アダチ復刻事業の礎 謎の絵師・東洲斎写楽の全貌に触れる


現在開催中の企画展「アダチ復刻事業の礎 謎の絵師・東洲斎写楽の全貌に触れる」では、写楽の作品だけでなくアダチ版画の復刻事業の歴史もご紹介いたしております。今回コラムでその一部をご紹介いたします。

■企画展関連コラム「復刻版とは?そして、アダチ復刻への想いは?」

アダチ版画研究所では、昭和初期の創業以来、これまでに約1,200種類の浮世絵復刻版を制作してまいりました。その中でも、創業者の安達豊久が特に情熱をもって取り組んだのが「東洲斎写楽」の全図完全復刻です。
現在開催中の企画展に合わせ今回は、意外に知られていないそもそも「復刻版とは?」といった素朴な質問に答えるとともに、写楽の全復刻を成し遂げた創業者の復刻への想いもご紹介いたします。



 


Q.そもそも「復刻版」とは?

A.
江戸時代に出版された浮世絵(オリジナル)は、明治以降、海外において日本の美術工芸品の一つとして高い評価を得るようになります。
コレクターも出現し、海外での需要が高まると、ヨーロッパを中心に良質な浮世絵が大量に輸出されました。

しかし、オリジナルの浮世絵には数に限りがあります。そこで、オリジナルと同じ木版技術で制作出版されるようになったのが浮世絵の復刻版です。

多くの版元から復刻版が出版されましたが、その制作方針は、摺られた当時の色を色鮮やかに再現しようとするもの、今残っているオリジナルのように古めかしい色にしようとするものなど様々です。お客様の嗜好に左右され、時代によっても異なります。

現在のアダチ版復刻浮世絵は、和紙に水性の絵具で摺ることにより生まれる木版独特の発色、摺られた当時の色を楽しんでいただきたいとの想いで制作しています。






↑写楽研究の原点
クルト「SHARAKU」
初版本(1910)

↑オリジナルを参考にした
専門家による復刻の資料

Q.アダチ版画研究所の創業はいつ?

A.
創業者の安達豊久(1902-1983)は、中学を卒業してすぐ雑誌社に勤務し、復刻版の浮世絵を出版する仕事に就いた後、1928年頃に独立してアダチ版画研究所を興しました。

若い時から浮世絵に触れる中で、浮世絵の魅力を正しい形で世に知らしめたいという想いで、復刻事業を始めました。
良い作品をつくるために、当時一流の技術を持った彫師と摺師を集め、一つ屋根の下で仕事をする工房形式を確立しました。

アダチ版画研究所は今なおこのスタイルを続け、高品質の木版画の制作に努めています。


企画展では、当時資料が少ない中どのように復刻版をつくっていたかをご紹介する資料の展示もしております。是非、目白ショールームまでお出かけください。



↑創業者 安達豊久(左)


↑アダチ版画
昭和の工房(摺)風景


■開催概要

企画展「アダチ復刻事業の礎 謎の絵師・東洲斎写楽の全貌に触れる」
会 期
 2019年6月15日(土)~6月30日(日)
休 館
 6月24日(月)
会 場
 アダチ版画研究所 目白ショールーム
 詳細はこちら >>



■関連情報

関 連 番 組
NHK Eテレ日曜美術館「熱烈!傑作ダンギ 東洲斎写楽」
放 映 日 時
  6月23(日) 午後8時~(再放送)
これまでの写楽は誰か?という視点ではなく「写楽の表現」について、様々な分野の専門家が話をしながら写楽の魅力を見つけていく番組です。アダチ版画研究所が写楽作品全図の復刻をしていることから、今回第一期の黒雲母作品28点を会場に並べていただき、絵柄というだけでなくプロダクトとしての魅力もお伝えいただいております。是非皆さまご覧ください。



金魚づくし


■コミカルな金魚たちの世界 歌川国芳「金魚づくし」とは?

近年、国内外で展覧会が数多く開催され人気急上昇中の浮世絵師・歌川国芳。その国芳が手掛けた浮世絵シリーズ「金魚づくし」は、金魚に加えてカエルやカメなどの水中の生き物たちを擬人化し、ユーモアたっぷりに描かれています。

笑い、走り、歌い、踊る金魚たちの姿は、見る人を思わず「カワイイ」と微笑ませてしまうほど生き生きとしてコミカル。江戸時代後期には、金魚は庶民の間でもペットとして飼育されるようになりました。そんな自分のペットの様子を描いた浮世絵に、江戸っ子たちは夢中になったことでしょう。

近年、日本のポップカルチャーを形容する単語として世界に定着しつつある"Kawaii"の歴史は、こうして江戸時代の浮世絵、国芳の「金魚づくし」の中に既に見ることができます。




百ものがたり


怪談話で化け猫が出たぞ!

さらいとんび


あ!トンビに油揚げを
さらわれた!

玉や玉や


しゃぼん玉売りが来たよ!




酒のざしき


金魚たちの大宴会!

まとい


さぁ、火事だ火事だ

にはかあめんぼう


にわか雨?あめんぼう!!




そさのおのみこと


ヤマタノオロチならぬ、
ウナギ退治!

いかだのり


ひれをまくって男らしく

ぼんぼん


団扇を持って、
ぼんぼん唄で練り歩こう



今回は、このユーモア溢れる笑って楽しい「金魚づくし」をもっと夏らしく楽しめる、新しい飾り方をご紹介します!



■スタイリッシュな「金魚づくし」の新提案

●人気の「金魚づくし」シリーズを
すっきりと涼やかに飾っていただけるアクリル額が新登場!



浮世絵の両側を透明のアクリル板で挟んで飾る額で、見た目もとても爽やかです。

実はこちらのアクリル額、1つの額で2通りの飾り方がお楽しみいただけるんです!

金魚づくし アクリル額


〇自由自在に飾り方を変更〇

飾り方の変更方法はとっても簡単!
付属の金具を付け替えることによって、壁掛け式からスタンド式の額に早変わりする仕組みです。

額の上部の脚を外し下の脚に連結することで、スタンドタイプへ変更できます。



■涼やかに飾って楽しむ!

「金魚づくし」は通常の浮世絵の半分ほどの大きさで、額の大きさも縦が約38cm、横幅が約29cmとコンパクトサイズ。壁にかけるにも立てて飾るにも、玄関やリビングなどのちょっとしたスペースに飾ることができるのがその大きな魅力です。シンプルなアクリル額は、場所を選ばず飾っていただけるので、初めて浮世絵を飾るという方にもオススメです。

金魚づくし アクリル額

◎壁にかけて楽しむ

浮世絵の裏に隠れるように取り付けられたフックで、壁にかけて飾ることができます。付属の金具によって、額を壁から平行に浮かせて飾れるように作られており、伝統的な浮世絵も、奥行きを持たせてモダンな雰囲気で飾ることができます。




◎スタンド式で立てて楽しむ

こちらは壁に穴を開けられない方や、掛ける場所がない方に特におすすめの飾り方です。縁取りのないアクリル額は空間を邪魔せず、どんな調度品ともマッチします。

金魚づくし アクリル額



爽やかなアクリル額で「金魚づくし」シリーズを飾ることで、まるで金魚鉢を置いたように涼しげな空間をお楽しみいただけます!




■セット購入でお得!アクリル額1点&Tシャツ プレゼント

笑って楽しい「金魚づくし」は、各図8,000円(税別)とお手頃価格。
もちろんシリーズで揃えるほどに、面白さも倍増するので、ぜひ9図揃えてお楽しみください。
9図セットなら65,000円(税別)と7,000円分お買い得です。


さらにセット購入特典として、アクリル額1点&特製Tシャツ をプレゼントいたします。この機会に、ぜひお求めください。

※特製Tシャツのサイズについて、S・M・L・XLの中からご希望のサイズを注文画面の備考欄にご明記ください。


広重が描いた 日本の雨 いろいろ


6月に入り、いよいよ梅雨がやってこようとしていますね。

春、静かに降る雨を「春雨」、明るい空にふるにわか雨を「白雨」、夏の午後に降る激しいにわか雨を「夕立」と、雨を表現する言葉が様々にあるように、雨は私たちにいろいろな表情を見せてくれます。

憂鬱な気分になりがちな雨の季節、叙情豊かな雨の表情を巧みに描き上げた広重の浮世絵で楽しんでみてはいかがでしょうか。



広重・雨の浮世絵の定番!「大はしあたけの夕立」


ゴッホが模写したことでも知られる「大はしあたけの夕立」は、広重晩年の大作「名所江戸百景」の一図。


橋を大胆に上から見下ろした竪長の画面が、雨脚の激しさに加速度感を与え、対岸の安宅の御船蔵や家々がシルエットのように霞んでいる様子からも、雨の層の厚さが想像されます。

ぼんやりとかすんだ対岸と大橋とが、画面中央の隅田川の広い水面を三角形に切り取り、画面に動きを与えるとともに、雨の隅田川の水の量感を見事に示しています。

すべてにおいて無駄のない画面構成と、真に迫る夕立の描写が魅力的な定番の一枚です。

歌川広重 大はしあたけの夕立
広重「大はしあたけの夕立
絵のみ 13000円(税別)


オンラインストア初登場!夕暮れ時の雨を描いた団扇絵「安倍川」

駿府城の城下町として発展した静岡県・府中の宿のあたりの雨の風景を描いた「安倍川」は、「東海道河づくし」の一図。

茜色の薄いぼかしで夕暮れ時の雰囲気が演出され、遠景には安部川を渡る人々の様子も細かに描かれています。
雨が降りつける中、画面手前の旅の一行は足早に川渡へ向かいます。

街道の両脇に青々と繁茂する草から想像するに、梅雨時の風景でしょうか。爽やかに雨を描いた団扇絵は、じめじめとした梅雨の空気をも吹き飛ばしてくれそうです。


歌川広重 安倍川
広重「安倍川
通常価格  20,000円(税別)

限定特価 絵のみ 13,000円(税別)


荒れた天候も見事に表現!「美作 山伏谷」

歌川広重 美作 山伏谷
広重「美作 山伏谷
通常価格  20,000円(税別)

限定特価 絵のみ 13,000円(税別)

岡山県北東部の美作国の渓谷を描いた「美作 山伏谷」は、「六十余州名所図会」の一図。


画面右手の切り立つ奇岩は、山伏の修業の場であったという険しい渓谷を描いたものと思われますが、その姿は激しい雨風に半ば隠れています。

画面上部にはぼかしで表現された黒い雲が立ち込め、画面全体を横切る大胆な風の表現からは視界をふさぐような激しい勢いが感じられます。

旅人たちも笠を飛ばされたり激しい向かい風に立ち往生したりと、臨場感あふれる作品です。




今だけの注目作品!期間限定特別価格

いかがでしたか?一口に「雨」と言っても、いろいろな表情を持つ日本の雨。
多様な雨の情景を描き分けることができたのは、自然や風景を細やかに観察し、巧みにとらえた広重ならではと言えるでしょう。
今回ご紹介した作品以外にも、夜の激しい雨を描いた「江戸近郊八景 吾嬬杜夜雨」やまっすぐに伸びる雨の線が印象的な「江戸名所 浅草金龍山遠望」など「広重が描いた 日本の雨 いろいろ」には、注目作品が盛り沢山です。

さらに、今なら通常価格20,000円のところ期間限定特別価格13,000円 (税別)にてお求めいただける作品も4作品ございます。6月30日(日)までの期間限定となっていますので、ぜひこの機会をお見逃しなく!


「広重が描いた 日本の雨 いろいろ」はこちら >>



明治の広重・清親の雨「東京新大橋雨中図」

こちらは明治の広重と呼ばれた小林清親の代表作「東京名所図」の中の一図。

「光線画」と呼ばれる西洋画の影響を受けた光と影の描き方が脚光を浴びました。

雨雲のかかる空の明暗や、水の映り込み、雨線を描かず雨を表現する描写など、それまでの浮世絵にはない表現が見られ、江戸から明治へ移り変わる時代の大きな変化が伺えるようです。

画面の端に小さく描かれた女性の後ろ姿が印象深く、物語を感じさせる作品です。


小林清親 東京新大橋雨中図
小林清親「東京新大橋雨中図
通常価格  20,000円(税別)

限定特価 絵のみ 13,000円(税別)

現在、こちらの作品も、期間限定特別価格にてご提供中!



また、目白ショールームでも、叙情溢れるさまざまな雨の浮世絵を展示中です。
いろいろな表情を持つ日本の雨の情景が描かれた浮世絵で、今年の梅雨を楽しんでみませんか。


あわせてお楽しみいただきたい「雨の浮世絵」はこちら >>
江戸の桜でお花見 桜を描いた浮世絵を楽しむ


アダチ版画では、現在「江戸の桜でお花見 桜を描いた浮世絵を楽しむ」をテーマにご自宅でお花見気分を味わっていただけるよう、様々な趣向の桜景色をご紹介しております。


日本人の心を惹きつけてやまない「桜」。 江戸当時の桜の輝きを感じていただけるアダチの浮世絵から、お部屋でゆったりとお花見気分が楽しめる広重の名作「隅田川水神の森真崎」をご紹介いたします!


■ゆったりと楽しむ、広重のお花見―名所江戸百景「隅田川水神の森真崎」

歌川広重は叙情性豊かな作風を得意とし、景色を描く中にも季節感を大事にしていました。花鳥画にも優れた作品を数多く残しており、 繊細な季節の情緒を巧みに表現していたのです。そんな広重の傑作のひとつが、名所江戸百景隅田川水神の森真崎」です。

桜の名所として知られる真崎を、向島から隅田川の対岸に望んだ風景が描かれる本図。前景に桜の花と、その眼下を流れる隅田川と水神の森を、遠くには筑波山を描き、ゆったりと広がりのある風景を表現しています。
全体に柔らかな色遣いで纏められ、近景の桜の花と遠景の淡い紅の春霞に浮かぶ筑波山が、春らしいのどかさを感じさせます。画面上部のぼかしや水際に使われている藍の色と、桜のピンクとのコントラストが非常に爽やかな一枚です。

隅田川水神の森真崎

■大胆な構図で描かれた満開の八重桜

隅田川水神の森真崎

隅田川水神の森真崎」は、なんといっても画面手前に咲き誇る八重桜が印象的です。風景画では遠景に描かれることが多い桜を近景に配置し、花を極端なクローズアップで描いた珍しい構図は、風景画でありながらまるで花鳥画のような趣を感じさせます。
こちらに伸びる枝の先に大きく花をつけた八重桜を、広重は花弁一枚一枚丁寧に描いています。細やかに描かれた桜に春爛漫の風情が漂い、画面いっぱいにうららかな春の陽気が漂っているようです。


見事な景観を主役に、まばらに描かれた人々が思い思いに景色を楽しんでいる様子からも、のどかな春に、ゆったりと流れる時間が感じられる作品です。

繊細な季節の情緒を捉える広重の目線で、みなさまもお花見気分を味わってみてはいかがでしょうか。

歌川広重 名所江戸百景「隅田川水神の森真崎」



■インパクトなら 北斎の桜

現在、六本木森アーツセンターギャラリーで開催中の「新・北斎展」で、浮世絵そして北斎の人気が高まっています。森羅万象の本質を描き出すことに挑戦し続けた北斎が描いた桜は、パッと目を引く華やかな美しさが魅力です。

オーダーメイドとして贅を尽くして作られた「桜花に富士図」、藍の背景が印象的な垂桜「鷽に垂桜」、そして、庶民が楽しむお花見の様子を富士とともに描いた「東海道品川御殿山ノ不二」。
多才な北斎の桜もお楽しみください。




葛飾北斎「桜花に富士図」
葛飾北斎「桜花に富士図」



葛飾北斎「鷽に垂桜」
葛飾北斎「東海道品川御殿山ノ不二」
葛飾北斎「鷽に垂桜」 葛飾北斎「東海道品川御殿山ノ不二」



広重・北斎のほかにも、様々な趣向が凝らされた桜の数々が目白押し!
「江戸の桜でお花見 桜を描いた浮世絵を楽しむ」はこちら >>
晴れの日に飾る 新春の浮世絵

新しい一年の始まりであるお正月。お正月に行われる行事には、旧年を無事に過ごせたことへの感謝と新年を迎える喜びが込められています。江戸の人々の暮らしと深く結びついた浮世絵にも、おめでたい正月にふさわしい図柄が描かれています。晴れの日を演出する華やかな浮世絵を飾って、新たな一年を迎えてみてはいかがでしょうか。

2017年に大英博物館で開催された展覧会をはじめ、国内海外問わず絶大な人気を誇る葛飾北斎。2019年1月17日(木)からは六本木の森アーツセンターギャラリーにて「新・北斎展 HOKUSAI UPDATED」が開催されるなど、ますます北斎ブームが盛り上がりを見せています!

そこで今号から3回にわたり、お正月のお部屋を彩るにふさわしい北斎が描いた"特別な浮世絵"をご紹介し、その魅力に迫ります!


オーダーメイドの贅沢品!? 北斎の"特別な浮世絵"とは...?

現在でも絶大な人気と知名度を誇る、北斎の代表作「凱風快晴」や「神奈川沖浪裏」は、世界中に現存する作品の状態やその数から、江戸時代当時に何千枚も摺られたと考えられています。

その一方で、わずかな部数しか摺られなかった"限定品"のような浮世絵版画もありました。それが『摺物(すりもの)』と呼ばれるものです。

凱風快晴

摺物とは一般に広く販売された浮世絵版画とは異なり、主に句会や狂歌連といった同好の仲間内で配ったり、交換したりする目的で作られたオーダーメイドの浮世絵版画。販売ことが目的ではなく、純粋に風雅を楽しむために作られた摺物は、一部の人々の間にしか出回らない珍しくて贅沢なものでした。

摺物には、お祝い事や記念の品物としての意味合いが強く、縁起の良い図柄が描かれています。版木の枚数や色数など制約の中で表現する市販の浮世絵とは異なり、最高級の和紙に贅沢な絵具を用い、淡い色合いを何度も摺り重ね上品で繊細な色合いを表現したり、版木に色を着けずに摺る"空摺(からずり)"を入れたりと、手間を惜しまず贅を凝らして作られているのが特徴です。

では、実際に北斎の摺物を見ていきましょう!


とにかくおめでたい!! 七福神が踊り歩く「踊行列図」

まず今回ご紹介するのは、北斎が手がけた摺物のひとつ「踊行列図」。細長い縦長の画面に、楽しげに踊りながら練り歩く老若男女7人が描かれています。各々の個性豊かな服装から見ると、どうやら仮装行列の踊りのようです。画面の一番上にいるおじいさんが持つ、大きな傘に描かれた宝づくし文様から、本図の画題は縁起の良いものだと考えられます。

日本各地に伝わる縁起の良い仮装行列の踊りには、七福神に仮装して踊る「七福神踊」や「七福神舞」というものがあります。実は、本図に描かれた彼らは、それぞれ七福神になぞらえて見ることができるんです!

では、上から順番に見ていきましょう。


  踊行列図

まずは一番上のおじいさん。七福神の中でおじいさんといえば寿老人です。赤い頭巾は今も還暦祝いの際にかぶりますね。健康と長寿延命の神様である寿老人にぴったりのモチーフです。

その下の黒い着物の男性。黒となると大黒様でしょうか。頭巾をかぶり、腕を高く上げているのは、打ち出の小槌を掲げるポーズに見えなくもありません。

笠をかぶった人物は、恵比寿様と考えられています。京都の十日えびすで、初えびすの際にのみ配られる、縁起物の「人気笠」にちなんでいるのでしょうか。

頭に赤い扇子をくくり付けているのは、毘沙門天でしょう。きっと兜のつもりですね。
 
お腹の飛び出たおじさんは、布袋さんでしょうか。かざした扇子は布袋さんのシンボルである団扇の代わりかも。


女性2人は弁財天と吉祥天だと考えられます。2人とも似たようないで立ちをしていますから、どちらがどちらか判別するのは難しいですね。そんなところまで、混同されがちな弁財天と吉祥天にそっくりです。

上側にいる女性の紫の着物には、観世水紋という水をモチーフとした文様が入っているので、こちらの女性がインドの水の神様が元の姿である弁財天なのかもしれません。


縁起の良い図柄で作られた摺物のなかでも、七福神に扮した老若男女が楽しげに踊り歩く「踊行列図」は、特におめでたい一図。新しい一年のスタートを飾るのにピッタリの作品。

是非、知る人ぞ知る北斎の縁起の良い名品を飾って、お正月の晴れの日を華やかに彩ってみてはいかがでしょうか。

 

縁起ものづくしで慶事にオススメ「姫小松に海老」

次にご紹介するのが、画面いっぱいに立派な伊勢海老が描かれた「姫小松に海老」です。
太くピンと張った髭や尾の内側に施された精密な描線など、細部に至るまで描き込まれた本図からは、北斎の並々ならぬ描写力がうかがえます。

"えび"は腰をくの字に曲げた老人の姿に見立てて「海老」と書き、その海老の代表格である伊勢海老は古くから長寿の願いを込め、鯛と並んで祝い事には欠かせないおめでたい食材とされてきました。主題である伊勢海老はもちろんのこと、その他にも本図には縁起の良いモチーフがいくつも描かれています。

それでは、実際に描かれている縁起物にそれぞれどんな意味があるのでしょう。


姫小松
一年を通じて緑の葉をつけ、千年の樹齢を保つとも言われる松。若い松には、さらなる飛躍の意味もあります。また、二葉一組の松葉の形は、仲睦まじい夫婦に例えられます。
 
 
  伊勢海老
腰が曲がるまで元気に長生きできるとの意味から、長寿の象徴とされています。また脱皮を繰り返して成長を続ける海老は、立身出世の意味合いも。また赤い色は、古代から邪気を払う魔よけとして用いられてきました。
 
踊行列図
 
千両の実
江戸時代、1,000両の財産を有すれば、お金持ちとして番付に載りました。お正月のお飾りにもよく使われる千両の実は、富の象徴とされています。
 
 
  搗栗(かちぐり)/椎の実
「勝ち」の音に通じることから、縁起物として出陣前に食すなど、勝利の祈願や祝儀に用いられてきました。また、椎の実はどんな環境でも発芽することから、忍耐強さを表しています。


縁起の良いものがこれほどまで揃った北斎「姫小松に海老」。北斎が手がけた摺物の中でも、逸品といっても過言ではないでしょう。新しい一年を迎える晴れの日はもちろん、慶事にもオススメの作品を飾ってお楽しみください。



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没後160年記念 広重 月の名作選

浮世絵のアダチ版画では、今年没後160年を迎えた広重に注目が集まる中、秋にピッタリの「広重月の名作撰」を企画いたしました。ご好評につき9月30日まで期間延長になった本企画を通して広重の魅力に迫ってまいります!

風景画だけではない!広重の魅力が満載の花鳥画はなぜ生まれた??

浮世絵というと、一般的には美人画、役者絵そして風景画を連想する方が多く、花鳥画をイメージする人はすくないかもしれません。しかし、風景画の絵師として人気の広重も、大変多くの花鳥画を残し「月に雁」は代表的な作品となっています。


江戸庶民の嗜好を常に表現してきた浮世絵の世界において、遊郭のあった吉原の繁栄から美人画が生まれ、歌舞伎人気が役者絵を生みました。そして、東海道など街道の整備と庶民の経済力の向上により旅をする余裕ができると風景画が出版されるようになりました。

月に雁 三日月に松上の木菟 月夜木賊に兎

では、花鳥画は、なぜ一つのジャンルを確立するほど出版されていたのでしょうか。色々な要因があるとおもいますが、今回は広重の花鳥画の中でも特に季節感あふれる情景を描いた、心和む月を描いた中短冊サイズ名作3点を紹介しながらその謎を考えてまいりましょう。

左から月に雁三日月に松上の木菟月夜木賊に兎

 

俳句や和歌と共に味わう広重の詩的な世界

広重が花鳥画の中でも多く作品を残したといわれているのが中短冊サイズの作品です。「東海道五十三次」のように大錦サイズといわれる一般的な浮世絵のサイズのちょうど半分のサイズになります。

日本で鎌倉時代の頃から歌人の間で使われていた短冊という形式を花鳥画のジャンルに用いることにより、俳句や和歌に詠まれた世界を江戸の庶民の人々に絵を通して広重は伝えようとしていたと考えることもできそうですね。


月に雁

「こむな夜か 又も有うか 月に雁」

「三日月の船遊山(ふなゆさん)してみみづくの 耳に入(いれ)たき松風の琴」

三日月に松上の木菟
月夜木賊に兎

「夜はいとど 草のむしろに 露おきて 兎の妻も 寝つきかぬらん 河廼屋幸久」



北斎が造形的な美しさを描写し尽くすことに注力するのに対して、広重は、俳句や和歌といった文学的要素を加味しながら詩的世界を表現することを大切にしていたのでしょう。江戸の庶民はもちろんのこと、現代の私たちの心を動かす表現の豊かさは、風景画だけでなく花鳥画においても発揮されています。

花鳥画というジャンルは、江戸時代の園芸ブームがあったことが一因であるとも言われていますが、数多く残された広重の短冊の作品を見ていくと、江戸の人々に癒しを与えるもので、常に身近な生活を彩るためのものとして出版されていたと素直に捉えることも出来そうですね。

広重の中短冊の世界を満喫するのにオススメ! 短冊専用額



アダチ特製浮世絵専用額(短冊)

これまでご紹介してまいりました広重の短冊の世界を楽しんでいただくため、アダチ版画がオススメするのが「アダチ特製浮世絵専用額(短冊)」です。

通常ご紹介している大判額(外寸55.5×40.0cm)よりもひと回り小さい(外寸50.0×32.0cm)短冊専用額です。「月に雁」など短冊の花鳥画を一番美しくみせることができるように余白を調整いたしました。

是非、秋の夜長に、広重が描いた月の短冊の詩的世界を身近に味わってみてはいかがでしょうか?

 

■ 注文方法
オンラインストアでのご注文の際は、ショッピングカートに「アダチ特製浮世絵専用額(短冊)」とご希望の作品(額なし)をお選びください。ご希望の作品を額装した状態でお送りいたしますので、届いたらすぐに飾ってお楽しみいただけます!

注文画面


「没後160年記念 広重 月の名作撰」はこちら >>

没後160年記念 広重 月の名作選

ようやく猛暑も落ち着き、すこし涼しくなってまいりましたね。秋も、すぐそこまでやってきている感じがいたします。浮世絵の世界で秋を楽しむというと、やはり叙情豊かな広重の月の名作が頭に浮かびます。浮世絵のアダチ版画では、9月6日に命日を迎え、今年が没後160年となる広重に注目して、秋にピッタリの「広重月の名作撰」を企画いたしました。本企画を通して広重の魅力に迫ってまいります!

安藤広重、歌川広重、どっち?

お客さまから、たまに受けるご質問で「広重って安藤じゃないの?歌川って書いてあるけど。」ということがあります。まずは、広重の名前の由来についてその出生から辿ってまいりましょう。

広重は、寛政9年(1797)江戸八代洲河岸の定火消同心・安藤源右衛門の子として生まれました。幼少より絵を好み、15歳のときに歌川豊広の門下となったそうです。

以前の教科書には、本名の「安藤広重」が用いられていましたが、最近は絵師として歌川派の広重ということを重視して「歌川広重」でほぼ統一されているようです。

安藤広重、歌川広重、どっち?

広重の風景画は、ここから始まった!「東都名所」

広重は、歌川豊広の門下で、はじめは、美人画や役者絵を描いていました。文政12年(1829)に師匠の豊広が亡くなった2年後、天保2年(1831)広重34歳の時、初の大判サイズの風景画シリーズ「東都名所」を手掛けました。当時広重が「一幽斎(いちゆうさい)」と号していたので「幽斎(ゆうさい)書き東都名所」ともいわれています。10枚揃いで、江戸及びその近郊の風景を描いたシリーズです。残っているオリジナルの数や摺られた具合からみてもかなりの量が摺られたことが想像でき、その人気がうかがえます。

広重の風景画は、ここから始まった!「東都名所」
<東都名所全10図>

俯瞰でとらえた風景に大きな前景を配する大胆な構図と色数を限り独特な配色でつくられたことから、庶民には、とても新鮮で人気も高かったようです。当時流行のプルシアンブルーを空や海に多用するとともに、帯状の紅色の雲がどの図にも配され、本シリーズを象徴する色づかいが見どころでもあります。穏やかで温かみある風景画は、庶民に好感を持って迎えられ、「東海道五十三次」の大作が生まれる下地となったといえるでしょう。
「両国之宵月」でその魅力に触れてみましょう!

近景に大きく両国橋の橋桁をとらえた大胆な構図

近景に大きく両国橋の橋桁をとらえた大胆な構図

紅色の雲 本シリーズ全作品に見られる
紅色の雲
 
  鮮やかなプルシアンブルー
  北斎なども使った流行色。
鮮やかなプルシアンブルー

「東都名所」の中の傑作「高輪明月」

今回は、「東都名所」の中でも月を描いた傑作「高輪明月」をご紹介いたしましょう。

「東都名所」の中の傑作「高輪明月」 「東都名所」の中の傑作「高輪明月」
摺りの風景

日本橋を出発し、品川に近くなると江戸湾の眺望が開ける所が高輪です。江戸の街から海道に出る境に設けられた簡単な関所があり、幕府の禁止事項や罪人の罪状などを記した高札が立てられた場所でもあります。その様子が図の左下の石垣や中央下の高札に見えます。
海岸に沿って茶屋など店が建ち並び、東海道を旅する人や、それを見送る人々、行楽の人々など、人の往来が盛んで、大いに賑わった場所です。湾曲した海岸線、江戸を発ってはじめて広がる江戸湾の眺望を鳥瞰し、雁が群をなして下り、宵の満月が空に光るなど多くの情報を丹念に描写した情景は、広重らしい表現で、細部に配慮することで生まれる臨場感が魅力です。

<ミニ知識>
東都名所の版元 川口正蔵は、国芳の大作「宮本武蔵鯨退治」を後年になって出版しています。版元のプロデュース力にも注目ですね!

安藤広重、歌川広重、どっち?

没後160年記念 広重 月の名作撰

今回は、没後160年を迎える広重の風景画の絵師としての出発点となった「東都名所」に焦点をあてて月の名作をご紹介いたしました。この他にも素敵な月の作品をご紹介しております。是非合わせてお楽しみください。

「没後160年記念 広重 月の名作撰」はこちら >>

HOKUSAIをクールに飾る

 

世界で最も有名な日本の浮世絵師・葛飾北斎。
羅万象さまざまな題材を描いた北斎ですが、特に生涯にわたり描き続けたのが"水"の表現です。静かにたたずむ富士山を遠景に、大胆な構図で迫力満点の大波を描いた北斎の代表作「神奈川沖浪裏」をはじめ、海や川、滝などの水を題材にした傑作を数多く残しています。

そこで今回、世界でも人気の高いHOKUSAIの浮世絵をクールに飾って楽しんでいただけるように、摺り上がった作品をそのままアクリルに挟んだ特別仕様の額をご用意いたしました!

 

アクリル額で浮世絵をモダンに楽しむ

アダチ版画が新たにご紹介する「特注アクリル額」は、現代のインテリアスタイルに合うように黒を基調とした仕上がりとなっています。
このアクリル額で飾ってお楽しみいただきたいオススメ作品が、"藍摺絵(あいずりえ)"の代表作とも言える北斎の「甲州石班沢」(冨嶽三十六景)です。

江戸時代にヨーロッパから輸入されたプルシアン・ブルー(ベロ藍)の顔料は、その色鮮やかな発色から江戸の人々を魅了しました。特に藍色を基調とし、その濃淡を巧みに使い分けて摺られた"藍摺絵(あいずりえ)"は、それまでになかったクールでスタイリッシュな作風から一大ムーブメントを起こしました。北斎の藍摺絵を代表する「甲州石班沢」は、まさに時代の流行色を取り入れた大人気作品だったのです!



葛飾北斎 甲州石班沢 特注アクリル額
葛飾北斎「甲州石班沢(特注アクリル額)

そんな北斎の「甲州石班沢」を現代でもモダンに飾って楽しめるように、特注アクリル額に仕立ててみました。アクリル額の下地の黒と藍摺のコントラストが美しく、近年流行の「シンプル・モダン」と呼ばれる、モノトーンを基調にした落ち着いたシンプルな部屋のスタイルにも最適!縁取りのないシンプルなアクリル額は、場所を選ばず飾っていただけるので、初めて浮世絵を飾るという方にもオススメです。

 

■特注アクリル額 仕様
サイズ:38.3 × 53.5 cm
重さ:1.7 kg

<アクリル表面の角を斜めにカットした特別仕様。高級感溢れる仕立てになっています>

特注アクリル額


摺り上がった作品をそのままアクリルに挟んだ仕立てのため、マットに貼る通常の額装に比べ、作品本来のサイズにてお楽しみいただけます。
特注アクリル額と「甲州石班沢」をセットにして、特別価格28,000円(税別)にてご紹介いたします。



6月上旬のご紹介以来、スタイリッシュなアクリル額の黒と藍摺のコントラストが美しく、モノトーンに揃えたシンプルな部屋にピッタリ!と好評をいただき、たくさんのお客さまにお求めいただいております。ご自宅用はもちろん、モダンなオフィスのインテリアにと企業様への贈りものとしてもお選びいただいています。

そこでこのたび、大好評につき8月31日まで期間を延長いたします!
アダチ版画おすすめの特注アクリル額に、涼しげな夏の浮世絵を飾ってみてはいかがでしょうか。

葛飾北斎「甲州石班沢(特注アクリル額)」商品詳細ページはこちら >>

無題ドキュメント

今恋する 江戸の春信美人

錦絵(多色摺り浮世絵)創始期の第一人者として知られる浮世絵師・鈴木春信。
現在、千葉市美術館では『ボストン美術館浮世絵名品展 鈴木春信』が好評開催中で、来年にかけて名古屋、大阪、福岡にて巡回展も開催予定です。鈴木春信は今なお愛され注目されている浮世絵師といえるでしょう。

今回はそんな「今恋する 江戸の春信美人」でも特集中の鈴木春信について、改めてご紹介します。


「錦絵の祖」鈴木春信

春信といえば、まず語られるのが「錦絵の祖」として多色摺り浮世絵の完成に大きく関わった、というところでしょうか。


石川豊信「中村喜代三郎 文読美人」

浮世絵というと色が沢山はいって鮮やかなもの、と思われる方も多いかもしれませんが、実は初期の浮世絵は墨線のみのものから始まっています。

春信が浮世絵師として活躍しはじめた当時でも、浮世絵といえば"紅摺絵(べにずりえ)"という紅と草の色のみをいれた色数の非常に少ないものでした。

<紅と草だけで色づけられた紅摺絵
石川豊信「中村喜代三郎 文読美人」>

 

それが明和2年(1765年)頃にやっと"錦絵"とも呼ばれる多色摺りの浮世絵が誕生します。
そのきっかけとなったのが裕福な趣味人たちの間でブームとなった絵暦交換会でした。絵暦とは今でいうカレンダーのようなもので、毎年変動する30日ある大の月と29日ある小の月の順番を絵の中に書き入れた摺物です。

鈴木春信「夕立」

<衣に描かれた柄が、暦の月の大小をあらわしています>

鈴木春信 「夕立

 

より美しく優れた絵暦を競うように作った趣味人たち。絵暦の依頼を受けた春信は、彼らをスポンサーに職人たちと試行錯誤して、ついにはそれまでの非常に色数の少ない浮世絵とは違った色彩豊かな多色摺りの「錦絵」を完成させたのです。

 

お江戸熱狂!上品な"春信美人"

浮世絵の歴史の中でも非常に大きな役割を果たした春信ですが、その作品の代名詞といわれるのは「美人画」です。
春信の描く女性たちは"春信美人"とも呼ばれて、その華奢で優美な姿にどこかお人形めいた上品な顔だちが特徴です。女性たちは時に物憂げにたたずんでいたり、時に無邪気な姿ではしゃいでいたり、とても魅力的に描かれています。

鈴木春信「縁先美人」
<縁先で物憂げにたたずむ美人を描いた 鈴木春信「縁先美人」>


テーマとしては江戸一番の町娘や、吉原の遊女などもよく描かれていました。その当時の人々の女性の理想像を描いた春信美人に江戸の人々は熱狂し、その過熱する人気から当時、春信の偽物がでてきたほどでした。

鈴木春重「雪後」

 

これは、その春信の偽作品として出回ったもののひとつ。
“春信画”とある春信風の美人画ですが、実はこれは当時鈴木春重と名乗っていた司馬江漢が描いたものです。

鈴木春重「雪後」

 

春信は恋の演出家!?

また春信は若い男女の恋模様もよく描きました。
中性的で儚げな美少年と、美少女の恋。特に春信の恋の浮世絵では「時」や「季節」、「場所」などが詳細に設定されて、そのドラマティックさを演出しています。

この作品は、春信作品のなかでも最高傑作と名高い「雪中相合傘」です。
雪道を寄り添いあいながら歩く男女。降りしきる雪は厚く積もっていますが、ものともせず俯きがちに見つめあう二人からは、深い愛と恋の喜びが伝わってきます。

「雪中相合傘」
鈴木春信 「雪中相合傘

 

春信の背景描写の細かさはそれまでの浮世絵とは全く違っています。それによって人物たちの状況や関係性がさらに深く読み取れ、まるでドラマの一場面を見ているようです。



浮世絵界に錦絵誕生という革新を起こした春信は、その多色摺りの鮮やかさ華やかさだけでなく、魅力的な人物描写と、その物語性でも人々を魅了したのです。

繊細な筆致で人々を描き、巧みに演出する浮世絵師・鈴木春信。その幻想的でロマンティックな世界に、今 恋してみませんか。

「今恋する 江戸の春信美人」 商品一覧ページはこちら >>

月17


月を描いた浮世絵は、秋を感じさせるものとして江戸の庶民たちに人気がありましたが、当時は額縁もなく、恐らく直接手に取って眺めたり、時には壁や柱などに直接貼って楽しんだりしていたのでしょう。
現代では、ほとんどのお客様が和室、洋室を問わず額縁に入れて楽しまれていますね。そして、中には床の間用に掛け軸に仕立てたいというお客様もいらっしゃいます。このように現代は、飾る場所に合わせて楽しみ方の幅が広がっています。
そこで、今回は床の間に浮世絵を飾ってお月見ができる、掛け軸での楽しみ方をご紹介します。

月見には欠かせない芒と秋の草花を添えた
「浮世絵のお月見」

 

抒情性豊かな広重の名作「月夜木賊に兎」を掛け軸に

今回は、お月見がテーマのため、広重の名作「月夜木賊に兎」を掛軸にしてみました。細長い短冊の作品で、あまり大きくない床の間の掛け軸として、しっくりと収まっています。

広重の短冊作品は、狭い紙面を最大限に活かし、あらゆる情緒が盛り込まれています。そういった表現力は、広重独特のものであって、他の絵師では真似のできない世界ではないでしょうか。一本の枝にも一つの花にも風情があり、そこに鳥獣を配してひとつの情趣が醸し出されていいます。

今回掛け軸に選んだ「月夜木賊に兎」は、そのさりげない描写から、さまざまな情緒を感じることができます。それはただの満月と木賊(とくさ)と二匹の兎だけが僅かな色彩によって効果的に作り出されています。静かな秋の夜長に月見をして過ごすのには最適の作品ではないでしょうか。



掛け軸のいろは


掛け軸

軸装には、色々と難しいルールがありますが、今回は "風帯(ふうたい)付三段表装"という様式をとりました。書画に向いた様式で純日本式の表装方法と言われています。

使用する裂(きれ)は、軸装の専門家に、作品に合わせてコーディネートしていただきました。作品がモノトーンのため、青味のあるグレーとベージュを基調とした落ち着いた感じの組合せとなっています。もちろん、選ぶ裂(きれ)の組合せで作品の雰囲気も変わっていきますので、額以上に飾る方の個性を出していただけるのが軸の一つの魅力かもしれませんね。

 

 
 

掛け軸ミニ知識:「風帯(ふうたい)」とは?
"風帯付三段表装"という様式をとった今回の掛け軸ですが、一般の方には馴染みのない言葉が並んでいますね。特に「風帯(ふうたい)」って何?と思われた方もいらっしゃるかと思います。

 
 

辞書には、
【風帯】掛け物の発装から垂らす2本の細長いきれ、又は紙
と説明され、右図がそれにあたります。

風帯(ふうたい)
 
「風帯(ふうたい)」

何のために?といった感じがしますが、もともと中国では、掛軸を屋外で鑑賞することがあり、鳥が飛んできて邪魔をしたり掛物を汚したりといったことがあったそうです。そこで、鳥は垂れ下がった細長いものを怖れるということから、追い払うために風帯をつけたとも言われています。なかなか、面白いエピソードですね。

 

 

今回、秋のお月見に浮世絵を飾って楽しんでいただくために掛け軸をご紹介しましたが、額縁に比べて、コンパクトで持ち運びが便利なこともあり何度か海外ギフト用でご用意したこともあります。海外ギフトをお探しの際、時間に余裕のあるときには、是非選択肢の一つにしてみてはいかがでしょうか?現代的な掛け軸の楽しみ方の提案にもなりそうですね。

保管は桐箱に。持運びにも最適!

 

ご購入をご検討の方は、特設商品ページ「浮世絵掛け軸」にて詳細をご確認ください。

品質へのこだわり

品質へのこだわり

アダチの浮世絵は、手にして初めて分かる、熟練の技術と日本の伝統が詰まっています。

製作工程

制作工程

一切機械を使うことなく一枚一枚職人の手仕事により丁寧に作られている木版画です。

厳選素材・道具

厳選素材・道具

江戸当時の風情を感じられる当時の浮世絵の再現にこだわり、厳選した素材と道具を使用。

職人紹介

職人紹介

最高の作品を創り出すために、日々技術の研鑽を積む熟練の職人たち。

浮世絵の基礎知識

浮世絵の基礎知識

意外と知らない?浮世絵の世界。浮世絵の基礎知識をご紹介。