アダチセレクト 話題の一枚
喜多川歌麿「蚊帳」-Part1. 前編-


アダチセレクト・話題の一枚は、毎回一人の絵師とその作品を取り上げ、木版制作工房としての視点なども含めながら、作品とその制作背景などをご紹介していく連載企画です。

第2回目となる今回選ばれた作品は、美人画の大家、喜多川歌麿の描いた「霞織娘雛形 蚊帳(かすみおりむすめひながた かや)」。蚊帳は部屋に虫が入ってくるのを防ぐために取り付ける網のようなもので、まだ網戸のなかったこの時代には夏の夜の風物詩的な存在でした。

蚊帳をはさんで向かい合う2人の美人を描いた、歌麿の魅力の集大成ともいえるこの作品を通して、数々の美人画の傑作を残した喜多川歌麿という絵師、そして彼の描いた作品の魅力をご紹介してまいります。

前後編でお届けする話題の一枚「蚊帳」。前編では、歌麿が本作「蚊帳」で描こうとしたものと本作の魅力について、制作の視点を交えながら迫ります。




喜多川歌麿「蚊帳




■ 美人画の大家・喜多川歌麿

喜多川歌麿(きたがわうたまろ・1753?-1806)は、江戸時代の浮世絵師。幼少より鳥山石燕に絵を学び、「浮世絵黄金期」と呼ばれる18世紀後期ごろ、表情豊かな美人画で人気を博しました。

歌麿は様々な技法を取り入れ、美人をより魅力的に表現しようと努めました。それまで役者絵に用いられてきた大首絵(バストアップ)の形式を美人画に取り入れたのも歌麿。これによって、一人一人の顔貌や表情の違いを描き分けようと試みたのです。


喜多川歌麿「当時三美人
<3人の顔貌が描き分けられています>
 



■ "透けているもの"を通して眺める美人

↑クリックで拡大   今回ご紹介する歌麿の傑作「蚊帳」は、版元・蔦屋重三郎の元から出版された「霞織娘雛形」というシリーズの中の一点です。

「霞織」という言葉は、おそらく蔦屋か歌麿の創作した造語だと考えられています。シリーズ名の「霞織娘雛形」には、「透けているものを通して美人を眺める」という意が込められているそう。

本シリーズには この「蚊帳」のほかに、「夏衣装」と「簾」の全3図という作品が知られており、そのどれもが薄い布などの透けているものの内と外に対比して美人を置く構図をとっています。
描かれたのは、歌麿が絵師としての絶頂を迎えたと考えられている寛政6~7年ごろ。代表作である「ビードロを吹く娘」とほぼ同時期の作品です。

2人の女性の上半身が描かれた本図。1人が手前、もう1人が向こう側で、蚊帳越しに向かい合って話をしているようです。手前の女性は懐紙をもっており、手水から帰ってきたところでしょうか。蚊帳の内側の女性は鬢を紐でくくり、寝床に入る準備をしているよう。リラックスした様子から、2人は親しい間柄なのでしょう。暑い夏の夜、眠りにつく前の当時の女性たちの様子が垣間見えるようですね。
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<懐紙を持っています>   <鬢を紐でくくっています>

「霞織娘雛形」というシリーズで歌麿は、「透かし見ることによって現れる女性の美しさ」を表現しています。布などによって遮られ、向こう側にいる人物がはっきりと見えないことによって、鑑賞者は隠された姿を想像し「もっとよく見たい」と強く欲するようになるのです。この好奇心は透けているものの向こう側にいる女性への興味を掻き立て、彼女をより魅力的に、美しく見せます。本作のタイトルとなった「蚊帳」というアイテムもまた、「隠されることで生まれる好奇心」を呼び起こすための舞台装置であり、奥にいる人物の美しさを増幅させるアイテムなのです。

<蚊帳を表現する彫と摺>
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美人画の彫の中で、難易度が最も高いとされるのが、顔や髪の毛などの頭彫り。浮世絵版画は色を付けたい部分だけ残して板を彫る「凸版」ですから、この部分の緻密な彫は、一流の職人にしか成しえません。中でも「毛彫」と呼ばれる髪の生え際の部分は、江戸時代には専門の職人がいたと言われている彫師の腕の見せ所です。

そして本作「蚊帳」には、もう一つ彫師の技量が存分に発揮される表現がほどこされています。言わずもがな、本図で主題として取り上げられている「蚊帳」です。
目の粗い織物独特の、透けた質感はどうやって表現されているのでしょう。女性の手前に描かれる蚊帳の部分を拡大して見てみると、細かい縦の線と横の線があるのがわかります。実際の蚊帳と同様に、縦と横の網目を作り出すことで透けた布を表現しているのです。 ↑クリックで拡大

立体感のある網目を作り出すため、本図の蚊帳は縦線を彫った板と横線を彫った板の2枚を用いて摺られています。実際に摺られた線を見てみると、その細さ約0.4mm。まっすぐで繊細な無数の線を、彫師は熟練の高い技術を持って寸分の狂いもなく彫り上げます。

本作品の中でも一番長い縦線(画面の最上部から最下部まで)を彫りあげる高度な彫師の技術をご覧ください。


彫師:岸千倉

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<蚊帳の版木(縦)> <蚊帳の版木(横)>

蚊帳の細かい線の表現は、摺師にとっても腕の見せ所です。同じ板を使って線を摺るのにも、力のかけ具合で濃淡や線の太さは大きく変わります。力加減を間違えれば、絵具が溜まってしまったり、線が太くなってしまったりと、作品の印象が全く変わってしまうのです。摺師は通常一度に100枚程度の枚数を、高度な技術によってすべて同じように摺り上げています。
↑クリックで拡大 また、人物の手前に透け感のあるものを配置する本作の工夫は、伝統木版ならではの手法とも言うことができます。浮世絵では、水性の顔料を和紙の繊維にきめ込みながら色を重ねていきます。重要なのはこの絵具。不透明な油絵具などと違い、摺った後にも下の色が透けて見えるという特徴があるのです。浮世絵版画では、透過性のある色を実際に重ね合わせていくことによって、手前の透けているものと奥の人物という構図を作り上げることが可能なのです。




■ 個性あふれる美人たち

描かれている美人にも注目してみましょう。本来美人画は、絵師ごとに理想の外見があり、その型にはめてモデルを描く「典型美」の世界でした。そんな常識を覆したのが歌麿です。

歌麿の描く美人画は、「典型美」の時代の美人画に比べると、ふくよかで現実的な肉体を持っています。弾力を感じさせる肉体表現は、匂い立つような色気を醸し出します。
蒸し暑い夏の日、襟元に手をやり、涼をとろうとする女性。このしぐさに、何とも言えない色香を感じませんか?
 
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  歌麿は、女性のうなじの美しさにクローズアップした作品も残しています。
「襟おしろい」は、鏡を見ながらおしろいを塗る女性を後ろからのぞき込むような構図で描いた作品です。まさに「典型美」の時代には見られなかった歌麿らしい艶っぽい表現ですね。




喜多川歌麿「襟おしろい


もともと遊女や芸者を題材とすることが多かった美人画というジャンル。
しかし歌麿が描いた美人は吉原の娘たちだけに留まりませんでした。彼は、美人と評判の茶屋娘から、働く女性、高級遊女までありとあらゆる世代・身分の女性たちの姿を描いています。そしてその一人一人に事細かなキャラクター設定がなされ、ちょっとした仕草や表情の中に喜怒哀楽を表わしているのも特徴です。歌麿は絵の主人公となる美人に愛すべき個性を持たせ、血の通った人間としてリアリティを持って描きました。
 
喜多川歌麿「難波屋おきた
<江戸評判の町娘を描いた「難波屋おきた」>
  喜多川歌麿「髪梳き
<髪結い職人として働く女性を描く
「婦人手業拾二工 髪梳き
(ふじんてわざじゅうにこう かみすき)」>

本作「蚊帳」で描かれている2人の美人も、理知的な雰囲気の手前の女性と、穏やかでかわいらしい蚊帳の奥の女性という風に、それぞれの魅力が描き分けられています。
↑クリックで拡大   ↑クリックで拡大
<穏やかな表情のかわいらしい女性>   <理知的で目元涼やかな美人>



連載企画「アダチセレクト・話題の一枚」の第2弾、喜多川歌麿「蚊帳」。Part1である今回は、本作に凝縮された歌麿の魅力についてお話してきました。お楽しみいただけましたでしょうか? 次回Part2では、歌麿を世に送り出した名プロデューサー蔦屋重三郎や彼らが生み出した様々な美人の表現など、美人画の大家・歌麿誕生の背景に迫ります。どうぞお楽しみに!




  ■ 関連作品
 
       
  喜多川歌麿
襟おしろい
  喜多川歌麿
当時三美人
  喜多川歌麿
髪梳き
 



  ■ テーマ別に楽しむ歌麿作品
 
       
  空摺が使われている作品   透かし表現(蚊帳・着物)  
           
       
  蔦屋から出版された作品   雲母(キラ)の作品  



そのほかの歌麿の浮世絵はこちら >>


アダチセレクト 話題の一枚 喜多川歌麿「蚊帳」-Part2. 後編- >>
https://www.adachi-hanga.com/ukiyo-e/feature/2020/08/post-156.html

■三枚続のパノラマで堪能する月の絶景 広重の『雪月花』


色調を抑えた画面に、一際明るい月が輝く広重の「武陽金沢八勝夜景」。広重の晩年期に描かれた三枚続の傑作「雪月花」の「月」の一枚です。

歌川広重 雪月花 武陽金沢八勝夜景
歌川 広重 「武陽金沢八勝夜景

神奈川県の名所・金沢八景(小泉、称名、乙舳、洲崎、瀬戸、平潟、野島、内川)の秋の月夜を描いた大作です。金沢八景の景観が、三枚続の大画面いっぱいに描かれ、湾内の静かな海面が満月の光で明るく透明に輝いています。雄大な情景を、色調を抑えた静かなトーンで描いた本図は、いつまでも眺めていたくなるような一枚です。

  歌川広重 雪月花 武陽金沢八勝夜景 静かな夜景を表現するため、全体的に色味を抑えて墨と藍との諧調のみで描かれています。島々は墨の濃淡で、立体的に表現されています。  
  秋の風景には欠かせない月と雁。色調を抑えた作品の中で、一際明るい満月が際立ちます。 歌川広重 雪月花 武陽金沢八勝夜景  

  
  歌川広重 雪月花 武陽金沢八勝夜景 三枚続は、一般的な浮世絵のサイズである「大判」を縦に三枚使い描かれています。 専用額付きでは、このように仕立ててお届けしています。雄大なパノラマの情景を、存分にお楽しみください。  
     【現在アダチ版画の目白ショールームにて展示中です】


■巧みに表現された『雪月花』の「雪」と「花」


『雪月花』では、「雪」と「花」を表す雄大な絶景も同様に、見おろすように俯瞰したパノラマの視点で描いています。

歌川広重 雪月花 木曾路之山川
歌川 広重 「木曾路之山川

三枚続の画面いっぱいに描かれた、迫力の白雪が降り積もる冬山。その景観に添えるのは、暗い空と渓谷の水の色彩のみ。渋み溢れる配色は、山国の冬の厳しさを遺憾なく表しています。

  歌川広重 雪月花 木曾路之山川 全体的に色調を抑えた画面の中、降り積もった雪の眩さを和紙の地の色を生かし、素晴らしく表現しています。墨色のぼかしを効果的に用いて、雪山の立体感も作り出しています。  

歌川広重 雪月花 阿波鳴門之風景
歌川 広重 「阿波鳴門之風景
絵のみ75,000円

他の2作品とは異なり、色鮮やかで、激しい動きを感じる1枚です。鳴門海峡の渦潮を描いた本図は、淡い水面の藍色と、遠景に描かれた淡路島の峰々の緑との対比が、画面に明るさと柔らかさをもたらしています。雪月花の"花"を描いた本作。このすさまじい渦潮の波頭を、「花」にたとえて表現しているのです。

  歌川広重 雪月花 阿波鳴門之風景 グラデーションのようなぼかしで異なる色味を調和させ、夏の鮮やかな山々を表現しているさまも見事ですが、さらに奥に見える山々の景色は墨の濃淡を用いて立体的に描かれ、どこまでも続く自然の雄大さを物語っています。  


■パノラマの大画面が三枚続として出版されたわけ


なぜ広重をはじめとした絵師たちは、こういったパノラマの構図を一枚の和紙にではなく、三枚に分けて描いたのでしょう。そこには、浮世絵が美術品としてではなく、出版物として作られていたことが大きく関係していると考えられます。
現代の雑誌や文庫本などの出版物なども、一定の決まったサイズのものが色々な出版社から発売されています。これは、より多くの人々に安価にものが行き渡るためには、なるべく費用をかけずに効率よく出版をするための業界のルールなのでしょう。江戸時代の浮世絵も同様で、浮世絵に使われた和紙のサイズも何種類か決まった大きさのものが使われました。

一般的に使用されていたのは、『大判(おおばん)』と呼ばれる大きさの紙。北斎の「神奈川沖浪裏」や、現在季節のオススメでご紹介中の「猿わか町夜の景」がこの大判サイズで出版されています。

浮世絵 和紙 サイズ

今回ご紹介している「武陽金沢八勝夜景」は、「金澤八景」の絶景をパノラマで描くことにより、その魅力が存分に表現されています。この作品を作るのに、横長の大きな和紙を特注で作るという考えもありますが、和紙を特注で漉くこと、さらには、その大きさの山桜の版木を用意することを考えると経済的な点からみても現実的ではなかったのでしょう。
この作品において広重は、三枚続きという規格の『大判』サイズを三つ横に並べることによって自身が意図した「迫力のある大画面」を生み出すことに成功したのです。

歌川広重 雪月花 武陽金沢八勝夜景

そして広重は、このパノラマの画面を使い、優れた構成力をも発揮しています。
『雪月花』の三作品は、この視点から景色を俯瞰するのは、実際には難しいと考えられています。見たままを描くのではなく、想像の世界を加えながら抜群の構図で絶景を描き切った、まさに晩年の広重の集大成といえる作品ではないでしょうか。

歌川広重 雪月花 阿波鳴門之風景 そして、この作品の見どころは、技術面にもあります。三枚続の場合には、空の色やぼかしの部分を違和感なくつながって見えるように、三枚を揃えなくてはいけません。ここには、摺師の高い技術が必要不可欠です。規格の中での作る工夫ではありますが、摺師にとっては、より一層技術力が求められる作品であるといえますね。

晩年期の広重の卓越した構成力と、職人の高い技術があってこそ生まれた傑作「武陽金沢八勝夜景」、そして『雪月花』をぜひご堪能ください。
広重から清親へ 風景画の巨匠が描く雨の風景

■広重作品の叙情性の秘密 ~制作の視点から読み解く~

前回の<Part 1>では、色面と摺師の技を駆使することで「奥行き」そして、広重の抒情的な深みが生まれていることを摺の工程と共に、ご紹介いたしました。本日は、いよいよ作品のメインテーマである「雨」がどのように表現されているか、制作の視点から紐解いていきたいと思います。
>> 前回のおさらいはこちら


同じ「広重の描く雨」といっても、作品によって大きく描かれ方が異なります。
「伯耆大野 大山遠望」と「大はしあたけの夕立」の雨の描写はどのようになっているでしょうか。
それぞれの違いを見比べてみましょう。

歌川広重 伯耆大野大山遠望 「伯耆大野 大山遠望」では、雨線はあまり多くなく、色も薄い灰色で摺られています。雨の中農作業に励む人々の様子や、霞んだような遠景も考えると、静かに降り続く霧雨のような印象を受けますね。
歌川広重「伯耆 大野 大山遠望

歌川広重 大はしあたけの夕立

一方で「大はしあたけの夕立」では細かな雨線が無数に描かれています。色は比較的濃い墨で摺られており、上空にも暗い雲が立ち込めています。急に降り出した強く激しい夕立の様子が臨場感たっぷりに描かれています。
歌川広重「大はしあたけの夕立


■異なる二種類の雨の版木比べ

ここで、この雨の部分を摺る版木を見てみましょう!まずは、「伯耆」は1枚であるのに対し、「大はし」は2枚の版木が使われているのがわかりますね。そして、雨の密度の違いが反映されて、線も間隔が狭く彫られています。

歌川広重 伯耆大野大山遠望   歌川広重 伯耆大野大山遠望
歌川広重 伯耆大野大山遠望   歌川広重 伯耆大野大山遠望
「伯耆大野大山遠望」
間隔も広く、雨が交差する部分も1枚の版木に彫ってあります。雨の色は胡粉(白い絵具)に、墨を少し混ぜた薄い灰色で摺られており、より柔らかな表現になります。
  「大はしあたけの夕立」
間隔は狭く、角度が微妙に異なる無数の直線のみを2枚に分けて彫ってあります。濃い墨と薄い墨で摺っていくことによって、雨に立体感が生まれ、降りしきる雨の描写がより強調されます。



大はしあたけの夕立 版木 ここがポイント!緻密な線を彫り上げる熟練の技
版木に1円玉を置いてみると、その細かさは一目瞭然。
この無数のまっすぐな線は、もちろん定規などを使っているわけではありません。これほどの線を少しの狂いもなく彫り上げるとなると、熟練の高い技術が必要となります。


同じ「雨」でも、描く場面の違いに応じて、それぞれの雰囲気を表現するために、色や線など、全く違うアプローチで制作されていることが分かっていただけたかと思います。
それでは、最後に、前回ご紹介した「大はしあたけの夕立」の摺の工程の続きをご紹介いたします。2枚の版木で摺り重ねられて生まれる名作誕生までの最後の工程をご覧ください!

■主題として描かれた雨の「線」の表現

歌川広重 大はしあたけの夕立 前回の配信では、「大はしあたけの夕立」において「面」で表現された対岸の景色のシルエットが、作品に奥行きと叙情性を生み出す重要な要素である、ということをお伝えいたしました。

これが、作品に「雨」が表現される前の段階です。

ここに雨の「線」の表現が加えられることによって、画面に更なる奥行きと立体感が生まれます。

歌川広重 大はしあたけの夕立
本図の主題でもある「雨」。先ほどご紹介したように、本図の雨の版木は2枚に分かれており、まずは1枚目の版木を薄い墨で摺ります。

歌川広重 大はしあたけの夕立
次に、少し濃い墨で、2枚目の版木を摺ります。
緻密な雨の線の重なりが、たった二枚の版木だけで構成されているようには思えない複雑な雨の描写を生み出しています。

ここがポイント!
雨を摺るのにも、力の加減によって、濃淡や線の太さが全く変わってきてしまい、作品の印象が全く変わってしまいます。また、一度に100枚程度を摺るため、それをすべて同じように摺るためには、熟練の技術を要します。

歌川広重 大はしあたけの夕立 残りの部分を摺って完成。
対岸の遠景の手前に、はっきりとした濃い雨の線が摺られることによって、画面の奥行きが増し、また、雨の存在感がより強調されてみえます。


広重が描いた「雨」を表現するために、作品によって様々な工夫がなされているのをここまでご覧いただきました。
絵師の思い描く世界を最大限表現するために必要なのが、高度な職人の技術です。彫師・摺師が作品の主題を読み解き、作品に合わせて、技を遺憾なく発揮することで、人々を魅了する名作を生み出すことができるのです。


歌川広重 伯耆 大野大山遠望 「伯耆大野大山遠望」では、絵の具をきめ込みすぎず、のせるように摺っていくことで、霧雨のように降る優しい雨が表現されます。


2回に渡ってアダチ版画独自の視点からご紹介してきた、広重の「雨」の作品。
広重作品の持つ豊かな叙情性は、広重が浮世絵制作が分業制である利点を充分に理解していたからこそ、生み出されたものなのではないでしょうか。


広重から清親へ 風景画の巨匠が描く雨の風景

■広重作品の叙情性の秘密 ~制作の視点から読み解く~

広重の風景画はどれも詩的な趣や叙情性を高く評価され、今でも風景画の名手としてその名を広く知られています。それでは、なぜ広重の作品はこれほどまでに叙情性に溢れ、人々の心を惹きつけるのでしょうか。現在雨の浮世絵の企画でご紹介している2つの作品の制作工程を通して、広重作品の抒情性の秘密を見ていきましょう。


歌川広重 伯耆大野大山遠望 歌川広重 大はしあたけの夕立
歌川広重「伯耆 大野 大山遠望 歌川広重「大はしあたけの夕立


■雨も山も見当たらない?!広重作品の版下絵

まずは、霧雨を描いた「伯耆大野 大山遠望」と夕立を描いた大はしあたけの夕立」の「版下絵」を見てみましょう。「版下絵」というのは、絵師が描く版画のための下絵のこと。浮世絵版画の場合には、色のついた完成図を絵師が描くのではなく、墨一色の線のみで描いたものが原稿となり、色の部分は、後から色ごとに指定していくことになります。2図ともに、線で描かれている部分は少なく、版下絵を見ただけでは完成する作品の全体像が読みとれません。


歌川広重 伯耆大野大山遠望 歌川広重 伯耆大野大山遠望 歌川広重 大はしあたけの夕立 歌川広重 伯耆大野大山遠望

こちらは葛飾北斎「神奈川沖浪裏」の版下絵。広重の版下絵と比べると、北斎は、細かい部分まで線を描いており、版下絵を見ただけで、作品の完成図がだいたい想定できます。

k葛飾北斎 神奈川沖浪裏

絵師によっても「版下絵」そして版画の作り方、絵の見せ方が異なるのがこれだけでもわかりますね。
広重の「線」で描かれていない部分は、どのように作られるのかというと、「色板」と呼ばれる、色ごとに分けられた板を用いて、一色ずつ「面」として表現されることになります。
それでは実際にどのように表現されているのか、摺の工程とともに見ていきましょう。


■職人の技術が生きる 「面」の表現

歌川広重 伯耆 大野大山遠望

浮世絵では初めに輪郭線を摺り、その後一色ごとに摺り重ねていきます。

これは「伯耆大野大山遠望」の輪郭線と、農作業をする人々の傘と蓑の部分が摺られている段階です。まだ、背景の山や雨は表現されていません。


背景の部分を摺っていきます。
いくつかに分けられた色の板を使い、濃淡を巧みに表現していきます。また、本図では「ぼかし」の技法が多く使われています。

歌川広重 伯耆 大野大山遠望

歌川広重 伯耆 大野大山遠望

摺り上がりを見ると、山や木々などの比較的大きな対象物に輪郭線がとられていないため、作品の印象も柔和で繊細な印象となります。


そして、もう1図「大はしあたけの夕立」のシンプルな版下絵の状態から、奥行きのある抒情豊かな名作に仕上がるのかを摺の工程をふまえ、ご紹介いたします。



■「大はしあたけの夕立」摺師の高度な技術から生まれる作品の奥行き

本図では手前に描かれた橋の遠景に、夕立で霞む対岸の景色が描かれていることにより、画面に奥行き生まれ、作品により抒情的な深みを持たせています。
「大はしあたけの夕立」の20回近くの摺工程の中から抜粋した5つの工程を以下にご覧ください。奥行きの変化が一目瞭然です。


歌川広重 大はしあたけの夕立 歌川広重 大はしあたけの夕立 歌川広重 大はしあたけの夕立
1. アウトライン 2. 手前の橋に色が入りました 3.背景の川と空の部分に
色板の面で色が入りました

歌川広重 大はしあたけの夕立 歌川広重 大はしあたけの夕立

上空に立ち込める暗い雲を、濃い墨を用いて表現しています。
前回のメールマガジンでもご紹介しましたが、「あてなぼかし」と呼ばれるこの技法は、平らな板の上に刷毛で雲の形を描くように絵の具をのせて摺る技法。すべて同じ形に摺るためには、熟練の高度な技術が必要となります。


歌川広重 大はしあたけの夕立

そして薄い墨を用いて、対岸の遠景が摺られていきます。シルエットのみで表現されるこの情景により、作品に一気に奥行きが生まれるため、制作においても大変重要な工程となります。


歌川広重 大はしあたけの夕立

この対岸の部分の版木です。この板を使って、二回の摺を行います。
一度目の摺で対岸部分全体を摺り、二度目の摺で上部にぼかしをかけていきます。


また、彫りにも注目をすると、実は対岸にある木々や建物のシルエットまで、細かく表現されていることがよく分かります。
作品に深みを持たせる重要な部分だからこそ、摺師の高度な「ぼかし」の技術が加わることによって魅力的な遠景を作りだしているのです。


歌川広重 大はしあたけの夕立

このように、広重の作品にみられる「奥行き」のある抒情性あふれる表現の裏には、木版構造や技法が大きく影響していることがご覧いただけたと思います。広重は、線だけでなく色面をどのように使うか、そして摺師の技術をどう活用するかを考えて「版下絵」を描いていたのでしょう。

次回は、いよいよ「雨」の表現についてご紹介していまいります。「伯耆大野 大山遠望」と「大はしあたけの夕立」どのような違いがあるのかも必見です!どうぞお楽しみに。


季節のうつろいを浮世絵で感じる~初夏を優しく彩る花鳥~

■江戸の庶民に親しまれた浮世絵の「花鳥画」

江戸時代に流行した浮世絵において、風景画と並んで人気が高かったのが「花鳥画」です。
西洋では静物画として、花瓶に入れた花などをモチーフとした作品は多くありますが、自然の中にある草花をありのままに描いたのは東洋独特の文化。室町時代に中国の画風を受け確立された花鳥画は、江戸時代になると、浮世絵のジャンルとしても広く親しまれるようになり、広重や北斎など、当時を代表する絵師も多くの花鳥画を残しました。特に広重は、生涯に1000点近い花鳥画を手掛けたともいわれています。
もちろん、同じ花鳥を描いた作品でも絵師によってその表現ははさまざま。
たとえば、広重と北斎が、紫陽花を描いたこの2作品。見比べると二人の画風の違いがとてもよくわかります。

  歌川広重 紫陽花に翡翠 葛飾北斎 紫陽花に燕  
歌川広重 「紫陽花に翡翠 葛飾北斎 「紫陽花に燕

■紫陽花の花の描き方 空摺と緻密な輪郭線

まずは、紫陽花の輪郭線に注目してみましょう。
広重「紫陽花に翡翠」では、花の輪郭線が墨ではなく、版木に色をのせずに摺ることで凹凸を出す「空摺」を用いて控えめに表現されています。これによって葉脈や、翡翠の羽の、細かな線描写とのバランスが絶妙にとられています。

歌川広重 紫陽花に翡翠


一方、北斎「紫陽花に燕」では、大きな花に隠れた小さな花びらまで、一枚ずつ細かく輪郭線がとられています。さらに葉の質感や茎の節まで正確に表現されており、紫陽花のありのままの姿を描くことに注力していることがわかります。


葛飾北斎 紫陽花に燕

■葉まで鮮やかに彩った広重 色彩で立体感をつけた北斎

それでは、それぞれの「色」は、どのようになっているでしょうか。

歌川広重 紫陽花に翡翠

広重の描く紫陽花は、鮮やかな青と、薄いピンクで彩られています。特に印象的なのが葉の部分。浅黄色や、花と同じ色合いで表現され、作品全体の豊かな色彩と協調しています。

一方北斎は、紫陽花のまるい形をより立体的にみせるため、淡い薄水色とピンク色のグラデーションで表現しています。反対に葉や茎は、かなり濃い色合いで摺られており、作品の印象をぐっと引き締めています。

葛飾北斎 紫陽花に燕


どちらの作品も、翡翠や燕、そしてそれぞれ背景との配色が完璧になされており、人気絵師であった二人の優れた色彩感覚が見て取れます。



■広重と北斎 「紫陽花」から画風の違いを読み解く

広重は「紫陽花に鶸」でも、紫陽花を描いています。
こちらの作品では、花の輪郭線は描かれているものの、北斎の細かな描写とは違い花びらの一枚一枚がおおまかに捉えられており、作品全体の優しい雰囲気を助長しているようにも感じられます。

歌川広重 紫陽花に鶸
歌川広重 紫陽花に鶸 歌川広重「紫陽花に鶸

このように見比べていくと、広重は作品の協調性を重視し、北斎は描く対象の細かな部分まで、正確に捉えようとしていることがよく分かります。

広重の描く花鳥画の多くには、和歌や漢詩が添えられており、目に映るものの見たままを描くことよりも、作品の抒情的な世界観をより大切にしていたのかもしれません。
一方で北斎は、本作以外の花鳥画でも葉脈や花の細かい部分まで正確に描ききっています。自然の中に咲く花々の美しい一瞬を見事に切り取った作品の数々からは、世の中の森羅万象をあますところなく捉えようとした北斎の信念が伝わってきます。

北斎 あやめにきりぎりす 北斎 藤に鶺鴒 広重 菖蒲に白鷺 広重 薔薇に瑠璃鳥
北斎
あやめにきりぎりす
北斎
藤に鶺鴒
広重
菖蒲に白鷺
広重
薔薇に瑠璃鳥


「季節のうつろいを浮世絵で感じる~初夏を優しく彩る花鳥~」では、紫陽花以外にも菖蒲や藤など、初夏の花々を描いた作品をご紹介しています。同じ題材を描いた作品で、それぞれの絵師の個性を楽しんでみてはいかがでしょうか。

>> 季節のうつろいを浮世絵で感じる~初夏を優しく彩る花鳥~

離れたご家族のお祝いや大切な二人の記念日、何気ない日常への感謝...
さまざまな想いを込めて贈る、浮世絵のプレゼント

「連休中、家族みんなお祝いする予定だった節目や記念日があった。」「このような時だから、何気ない日常の感謝を大切な方に伝えたい。」今年は帰省や旅行など、遠出が難しい状況が続いています。

このようなときだからこそ、離れている大切な方へ、気持ちを伝える贈り物はいかがでしょうか。アダチ版画の浮世絵は、大切な節目のお祝いや、日常の感謝を伝える贈り物としても親しまれています。

今回は、大切な記念日のお祝いや日々の感謝を伝える贈り物として、実際にご購入いただいた作品を、添えられたメッセージカードや、額縁の裏へお入れしたメッセージ・名入れ(奥付)の事例とともにご紹介します。

また、贈り物には職人が一枚一枚手摺をした、アダチ版画オリジナルの特別なメッセージカードをお付けしております。お客様にいただいた文面を、ご希望を伺いながらレイアウトいたします。

メッセージカード

◇ご家族の思い出の一品に

歌川広重 水道橋駿河台
歌川広重「水道橋駿河台
初節句のお祝いに、広重が描いた浮世絵の鯉のぼりを贈られたお客様。額の裏面に貼り付け、記念品としていつまでも残る奥付をご用意いたしました。
葛飾北斎 神奈川沖浪裏
葛飾北斎「神奈川沖浪裏
70歳のお誕生日、古稀のお祝いとして藍色が美しい「神奈川沖浪裏」を贈られたお客様。家族の皆さんそれぞれからのメッセージを載せたカードをお付けしました。
 
歌川広重 牡丹に孔雀
歌川広重「牡丹に孔雀
ご退職のお祝いに広重の花鳥大短冊から一図選んで贈られたお客様。華やかで格調高い一枚に、心を込めたメッセージを添えて。
歌川広重 隅田川水神の森真崎
歌川広重「隅田川水神の森真崎
お母様へのプレゼントに桜の浮世絵を選ばれたお客様。デザイン的な構図に明るい色遣いの本作は、贈り物にもぴったりの人気作品です。


◇お二人の大切な記念日に

葛飾北斎 鷽に垂桜
葛飾北斎「鷽に垂桜
バレンタインの贈り物に北斎の「鷽に垂桜」をセレクトされたお客様。メッセージカードからは、お二人が春を楽しみにされているのが伝わってきます。
歌川広重 神奈川 台之景
歌川広重「神奈川 台之景
お二人の大切な結婚記念日の贈り物に、お住まい近くの風景が描かれた一枚をお選びいただきました。



◇絆を深める贈り物に

葛飾北斎 東海道品川御殿山の不二
葛飾北斎「東海道品川御殿山ノ不二
海外の仲間へ、お勤め先の創業場所の風景画を選ばれたお客様。思い出の場所の桜で、共に過ごした時間に思いを馳せてほしいというメッセージが素敵です。
葛飾北斎 桜花に富士図
葛飾北斎「桜花に富士図
フランスにお住まいのお客様。季節の贈り物として、ご友人に北斎「桜花に富士図」を贈られました。「春のプレゼントに!」のメッセージも粋ですね。


アダチ版画だけの安心ギフト対応

和英併記の作品解説 オリジナルギフトラッピング メッセージカード
和英併記の作品解説 オリジナルギフトラッピング アダチ版画特製 手摺りのカード
奥付 熨斗 国際配送
額縁へのメッセージ・名入れ 熨斗 国際配送も承ります


ギフトサービスのご利用方法

ご紹介しているギフト対応は、無料にてご利用いただけます。
ご注文の際は以下を参考に、ご希望のギフトサービスをご記入ください。ご注文の受付完了後、アダチ版画から改めてご返事いたします。

手順1.「ギフトとして送る」を選択
お届け先選択画面にてお届け先を選択、もしくは入力した後、「ギフトとして送る」にチェックしてからボタンをクリックしてください。

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※海外配送をご希望の場合は、一度ご自宅など日本国内のご住所をご入力いただき、ご注文の最終確認画面にて配送先をご入力ください。詳しくは下記、《海外配送について》をご確認ください。


手順2.ギフト情報の入力
【熨斗をご希望の場合】

熨斗の表書きとご名義についてご指定下さい。

ショッピングカート

【奥付・メッセージカードをご希望の場合】
ご希望のギフトサービスにチェックを入れてください。

ショッピングカート

内容や文章は下のボックス内に入力してください。

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手順3.海外配送の場合

海外へのギフト配送をご希望の場合、お届け先住所入力欄には一度ご自宅など日本国内のご住所をご入力いただいてお進みいただき、ご注文の最終確認のページ下部、「備考欄」に配送先をご入力ください。

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配送先のお宛名・ご住所(国名まで)・お電話番号をご記入ください。

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※海外配送時の関税に関して
国際配送の場合、各国の通関にて関税が発生することがあります。関税は通常、荷受人の方が負担することとなっておりますが、ギフトの場合、荷受人の方に関税が発生しないようにするために、ご注文様にご負担いただくことが可能です。後日、関税が確定次第、ご請求させていただくこととなります。
その場合は配送先の記入と同じく、ご注文の最終確認のページ下部、「備考欄」にご入力をお願いいたします。
関税の額については、各国の通関職員が現物を見ての判断となりますので、弊社にて、関税発生の有無や金額を事前にお伝えすることはできません。あらかじめご了承下さい。

>>海外配送の詳しいご案内はこちら


アダチ版画では贈る方も贈られる方もご満足いただけるサービスを目指しています。
ご不明な点や、このほかにもご希望がございましたら、まずはお気軽にご相談ください!

おうちで浮世絵 楽しみませんか?

WEB上の浮世絵鑑賞は、#おうちで浮世絵

現在、新型コロナウイルス感染症の拡大防止のために、皆さん外出を控えておうちで過ごす時間が増えていることと思います。

これまで気軽に足を運んで、浮世絵を楽しむことのできた美術館も臨時休館が相次ぎ直接浮世絵に触れる機会がなくなっています。浮世絵ファンの皆さんも寂しい想いをされているのではないでしょうか?
そんな中、皆さんにお見せできなくなってしまった浮世絵をオンライン上で楽しんでもらおう!という美術館の方々の取り組みの中で生まれたのが、素敵なハッシュタグ

#おうちで浮世絵

です。

#ハッシュタグ とは
キーワードやトピックを分類するためにツイッターやInstagramなどで使用されるもの。
この機能を使い、興味のあるトピックを簡単にフォローすることができます。


最初に使ったのは、東京原宿にある浮世絵専門の美術館・太田記念美術館さんです。

3月からの展示を臨時休館とした直後の2月28日から#おうちで浮世絵というハッシュタグと共に展示概要をTwitterで紹介しています。そして、「新型コロナウイルスの拡大防止を祈念して」投稿された歌川芳虎「家内安全ヲ守十二支之図」が1.2万リツイート!2.4万いいね!というすごい反響をえて、NHK首都圏ニュースでも報道されました。


太田記念美術館 太田記念美術館


その後も、太田記念美術館の他、すみだ北斎美術館、広重美術館、藤沢市藤澤浮世絵館、 神奈川県立歴史博物館など浮世絵を所蔵する館で #おうちで浮世絵 のハッシュタグと共に所蔵作品を惜しみなく、そして、独自のコメントとともに紹介してくださっています。
様々な作品に触れることができるだけでなく、ミニ知識を得られるようなコメントも見どころです。

すみだ北斎美術館 広重美術館 藤澤浮世絵館 神奈川県立美術館

WEB上ですが、美術館で浮世絵を鑑賞しているような感覚が味わえます。今後は、美術館では味わえない手に取ってみているような感覚になれる浮世絵の新しい楽しみ方になっていくかもしれませんね。



#おうちで浮世絵 でアダチの浮世絵も投稿しよう!

そして、最近では、一般の方々にも #おうちで浮世絵 が浸透しているようで、アダチ版画の復刻版をお求めいただいたお客様も楽しんでいる様子をInstagramに #おうちで浮世絵 のタグをつけて投稿してくださっています。

おうちで浮世絵 おうちで浮世r

素敵に #おうちで浮世絵 を楽しんでくださっている様子をSNS上で共有していただけるのは、とても嬉しいですね。


楽しみ方をみんなでシェア! アダチ浮世絵ギャラリー開設

これまでも、今回のようなSNS上だけでなく、お便りやメールなどで、アダチの浮世絵を飾って楽しんでいるお写真を送ってくださるお客様もたくさんいらしたのですが、なかなか皆さんにご紹介させていただけていなかったので、このたびこれを機会に、アダチ浮世絵ギャラリーを開設しました!


少しずつ、これまでいただいたお写真を一覧でご紹介してまいりますので、是非のぞいてみてください。

今、おうち時間が長くなっている皆さんも、ご一緒に、#おうちで浮世絵 を楽しんでまいりましょう!


北斎花鳥画集

 

若草の緑も鮮やかな季節になってまいりましたね。春も深まり、様々な草花が可憐な花を咲かせています。行楽日和のお天気が続きますが、今年は外出や遠出もままならない情勢です。今回は、ご自宅での心和むひと時をお手伝いする、北斎が描いた花鳥画をご紹介いたします。

心を癒す北斎の花鳥画は、ご自身でお楽しみいただくのはもちろん、来月の母の日のプレゼントにも最適です。
また、こういった時期ですので、残念ながらゴールデンウィークの帰省を見送られた方もいらっしゃるでしょう。遠くにお住まいのご家族やご友人など、今、会えない大切な方に贈っていただくのにもおすすめです。

 

葛飾北斎が描いた花鳥画の傑作シリーズ

世界的知名度を誇る「神奈川沖浪裏」をはじめとした「冨嶽三十六景」シリーズを代表に、主に風景画で知られる北斎ですが、花鳥画においても数々の優れた作品を描いています。中でも大判の画面を横長に使った全10図からなるこの花鳥画集は、傑作揃いのシリーズです。

あやめにきりぎりす 百合 牡丹に蝶 桔梗に蜻蛉 菊に虻
あやめにきりぎりす 百合 牡丹に蝶 桔梗に蜻蛉 菊に虻
朝顔に雨蛙 桧扇 紫陽花に燕 芙蓉に雀 罌粟
朝顔に雨蛙 桧扇 紫陽花に燕 芙蓉に雀 罌粟

 


葛飾北斎 菊に虻

この花鳥画シリーズで北斎は、鋭い観察眼と優れた表現の技を自在に用いています。

例えば、シリーズ中の「菊に虻」では、ボリュームのある花びらの一枚一枚や、特徴のある葉の形だけでなく、風に翻った葉の裏表までを繊細な細い線で描き分けており、その造形の細かさと正確さには驚かされます。

<細かく正確な線で描きこまれた花>



森羅万象あらゆるものの真を描き出そうとした北斎の心意気が伺えるこのシリーズは、実際の花を眺めているのと同じように心穏やかなひと時を作り出します。



一瞬の美を描く「静」と「動」の表現

本シリーズで最も特徴的な点は、作品によって「静」と「動」という要素を効果的に用い、自然の中での風・空気・時間までを表現しようと試みているというところです。

  葛飾北斎 凱風快晴 葛飾北斎 神奈川沖浪裏  

「静」の傑作
葛飾北斎 「凱風快晴

「動」の傑作
葛飾北斎 「神奈川沖浪裏


北斎の二大代表作「凱風快晴」と「神奈川沖浪裏」は、前者が「静」後者が「動」を感じさせる作品として良く比較されますが、本シリーズも風が止み静止した瞬間の静かな美しさを描いた「静」の作品と、逆に風に吹かれ動いた一瞬を捉えた「動」の作品の二つに分けてみることが出来ます。

今の季節にぴったりの2作品を例に見てみましょう。


静かにたたずむ 繊細なあやめの花 「あやめにきりぎりす」


春の終わりごろから咲き始めるあやめの花と、その葉の間に隠れたきりぎりすが描かれています。こちらは「静」に分類される一図。




葛飾北斎 あやめにきりぎりす

花びらの微妙な色の変化までが描かれたあやめの花。ぴんとまっすぐに伸びた葉や花の茎が、風のとまった一瞬の静寂を感じさせ、凛とした空気を生み出しています。




葛飾北斎 あやめにきりぎりす

葉の陰でじっと身をひそめるきりぎりすも、少しの風が吹けば今にも飛び出してきそうな印象を与えます。

色鮮やかな藍のぼかしが美しく、心癒されるこの一枚。あやめの花言葉は「よき便り・愛」で、大切な方への想いを伝えるのにもぴったりの作品です。



※白木の額は受注生産となりますので、お届けに2週間程度いただきます。
詳細はこちら >>アダチ特製浮世絵専用額(白木)

風に吹かれて揺れる 華やかな牡丹の花 「牡丹に蝶」

葛飾北斎 牡丹に蝶

葛飾北斎 「牡丹に蝶

蝶が風に吹かれて揺れる牡丹に留まろうとした瞬間を的確に捕らえた一図です。風や蝶の表現からもわかるように、こちらは「動」に分類される一枚ですね。




葛飾北斎 牡丹に蝶

花びらの細かな線までもが繊細に描かれ、風に吹かれ柔らかな花びらがたわむさまが見事に表現されています。




葛飾北斎 牡丹に蝶

風で翻った葉の裏表も正確に描き分けられています。

春の空気の中、牡丹の花の香に誘われやってきた蝶がひらひらと可憐に飛ぶ様には、心が和みます。
柔らかな色合いで表現された華やかな一図で、女性の方に大変人気の作品です。


花を贈るように、花の浮世絵を贈る

絵画のお花なら、切り花のように枯れることもなく、鉢植えよりも気軽に、一年中好きなときに飾って楽しめます。
また、北斎の描いた花鳥画は、大変モダンな線と配色で作られており、現代の洋間のお部屋にもぴったりの作品です。

アダチの復刻版浮世絵版画は、職人の手仕事ならではの温かみのある作品です。機械印刷では出せない鮮やかで深い発色や、手漉きの和紙の風合いをお楽しみいただけます。

今年は離れて過ごさなければならない分、ご家族への日ごろの感謝を込めた贈り物に、記念に残る浮世絵のお花はいかがでしょうか。

葛飾北斎

初節句のお祝いに 「浮世絵の鯉のぼり」


■端午の節句のはじまり


5月5日は端午の節句。男の子の健やかな成長を願う、伝統的なお祭りです。
そんな端午の節句が日本で始まったのは、奈良時代といわれています。体を壊しやすい季節の変わり目に、人々は邪気を払うとされる薬草「菖蒲」を軒先に飾ったり湯に入れたりして無病息災を祈っていたそうです。その後、武士の台頭によって、「菖蒲の節句」は「尚武(武をたっとぶ)の節句」として盛んに祝われるようになっていきます。
江戸の社会風俗を鮮明にうつした浮世絵には、武士と町人それぞれの文化が花開いた、当時の端午の節句の様子が描き出されています。




■武家vs.商人!?「水道橋駿河台」にみる江戸の端午の節句


武士と町人それぞれの「端午の節句」の様子を垣間見ることができるのが、歌川広重「水道橋駿河台」です。
堂々とした鯉のぼりが印象的な本作ですが、実はこの「鯉のぼり」は江戸時代中期ごろから裕福な商人の間で始まった風習だそうです。武家では端午の節句になると武具を飾り幟を立てていたのに対抗し、商人たちが幟の代わりに鯉の吹流しを飾るようになったとか。


歌川広重 水道橋駿河台
歌川広重「水道橋駿河台
歌川広重 水道橋駿河台

たしかに「水道橋駿河台」の絵を見ると、鯉のぼりの向こうに小さく沢山の幟が描かれています。その辺りに当時、武家屋敷が立ち並んでいたことが分かりますね。



一般大衆が楽しんだ「浮世絵」だからこそ、画面奥のささやかな武家の幟とは比べ物にならないほど、鯉のぼりを大きく立派に描いたのでしょう。江戸庶民の気概や心意気が表れた一図かもしれませんね。


■鯉が端午の節句にかざられるのはなぜ?



江戸時代中期から町民の間で広まった「鯉のぼり」。武家への対抗心から生まれたことはご紹介しましたが、なぜ飾りのモチーフとして「鯉」が選ばれたのでしょうか。

それは、中国のとある伝説に由来するそうです。
中国の黄河上流には竜門と呼ばれる急流があり、そこを登り切った魚は竜になることができるといわれていました。「登竜門」の語源にもなった、有名な伝説です。この激流を見事登りきり、竜になったのが「鯉」だったというわけです。この故事から鯉は立身出世の象徴とされ、大変縁起の良いモチーフとして描かれるようになりました。

その人気を裏付けるように、浮世絵にも鯉は多く描かれています。


  葵岡北渓 鯉の滝登り図 歌川豊国 緋鯉  
葵岡北渓 「鯉の滝登り図 歌川豊国 「緋鯉


まさにこの伝説をモチーフに描かれた葵岡北渓の「鯉の滝登り図」や、赤い鯉を描いた歌川豊国「緋鯉」も、健やかな成長を願う端午の節句にふさわしい作品です。


■龍の子が鯉を抱き上げる『吉祥図』 国芳「坂田怪童丸」


歌川国芳 坂田怪童丸

そんな「鯉」を描いた中でも、少しひねりのきいた作品が歌川国芳「坂田怪童丸」です。金太郎と鯉という2つの端午の節句のイメージが1つにまとめられており、戯画を得意とした国芳らしい発想で描かれています。

歌川国芳 「坂田怪童丸



現在も心優しく健やかでたくましい男の子のモチーフとして親しまれている「金太郎」ですが、どうやら江戸当時からその人気は不動のものだったようで、浮世絵にもその姿は多く描かれています。


本図の画中にも、題材となった伝説が記されており、当時江戸の人々の間で金太郎伝説が広く知られていたことがわかりますね。

金太郎こと坂田金時は、足柄山に生まれ、小さいころから怪力で名をはせていました。成長したのちには源頼光に仕え、大江山の酒呑童子を退治したといわれています。

歌川国芳 坂田怪童丸


歌川国芳 坂田怪童丸

文中にもある通り、「赤龍」の子どもだったとされる金太郎が自分より大きな滝をのぼる鯉を抱え上げる本図は、男児の成長を願う人々の想いを絵にしたものとも考えられています。



■武士のあこがれ? 「宮本武蔵の鯨退治」


では、武家の「端午の節句」はどのようなものだったのでしょうか。
男児の立身出世・武運長久を祈る「尚武の節句」の性格を色濃く残した武家の端午の節句は、「水道橋駿河台」にも描かれている飾り幟や旗指物を立て、先祖伝来の鎧や兜を座敷に飾っていたようです。

歌川国芳 宮本武蔵の鯨退治
歌川国芳「宮本武蔵の鯨退治


江戸初期の剣客・宮本武蔵の伝説を題材とした歌川国芳「宮本武蔵の鯨退治」には、たくましい武士の姿が描かれています。


三枚続の画面いっぱいに横たわる大きな鯨を、荒れ狂う波の中、自信に満ち溢れた表情で刺し貫く武蔵。彼の剣術の腕がどれほどのものであったかが、容易に想像できますね。
こういった伝説上の剣豪たちは、当時の武家の子どもたちにとっての憧れだったのかもしれません。

歌川国芳 宮本武蔵の鯨退治

■今も昔も変わらない「健やかな成長を願う心」


江戸時代中期から武家や町人の間で盛んになり、様々な形で祝われてきた端午の節句。
浮世絵には当時の社会風俗だけでなく、江戸時代のころから変わらない「我が子の健やかな成長を祈る心」が映し出されています。


江戸時代から続く伝統の技を高度に受け継いだ職人たちが、一枚一枚丁寧に摺り上げた高品質の「アダチの浮世絵」で、伝統の心とともにご家族の初節句を祝ってみてはいかがでしょうか。

歌川国芳 坂田怪童丸


端午の節句特集ページはこちら >>


 

新たに始まる2020年は、過去最高に浮世絵を楽しめる年。
オリンピックの開催にあわせ、世界中からすばらしい浮世絵のオリジナルを集めた展覧会が複数開催されます。さらに、北斎の代表作「冨嶽三十六景」シリーズがパスポートの絵柄に採用されるなど、浮世絵をもっと身近に感じていただける年にもなるでしょう。

日本を代表する文化として、浮世絵が世界的に注目を集めている今、ご自宅でも浮世絵を楽しんでみませんか。

「迎春セット」は、四季を通して気軽に浮世絵をお楽しみいただきたいという想いから、すぐに飾って楽しめるよう浮世絵4図と差し替え用マット、額(または浮世絵収納箱)をセットにした商品です。

もちろん送料は無料でお届けします!2020年1月15日(水)までの期間限定でのご紹介となりますので、この機会をお見逃しなく。季節や気分で浮世絵を掛け替えて、一年を心豊かにお楽しみください。

 

■ アダチ厳選 迎春セットのご紹介

  【 迎春セットA 】
  名所で味わう日本の四季  広重「名所江戸百景」

たしかな観察眼と優れた色彩感覚を持つ歌川広重は、さまざまな日本の情景を繊細に描き出しています。情緒あふれる広重の風景画は、暮らしを豊かに彩ります。
今回は広重晩年の名シリーズであり、モネやゴッホが模写したことでも有名な「名所江戸百景」から季節のうつろいを感じられる4作品を選定いたしました。

亀戸梅屋舗 大はしあたけの夕立 真間の紅葉手古那の社継はし 浅草金竜山
「亀戸梅屋舗」 「大はしあたけの夕立」 「真間の紅葉手古那の社継はし」 「浅草金竜山」

  【 迎春セットB 】
  うつろいゆく自然に目を向けて  花鳥画で楽しむ四季

今も昔も変わらない、季節のうつろいを慈しむ心。江戸の人々は日々刻々と変化しゆく自然に目を向け、その姿を浮世絵で楽しみました。
今回アダチ版画では、四季折々の自然の姿を鋭い観察眼と細やかな筆さばきで描き出した、花鳥画の名作4作品を選出いたしました。

鷽に垂桜 朝顔に雨蛙 月に雁 雪中椿に雀
北斎
「鷽に垂桜」
北斎
「朝顔に雨蛙」
広重
「月に雁」
広重
「雪中椿に雀」
 

  【 迎春セットC 】
  2020年のイチオシ!  北斎「冨嶽三十六景」 傑作4選

浮世絵ブームのなかでもっとも注目を集めているのは、2019年に170周忌を迎えた葛飾北斎。彼の画業をたどる展覧会も開催され、5月には北斎を主人公とした映画の公開も決まっています。
年老いてなお、森羅万象の真を描きだすことに執念を燃やしつづけた北斎の浮世絵は、抜群のデザイン性でモダンなお部屋にもよく映えます。
今回はそんな北斎の代表作「冨嶽三十六景」の中から、アダチが厳選した傑作4作品をセットにしてご紹介いたします!

神奈川沖浪裏 凱風快晴 甲州石班沢 甲州犬目峠
「神奈川沖浪裏」 「凱風快晴」 「甲州石班沢」 「甲州犬目峠」

 

【お得情報その①】 「浮世絵専用額」もしくは保管に便利な「収納帙」のどちらか選べます!

皆様からのご要望にお応えして浮世絵の保管に最適な布製の「収納帙」をご用意いたしました。浮世絵専用額の代わりに「収納帙」をお付けすることも可能です。


すでに額縁を複数お持ちの方や、差し替え用の作品が増えて浮世絵の収納に困っている方にオススメです!
※掲載の写真は、実際の商品とは多少異なる場合がございます。予めご了承ください。

■ 収納帙については、こちらをご参照ください >>

収納帙

◎ご注文の際は、本商品のカートより、ご希望のセット種類をお選びいただき、ご注文内容の最終確認画面「備考欄」に専用額または収納帙どちらをご希望か明記ください。ご希望がない場合は、専用額をお付けいたします。
※浮世絵専用額をご希望の場合、初めに額装する作品をご記入ください。

 

【お得情報その②】 迎春セット内の商品は、ご変更いただけます!

これまでにアダチ版画で浮世絵をご購入くださった方の中には、すでに今回のセットに含まれる浮世絵をお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。そこで、セット内の商品は、ご自由に変更いただけるようにいたしました。

アダチ版復刻浮世絵(税別13,000円の商品)の中から、お好きな浮世絵をお選びいただけます!


◎ご注文の際は、本商品のカートより、ご希望のセット種類をお選びいただき、ご注文内容の最終確認画面「備考欄」に、 ①どの作品を変更するか ②ご希望の作品の絵師名とタイトルをご記入ください。
専用額または収納帙どちらをご希望かも忘れずにご記入ください。
※浮世絵専用額をご希望の場合、初めに額装する作品をご記入ください。

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※システムの都合上、一度「ご注文内容ご確認 (自動返信)」のメールをお送りいたしますが、商品内容を修正後、改めてメールをお送りいたします。


お得な「迎春セット」は、2019年1月15日までの期間限定でのご紹介となりますので、ぜひこの機会にお求めください。浮世絵に注目が集まる2020年、彩り豊かな浮世絵とともに迎えてみてはいかがでしょうか。


一年の始まりに 四季を楽しむ 迎春セット 商品詳細ページはこちら >>

品質へのこだわり

品質へのこだわり

アダチの浮世絵は、手にして初めて分かる、熟練の技術と日本の伝統が詰まっています。

製作工程

制作工程

一切機械を使うことなく一枚一枚職人の手仕事により丁寧に作られている木版画です。

厳選素材・道具

厳選素材・道具

江戸当時の風情を感じられる当時の浮世絵の再現にこだわり、厳選した素材と道具を使用。

職人紹介

職人紹介

最高の作品を創り出すために、日々技術の研鑽を積む熟練の職人たち。

浮世絵の基礎知識

浮世絵の基礎知識

意外と知らない?浮世絵の世界。浮世絵の基礎知識をご紹介。