを擬人化し、笑い、走り、唄い踊る金魚の姿をユーモアたっぷりに描いた歌川国芳の「金魚づくし」は、夏本番を迎えるこれからの季節にピッタリなシリーズ。

今回は、そんなユーモア溢れる笑って楽しい「金魚づくし」の飾り方をご紹介します。

百ものがたり
 「百ものがたり

 

■ コンパクトなスペースで1図をじっくり味わう


ぼんぼん

「金魚づくし」は通常の浮世絵の半分ほどの大きさで、額の大きさも縦が約38cm、横幅が約29cmとコンパクトサイズ。

写真のように、玄関やリビングなどちょっとしたスペースに飾ることができ、まるで金魚鉢を置いたように涼しげな空間を楽しめます。

 「ぼんぼん

◇ ひれをまくって男らしく―「いかだのり」

江戸時代、鳶職と並んで最もいなせな職業とされていた船頭。国芳が描く金魚の船頭は、ひれをまくり上げた姿に江戸っ子の粋な男気を感じさせます。

棹を持つ金魚たちのアクロバティックな動きが、いきいきとした画面になっています。

いかだのり
 「いかだのり

 

にはかあめんぼう

◇ にわか雨!?―「にはかあめんぼう」

水中の金魚が雨をしのぐ、というこれまたおかしな作品。タイトルも「にわかあめ」と「あめんぼう」をかけたシャレになっています。

まさに、あめんぼうの細長い足を雨足に見立てています。突然の雨の襲来に慌てふためく金魚たちの描写がシュールで、国芳の遊び心を感じる作品です。

 「にはかあめんぼう

 

■ 自然の木目が美しい「白木額」にお好きな2図を並べて楽しむ

洋室にも飾って楽しんでいただけるよう、自然の木目が美しい「白木額」もご用意しています。こちらの額には、金魚づくしを2図並べてお楽しみいただけます。

 

スタッフのオススメは、金魚たちの宴会の様子を描いた「酒のざしき」。一匹の金魚が三味線を弾き、それに合わせ踊る二匹の金魚。ひれを巧みに使った仕草になんとも笑みがこぼれます。ご家庭のダイニングに飾っても、一家団欒の時間が楽しくなること間違いありません。

「酒のざしき」と組み合わせるもう1図には、「そさのおのみこと」。日本神話に登場する素戔嗚尊(すさのおのみこと)を描いた作品で、八岐大蛇(やまたのおろち)を退治する場面です。戦う素戔嗚尊の足下にいるのは奇稲田姫(くしなだひめ)。ウナギを八岐大蛇に見立てて、勇敢に立ち向かう金魚の姿がなんとも愉快な作品です。

 
  【 ご注文方法 】  
1.「金魚づくし2図セット」をカートに入れる
2.ご注文の最終確認画面の「備考欄」に、額装する2図の並び順を記入する
例)左:酒のざしき、右:そさのおのみこと
 

備考欄

 

■ ひとつの額に3図をまとめて、賑やかな金魚たちの世界に浸る

楽しい金魚たちを広い空間で楽しみたい方には、アダチ特製浮世絵専用額(長判)を使って、3図を一緒に飾るのもオススメです!

1図ずつはコンパクトなサイズですが、3図並べることで「金魚づくし」のユーモア溢れる明るく楽しい雰囲気がお部屋全体に広がります。季節や気分に合わせて、自由に絵柄・順番を入れ替えても素敵に飾れます。

金魚づくし3図セット
左「さらいとんび」、中「玉や玉や」、右「百ものがたり

 
  【 ご注文方法 】  
1.「金魚づくし3図セット」をカートに入れる
2.ご注文の最終確認画面の「備考欄」に、額装する3図の並び順を記入する
例)左:さらいとんび、中:玉や玉や、右:百ものがたり
 

備考欄

 

1図ずつお部屋に飾るのもよし、リビングに3図まとめて飾って金魚たちの世界を楽しむのもよし、いろいろな飾り方で楽しめる「金魚づくし」です。 この夏は、ぜひお気に入りの金魚を見つけて、飾ってみてはいかがでしょうか。

洋風に飾る浮世絵

 

~浮世絵のある暮らし~ 住まいのプロ・ミサワホームさまに聞く!

浮世絵の楽しみ方は多種多様。現在開催中の「新生活を彩る 洋風に飾る浮世絵」でご紹介しているように、飾り方に一工夫するとまた違った表情を見せるのも浮世絵の魅力です。

外観

住宅メーカー・ミサワホームさまの2017年1月にオープンした錦糸町にあるモデルハウスでは、アダチ版画の浮世絵をミサワホームさまならではの方法で、とても素敵に飾っていただいています。

≪錦糸町にある二世帯住宅をイメージしたモデルハウス≫

 

そこで今回は、本モデルハウスの設計、インテリアコーディネートをご担当されたミサワホーム商品開発部・施設設計技術課の馬場(ばんば) 純さんに住まいのプロ目線で浮世絵の楽しみ方、飾り方についてなどお話を伺ってきました。

外観

 

■ 今回モデルハウスに北斎の浮世絵を採用いただいた理由を教えてください。


 
馬場さん

「墨田区にあるモデルハウスということで、墨田区や近隣にゆかりのあるものをインテリアにしたいという思いがありました。

墨田区は葛飾北斎が生まれて住んだ土地として有名ですし、昨年の11月にはすみだ北斎美術館が出来上がり、このモデルハウスはその二か月後のオープンだったのもあって、北斎の浮世絵を是非飾りたいと思っていたんです。

 
ミサワホーム商品開発部・施設設計技術課
馬場(ばんば) 純さん
 

 
 

あとは浮世絵を飾っているフロアは二世帯住宅の親世代が住むイメージで、北欧のハンス・J・ウェグナーというデザイナーの家具を多く使ってナチュラルで落ち着いた雰囲気でつくられています。

北欧家具と浮世絵の相性というのはとても良いと思っていて、どちらも自然の素材を生かし、つくられた感じのない、優しさのある、触ってみたくなる、そういったところが共通していて馴染みやすいと思います。それで、この空間に浮世絵はぴったりだということで採用しました。」

 

 

―確かにナチュラルな雰囲気がよくマッチしていて、とても素敵です!北欧家具は最近人気ですよね。

 
 

「そうですね、最近はこのような雰囲気の住まいを求めてらっしゃるお客様が多いと感じたのもあって、そこを重視してつくりました。」

室内風景
≪自然な雰囲気で落ち着きのあるお部屋は浮世絵を飾るのにぴったり≫
 

 

■ 以前から浮世絵に興味を持っていただいていたのでしょうか。


 
 

「詳しくはないですが浮世絵と建築にはどこかつながりがある気がして、頭にひっかかっている、そういうところはありました。

栃木の那珂川町馬頭にある広重美術館にいって、中の展示物はもちろんですが建築士としては隈研吾氏が広重からインスピレーションを受けて設計したという美術館自体のデザインにも感銘を受けました。

広重作品の雨の線をモチーフに木の格子が建物全体を包んで屋根まで作っていて、とても感動しました。建築にこんな可能性があるんだなと思いましたね。

 
大はしあたけの夕立 那珂川町馬頭広重美術館 那珂川町馬頭広重美術館
写真提供:那珂川町馬頭広重美術館
≪雨の線が印象的な歌川広重『大はしあたけの夕立』と
建物全体が八溝杉の格子に包まれた那珂川町馬頭広重美術館≫
 

 
 

あとは旧帝国ホテルを設計したことで有名なフランク・ロイド・ライト氏が浮世絵を集めていたりしていましたしね。彼の代表作である落水荘は滝の中に埋め込まれて自然と一体化した建物で、その設計は浮世絵に影響されている注1と聞いたことがあります。

浮世絵には構図などに日本らしいバランスがあって、簡単にいうとシンメトリーじゃないだとか、そういったものが建築へのインスピレーションになるんじゃないかと思います。」

 


注1旧帝国ホテルを設計したことで有名なフランク・ロイド・ライト氏。彼は浮世絵の熱心な収集家としても知られていて、アメリカ・ペンシルべニアにある落水荘は一説では葛飾北斎『木曾海道小野ノ瀑布』に影響を受けたといわれています。

■ 今回モデルハウスに浮世絵を飾っていただく際に、気を付けたところなどありましたか。


 
 

「このお部屋はアクセントカラーとして青を使っています。リビングのチェアや壁紙の一部などが青系となっていて、浮世絵についても青が印象的に使用されている『神奈川沖浪裏』と『凱風快晴』を選びました。

あとは額縁を部屋に合わせる、ということを意識しています。今回寝室とお風呂の間の廊下に飾っている『神奈川沖浪裏』の額縁は、部屋で使用している木の色に近い、ナチュラルな木目額を使用しています。玄関に飾っている『凱風快晴』の額縁は黒で、マットはグレーです。この部屋は木目調か、黒、青、グレーといった色が合いますので、その中で調整して今回のマットと額縁の組み合わせになりました。」

 

神奈川沖浪裏
≪明るい木目調額×白のマットで飾られる葛飾北斎『神奈川沖浪裏』。
木が多く使われているお家の内装ともよく合い、爽やか≫

 

―お部屋に絵を飾るための壁がない、という声もあります。

 
 

「そうですね。最近お住まいを新築される方の中でも明るい部屋にしたいということで、壁を少なめにして沢山窓をつけたいと仰る方は多いです。でも実はこれは部屋を明るくしたいという目的からすると逆効果で、反射する壁がないと、かえって部屋が暗く見えたりするんです。

ですので、僕が設計するときはできるだけ白い壁は残します。そこに絵を飾ると雰囲気がでますよね。あとは、今回玄関に飾っている『凱風快晴』のように、棚の上などに立てかけるのもありですね。」

 

凱風快晴
≪玄関の靴棚の上に立てかけるように飾られた北斎『凱風快晴』。和風な黒縁額でも
マットのトーンを暗めにすると一気にモダンな雰囲気になって洋室にもよく馴染む≫

 

住まいと建築のプロから見た浮世絵の楽しみ方のお話。とても興味深く、参考になりました!

飾り方、飾る場所を変えるとガラッと印象の変わる浮世絵。ご自宅のインテリアなどとの相性を考えながら、皆さんもぜひ色々な角度から浮世絵を楽しんでみてくださいね!

迎春セット2017

 

新たに始まる一年の門出を祝い、お正月限定企画の「迎春セット」をご用意しました!アダチ版復刻浮世絵4点に特製浮世絵専用額(12,960円)1点と差し替え用のマットが付いてくる、とてもお得なセットです。

「自宅に浮世絵を飾ってみたいけど、どれを選べば良いのか迷ってしまう」という初めて浮世絵をお求めいただくお客さまは、アダチが厳選したオススメ作品をご参考になさってください。また、「すでに持っているので、他の絵がほしい」というお客さまは、アダチ版復刻浮世絵の中からお好きな作品(14,040円)を4点ご自由にお選びいただけます。

通常お求めいただく価格より約19%OFFと大変お得な「迎春セット」。もちろん送料も無料でお届けします!2017年1月15日までの期間限定でのご紹介となりますので、この機会お見逃しなく!季節で掛け替えていただけるお得なセットで、一年を心豊かにお楽しみください。

価格

 

■ アダチのオススメ!日本の四季を堪能する傑作浮世絵

  のオススメ作品

ビードロを吹く娘 吉野 夜の梅 隅田川水神の森真崎
歌麿
「ビードロを吹く娘」
北斎
「吉野」
春信
「夜の梅」
広重
「隅田川水神の森真崎」

  のオススメ作品

庄野 白雨 阿波 鳴門の風波 若那屋白露 下野黒髪山きりふりの滝
広重
「庄野 白雨」
広重
「阿波 鳴門の風波」
栄昌
「若那屋白露」
北斎
「下野黒髪山きりふりの滝」
 

  のオススメ作品

三日月に松上の木莵

玉川秋月 桔梗に蜻蛉 真間の紅葉手古那の社継はし
広重
「三日月に松上の木莵」
広重
「玉川秋月」
北斎
「桔梗に蜻蛉」
広重
「真間の紅葉手古那の社継はし」

  のオススメ作品

雪中暮村 雪中椿に雀 蒲原 夜之雪 雪中相合傘
広重
「雪中暮村」
広重
「雪中椿に雀」
広重
「蒲原 夜之雪」
春信
「雪中相合傘」

 

【お得情報その①】 お好きな浮世絵4点を自由に選べます!

オンラインストアをご利用のお客さまの中には、「迎春セット」でご紹介中の作品をすでにお持ちの方も多いのではないかと思います。そこで今年の「迎春セット」は、アダチ版復刻浮世絵の中から、お好きな浮世絵4点を自由にお選びいただけます!

日本の四季、春夏秋冬で4点をお選びいただくもよし、お気に入りのシリーズの中から4点お選びいただいてもよし、様々なお楽しみ方ができる「迎春セット」です。


※ご注文の際は、本商品をカートよりお買い求めいただき、ご注文内容の最終確認画面「備考欄」に浮世絵4点のタイトル(絵師名)、専用額または収納帙どちらをご希望か明記ください。

img_161212_01.jpg
※画像をクリックすると大きな画面でご覧いただけます

作品変更のご希望がない場合は、「隅田川水神の森真崎」、「下野黒髪山きりふりの滝」、「桔梗に蜻蛉」、「雪中相合傘」の4点にアダチ特製浮世絵専用額をお付けしてお届けいたします。

 

【お得情報その②】 「浮世絵専用額」もしくは保管に便利な「収納帙」のどちらか選べます!

さらに今回、皆様からのご要望にお応えして浮世絵の保管に最適な布製の「収納帙」をご用意いたしました。浮世絵専用額の代わりに「収納帙」を迎春セットにお付けすることも可能です。


すでに額縁を複数お持ちの方や、差し替え用の作品が増えて浮世絵の収納に困っている方にオススメです!
※掲載の写真は、実際の商品とは多少異なる場合がございます。予めご了承ください。

■ 収納帙については、こちらをご参照ください >>

収納帙

注文画面の備考欄に「専用額」もしくは「収納帙」のどちらを希望かご記入ください。ご希望がない場合は、専用額をお付けいたします。


※システムの都合上、「ご注文内容ご確認 (自動返信)」のメールをお送りいたしますが商品内容と価格を修正後、改めてメールをお送りいたしますので、ご了承ください。


お得な「迎春セット」は、2017年1月15日までの期間限定でのご紹介となりますので、ぜひこの機会にお求めください。新しい一年を彩り豊かな浮世絵で迎えてみてはいかがでしょうか。


新しい一年を浮世絵で彩り豊かに「選べる迎春セット」 商品詳細ページはこちら >>

北斎の西洋画風浮世絵特集

 

先日、オランダ・ライデン国立民族学博物館に所蔵され長い間作者不明となっていた西洋画6点が、日本からシーボルトが持ち帰った葛飾北斎の作品だという新発見が発表され話題となりました。

画狂人と自ら名乗り、絵を描くことを生涯追求し続けた北斎。様々な絵画を幅広く学んだ彼は、西洋画にも大きく感銘を受け、この度オランダで発見された作品以外にも洋風表現を取り入れた作品を多数残しています。

今回は、その中からアダチ版画が復刻した選りすぐりの西洋画風名作浮世絵たちをご紹介します。

 

■ 西洋画と浮世絵のコラボレーションが面白い 「たかはしのふじ」

東京・本所深川辺りの"高橋"とその下から覗く富士を描いた一図。陰影や淡いぼかしを多用した色遣いは西洋画風、一方で画面上部を橋が横切る奇抜な構図は浮世絵ならではのもので、和魂洋才の作品です。


西洋画額縁風の縁どりや、ひらがなをローマ字筆記体風にして記されたタイトルなど、北斎の遊び心を感じられるところにもご注目ください。

たかはしのふじ
期間限定特価 「たかはしのふじ
絵のみ 13,000円(税別)


高い橋だったことが由来で命名されたといわれる"高橋"。その橋下の間から日本一高い富士山を覗かせるという、面白い構図です。

この構図は、北斎の代表的シリーズである「冨嶽三十六景」のなかの名作「深川万年橋下」に引き継がれています。

深川万年橋下
冨嶽三十六景 「深川万年橋下
絵のみ 13,000円(税別)


たかはしのふじ

西洋の額縁風縁取りに、ひらがなをローマ字筆記体風にして記されたタイトル。
北斎の遊び心を感じます。


「たかはしのふじ」 商品詳細はこちら >>



■ 重厚感のある西洋画風浮世絵 「九段牛ケ淵」

東京にある牛ケ淵と、それに沿って伸びる九段坂の風景を描いた一図です。牛ケ淵の土堤を境に見事に近景遠景の距離感を表現しています。


土堤には板ぼかしで西洋画風の陰影が施されていて、全体的に独特の重厚感を感じさせる作品です。

たかはしのふじ」同様、西洋の額縁風縁取りに、ひらがなをローマ字筆記体風にしてタイトルが記されています。

たかはしのふじ
期間限定特価 「九段牛ケ淵
絵のみ 13,000円(税別)

九段牛ケ淵

夕立前を思わせる雲は薄墨を摺り重ねていて、立体感があります。また、絵の具を付けず摺って凸凹をだす“空摺(からずり)”が施されています。

  九段牛ケ淵

坂が上にいくにつれて小さくなる人影からも遠近感を感じます。


「九段牛ケ淵」 商品詳細はこちら >>



■ 西洋画風の"神奈川沖浪裏" 「おしおくり はとう つうせんのづ」

本図はその酷似している構図から、北斎の代表作「神奈川沖浪裏」の原型と言われる作品の一つです。


神奈川沖浪裏 おしおくり はとう つうせんのづ
冨嶽三十六景 「神奈川沖浪裏
絵のみ 13,000円(税別)
期間限定特価
おしおくり はとう つうせんのづ
絵のみ 13,000円(税別)

今にも船を飲み込みそうな大波と、押し送り船を必死に漕ぐ船員たちの姿がダイナミックに描かれています。 陰影法や、通常の浮世絵よりも淡いぼかしなどに西洋画の影響が見られ、「神奈川沖浪裏」とはまた違った趣の、魅力ある作品です。


おしおくり はとう つうせんのづ

波には墨の板ぼかしで西洋風の陰影がつけられていて、押し寄せる波の凄みが引き立っています。

  おしおくり はとう つうせんのづ

水揚げしたばかりの魚を江戸へ運ぶ押送り船が今にも飲み込まれそう。


「おしおくり はとう つうせんのづ」 商品詳細はこちら >>



■ お得な3図セットもご紹介!

また、今回ご紹介した「たかはしのふじ」、「九段牛ケ淵」、「おしおくり はとう つうせんのず」の3図がセットとなり、さらに特製専用額がついたお得な「北斎 西洋画風浮世絵 傑作3図セット」もご用意しています!


北斎 西洋画風浮世絵 傑作3図セット

作品が中判と呼ばれる通常浮世絵サイズの半分の大きさですので、それに合わせた小さめの太子額(39.5×30.5cm)をご用意しました。

玄関などちょっとしたスペースにも気軽に飾っていただけます。お部屋の雰囲気や、お好みに合わせて作品を入れ替えてお楽しみください。

期間限定商品
北斎 西洋画風浮世絵 傑作3図セット

通常価格 70,000円(税別)
特別価格 49,000円(税別)

 

■ 他にもあります!西洋画風の浮世絵


現在オンラインサイトで開催中の「北斎の西洋画風浮世絵」特集では、普段オンラインストアに掲載していない珍しい北斎の西洋画風浮世絵の名作たちと、北斎作品だけでなく西洋画風浮世絵を得意としたその弟子、昇亭北寿の作品も合わせてご紹介しています。

東都御茶之水風景
期間限定特価
昇亭北寿 「東都御茶之水風景
絵のみ 13,000円(税別)

 

通常価格20,000円(税別)のところを、今なら期間限定特別価格13,000円(税別)にてお求めいただけます。12月11日までの期間限定となっていますので、この機会をどうぞお見逃しなく!


いま世界が注目!「北斎の西洋画風浮世絵特集」 商品一覧ページはこちら >>

モネとゴッホが愛したUKIYO-Eベストセレクション

 

浮世絵が世界的に評価される礎となった「ジャポニスム」という一大ムーブメント。 中でもモネとゴッホという日本人にとっても身近な印象派の画家と浮世絵との関係について2回にわたり紹介してまいりました。モネやゴッホ以外にも浮世絵から影響を受けた芸術家は多く、印象派の音楽家として有名なドビュッシー、そして、ジャポニスムに原点をもつアール・ヌーボーの代表エミール・ガレなどがいます。

モネとゴッホが愛したUKIYO-Eベストセレクション
<アダチ厳選の「UKIYO-Eベストセレクション」>

「モネとゴッホが愛した UKIYO-Eベストセレクション」の魅力をお伝えするコラム最終回となった本コラムでは、ドビュッシー、ガレが愛した北斎の描いた浮世絵の魅力に迫ります。


■ 名作曲家にも影響を与えた 世界で最も有名な日本の絵「神奈川沖浪裏」

北斎の描いた冨嶽三十六景の一枚「神奈川沖浪裏」。現在の横浜本牧沖から富士山を眺め描いたこの作品は、静と動が交錯するダイナミックな構図や当時流行した舶来の絵具プルシアンブルーを多用した色彩に多くの人々が魅了され、今なお世界中で高い評価を受けています。

神奈川沖浪裏
葛飾北斎「神奈川沖浪裏


特に、モネやゴッホと同時代を生きた印象派の音楽家ドビュッシーは、この作品からインスピレーションを受けて交響詩「海」を作曲したといわれています。

神奈川沖浪裏」と歌麿の美人画が壁にかかった自室でストラヴィンスキーと撮った写真なども残っており、日常的にこの作品に触れていた事がうかがえます。そして交響詩「海」の初版本には、「神奈川沖浪裏」が使われています。


■ 西洋の自然観に影響を与えた 北斎の花鳥画

この世の森羅万象を描き尽くそうとした北斎は、冨嶽三十六景をはじめとする風景画にとどまらず、草木や昆虫、小動物を描いた花鳥画の世界でもその卓越した才能を発揮しています。

あやめにきりぎりす

ピント張り詰めた空気の中に、さかさまにとまったきりぎりすの自然の姿を巧みに描いた「あやめにきりぎりす」。

葛飾北斎「あやめにきりぎりす

秋風にたなびく桔梗に止まろうとする蜻蛉の様子をリアルに表現した「桔梗に蜻蛉」。 北斎は、花や昆虫を描写するだけでなく、自然の中での風・空気・時間までを表現しようと試みています。

桔梗に蜻蛉
葛飾北斎「桔梗に蜻蛉

ジャポニスムというムーブメントが生まれた19世紀中頃まで西洋では、キリスト教の影響が強く宗教画・神話画・歴史画などが主流で、自然を単独の絵画の主題とすることはほとんどなかったといわれています。
そのような背景の中北斎の描いた花鳥画は、西洋の芸術家たちにとって新しい表現主題となり多大な影響を与えたようです。

中でも影響を強く受けたのは、19世紀末から20世紀初頭にかけてヨーロッパに流行した装飾様式、アールヌーヴォを代表するのがフランスのガラス工芸家エミール・ガレです。


■  アール・ヌーボーに影響を与えた 蜻蛉島(あきつしま)・日本の浮世絵

草木や虫をモチーフにし、流れるような曲線がその特徴でもあるアール・ヌーボー。中でもガレが30年にわたり制作活動の中でたびたびモチーフに使ったのが蜻蛉(トンボ)。蜻蛉は、日本の花鳥画では秋の風物詩として頻繁に登場し、北斎漫画や北斎の花鳥画「桔梗に蜻蛉」にも描かれています。

桔梗に蜻蛉

北斎漫画

ガレの蜻蛉をモチーフにしたガラス器に

うちふるえる蜻蛉を愛する者これをつくる エミール・ガレ

と銘を刻んだものがあるそうです。今回紹介した「桔梗に蜻蛉」を実際に見たという史実はないようですが、この作品はガレに多大な影響を与えた浮世絵の粋が凝縮された一枚といえるでしょう。

<「北斎漫画」より>

国のかたちが蜻蛉の交わる形に似ていることから「蜻蛉島(あきつしま)」という古称をもつ日本。
そのような背景も手伝ってか、ジャポニスムが広がる中、日本美術愛好家たちは日本の象徴として「蜻蛉」を捉えていたとも言われています。

これまで3回にわたって、幕末以降ヨーロッパでおきたジャポニスムというムーブメントと浮世絵との関係。特に、モネ・ゴッホ・ドビュッシー・ガレの4人の芸術家を取り上げましたが、当時浮世絵に影響を受けた芸術家は、枚挙に暇がありません。今回、アダチ版画が厳選した「モネとゴッホが愛した UKIYO-E ベストセレクション」の全12図をご覧いただき、当時ジャポニスムに沸いたヨーロッパの人々の熱狂ぶりを感じていただけば幸いです。

「モネとゴッホが愛した UKIYO-E ベストセレクション」 商品詳細ページはこちら >>

モネとゴッホが愛したUKIYO-Eベストセレクション

 

江戸時代、庶民に愛され大流行した浮世絵。
今なお、日本文化の代表として世界中の人々に高く評価されています。近年、パリでは北斎や国芳の大回顧展が開催され、日本各地でも浮世絵の展覧会が数多く開催されています。

今回アダチ版画では、現在開催中のサントリー美術館『広重ビビッド展』や太田美術館『広重展』でも話題の歌川広重最晩年のシリーズ「名所江戸百景」の作品や葛飾北斎の最高傑作「神奈川沖浪裏」など、浮世絵が世界的に評価される礎となった「ジャポニスム」に関係の深い名作12点を厳選したセット「モネとゴッホが愛した UKIYO-E ベストセレクション」をご紹介いたします!

モネとゴッホが愛したUKIYO-Eベストセレクション
<アダチ厳選の「UKIYO-Eベストセレクション」>

 

モネが愛したUKIYO-E

明治期はじめ、西洋に渡った浮世絵は「ジャポニスム」と呼ばれるムーブメントの中で、印象派の画家たちに影響を与えたことは前回コラムでもご紹介いたしました。
中でも、前回コラムでご紹介したゴッホと並んで、その影響を受けた画家のひとりと言われているのが印象派画家の代表格であるクロード・モネです。



■ 浮世絵への憧れ 庭に太鼓橋をつくったモネ

モネは、晩年を過ごしたパリ郊外にあるジヴェルニーの家に名作『睡蓮』の舞台としても有名な庭をつくっています。

ジヴェルニーの庭

その庭の池に架かった日本風太鼓橋のモデルとなったと言われているのが、歌川広重「亀戸天神境内」(名所江戸百景)です。

モネはこの太鼓橋を題材に数々の作品を残しており、その構図について「亀戸天神境内」を参考にしたと思われる作品が見られます。

<ジヴェルニーの庭にある太鼓橋のモデル>
歌川広重「亀戸天神境内


他にも、モネがコレクションしたと言われている200点以上の浮世絵の一部が、このジヴェルニーの家中いたるところに飾られているなど、モネが浮世絵を深く愛していたことがうかがい知れます。


■ モネも魅了された"UKIYO-E"の色彩

では、なぜそれほどまでにモネは浮世絵を愛したのでしょうか。モネが愛し影響を受けた浮世絵の魅力とはどんなものだったのでしょうか。

モネの200点以上の浮世絵コレクションを見渡してみると、北斎、広重などの風景画が半数以上を占めています。これらの風景画は構図もさることながら、色数にも富んでおり、色彩が大変鮮やかです。

中でも特に藍色は、その鮮やかさが目を引きます。北斎や広重が活躍した時代に大流行していた西洋から新しく輸入された化学的に作られた絵具プルシアンブルー(通称"ベロ藍")が多く用いられています。

もともと西洋の顔料であったこのベロ藍ですが、水に溶き和紙に摺りこむことで生まれる木版画ならではの発色の鮮やかさやみずみずしさは、幕末以降浮世絵が西洋へ渡り広まると、広重の名をとった"広重ブルー"として西洋の人々に全く異なるものとして評価されました。

阿波 鳴門の風波
<"ベロ藍"の濃淡を使い迫力ある波を表現している>
歌川広重「 阿波 鳴門の風波」


藍色に代表される明るく軽やかな浮世絵の色彩。油性絵具を重ねて塗っていく西洋の油彩画とは全く異なるそれは、モネたち印象派の芸術家を惹きつけたのでしょう。『光の画家』とも呼ばれるモネは、それまでの西洋画から一線を画す明るい色調で作品を描いていますが、浮世絵からの影響がそこにはあるのかもしれません。

印象派の大家モネの作品が今でも世界中で愛されているように、モネの愛した浮世絵の鮮やかでみずみずしい色彩も今なお世界を魅了しています。



「モネとゴッホが愛した UKIYO-E ベストセレクション」 商品詳細ページはこちら >>

品質へのこだわり

品質へのこだわり

アダチの浮世絵は、手にして初めて分かる、熟練の技術と日本の伝統が詰まっています。

製作工程

制作工程

一切機械を使うことなく一枚一枚職人の手仕事により丁寧に作られている木版画です。

厳選素材・道具

厳選素材・道具

江戸当時の風情を感じられる当時の浮世絵の再現にこだわり、厳選した素材と道具を使用。

職人紹介

職人紹介

最高の作品を創り出すために、日々技術の研鑽を積む熟練の職人たち。

浮世絵の基礎知識

浮世絵の基礎知識

意外と知らない?浮世絵の世界。浮世絵の基礎知識をご紹介。