色あざやかな野山の錦 浮世絵で秋の彩りを楽しむ

■計算しつくされたバランス 北斎「菊に虻」



代表作『冨嶽三十六景』と同時期に北斎が描いた花鳥画シリーズの一枚です。本作品では風に吹かれる菊と、その香りに誘われやってきた虻が描かれています。


葛飾北斎 菊に虻

葛飾北斎「菊に虻

4~5種類に描き分けられた菊のうち、一番大きな橙色の花に注目してみましょう。 画面の奥から吹く風にあおられ揺れる花びらや葉が、裏表まで丁寧に表現されているのが見て取れるでしょうか。

葛飾北斎 菊に虻
葛飾北斎 菊に虻

全体に重厚感のある複雑な色彩が用いられていますが、菊が風にたなびくさまや画面左上に描かれた虻などの、計算しつくされた「抜け感」が画面に動きを与えています。




■優れた色彩感覚がうかがえる 広重「菊に雉子」



毅然とした立ち姿の雉子に、立派な菊の花を添えた本図は、広重の持つ豊かな叙情性や構図の妙が巧みに活かされた大短冊の花鳥画です。


歌川広重 菊に雉子

歌川広重「菊に雉子

歌川広重 菊に雉子

雉子の羽には華やかな色合いが用いられていますが、繊細な線からはそのやわらかさまで感じられます。

広重の描いた菊は、文様を思わせるような、まるくてかわいらしい形をしています。花のこちら側は明るく、奥に行くにつれて赤色が濃くなるようぼかしが入れられ、画面の奥行きが感じられます。

歌川広重 菊に雉子



やわらかな書体で書かれた「菊の香やふくめる露のちる度に」の句のとおり、秋の野山に香る、かぐわしい菊の花と鮮やかな菊によく映える立派な雉子を描いた作品です。

■お互いに引き立て合う美人と菊 栄水「兵庫屋内月岡 菊持つ美人」



一楽亭栄水は鳥文斎栄之の門人で、大首絵を得意としました。上からつるした花桶に菊を生ける遊女は、歌麿の美人画に近い、生き生きとした魅力的な美人となっています。


一楽亭栄水 兵庫屋内月岡 菊持つ美人

一楽亭栄水「兵庫屋内月岡 菊持つ美人

一楽亭栄水 兵庫屋内月岡 菊持つ美人

花器に生けられた満開の菊の花。美人の白い肌と、菊の葉や花の色がお互いによく映え、その美しさを引き立て合っています。


雲母摺りを施した背景に、花桶や着物の赤、そして菊やかんざしの黄色が鮮やかで美しい一枚です。

豊かな実りの秋に 月を描いた浮世絵名作撰

■ぼかしの生み出す豊かな叙情「洗馬」



広重が手掛けた「木曾街道六拾九次」の中でも、最も格調高いとうたわれる「洗馬」。画面中央の川柳にかかる大きな満月、岸辺の葦をなでる夕風、家路に急ぐ船とかがみこむ船頭たちの姿に、夕暮の寂寞感がひしひしと胸に迫ってきます。


歌川広重 洗馬

歌川広重「洗馬

「洗馬」の豊かな叙情性を引き出しているのが、いくつもの「ぼかし」です。

画面右下を流れる川にご注目ください。深く濃い青色と、澄んだ薄い青色がグラデーションになっているのがわかります。ぼかしを多用することによって、川の深さや奥行きがうまく表現されているのです。

歌川広重 洗馬
歌川広重 洗馬

はるか遠くまで続く川の先には、ぼんやりと遠景が見えています。影のようにかすんで見える木々からは、その距離を測り知ることができます。

画面中央の満月が輝くのは、その遠景のさらに向こう側です。空に何層もかかる雲は満月の前にかかり、奥行きと趣を生み出しています。


広い平野に浮かぶ大きな満月を、ぼかしによって叙情豊かに表した、広重円熟期の傑作です。



■にぎわう夜の芝居町を遠近法で描いた「猿わか町夜の景」



こちらの「猿わか町夜の景」は、広重の代表作「名所江戸百景」のうちの一図。猿若町は、現在の台東区浅草六丁目付近で、江戸市中の芝居小屋が集まる芝居町でした。


歌川広重 猿わか町夜の景

歌川広重「猿わか町夜の景

歌川広重 猿わか町夜の景

夜空に浮かぶ満月には、平らな板の上で描くようにぼかしを作る「あてなしぼかし」の技法によって、うっすらと雲がかかっています。

秋の風情を感じさせるこの名作の一番の特徴といえば、やはり遠近法を用いた大胆な構図でしょう。

歌川広重 猿わか町夜の景

    
歌川広重 猿わか町夜の景

遠くまで続く芝居小屋が一点透視図法を用いて描かれており、月に照らされて帰路につく人々の足元には影が伸びています。


ゴッホの名作、「夜のカフェテラス」にも影響を与えたといわれる傑作「猿わか町夜の景」。華やかな夜の賑わいの中にも、秋特有の寂しさが感じられる趣深い作品です。


■明月と影を落とす葉とのコントラストが印象的な「葉ごしの月」



「葉ごしの月」の題名通り、滝上に張り出した枝の向こうにかかる満月が大短冊判に描かれています。


歌川広重 葉ごしの月

歌川広重「葉ごしの月

こうこうと明るく大きく輝く満月に対し、手前の枝は暗く描かれ、そのコントラストによって樹木の造形が浮かび上がって見えてきます。

歌川広重 葉ごしの月
歌川広重 葉ごしの月

紅葉した葉やまだ緑の残る葉が混ざり合っており、秋のしみじみとした情緒があふれています。


縦長の構図を活かした滝の高低差や、滝に散りかかる落ち葉の儚い風情など、画面の隅々まで広重の拘りが感じられる作品です。



■秋の夜の詩情を見事に描き出した「月に雁」



1949年には記念切手として発行されたことでも有名な本図。まばゆい月を背景に空から舞い降りてくる3羽の雁を、「葉ごしの月」より一回り小さい中短冊判に描いた傑作です。


歌川広重 月に雁

歌川広重「月に雁

歌川広重 月に雁

左右から藍のぼかしを交錯させ、立体感を作り出しています。幾重にも盛り上がった雲はまるで飛行機に乗って上空から眺めているかのようです。



冴え冴えと輝く満月、静かに流れる蒼い雲、そして三羽の落雁。澄み渡った秋の空遠く、物悲しげな雁の声が聞こえてくるようにさえ感じられます。

「こむな夜か 又も有うか 月に雁」の賛の通り、一度きりと思えるほど美しい、忘れえぬ夜の光景を描き出した名作です。

歌川広重 月に雁

■丹念な描写によって生まれる臨場感「高輪之明月」



こちらも秋の風景には欠かせない月と雁が描かれた一図。江戸の交通の中心であった日本橋を出発し、品川の手前まで来ると江戸湾の眺望が開けるところ、高輪の情景を描いた作品です。


歌川広重 高輪之明月

歌川広重「高輪之明月

歌川広重 高輪之明月

夕暮れ時の空には大きな白い満月がのぼり、雁の群れが飛んでいます。


俯瞰的に風景を捉え、前景を大きく描く大胆な構図が印象的で、湾曲した海岸線や空の藍色と海の藍色のぼかしが画面に果てしない奥行きを生み出しています。独特のあたたかな色合いや、帯状に伸びた紅色の雲が静かな哀愁を演出する名作です。

豊かな実りの秋に 月を描いた浮世絵名作撰

■「お月見」が広まった江戸時代

今も広く親しまれている「お月見」。十五夜の日にすすきを飾り、月を眺めながらお団子を食べる行事は、日本人なら一度は経験したことがあるのではないでしょうか。

この秋に月を愛でる慣習が庶民にまで浸透したのは、実は江戸時代だと言われています。
中秋の名月を鑑賞する風習は、中国から日本にやってきました。はじめに平安時代の貴族の間に取り入れられ、次第に武士や町民に広まっていったとされています。その後、お月見は収穫祭と結びつき、庶民へと広まりながら現在の十五夜の形式へと発展したそうです。

江戸の庶民の文化を色濃く反映した浮世絵には、観月を楽しむ江戸の人々の姿や、美しい月の情景が多く描かれています。


■お月見にすすきを供えて 「鏡台の秋月」


鈴木春信 座敷八景 鏡台の秋月

鈴木春信「鏡台の秋月
通常価格  20,000円(税別)

限定特価 絵のみ 13,000円(税別)
本図は日常の生活を風景に見立てて描いた春信の代表シリーズ「座敷八景」の内の一図。

江戸時代中期の俳人で、絵暦交換会の主催として錦絵誕生のきっかけを作った人物でもある大久保巨川の依頼により制作されたもので、画中の豪華な屏風には「巨川」の文字が見えます。
振袖を着て髪を結いあげられている娘の前に置かれた鏡台は、秋空に浮かぶ月を見立てたもの。 鈴木春信 座敷八景 鏡台の秋月

鈴木春信 座敷八景 鏡台の秋月
窓の外には十五夜の日、収穫に感謝して黄金色の穂を垂らした稲に見立ててお供えする「すすき」をのぞかせており、秋の風情を感じさせます。

画面内には描かれていませんが、開け放たれた窓の外にはきっと美しい秋の月が浮かんでいることでしょう。当時の人々の日常や、秋の暮らしの様子も見えてくる趣深い作品です。


■江戸の粋な遊び 「道潅山虫聞之図」



秋の夜といえば、「月」と「虫の声」は欠かせないものですが、秋に虫の声を楽しむという風習は古くから楽しまれていました。
江戸時代には、外へゴザと酒を持って出かけては虫の音を聞く「虫きき」が、粋で風流な秋の遊びとされていたそうです。そんな「虫きき」の様子を描いたのが、本図「道潅山虫聞之図」。

歌川広重 道潅山虫聞之図
歌川広重「道潅山虫聞之図
通常価格  20,000円(税別)

限定特価 絵のみ 13,000円(税別)

歌川広重 道潅山虫聞之図 本図で描かれている谷中の道灌山は「虫きき」の名所として多くの人々で賑わっていた場所。
  歌川広重 道潅山虫聞之図
虫かごをもって「虫きき」へ出かける親子や、丘の上で月見酒に興じる男たちが描かれており、当時の人々が観月を楽しむ様子が広重の描写力によってありありと伝わってきます。

歌川国芳 金魚づくし

■かわいい金魚づくしを涼やかに飾る!

子どもから大人まで楽しめる歌川国芳「金魚づくし」シリーズの新しい飾り方としてご紹介しているアクリル額は、どんなお部屋にも似合うとご好評をいただいております。
一つの額で、壁に掛けたり、サイドボードに自立式のスタンドで立てたりと2通りの楽しみ方が可能なのも、うれしいポイント。

壁に穴を開けられない方や掛ける場所がない方でも、すっきりと飾っていただけますので、ご自宅用はもちろん、贈り物にもたいへんおすすめです。また、軽くコンパクトなサイズなことからも海外ギフトとしてもご利用いただいてます。
歌川国芳 金魚づくし


■ギフトに最適!安心の丁寧な梱包


アダチ版画では、商品をしっかりと梱包いたしております。
商品は収納にも便利なアクリル額専用箱に入れてお届けいたします。 箱の中には緩衝材をお入れしております。


また、お品物には作品解説とリーフレットを同封しています。誰が描いたどんな作品なのか、どんな風に作られたものなのか、その背景まで知ることができ、より深く作品を楽しんで頂けます。

〇 作品を深く理解できる、和英併記の解説
「金魚づくし」に限らず、アダチの復刻版浮世絵は作品ごとに和文・英文を併記した作品解説を同封しています。文化の異なる海外の方でも作品の内容・背景についてご理解いただけると大変ご好評を頂いています。

〇 アダチ版復刻浮世絵の紹介リーフレット
アダチ版復刻浮世絵についてご紹介したリーフレットをあわせて同封。 作品と共にご覧いただくことで、世界でも類を見ない日本の浮世絵の高度な伝統木版技術で作られた木版画の魅力を楽しんで頂けます。

■アダチ特製 オリジナル包装紙でラッピング!


アダチ版画はこだわりのオリジナル包装紙で、心を込めてお品物をラッピングいたします。
気持ちがきちんと伝わる綺麗なラッピングなので、ギフトにも最適です。
〇ギフトに最適なコンパクトサイズ!
金魚づくしシリーズは、一般的な浮世絵の半分の大きさ。はがきやA4サイズの紙と並べてみてもこのとおり!
コンパクトで持ち運びやすく、遠方の方へギフトとしてお持ちになる際にぴったりとのお声もいただいております!


<梱包外寸>:約 縦 35.0×横 27.0×高さ 3.5cm/重さ:約720g

アダチ版画はみなさまに作品を楽しんでいただけるよう万全の状態でお届けいたします。このほかにもさまざまなサービスをご用意しておりますので、是非ご活用ください!

◎海外配送・海外向け梱包
◎空港へのお届け
◎見本画像の貼付
◎手提げ袋
◎奥付   など
詳細はこちら >>


かわいらしい金魚づくしシリーズのアクリル額は、コンパクトで飾りやすく、どんな方にもおすすめです。まだまだ暑いこの季節に涼を取り入れる逸品として、ご自宅に、贈り物に、ぜひいかがでしょうか。
歌川国芳「金魚づくし」はこちら >>

アダチ復刻事業の礎 謎の絵師・東洲斎写楽の全貌に触れる


現在開催中の企画展「アダチ復刻事業の礎 謎の絵師・東洲斎写楽の全貌に触れる」では、写楽の作品だけでなくアダチ版画の復刻事業についてご紹介いたしております。

今回、彫師歴50年を超える親方の新實がこれまで培った経験をもとに、写楽について語ってもらいました。
本コラムでは、彫師から見た写楽の魅力をご紹介いたします。

■企画展関連コラム「彫師からみた写楽の魅力とは?」

新實は、大学生の時、展覧会で目にした写楽の作品に感銘を受け、彫師を志しました。当時は彫師と摺師がいることすら知らなかったものの、「こういうものを彫ってみたい」という強い思いを抱き、1965(昭和40)年、彫師の名人と言われた大倉半兵衛氏の門を叩きました。大倉氏が亡くなるまでの8年間、「半兵衛最後の弟子」として彫師の修行をした後、1973(昭和48)年にアダチ版画研究所へ入りました。
これまで、浮世絵の復刻版はもとより、日本画の巨匠の作品をはじめとする現代の木版画作品などたくさんの作品を手がけました。現在、その力量は第一人者として広く認められています。



Q.彫師としての視点から、絵師としての写楽を見るとどうですか?

新實:実際に写楽を彫ってみると、一本たりとも余分な線がないことに改めて気づかされるね。一般的にもよく言われることだけれど、写楽の作品は、最小限の線や色数で最大限の効果を生むように描かれているから、当然、線は少ない。
写楽ならではの独特な表情や、手の躍動感を出すための線を彫るのは特に難しいね。
あと、彫師になってからは、「写楽は役者に嫌がられるほど個性を誇張しすぎている」という世間の認識とはちょっと違う感じ方をするようになったかな。

彫師・新實


浮世絵師について書いた『浮世絵類考』には、写楽について「あまりに真を描かんとて あらぬさまにかきなせしかば 長く世に行われず 一両年にして止ム」と記されています。
このように「写楽は役者を美化せずに、大げさなまでに個性を強調して描いている」というのが世間一般的な写楽の評価ですが、新實の言う、世間の認識とは違う感じ方はどの様なものなのでしょうか。


■新實の思い出の一枚から見る「写楽の役者絵」

新實:確かに女形ならば、リアルに描くことで嫌がられるということはあったかもしれないけれど、男に関しては、写楽は他の絵師よりも数段魅力的に描いていると思う。
例えば、市川高麗蔵なんかを見てみると、写楽の高麗蔵はずいぶんと愛嬌がある。

大学生の時に、たまたま展覧会で見た写楽の「二代目市川高麗蔵の志賀大七」にとっても感銘を受けて、彫師を志すことになった。
そういう意味で、今でも思い出深い作品だね。
そもそも「志賀大七」は悪役だから、普通この役の高麗蔵を描いた作品は、とても目つきの悪い、いかにも悪役らしい姿で描かれている。
それに対して写楽は、役者の本来の魅力を描き出しているように思う。その時演じている役柄にとどまらずに、役者自身の人間的な魅力までとらえているように感じるね。

新實の思い出の一枚
二代目市川高麗蔵の志賀大七

東洲斎写楽
「二代目市川高麗蔵の志賀大七」




勝川春英 二代目市川高麗蔵 志賀大七

勝川春英
「二代目市川高麗蔵 志賀大七」



ここで、写楽と同時期の絵師・勝川春英が描いた「二代目市川高麗蔵 志賀大七」の作品を見てみましょう。
2枚の役者絵を見るに、二代目市川高麗蔵は面長な顔に高いかぎ鼻、しゃくれた顎を持つ人物だったようです。
これらの特徴を、春英はやや控えめに、一方の写楽は、顔はより長く、鉤鼻は鋭く曲げて、顎もしっかりと前に出して描き、役者の特徴をより克明に表現しているように見えます。
役者を美化し、「志賀大七」として描いた側面の強い春英の作品に対し、写楽の作品はまるで高麗蔵の似顔絵のよう。目元に注目すると、すこし丸みを帯びた目の形がなんだか愛らしく見えてきませんか?新實の言う『役者自身の人間的な魅力』も、そのあたりにあるのかもしれませんね。


今回、彫師新實から話を聞くことで、リアリティをもって役者を内面まで描き出した写楽の姿が見えてきました。大げさなまでに個性的な大首絵も役者自身の魅力を表現したものと考えると、また違った面白みが出てきますね!


現在、アダチ版画 目白ショールームでは、企画展「アダチ復刻事業の礎 謎の絵師・東洲斎写楽の全貌に触れる」を開催しております。
今回ご紹介した「二代目市川高麗蔵の志賀大七」をはじめとする写楽の黒雲母の大首絵全28図を中心に写楽の傑作のほか、アダチ版画が昭和初頭の創業以来続けてきた復刻事業の歴史をご紹介する貴重な資料も展示中です。6月30日(日)までの開催となります。是非、お出かけください。



■開催概要

企画展「アダチ復刻事業の礎 謎の絵師・東洲斎写楽の全貌に触れる」
会 期
 2019年6月15日(土)~6月30日(日)
休 館
 月曜日
会 場
 アダチ版画研究所 目白ショールーム
 詳細はこちら >>



アダチ復刻事業の礎 謎の絵師・東洲斎写楽の全貌に触れる


現在開催中の企画展「アダチ復刻事業の礎 謎の絵師・東洲斎写楽の全貌に触れる」では、写楽の作品だけでなくアダチ版画の復刻事業の歴史もご紹介いたしております。今回コラムでその一部をご紹介いたします。

■企画展関連コラム「復刻版とは?そして、アダチ復刻への想いは?」

アダチ版画研究所では、昭和初期の創業以来、これまでに約1,200種類の浮世絵復刻版を制作してまいりました。その中でも、創業者の安達豊久が特に情熱をもって取り組んだのが「東洲斎写楽」の全図完全復刻です。
現在開催中の企画展に合わせ今回は、意外に知られていないそもそも「復刻版とは?」といった素朴な質問に答えるとともに、写楽の全復刻を成し遂げた創業者の復刻への想いもご紹介いたします。



 


Q.そもそも「復刻版」とは?

A.
江戸時代に出版された浮世絵(オリジナル)は、明治以降、海外において日本の美術工芸品の一つとして高い評価を得るようになります。
コレクターも出現し、海外での需要が高まると、ヨーロッパを中心に良質な浮世絵が大量に輸出されました。

しかし、オリジナルの浮世絵には数に限りがあります。そこで、オリジナルと同じ木版技術で制作出版されるようになったのが浮世絵の復刻版です。

多くの版元から復刻版が出版されましたが、その制作方針は、摺られた当時の色を色鮮やかに再現しようとするもの、今残っているオリジナルのように古めかしい色にしようとするものなど様々です。お客様の嗜好に左右され、時代によっても異なります。

現在のアダチ版復刻浮世絵は、和紙に水性の絵具で摺ることにより生まれる木版独特の発色、摺られた当時の色を楽しんでいただきたいとの想いで制作しています。






↑写楽研究の原点
クルト「SHARAKU」
初版本(1910)

↑オリジナルを参考にした
専門家による復刻の資料

Q.アダチ版画研究所の創業はいつ?

A.
創業者の安達豊久(1902-1983)は、中学を卒業してすぐ雑誌社に勤務し、復刻版の浮世絵を出版する仕事に就いた後、1928年頃に独立してアダチ版画研究所を興しました。

若い時から浮世絵に触れる中で、浮世絵の魅力を正しい形で世に知らしめたいという想いで、復刻事業を始めました。
良い作品をつくるために、当時一流の技術を持った彫師と摺師を集め、一つ屋根の下で仕事をする工房形式を確立しました。

アダチ版画研究所は今なおこのスタイルを続け、高品質の木版画の制作に努めています。


企画展では、当時資料が少ない中どのように復刻版をつくっていたかをご紹介する資料の展示もしております。是非、目白ショールームまでお出かけください。



↑創業者 安達豊久(左)


↑アダチ版画
昭和の工房(摺)風景


■開催概要

企画展「アダチ復刻事業の礎 謎の絵師・東洲斎写楽の全貌に触れる」
会 期
 2019年6月15日(土)~6月30日(日)
休 館
 6月24日(月)
会 場
 アダチ版画研究所 目白ショールーム
 詳細はこちら >>



■関連情報

関 連 番 組
NHK Eテレ日曜美術館「熱烈!傑作ダンギ 東洲斎写楽」
放 映 日 時
  6月23(日) 午後8時~(再放送)
これまでの写楽は誰か?という視点ではなく「写楽の表現」について、様々な分野の専門家が話をしながら写楽の魅力を見つけていく番組です。アダチ版画研究所が写楽作品全図の復刻をしていることから、今回第一期の黒雲母作品28点を会場に並べていただき、絵柄というだけでなくプロダクトとしての魅力もお伝えいただいております。是非皆さまご覧ください。



金魚づくし


■コミカルな金魚たちの世界 歌川国芳「金魚づくし」とは?

近年、国内外で展覧会が数多く開催され人気急上昇中の浮世絵師・歌川国芳。その国芳が手掛けた浮世絵シリーズ「金魚づくし」は、金魚に加えてカエルやカメなどの水中の生き物たちを擬人化し、ユーモアたっぷりに描かれています。

笑い、走り、歌い、踊る金魚たちの姿は、見る人を思わず「カワイイ」と微笑ませてしまうほど生き生きとしてコミカル。江戸時代後期には、金魚は庶民の間でもペットとして飼育されるようになりました。そんな自分のペットの様子を描いた浮世絵に、江戸っ子たちは夢中になったことでしょう。

近年、日本のポップカルチャーを形容する単語として世界に定着しつつある"Kawaii"の歴史は、こうして江戸時代の浮世絵、国芳の「金魚づくし」の中に既に見ることができます。




百ものがたり


怪談話で化け猫が出たぞ!

さらいとんび


あ!トンビに油揚げを
さらわれた!

玉や玉や


しゃぼん玉売りが来たよ!




酒のざしき


金魚たちの大宴会!

まとい


さぁ、火事だ火事だ

にはかあめんぼう


にわか雨?あめんぼう!!




そさのおのみこと


ヤマタノオロチならぬ、
ウナギ退治!

いかだのり


ひれをまくって男らしく

ぼんぼん


団扇を持って、
ぼんぼん唄で練り歩こう



今回は、このユーモア溢れる笑って楽しい「金魚づくし」をもっと夏らしく楽しめる、新しい飾り方をご紹介します!



■スタイリッシュな「金魚づくし」の新提案

●人気の「金魚づくし」シリーズを
すっきりと涼やかに飾っていただけるアクリル額が新登場!



浮世絵の両側を透明のアクリル板で挟んで飾る額で、見た目もとても爽やかです。

実はこちらのアクリル額、1つの額で2通りの飾り方がお楽しみいただけるんです!

金魚づくし アクリル額


〇自由自在に飾り方を変更〇

飾り方の変更方法はとっても簡単!
付属の金具を付け替えることによって、壁掛け式からスタンド式の額に早変わりする仕組みです。

額の上部の脚を外し下の脚に連結することで、スタンドタイプへ変更できます。



■涼やかに飾って楽しむ!

「金魚づくし」は通常の浮世絵の半分ほどの大きさで、額の大きさも縦が約38cm、横幅が約29cmとコンパクトサイズ。壁にかけるにも立てて飾るにも、玄関やリビングなどのちょっとしたスペースに飾ることができるのがその大きな魅力です。シンプルなアクリル額は、場所を選ばず飾っていただけるので、初めて浮世絵を飾るという方にもオススメです。

金魚づくし アクリル額

◎壁にかけて楽しむ

浮世絵の裏に隠れるように取り付けられたフックで、壁にかけて飾ることができます。付属の金具によって、額を壁から平行に浮かせて飾れるように作られており、伝統的な浮世絵も、奥行きを持たせてモダンな雰囲気で飾ることができます。




◎スタンド式で立てて楽しむ

こちらは壁に穴を開けられない方や、掛ける場所がない方に特におすすめの飾り方です。縁取りのないアクリル額は空間を邪魔せず、どんな調度品ともマッチします。

金魚づくし アクリル額



爽やかなアクリル額で「金魚づくし」シリーズを飾ることで、まるで金魚鉢を置いたように涼しげな空間をお楽しみいただけます!




■セット購入でお得!アクリル額1点&Tシャツ プレゼント

笑って楽しい「金魚づくし」は、各図8,000円(税別)とお手頃価格。
もちろんシリーズで揃えるほどに、面白さも倍増するので、ぜひ9図揃えてお楽しみください。
9図セットなら65,000円(税別)と7,000円分お買い得です。


さらにセット購入特典として、アクリル額1点&特製Tシャツ をプレゼントいたします。この機会に、ぜひお求めください。

※特製Tシャツのサイズについて、S・M・L・XLの中からご希望のサイズを注文画面の備考欄にご明記ください。


広重が描いた 日本の雨 いろいろ


6月に入り、いよいよ梅雨がやってこようとしていますね。

春、静かに降る雨を「春雨」、明るい空にふるにわか雨を「白雨」、夏の午後に降る激しいにわか雨を「夕立」と、雨を表現する言葉が様々にあるように、雨は私たちにいろいろな表情を見せてくれます。

憂鬱な気分になりがちな雨の季節、叙情豊かな雨の表情を巧みに描き上げた広重の浮世絵で楽しんでみてはいかがでしょうか。



広重・雨の浮世絵の定番!「大はしあたけの夕立」


ゴッホが模写したことでも知られる「大はしあたけの夕立」は、広重晩年の大作「名所江戸百景」の一図。


橋を大胆に上から見下ろした竪長の画面が、雨脚の激しさに加速度感を与え、対岸の安宅の御船蔵や家々がシルエットのように霞んでいる様子からも、雨の層の厚さが想像されます。

ぼんやりとかすんだ対岸と大橋とが、画面中央の隅田川の広い水面を三角形に切り取り、画面に動きを与えるとともに、雨の隅田川の水の量感を見事に示しています。

すべてにおいて無駄のない画面構成と、真に迫る夕立の描写が魅力的な定番の一枚です。

歌川広重 大はしあたけの夕立
広重「大はしあたけの夕立
絵のみ 13000円(税別)


オンラインストア初登場!夕暮れ時の雨を描いた団扇絵「安倍川」

駿府城の城下町として発展した静岡県・府中の宿のあたりの雨の風景を描いた「安倍川」は、「東海道河づくし」の一図。

茜色の薄いぼかしで夕暮れ時の雰囲気が演出され、遠景には安部川を渡る人々の様子も細かに描かれています。
雨が降りつける中、画面手前の旅の一行は足早に川渡へ向かいます。

街道の両脇に青々と繁茂する草から想像するに、梅雨時の風景でしょうか。爽やかに雨を描いた団扇絵は、じめじめとした梅雨の空気をも吹き飛ばしてくれそうです。


歌川広重 安倍川
広重「安倍川
通常価格  20,000円(税別)

限定特価 絵のみ 13,000円(税別)


荒れた天候も見事に表現!「美作 山伏谷」

歌川広重 美作 山伏谷
広重「美作 山伏谷
通常価格  20,000円(税別)

限定特価 絵のみ 13,000円(税別)

岡山県北東部の美作国の渓谷を描いた「美作 山伏谷」は、「六十余州名所図会」の一図。


画面右手の切り立つ奇岩は、山伏の修業の場であったという険しい渓谷を描いたものと思われますが、その姿は激しい雨風に半ば隠れています。

画面上部にはぼかしで表現された黒い雲が立ち込め、画面全体を横切る大胆な風の表現からは視界をふさぐような激しい勢いが感じられます。

旅人たちも笠を飛ばされたり激しい向かい風に立ち往生したりと、臨場感あふれる作品です。




広重「白雨」くらべ

江戸時代、日本橋は各地への街道の起点となった場所で、魚河岸もあり、活気にあふれていました。
そのため、名所絵に描かれることは多く、特に名所絵を得意とした広重は、傑作をたくさん残しています。

そのうちの一図といえるのが本図、東都名所「日本橋白雨」です。


東海道五拾三次の「庄野白雨」と並べてみると、庄野の坂を橋に換えて描いているようにも見え、構図は大変似ているようです。
そして、傘には版元名をいれるあたりも広重らしさを垣間見ることができます。

歌川広重 日本橋白雨
広重「日本橋白雨
絵のみ 13000円(税別)


「庄野白雨」は、線というよりは、面として束で描かれることによって、激しく、そして、向かい風に拮抗していく緊張感があります。

一方、「日本橋白雨」の雨は、線で描かれ間隔もあるため、にわか雨でも柔らかい空気が画面に広がって見えます。そして中央に描かれた雨にかすんだ富士山が何とも安定感ある作品にしています。



歌川広重 庄野 白雨

広重「庄野 白雨
絵のみ 13000円(税別)


夜の激しい雨を描いた「江戸近郊八景 吾嬬杜夜雨」



こちらは、広重の傑作に数えられるシリーズ「江戸近郊八景」の一図。もとは狂歌仲間への配り物として描かれた特注品です。
本図は現在の墨田区立花にある吾嬬神社辺りの、夜の雨の風景を描いたもの。
斜めに描かれた無数の線が、打ちつける雨の強さを物語っています。田んぼ道には幟がはためき、土手の上にはすれ違う蓑と傘の人々の姿が見えます。
強い雨風が手に取るように感じられ、広重の表現力が良く表れている一図です。

歌川広重 吾嬬杜夜雨
広重「吾嬬杜夜雨
通常価格  20,000円(税別)

限定特価 13,000円(税別)


まっすぐに伸びる雨の線が印象的な「江戸名所 浅草金龍山遠望」



小林清親 東京新大橋雨中図
小林清親「浅草金龍山遠望
通常価格  20,000円(税別)
       ↓
限定特価 13,000円(税別)



こちらは船上から浅草の金龍山を望む情景を描いた一枚。
画面の中ほどに描いた遠景の金龍山を境に、上部に空、下部には近景の舟を配し、縦長の構図の中で巧みに空間の広さを表現しています。
画面の上から下までまっすぐに伸びる雨の線が、この構図をより印象深いものにしています。


「広重が描いた 日本の雨 いろいろ」はこちら >>



明治の広重・清親の雨「東京新大橋雨中図」

こちらは明治の広重と呼ばれた小林清親の代表作「東京名所図」の中の一図。

「光線画」と呼ばれる西洋画の影響を受けた光と影の描き方が脚光を浴びました。

雨雲のかかる空の明暗や、水の映り込み、雨線を描かず雨を表現する描写など、それまでの浮世絵にはない表現が見られ、江戸から明治へ移り変わる時代の大きな変化が伺えるようです。

画面の端に小さく描かれた女性の後ろ姿が印象深く、物語を感じさせる作品です。


小林清親 東京新大橋雨中図
小林清親「東京新大橋雨中図
通常価格  20,000円(税別)

限定特価 絵のみ 13,000円(税別)

現在、こちらの作品も、期間限定特別価格にてご提供中!



また、目白ショールームでも、叙情溢れるさまざまな雨の浮世絵を展示中です。
いろいろな表情を持つ日本の雨の情景が描かれた浮世絵で、今年の梅雨を楽しんでみませんか。


あわせてお楽しみいただきたい「雨の浮世絵」はこちら >>
江戸の桜でお花見 桜を描いた浮世絵を楽しむ


アダチ版画では、現在「江戸の桜でお花見 桜を描いた浮世絵を楽しむ」をテーマにご自宅でお花見気分を味わっていただけるよう、様々な趣向の桜景色をご紹介しております。


日本人の心を惹きつけてやまない「桜」。 江戸当時の桜の輝きを感じていただけるアダチの浮世絵から、お部屋でゆったりとお花見気分が楽しめる広重の名作「隅田川水神の森真崎」をご紹介いたします!


■ゆったりと楽しむ、広重のお花見―名所江戸百景「隅田川水神の森真崎」

歌川広重は叙情性豊かな作風を得意とし、景色を描く中にも季節感を大事にしていました。花鳥画にも優れた作品を数多く残しており、 繊細な季節の情緒を巧みに表現していたのです。そんな広重の傑作のひとつが、名所江戸百景隅田川水神の森真崎」です。

桜の名所として知られる真崎を、向島から隅田川の対岸に望んだ風景が描かれる本図。前景に桜の花と、その眼下を流れる隅田川と水神の森を、遠くには筑波山を描き、ゆったりと広がりのある風景を表現しています。
全体に柔らかな色遣いで纏められ、近景の桜の花と遠景の淡い紅の春霞に浮かぶ筑波山が、春らしいのどかさを感じさせます。画面上部のぼかしや水際に使われている藍の色と、桜のピンクとのコントラストが非常に爽やかな一枚です。

隅田川水神の森真崎

■大胆な構図で描かれた満開の八重桜

隅田川水神の森真崎

隅田川水神の森真崎」は、なんといっても画面手前に咲き誇る八重桜が印象的です。風景画では遠景に描かれることが多い桜を近景に配置し、花を極端なクローズアップで描いた珍しい構図は、風景画でありながらまるで花鳥画のような趣を感じさせます。
こちらに伸びる枝の先に大きく花をつけた八重桜を、広重は花弁一枚一枚丁寧に描いています。細やかに描かれた桜に春爛漫の風情が漂い、画面いっぱいにうららかな春の陽気が漂っているようです。


見事な景観を主役に、まばらに描かれた人々が思い思いに景色を楽しんでいる様子からも、のどかな春に、ゆったりと流れる時間が感じられる作品です。

繊細な季節の情緒を捉える広重の目線で、みなさまもお花見気分を味わってみてはいかがでしょうか。

歌川広重 名所江戸百景「隅田川水神の森真崎」



■インパクトなら 北斎の桜

現在、六本木森アーツセンターギャラリーで開催中の「新・北斎展」で、浮世絵そして北斎の人気が高まっています。森羅万象の本質を描き出すことに挑戦し続けた北斎が描いた桜は、パッと目を引く華やかな美しさが魅力です。

オーダーメイドとして贅を尽くして作られた「桜花に富士図」、藍の背景が印象的な垂桜「鷽に垂桜」、そして、庶民が楽しむお花見の様子を富士とともに描いた「東海道品川御殿山ノ不二」。
多才な北斎の桜もお楽しみください。




葛飾北斎「桜花に富士図」
葛飾北斎「桜花に富士図」



葛飾北斎「鷽に垂桜」
葛飾北斎「東海道品川御殿山ノ不二」
葛飾北斎「鷽に垂桜」 葛飾北斎「東海道品川御殿山ノ不二」



広重・北斎のほかにも、様々な趣向が凝らされた桜の数々が目白押し!
「江戸の桜でお花見 桜を描いた浮世絵を楽しむ」はこちら >>
没後160年記念 広重 月の名作選

浮世絵のアダチ版画では、今年没後160年を迎えた広重に注目が集まる中、秋にピッタリの「広重月の名作撰」を企画いたしました。ご好評につき9月30日まで期間延長になった本企画を通して広重の魅力に迫ってまいります!

風景画だけではない!広重の魅力が満載の花鳥画はなぜ生まれた??

浮世絵というと、一般的には美人画、役者絵そして風景画を連想する方が多く、花鳥画をイメージする人はすくないかもしれません。しかし、風景画の絵師として人気の広重も、大変多くの花鳥画を残し「月に雁」は代表的な作品となっています。


江戸庶民の嗜好を常に表現してきた浮世絵の世界において、遊郭のあった吉原の繁栄から美人画が生まれ、歌舞伎人気が役者絵を生みました。そして、東海道など街道の整備と庶民の経済力の向上により旅をする余裕ができると風景画が出版されるようになりました。

月に雁 三日月に松上の木菟 月夜木賊に兎

では、花鳥画は、なぜ一つのジャンルを確立するほど出版されていたのでしょうか。色々な要因があるとおもいますが、今回は広重の花鳥画の中でも特に季節感あふれる情景を描いた、心和む月を描いた中短冊サイズ名作3点を紹介しながらその謎を考えてまいりましょう。

左から月に雁三日月に松上の木菟月夜木賊に兎

 

俳句や和歌と共に味わう広重の詩的な世界

広重が花鳥画の中でも多く作品を残したといわれているのが中短冊サイズの作品です。「東海道五十三次」のように大錦サイズといわれる一般的な浮世絵のサイズのちょうど半分のサイズになります。

日本で鎌倉時代の頃から歌人の間で使われていた短冊という形式を花鳥画のジャンルに用いることにより、俳句や和歌に詠まれた世界を江戸の庶民の人々に絵を通して広重は伝えようとしていたと考えることもできそうですね。


月に雁

「こむな夜か 又も有うか 月に雁」

「三日月の船遊山(ふなゆさん)してみみづくの 耳に入(いれ)たき松風の琴」

三日月に松上の木菟
月夜木賊に兎

「夜はいとど 草のむしろに 露おきて 兎の妻も 寝つきかぬらん 河廼屋幸久」



北斎が造形的な美しさを描写し尽くすことに注力するのに対して、広重は、俳句や和歌といった文学的要素を加味しながら詩的世界を表現することを大切にしていたのでしょう。江戸の庶民はもちろんのこと、現代の私たちの心を動かす表現の豊かさは、風景画だけでなく花鳥画においても発揮されています。

花鳥画というジャンルは、江戸時代の園芸ブームがあったことが一因であるとも言われていますが、数多く残された広重の短冊の作品を見ていくと、江戸の人々に癒しを与えるもので、常に身近な生活を彩るためのものとして出版されていたと素直に捉えることも出来そうですね。

広重の中短冊の世界を満喫するのにオススメ! 短冊専用額



アダチ特製浮世絵専用額(短冊)

これまでご紹介してまいりました広重の短冊の世界を楽しんでいただくため、アダチ版画がオススメするのが「アダチ特製浮世絵専用額(短冊)」です。

通常ご紹介している大判額(外寸55.5×40.0cm)よりもひと回り小さい(外寸50.0×32.0cm)短冊専用額です。「月に雁」など短冊の花鳥画を一番美しくみせることができるように余白を調整いたしました。

是非、秋の夜長に、広重が描いた月の短冊の詩的世界を身近に味わってみてはいかがでしょうか?

 

■ 注文方法
オンラインストアでのご注文の際は、ショッピングカートに「アダチ特製浮世絵専用額(短冊)」とご希望の作品(額なし)をお選びください。ご希望の作品を額装した状態でお送りいたしますので、届いたらすぐに飾ってお楽しみいただけます!

注文画面


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品質へのこだわり

品質へのこだわり

アダチの浮世絵は、手にして初めて分かる、熟練の技術と日本の伝統が詰まっています。

製作工程

制作工程

一切機械を使うことなく一枚一枚職人の手仕事により丁寧に作られている木版画です。

厳選素材・道具

厳選素材・道具

江戸当時の風情を感じられる当時の浮世絵の再現にこだわり、厳選した素材と道具を使用。

職人紹介

職人紹介

最高の作品を創り出すために、日々技術の研鑽を積む熟練の職人たち。

浮世絵の基礎知識

浮世絵の基礎知識

意外と知らない?浮世絵の世界。浮世絵の基礎知識をご紹介。