飾って楽しむアダチの浮世絵
お客様インタビュー~浮世絵のある暮らし~ 第7回


昨年からスタートした企画「お客様インタビュー〜浮世絵のある暮らし〜」では、お客様にアダチの浮世絵の、ご自宅での楽しみ方を伺っています。今回は、アメリカ在住のAさんご夫妻にリモート通話でお話を伺いました。アメリカらしい明るく広々としたお住まいでの、アダチ版画の浮世絵の飾り方やこだわりの特注額についてお話を伺います。



 


今回お話を伺ったAさん(左)、Eさん(右)と2人のお子様

会計士である A さんと、経理のお仕事をされているEさんは、おふたりともカリフォルニアに住んで 10 年以上。Aさんはサーフィンが趣味で、以前は頻繫に行かれていたそうですが、今は 2 人のお子さまと過ごす日々に夢中。リモート通話中にも、長女のSちゃんがたびたび顔を覗かせ、とても和やかなインタビューとなりました!
 

 




―今回はお引き受けいただきありがとうございます。実は、今回様々な偶然が重なってインタビューをお願いいたしました。一番初めにアダチ版画の浮世絵をご購入いただいたのは、アダチ版画のショールームがある目白の、デンタルクリニックさんへの贈り物でいらっしゃいますよね。
 
Aさん: 「はい、そうですね。そこを開業したのが僕の弟で、開業祝いとして浮世絵版画を送りました。」
 

―そのクリニックの前を通ったスタッフが「アダチの浮世絵が飾ってあったよ!」と教えてくれたんです。そこで「アダチ浮世絵ギャラリー」(リンク)用に撮影をしたいとお願いをしたら、ご快諾くださって。撮影にうかがい、院長先生とお話しした際に A さんからの開業祝いと聞いて驚きました!ちょうど A さんからも、ご自宅用の浮世絵をメールでご注文いただいたところでしたので。
 
Aさん・Eさん: 「同じタイミングだったのですね!すごい偶然ですね!」
 

―それがきっかけで、ぜひお話をしたい!と思いお声掛けをいたしました。開業祝いの贈り物についても、後ほど詳しくお話を聞かせてください!まずはご自宅用にご注文いただいた浮世絵について、伺っていければと思います。


■ ずっと欲しかった「桜花に富士図」 梱包を開けた瞬間の感動

―現在ご自宅には、北斎の「桜花に富士図」と、「菊に鶴」、「凱風快晴」を飾ってくださっていますよね。これらの作品を選ばれたのはなにか理由があったのでしょうか。
 
Aさん: 「最初に『桜花に富士図』が気に入って、数年前からずっと欲しいと思っていたんです。引っ越しをして絵を飾るスペースができてから飾ろうと思い、ようやく3か月前に購入することができました。」

Eさん: 「子供の名前に"桜"が入っているのも、この作品を気に入った理由のひとつだったよね。それでいざ購入しようと思って御社のウェブサイトを見たら、どんどんこれも欲しい!あれも欲しい!となっていってしまって(笑)いくつもの候補の中から厳選しました。」
 

―そして最終的に、「菊に鶴」と「凱風快晴」に決まったのですね。この2作品にした決め手はありますか?
 
Aさん: 「最終的には、家の雰囲気に合うかどうかが決め手でした。華やかで明るい色であることや、花鳥が中心になっている作品の方が合いそうだなと思い、この 2 枚に決めました。」
 

―実際に届いた感想はいかがでしたか?
 
Eさん: 「本当にずっと欲しく、やっと手に入れた作品だったので、開けた時にとても感動しました!」

Aさん: 「うん、すごく感動したね。あと、梱包の仕方がすごく丁寧だったのでその点にもサービスの質の高さを感じました。アメリカは、国内配送でもよく商品にダメージがあったりするので、ちゃんと届くかどうか不安だったんです。それが傷ひとつなかったことに対してもすごいなと思います。」
 

丁寧な梱包は国内外問わずアダチ版画が心掛けていることなので、そういった点に感動していただきとても嬉しく思います。
 
 
 
  移動距離の長い海外配送でも安心の梱包。専門のスタッフが、丁寧に梱包しています。  




■ インテリアに合わせたこだわりの特注額

―ありがとうございます。では、今は作品をどちらに飾っていらっしゃいますか?
 
Eさん: 「『桜花に富士図』と『凱風快晴』はリビングに、『菊に鶴』は寝室に飾っています。ちょっと待ってくださいね。」
 

するとEさんは、画面越しにルームツアーをしてくださいました!陽光差し込む明るいご自宅には、カリフォルニアのあたたかさが感じられます。アダチの浮世絵は、直射日光は避け、出来るだけ陽射しが当たらないところを選んで飾ってくださっているようです。


リビングの暖炉の位置に飾られている「桜花に富士図」


リビングと廊下の境目には「凱風快晴」


寝室として使っているお部屋の「菊に鶴」

―ご丁寧にありがとうございます!どれも明るく華やかな印象でお部屋にとっても合いますね。そういえば「凱風快晴」と「菊に鶴」の額は特注でしたよね。
 
Eさん: 「『桜花に富士図』の専用額(溜塗の赤系の額)と額縁の色を合わせたくて、注文の時に問い合わせをしました。」
 
「桜花に富士図」の専用額は、弊社で最も一般的にご用意している黒に近い茶系の棹とは異なり、赤系の溜塗の棹。作品を華やかに彩ります。
 

―どうして額の特注を検討されていたのでしょうか?
 
Eさん: 「もともと赤い色が主人の好みであったこともありますが、薄いグリーン系の明るい壁により映える額を探していました。それで『桜花に富士図』と同じ赤系の額なら、壁にも作品にも良く合いそうだな、と思い、お願いをしました。」
 

―そうだったのですね。私も仕上がりを見た時に、作品の魅力がより華やかに感じられて本当に素敵だなと思いましたし、弊社内でもすごく好評でした。でも、やはりこうやって壁に飾っているのを見る方がより美しいですね!
 
Eさん: 「ありがとうございます。また、3作品とも棹の形状や色を揃えたことによって、インテリアとしての統一感が出たことも良かったと思います。」
 

―海外在住の場合は電話や対面でのお話することが難しいですが、注文にあたって不便な点はございませんでしたか?
 
Eさん: 「全くなかったです!メールのやり取りのみで、色々と細かい質問もしてしまったのですがすごく丁寧に相談に乗ってくださって、本当にありがたかったです。」
 

額縁専門店が日本よりも多いアメリカ。そのような中でもご希望にそったご案内をすることができ、ご満足いただけて安心しました。




■ ショールームに行ったことで、自宅に飾るイメージが湧いた

―細部までこだわりをもって飾られていらっしゃるおふたりですが、アートや、アートをインテリアとして飾ることはもともとお好きだったのでしょうか?
 
Aさん・Eさん: 「全くそういうわけではないんです。」
 

声を揃えてそうおっしゃるお二人。額や作品について、メールをいただいた当初から、飾り方へのイメージが具体的であったように感じていたので、とても意外でした。
 
Eさん: 「これまでアートを家に飾ったことはありませんでした。インテリアの知識も全くの素人なので、最終的にはいつも自分たちの趣味で決めています。そのような中で作品を自宅に飾ることが具体的にイメージできたのは、以前御社のショールームに行ったことが大きく影響したと思います。」

Aさん: 「そうだね、ショールーム、すごく良かったよね。」
 

―ショールームに来られたことがあるんですね!
 
Aさん: 「はい、版画に興味があって、何か飾りたいなと思って色々と調べていたら、御社の WEB サイトを見 つけました。そしたら、"え、ショールームが目白にあるの!?"って。そこでより関心が高まりました。僕、実家が目白なんですよ。」
 

―デンタルクリニックの弟さんにも伺いました!本当にとても偶然ですよね。
 
Eさん: 「すごく縁を感じて、今度日本に帰国した時に行ってみよう、となって数年前に実現しました。」

Aさん: 「そこで初めて、『桜花に富士図』を見たんです。どの作品も素晴らしかったのですが、『桜花に富士図』が一番目を引きました。額もこの額(溜塗額)で飾ってあったので、実際に購入する際も躊躇せずに購入ができました。」
 


実際の木版画を手に取ってご覧いただくことのできる目白のショールーム。
木版画特有の質感や鮮やかな色合いは、実物を見るとより鮮明に分かります。
特に額の特注は、実際に見ていただいてから決めるのがおすすめです!





■ ユニークで子供たちを和ませる開業祝を

―では、冒頭にもお話しましたが、弟さんの開店祝へのギフトについて伺っていきたいと思います。まず、なぜアダチ版画の浮世絵をお選びいただいたのでしょうか?
 
Aさん: 「開店祝はできるだけあまり他の人と被らない、ユニークなものが良いなと思っていました。それに、歯医者には老若男女問わず色々な人が訪れますよね。より多くの人たちが目を止めて印象に残るような、インパクトがあるもの、キャッチーなものにしようと思い、あまり歯医者とは印象の結びつかない浮世絵版画を、あえて選ぶことにしました。」
 

―それで選ばれたのが、国芳の金魚づくし「百ものがたり」ですよね。この作品にした決め手はありますか?
 
Aさん: 「WEB サイトでどれにしようか選んでいた時に、"金魚づくし"シリーズの特集がやっていたのをみてピンときました。こうしたコミカルな絵が院内にあることで、子供達が歯医者を訪れる際の緊張を、少しでも紛らわせることができるのではないかと。それで、子供達が好きな猫も描かれていて一番喜びそうな『百ものがたり』にしました。」
 


歌川国芳 金魚づくし「百ものがたり

―実際に作品を受け取られた弟さんからはなにかコメントがございましたか?
 
Aさん: 「喜んでいました!開業祝は他にも色々頂いたみたいなのですが、浮世絵という珍しさや、それほど大きくない作品なので、飾る場所も選ばない所が特に良かったみたいです。出来るだけ目立つ所に飾れよ、とは言いました(笑)あげた時よりも、実際に飾っている今の方がより喜んでくれています!」
 


Aさんの弟さんである院長先生も、とても気さくな方でした。「百ものがたり」についてのお話を聞くと「来院された方もよく目にとめていて、すごく評判がいいです。兄貴には感謝しています!」とご好評をいただきました。


目白通りに面した目白デンタルクリニック




■ 四季のないカリフォルニアで日本の四季を感じる

最後に、今後どのようにアダチ版画の浮世絵を楽しんでいきたいかについてもお話を伺いました。

―もし、今後こういう風に飾っていきたい、というプランがあれば教えてください。
 
Aさん: 「作品を差し替えるのはやってみたいと思います。日本の四季にあわせ替えてみたいです。住んでいるのがカリフォルニアなので、あまり四季がないんですよね。でも、たまたま僕たちの住んでいるエリアが年配の方が多いエリアなのでご近所同士の交流が多く、道行く人たちと話したり、家の中にちょっと来てもらったりする機会があるんです。だから日本の四季に合わせた作品があったら、より話題も広がりますし、こういうのがきっかけとなってどんどん話していけたらいいなと思っています。」
 

―カリフォルニアに住んでいるからこその楽しみ方ですね!ご近所さんとの密接な繋がりも素敵です。
 
Aさん: 「ここにいるからこそかもしれませんね。ちなみに差し替えは簡単にできるのでしょうか?」
 

―はい!の裏蓋の開け方や差し替え方法は、さほど難しくなく、慣れたら簡単にできます。差し替えの作品を送る時に、額の取り扱い説明書も入れています。
※差し替えについては、過去のインタビュー記事でも詳しくお伝えしています
 >>お客様インタビュー~浮世絵のある暮らし~ 第5回




■ 質の高い素敵な版画を応援していきたい
 
Eさん: 「私は、版画をもっと広げたいなって気持ちがあって。」

Aさん: 「あなたが広めるの?(笑)」

Eさん: 「(笑)やっぱり質の高い素敵なものはおすすめしていきたいし、応援していきたいと思っています。今は引っ越したばかりでまだあまり人を招いていないのですが、この前家に来たご近所さんの、浮世絵を見た時の反応は良かったです。今後人を招く際には、もう少し浮世絵について説明をしたり、おすすめしたりできればいいなと思っています!」
 

―私たちの作品をそんな風に仰ってくださって感無量です。コロナが徐々に落ち着いてきてから、海外のお客様が増えていますが、浮世絵や日本文化への関心の高さをとても感じています。皆さんの反応も楽しみですね。
 
Aさん: 「価格帯も、質の高さに対してリーズナブルですよね。こんなに素敵なものが、手が届く価格帯なので集めやすいし、機会があれば今後もギフトとしてどんどん活用していきたいです。」
 

これまでも海外在住の日本人のお客様は多くいらっしゃったのですが、このようにご自宅を拝見しながらお話を伺うのは初めての機会で、とても新鮮なインタビューでした。また、この日はお休みだった長女のSちゃんともお話をし、和やかな空気の中でお話を伺うことができました。ぜひ皆様も飾り方や贈り物の参考にしてみてください ね。このたびはご協力いただき、本当にありがとうございました!





飾って楽しむアダチの浮世絵
お客様インタビュー~浮世絵のある暮らし~ 第6回


昨年からスタートした企画「お客様インタビュー〜浮世絵のある暮らし〜」では、お客様にアダチの浮世絵の、ご自宅での楽しみ方を伺っています。

今回お話を伺うのは、ライティングデザイナーの武石正宣さん。昨年、展覧会の出口販売でアダチ版画の浮世絵を購入されたのをきっかけに、北斎の『諸国滝廻り』をシリーズで楽しまれています。
作品への強い思い入れや、こだわりの特注額での飾り方をご自身の趣味やお仕事の話も交えながらお話してくださいました。ぜひ最後までお楽しみください!



 


今回お話をお伺いした武石正宣さん
(ICE都市環境照明研究所 所長 ライティングディレクター)


1959年        横浜出身
1982年        多摩美術大学 建築科卒業
1983〜89年   株式会社 ウシオスペックス
1990〜95年   株式会社 海藤オフィス チ-フデザイナ-
1996年        有限会社 ICE 都市環境照明研究所 設立
 

 





■ 展覧会の出口販売で見た復刻版の色に衝撃を受けた

今回は武石さんが所長を務めるICE都市環境照明研究所にお伺いします。玄関を入ると、さっそく弊社の『諸国滝廻り』を飾ってくださっていました。


―本日はお忙しい中、お時間をいただきありがとうございます。
『諸国滝廻り』、早速拝見いたしました!入口に飾ってくださっているとは思わず、とても驚きました。
 
武石さん: 「はい、玄関に飾っているんですよ。」
 

―武石さまがアダチ版画のショールームにお越しくださったのは、浮世絵展の出口販売がきっかけでしたよね。
 
武石さん: 「はい。六本木のミッドタウンで昨年開催していた「北斎づくし」展の物販会場に、アダチ版画さんのショップが出ていたので立ち寄りました。
展覧会の会場の中に展示されていた、オリジナルの作品の素晴らしさはもちろんでしたが、復刻版の色合いをみて"当時の人たちはこんなに鮮やかな色合いを楽しんでいたのか!"とハッとしたのを覚えています。」
 

―そう言っていただけてうれしいです。その会場でも作品を購入していただいたと聞いていますが、どちらの作品でしょうか?
 
武石さん: 「北斎の『甲州石班沢』を購入しました。作品の購入にはいろいろなきっかけがあると思うのですが、僕は特に、木版画の"色"が好きなんですよね。はっきりとした鮮やかな色にまず驚きました。昔から青や藍色が好きだったので、藍摺の表現が素晴らしいこの作品を、まずは飾ってみよう!と。今も自宅で毎日眺めて楽しんでいますよ。」
 


葛飾北斎「甲州石班沢

―武石さんが手掛けられたすみだ水族館の照明も館内全体を包み込むような青が印象的ですね。
 
武石さん: 「仕事では、もちろん場所に合わせて照明を手掛けていますが、どちらかというと青い光を使うことが多いかもしれません。 "青"は舞台や映画などで夜を表すために用いられていたり、意外と普段から私たちに馴染みのある色なんです。個人的には静かなものの方が好きなこともあって、青い色は好きですね。うちの会社の名刺のロゴも藍色です。」
 

―北斎の浮世絵にも、藍色が基調となっている作品は多いですよね。もともと浮世絵はお好きだったのでしょうか。
 
武石さん: 「はい。やはり日本人として、興味はありましたね。すみだ北斎美術館に行ったり、浮世絵のコレクターの方にお話をうかがったり。また、アダチ版画さんで購入した北斎の『あやめにきりぎりす』や『藤に鶺鴒』を友人にプレゼントしました。」
 

―贈り物としてもお使いいただいてありがとうございます! そうして『諸国滝廻り』に興味を持たれたのは、どういったきっかけなのでしょうか?
 
武石さん: 「僕、海よりも、滝や湖がすごく好きなんですね。それで美術館や、アダチ版画さんの復刻版で色々な浮世絵をみていくうちにこの8図のシリーズを知って、調べ始めました。」
 

―実際にショールームで復刻版をご覧になっていかがでしたか?
 

葛飾北斎「下野黒髪山きりふりの滝
 

葛飾北斎「木曾路ノ奥阿弥陀の滝
 
 
武石さん: 「まず感動したのは、この水の描写でした。8図の中でひとつとして同じ水の表現が無いんですよね。どれも西洋画では見たことない表現ですし、今の漫画やグラフィックデザインのルーツとなる要素も含まれているように思いました。」
 




■ 8図揃いでみせるこだわりの特注額

8枚の中で一番好きな作品を伺うと、すごく悩まれながら「8図ともすべて」、とのこと。
 
武石さん: 「8図揃いで見るのが一番好きなんです。8枚並んでいるからこそ、それぞれの作品によって水の描かれ方がこれだけ違うんだ!というのが分かるでしょう。」
 

8図揃いで観ることに強い思い入れがあるのが伝わってきます。そして、ショールームでスタッフと相談をしながら決められたのは、作品を4図ずつ額装することのできる特注額。

棹の色も、お好きな青系の濃紺を選ばれました。

アダチ版画では、棹の形や色、大きさが選べる特注額での額装も行っています。武石さんのように、実際にショールームで見本を見ながら決めていただくのがおすすめです。
 

―作品の順番もご自身で決められたのですか?
 
武石さん: 「実際の作品をテーブルに並べてバランスを見ながら決めました。」
 

―セットで購入される場合、作品を差し替えて楽しまれる方が多いので、こういった全図を見せるような額のオーダーはこれまであまりなかったんです。私たちとしても、新しい飾り方のご提案として、すごく参考になりました。
 
武石さん: 「お客様がいらっしゃるたびに、一図ずつ出して見せたりするのも大変ですし、『諸国滝廻り』については、雪や花など季節を特定するものが描かれているわけではないから、通年飾っていられます。この額装にした決め手のひとつですね。
それに『富嶽三十六景』(全46図)や『東海道五十三次』(全55図)を一気に飾りたいと思っても、数が数ですし、すごく広い部屋じゃないと、なかなか難しいじゃないですか。(笑)『諸国滝廻り』のように8図ならこういった見せ方もできるな、と思って相談をしました。」
 

―飾る場所も事前に決めていらっしゃったのでしょうか。
 
武石さん: 「結構悩みましたね。仕事柄、壁面を使って照明の実験をすることもあるので、どうしても飾れる場所が限られてしまうんです。応接室に飾ることも考えましたが、自分が毎日見ることができる場所がいいな、と思った結果、玄関に落ち着きました。」
 

ここで武石さんと、作品の飾ってある玄関へと移動します。

―普段私たちも8図を並べて観る機会は少ないので、本当に圧巻です。シリーズを通して見るからこそわかる作品の緩急が、すごくよく伝わってきますね!


 
武石さん: 「いやあ、見事ですよね!上段の4枚は勇壮な水の流れが見事ですし、下段の4枚は、水流は静かですがその土地ごとの風景や、人々の描写が面白いんですよね。観光地だったり大自然の中だったり、滝というテーマだけで、これだけ振り幅があるなんて、北斎の発想は本当にすごい。すごく満足しています。」
 

作品を見ながら熱くお話くださる様子に、武石さんがこのシリーズを心から楽しんでくださっているのが伝わり、お話も弾みます。

―来客の方も多いということで、なにかその方々からの反応はありますか?
 
武石さん: 「打ち合わせに来られた人たちとは、この絵を見ながら会話をします。一番みんなの反応がいいのが、この溜池を描いた東都葵ヶ岡の滝』。これは今の赤坂あたりにあったんだよ、と言うと皆さん驚かれます。」
 


葛飾北斎「東都葵ケ岡の滝
現在、日本の政治の中心として知られている「永田町」の近く、
赤坂溜池に流れていた滝が描かれています。

―そうなんですね!『諸国滝廻り』のシリーズでは、やっぱりダイナミックな「下野黒髪山きりふりの滝」や「木曾路の奥阿弥陀の滝」への反応が大きいので、少し意外でした。
 
武石さん: 「シリーズの中では一番小さな規模の滝ですが、東京に住んでいる方が多いので、今とは全く異なる風景が新鮮なのだと思います。諸国滝廻りというだけあって、各地の色んな滝の景色を一気に見て回れる良さみたいなのはありますよね。」
 

―まさに江戸時代当時の人たちが楽しんでいたような楽しみ方かもしれませんね。




■ 北斎にも通ずる武石さんの照明デザイン

取材時の撮影では、照明の当て方や光の調整にもご協力くださった武石さん。作品を照らす照明を見てみると、通常の天井照明に、反射板が設置されています。
―この反射板はご自身でつけられたのですか?

武石さん: 「そうです。照明自体を変えることができなくて、最初からこの家に取り付けられている照明を使っています。この光が絵に当たるように、板を取り付けました。」
 

取材時の撮影では、照明の当て方や光の調整にもご協力くださった武石さん。作品を照らす照明を見てみると、通常の天井照明に、反射板が設置されています。作品をより美しく見せるため、ライティングデザイナーである武石さんならではの工夫にスタッフも感動。また、実はこの4図ずつの額装というのも、お仕事にまつわるものから発想を得たそうです。
 
武石さん: 「仕事で賞をいただいた際、いつ頂いたものかを分かりやすくするため、同じ年にもらった賞状は一つの額に入れて飾ってるんです。以前からこれをやっていたので『諸国滝廻り』の額装もこの方法が使えないかな、と考えました。」
 



こうした賞状やトロフィーをはじめ、研究所内には制作された照明や、ご自身で集められている現代アートがいたるところに並べられています。


20年以上前に武石さんが制作された照明。
三原色をそれぞれに光らせるスイッチがあり、気分によって色を変えることができるそう。


富山県やイギリスなど、世界中から集めたガラス工芸もディスプレイしています。
工房へ実際に足を運び、制作風景を見ることもあるそうです。

―アート作品から民芸品までジャンルレスに世界中の様々なものを取り入れていて、武石さまの好奇心の強さや、自由な発想力を感じます。
 
武石さん: 「いやいや、普段はぼーっとしています。(笑)でも、気になったものは手に入れて、自分の近くに置いて飾ったり、使ったりすると面白いですよね。」
 

スタッフが興味津々で照明のお話を伺っていると、さらにご自身が制作された照明についてもお話もしてくださいました。
 
武石さん: 「一番左側の照明は、星野リゾートさんの照明をずっとシリーズでやらせてもらっている中で、最初に制作したものです。普通の行燈は全体的に光りますが、そうすると、部屋の隅に置いていたとしてもそこが部屋の中で一番明るくなってしまう。部屋全体を照らしながら、行燈自体は落ち着かせたかったんです。だから、人に見える側は、施設の地域性を踏まえて特産品の織物などの素材で遮光して、後ろに光を集めました。」
 

―居心地の良い空間をつくるために、照明器具以外の技術や素材についても幅広い知識が必要なお仕事なんですね。
 
武石さん: 「職業柄、新しい技術もどんどん取り入れていかないといけません。日々『あ、そういうことができるんだ、じゃあ実験してみよう』と試行錯誤しながら、それぞれの技術や素材のメリット/デメリットを把握していきます。」
 

 
武石さん: 「僕はそうやって最新のものに触れるのが好きなんですけど、今は特に、物事の移り変わりがものすごく速いように思います。例えば音楽なら、昔はレコードだったものがCDになり、CDは今やデータになって流通しています。フィルムカメラからデジタルカメラへの変化もそうですし、この150年ほどの間に、電化によって私たちの生活様式は目まぐるしく変化しました。世代にしたら三代くらいの間に、です。

それらの激流に比べれば緩やかですが、照明も着々と変化していっています。LEDライトが広く一般に普及し、かつて主流だった白熱電球は、現在ではレアなものになってきました。でもそうやって、レコードも銀塩写真も白熱電球も、利便性とは別の面に、味わいや新たな価値が見出されています。こういう技術の歴史を感じられるものが、僕は結構好きなんです。」
 

古いものを大切に思いながらも、新しい技術を積極的に取り入れていく武石さんの姿勢には、国内外問わずさまざまな画法を研究し名作を生み出し続けた北斎に通ずるものがあるように思いました。最後に、武石さんが考える復刻版浮世絵の魅力についてもお話してくださいました。
 
武石さん: 「浮世絵の多色摺の技術も、開発当時は世界的に見ても非常に画期的なものでしたよね。それが近代以降は機械印刷が主流になったけれど、一方で今もこうして職人の手仕事が受け継がれている。江戸時代と同じように北斎の『諸国滝廻り』を手元に置いて楽しめるのは素敵なことだと思います。

それに、油彩画など一点もののアート作品だと、価格がものすごく高くなっちゃったり、その作品に対する思い入れが強くなりすぎたりするでしょう。復刻版画はいい意味で手軽なもの。たくさん摺られて、広く一般の人が楽しむって感覚が、すごくいいなと思います。」
 

ご自身の経験やお仕事の話も交えながら、思い入れの深い『諸国滝廻り』や浮世絵版画についての魅力をお話してくださった武石さん。「自分の照明の話をこんなにするとは思わなかった(笑)」と言われるほど、スタッフも武石さんのお仕事のお話を夢中になってうかがってしまいました。この度はご協力いただき、本当にありがとうございました!





飾って楽しむアダチの浮世絵
お客様インタビュー~浮世絵のある暮らし~ 第5回


昨年からスタートした企画「お客様インタビュー〜浮世絵のある暮らし〜」では、お客様にアダチの浮世絵の、ご自宅での楽しみ方を伺っています。

今回お話を伺うのは、SNSでお声掛けをしたMさんです。"#アダチ版画"のハッシュタグで、北斎の花鳥画を飾ってくださっている様子を投稿されていたMさんに、ぜひお話を伺いたい!とメッセージをお送りすると、快くお引き受けくださいました。



 


今回お話を伺ったMさん

英国車のディーラーがお勤め先というMさん。新型コロナウイルスが流行する以前は、旦那様と海外旅行にもよく行かれていたそう。ご夫婦揃っての趣味はスノーボード。近頃はインテリアや植木のお手入れを楽しみながら、愛車でのドライブで休日を過ごされているのだとか。インドア、アウトドア両方の趣味をアクティブに楽しまれているのがとても印象的でした!
 

 





■ 嫁入り道具として、母からもらった『北斎花鳥画集』

―今回はお引き受けいただきありがとうございます。SNSの投稿を拝見したのですが、北斎花鳥画集のセットをお持ちでいらっしゃるのでしょうか?
 
Mさん: 「はい、アダチ版画の『北斎花鳥画集』10図セットを持っています。私の嫁入り道具として、10年程前に母があつらえてくれたんです。確か、名古屋の百貨店のイベントにアダチ版画様が出展していらした際に、額と台紙(差し替え用マット)も一緒に注文をしてくれました。」
 

セットの写真

―そうだったのですね!会場にはMさまも一緒に行かれて選ばれたのですか?
 
Mさん: 「いえ、私は不在でした。母は版画や骨董などが好きで、確かその日も版画を見に行っていたのだと思います。買い物する予定ではなかったそうですが、花鳥画集があまりにも素敵だったため再度売り場へ戻り、注文したそうです。」
 

―わざわざお戻りになられて購入してくださったんですね!
 
Mさん: 「本当に母の優しさですね。(笑) 当時私は30代前半、夫婦ともに忙しく働いておりましたので、生花を室内に飾る余裕は、時間的にも精神的にもありませんでした。掛け替えの手軽さと、北斎の花鳥画図のモダンさに、私自身も惹かれました。」
 

お母様からの贈りもの、という心温まるエピソードをくださったMさん。Mさんご自身も、もともと自然や、草花がお好きだそう。




■ 心を豊かにする大切なエッセンスのひとつ
 
Mさん: 「日々の生活の中で自然を感じることは、心を落ち着かせ、また、心を豊かにするうえで私にとってとても大切なことだと思っています。元々、大学で植物学を専攻していて、動植物が好きなこともあるのですが、生活の中に"自然を感じるもの"があれば、それだけでハッピーな気分になれるんです。とても単純なのですが。(笑)ですので、家の中に植木や花を置くのと同じように、季節ごとに入れ替える北斎の花鳥画も、その大切なエッセンスのひとつになっています。」
 


お話のとおり、シンプルな色合いのインテリアの中に、お花や緑が映えるとても素敵なご自宅。アダチの花鳥画は、そのご自宅の玄関に飾っていただいています。


玄関を入ってすぐのところに飾られた「あやめにきりぎりす」。
シックな暗色の壁とのバランスも、モダンな印象で素敵です。

―飾られてみて、どのような印象でしたか?
 
Mさん: 「玄関を開けて最初に目に入るこの版画たちは、静止画なのにどこか空気感があり優しい風が吹き抜ける、そんな印象を受けます。北斎の版画というと、迫力があり雄々しい印象がありますが、花鳥画の繊細で優しい感じは、ホッと心を和ませてくれています。」
 

―お母様からの贈りもの、というエピソードを伺うと、より作品の持つ優しさが感じられる気がします。お母様からは何か感想がございましたか?
 
Mさん: 「たまに私の家に来た際には『やっぱり素敵ね~』と惚れ惚れしていますよ。『これだけ使ってくれていれば、持たせた甲斐があった』とも言っていました。(笑)
それと母以外にも、自宅に招いた友人・知人からは、これがポスターなどではなく、版画というところにも興味を持っていただいて、会話のきっかけになっています。 」
 

―飾っている作品が会話のきっかけになるというのは、以前インタビューされた方も仰っていました。
 
Mさん: 「皆さん、一様に『素敵なご趣味ですね』『季節感があっていいですね』と言ってくださるのですが、これが北斎の作品というと驚かれます。北斎といえば『富嶽三十六景』。花鳥画も描いているというのは、新鮮なのかもしれません。ちなみに私もこれを手にするまで、北斎が花鳥画を描いていることを全く知りませんでした。」
 

―確かに北斎というと、風景画のイメージが一般的かもしれないですね。「神奈川沖浪裏」などダイナミックな作品の印象が強い北斎が、これほど繊細でモダンな花鳥画を描いていたことに驚かれるお客様は多いです。ちなみにMさんは、10図の花鳥画の中で特に好きな1枚はありますか?
 
Mさん: 「どれも素敵で選び難いですが、どれか一つと言われると『牡丹に蝶』でしょうか。毎年3月下旬になると、この版画に入れ替えるのですがいよいよ待ちに待った春が来るなぁと、気分が高揚します。」
 


牡丹に蝶
 
Mさん: 「豪華に咲き誇る牡丹と、その間をゆったりと舞う蝶。その蝶や牡丹の葉の動きから、右から左へと春の風が吹いているように感じます。また風だけでなく、春の温度感も感じる気がします。自宅に帰ってきたときに、ホッと心が温かくなる1枚です。」
 

お話を伺った3月下旬には、ちょうど「罌粟(けし)」から「牡丹に蝶」へ差し替えをされたそう。差し替える前と後の写真も送ってくださいました。
 
 
 

―先ほども少し伺いましたが、季節ごとに差し替えられているのですよね。
 
Mさん: 「そうですね。また、自然の草花の移ろいが目安になることもあります。我が家の隣には緑豊かな大きな公園があり、四季折々の草木や運河に飛来する季節の野鳥がいて、通勤時などに毎日少しずつ変化する姿を楽しんでいます。今の季節だと桜やモクレン、これからは菖蒲や紫陽花など。それらの花が咲くタイミングで、そろそろ版画を入れ替えよう、と思ったりもするんです。」
 

―すごく素敵なお話ですね。
 
Mさん: 「時には、どこかに版画と同じ花が咲き始めてないかな、と探すこともあります。実は版画を見て、初めて実際の花を知ったものもあるんですよ。芙蓉の花が、会社のすぐ近くに咲いていました。」
 

四季折々の変化を日々楽しまれているMさんの、自然愛にあふれるお話に、なんだかこちらもワクワクしてしまいます。


ご自宅で飾られる際にも、季節感ある小物と合わせられています。
「作品一枚で玄関を模様替えできるのも、魅力の一つ」と仰ってくださいました。




■ 額の中身を差し替えるだけで玄関の模様替えができるのが魅力

続いて、作品の保管や差し替えについてもお話を伺っていきます。


差し替える際のご様子も送ってくださいました。

―飾っていない作品は普段どのように保管されていらっしゃるのでしょうか?
 
Mさん: 「セットはもともと収納帙に入っているので、それを箪笥の上で保管しています。自宅の中でも、湿気がなく、温度変化を受けにくいところなので。」
 

―弊社の作品を大切にしていただき、本当にありがとうございます。ちなみに、作品の差し替えに際して不便に感じたことなどはございますか?
 
Mさん: 「専用マットが2種類あったため、はじめは絵によって入れ替えるのがやや億劫に感じることがありました。」
 

―確かに、対応表を逐一確認して入れ替えるのは、慣れるまで少し面倒かもしれないですね。貴重なご意見ありがとうございます。


アダチの復刻版浮世絵は、江戸時代当時の原寸大で復刻しています。作品の貼られた台紙と、額のアクリル板の間に挟むマットは、作品の画寸法に合わせてご用意。花鳥画集以外の『富嶽三十六景』など、どのシリーズでも大体2~3種類あるので、各シリーズでマットの対応表を同封しています。
 
Mさん: 「あとは欲を言えば、冬にかけることができる花鳥画版画があと1枚あれば、最高だな!!と思っています!(笑)」
 

―北斎の花鳥画集には、冬の作品がないのですよね...!広重の花鳥画でしたら、ぜひご提案させていただきます!(笑)
 
 
 
 
歌川広重「雪中椿に雀」「椿に鷽
冬の花である椿を描いた作品。北斎の花鳥画同様、広重の大短冊の花鳥画も、季節ごとにお楽しみいただいているお客様が多い、人気作です。
 




■ 今となっては我が家にはなくてはならないもの

そして最後に、セットで持つことの魅力や、Mさんが考えるメリットについてもお話くださいました。
 
Mさん: 「この『北斎花鳥画集』のセットは、今となっては、我が家にはなくてはならないもの。今回このお話をいただいて、改めて花鳥画の全ての作品に目を通しましたが、こんなにも掛け替える種類があるのか!と、これから来る季節がとても楽しみになりました。手間をかけずに、ゆとりを持てる、これが単品でなく、セットで持つ意味でしょうか。嫁入り道具としての贈り物には、本当にお勧めです。(笑)
急な来客の際にも、これ一枚玄関に掛けておけば、室礼(しつらい)にも悩みませんので大変重宝しています。本当にお値段以上の価値は、十分にありますね。 」
 

今回は主に文面でのやり取りだったのですが、お母さまからの贈りものといった心温まる経緯から、セットの楽しみ方まで、Mさんご自身のお言葉やお写真で丁寧にお話ししてくださり、実際に皆さまがどのように版画を差し替えて楽しまれているのか、私たちにとっても学ぶことの多いインタビューとなりました。

このたびはご協力いただき、本当にありがとうございました!





飾って楽しむアダチの浮世絵
お客様インタビュー~浮世絵のある暮らし~ 第4回


2021年1月からスタートした企画「お客様インタビュー〜浮世絵のある暮らし〜」では、お客様にアダチの浮世絵の、ご自宅での楽しみ方を伺っています。

日本屈指のパイプメーカー・柘製作所の会長である柘 恭三郎さまは浮世絵の愛好家で、弊社の復刻浮世絵も長い間お楽しみいただいています。飾っているお写真を送っていただいたことをきっかけに、今回は柘製作所の本社にて、柘会長と三井社長にお迎えいただき、アダチの復刻浮世絵のお話はもちろん、アダチ版画と共通する部分も多い柘製作所のモノづくりについてもたっぷりとお話を伺いました。



 


柘製作所の三井社長(左)と
お写真を送ってくださった柘会長(右)。


パイプを吹かす姿に惚れ惚れしてしまいます。ゲストルームへの移動中は、柘製作所の本社付近のお店もたくさん紹介してくださいました。
 

 





■ 世界中で楽しまれている"柘のパイプ"


柘製作所は昭和11年創業の、日本を代表するパイプメーカー。パイプやキセルの製造・販売のほか、たばこの輸入販売も行っています。最初にご案内いただいたのは、喫煙具がずらりと並ぶ、柘製作所のショールームです。19世紀のロンドンのスモーキングルームをイメージして作られたという豪華な内装に、アダチのスタッフも圧倒されます。


―とても立派なショールームですね。まるで海外に来た気分です。
 
柘会長: 「現在はこんな状況なのでお招き出来ないのですが、コロナが猛威を振るう前は海外からの客人がたくさん来ていました。」
 

―お客様は、海外の方が多いのですか?
 
三井社長: 「パイプは海外のお客様、キセルは日本のお客様が中心です。特にパイプは、世界中に愛好家の方がいらっしゃって、"柘のパイプ"は、愛好家なら知らない者はいないと言えるほど、世界中の皆様に認知されています。」
 
 
柘会長: 「海外からの客人がきたら、昼間はこのショールームにご案内して、夜は、柳橋にあるゲストルームに案内します。アダチさんの浮世絵はそこに飾っていて、海外の方からの評判もいいんですよ」
 

―ありがとうございます。私たちのお客様も、徐々に海外の方が増えてきているので、やはり日本製のものや、日本らしいものの人気が世界で高まってきているのかもしれませんね。
 
三井社長: 「やはり日本製のものに対する信頼は大きいかもしれないですね。あと、これまでは毎月のように海外出張も行っていたんです。これも今は行けないのですが。その際に、手土産としてアダチさんの浮世絵を持っていくこともありました。」
 

―そうなんですね!様々な場面でご活用いただきありがとうございます。

お話にでてきた柳橋にあるというゲストルームへも、おふたりのご厚意で、このあとご案内をして頂けることになっています。まずは、このショールームでお話を伺います。

―最初にアダチの浮世絵を買っていただいたのはいつ頃なのでしょうか。
 
柘会長: 「40年以上前で、まだ先代の頃ですね。」
 


―御社で製作しているキセルも、江戸時代に大衆へ広まった文化であると思います。浮世絵に興味をお持ちになったのも、キセルが描かれていることがきっかけなのでしょうか。
 
柘会長: 「そうですね。最初は、アダチさんの復刻版でも、キセルの描かれた浮世絵を数点購入しました。その時に色の鮮やかさや美しさに、なんだこれは!?と衝撃を受けたのを覚えています。」
 
 
三井社長: 「あと、浮世絵はいろいろと勉強になる部分も多いんですよ。例えば、携帯灰皿が描かれた浮世絵もあるのですが、それを参考にして携帯灰皿を復刻したりもしています。あとは、持ち方の所作なんかも、とても参考になりますね。」
 


浮世絵と同じように、江戸時代に大衆へと広まった喫煙具。お二人が仰るように、歌麿や国芳の作品にも、キセルを手にした人々が描かれています。


歌川国芳「ほぐぞめ




■ 職人の手仕事という部分に、アダチとの共通点を感じる

また、柘製作所のパイプは、職人による手仕事で製作されています。たとえ機械を使う工程でも、培われた職人の技術や経験によって、仕上がりが大きく異なるそう。柘製作所のパイプやキセルの魅力も、そうした手仕事の中にあるといいます。
 
三井社長: 「お客様はみなさま、パイプを手に取ると微妙な違いや変化にも良く気付かれるんです。だから私たちも、細かい部分まで気を配って製作しています。丁寧な手仕事によって生まれたものだからこそ、弊社の商品もお客様に長い間愛されているのだと思います。」
 
 
柘会長: 「それは、アダチさんの復刻浮世絵との共通点でもあるよね。アダチさんも、実際に職人さんたちが、今でも手仕事で制作しているから。」
 

―そうですね、若手の職人を中心に、今でも彫師や摺師が一枚一枚手作業で制作しています。
 
三井社長: 「私たちも、若手の職人が中心となっています。こうしてモノづくりの文化が継承されていくのは、いいことですよね。」
 




■ 海外のお客様とのコミュニケーションに
 
柘会長: 「それでは、ゲストルームへ移動しましょうか。」
 

ゲストルームは、浅草田原町にある柘製作所の本社から車で約5分。北斎も描いた、柳橋のすぐそばにありました。

中に入れていただくと、ヨーロッパ調の家具で統一されたゲストルームのリビングに、アダチ版画の浮世絵が3点飾られています。


 
柘会長: 「これ、窓から見える景色と似ているでしょう」
 

日除けのブラインドを上げていただくと、窓からは「大はしあたけの夕立」と、ほぼ同じ角度から見下ろした現在の両国橋。そして、「両国花火」や「御厩川岸より両国橋夕陽見」に描かれている隅田川が眼下に広がります。
 
柘会長: 「多分、広重もこの角度から見た新大橋を描いたんじゃないかって思ってるんです。」
 

―本当にどの景色もこのあたりから隅田川をみたような景色ですね。海外からのお客様をこちらに招かれるとのことでしたが、そういった方々からも反応はございますか?
 
柘会長: 「すごく評判がいいですね。だから、アダチさんの浮世絵はもっとたくさん持っていたんだけど、海外からの客人が来た時にほとんどあげてしまったんだよ。アルメニアから来た客人は、アダチさんの浮世絵にすごく感動して、"アルメニアの美術館に寄贈したい!"なんて言っていたよ。(笑)」
 

"あげてしまった"という豪快さに驚きましたが、生粋の"浅草っ子"である柘さまらしいエピソードかもしれません。さらに、『自分が最初に復刻版の浮世絵を見たときに衝撃を受けた感覚を体験してもらいたい』と、お客様には別の楽しみ方でも浮世絵を鑑賞してもらうそう。
 
柘会長: 「額のアクリル板を外して、手に取ってもらうと、鮮やかさにみんな目をきらきらさせて、すごく感動をするんです。特に、空摺なんていうのは、実際に手に取って、初めてよくわかるものでしょう。だから、アクリル板越しだけでなくて、何も挟まない状態でも見てもらうんです。」
 
 
 
 
 
喜多川歌麿「喫煙
 

絵具をつけずに摺ることで、和紙に凹凸をつける空摺。実際に手に取ると、その凹凸がよく分かります。

―なるほど!確かに空摺は、アダチショールームにいらっしゃるお客様もみな驚かれます。
それとお部屋のインテリアも洋風なモダン調で素敵ですね。浮世絵を入れる額はご自身で選ばれているのですか?
 
柘会長: 「そうですね。『御厩川岸より両国橋夕陽見』はアダチさんの額で、他の2作品は別で額を選んで、額装しました。」
 

また、お部屋の調度品も季節によって変えているそう。浮世絵以外のインテリアにも、お客様をおもてなすゲストルームだからこそのこだわりを感じました。




■ 江戸時代の「錦絵」に江戸っ子が感動した体験をアダチ版画で追体験できる!

最後に、柘さまへアダチの浮世絵の魅力について伺いました。


―海外の方のおもてなしの場に、アダチの浮世絵を飾っていただき嬉しく思います。贈り物としても利用されているとのことですが、柘さまの考える、アダチの浮世絵の魅力を伺ってもよろしいでしょうか。
 
柘会長: 「一番は、江戸時代の『錦絵』に江戸っ子が感動した体験をアダチ版画で追体験できる!ということです。これは、ぜひ多くの人に実際に手に取って、知ってもらいたいこと。江戸時代当時に摺られた浮世絵ももちろん良いけれど、アダチさんの浮世絵を見て、初めて浮世絵が"錦"絵と呼ばれた所以がわかりました。江戸時代の人々も、この鮮やかさと美しさに衝撃を受けたんだろうと思います。」
 

"錦"には、「美しいもの、立派なもの」を指す意味もあります。
アダチ版復刻浮世絵は、江戸時代当時の人たちが楽しんだ、色鮮やかな浮世絵を現代でもお楽しみいただけるように、絵のサイズはもちろん、当時絵師・版元の意向がきちんと反映されて作られていた初摺の作品を参考にして、作品の色など、江戸当時を忠実に再現しています。そうしたこだわりが、柘さまが長くアダチの復刻浮世絵をお楽しみいただく理由のひとつとなっていることに、とても嬉しく思いました。

今回は、アダチ版の復刻浮世絵についてお話していただきましたが、木版技術同様、職人によって継承されるパイプやキセルの製作には、訪問したアダチのスタッフも興味津々。
別の機会に、いずれご紹介できればと思います。今回はご協力いただき、本当にありがとうございました!






飾って楽しむアダチの浮世絵
お客様インタビュー~浮世絵のある暮らし~ 第3回(後編)


2021年1月からスタートした企画「お客様インタビュー〜浮世絵のある暮らし〜」では、お客様にアダチの浮世絵の、ご自宅での楽しみ方を伺っています。
前回に引き続き、建設会社に勤務されているMさんへインタビューをしていきます。前編では、アダチの浮世絵との出会いや影響、そして、昨年リフォームしたばかりというご自宅の、こだわりのインテリアについて伺いました。>> 前編はこちら

後編では、インテリアの一部として、浮世絵やアート作品を飾る際に心がけていることを詳しく伺います。インテリアへの造詣が深いMさんのお話には、アダチのスタッフも参考にしたいポイントがたくさん詰まっていました。
また、アロマも趣味の一つであるというMさんならではの、浮世絵の楽しみ方とは?ぜひ最後までお楽しみください。



 


今回お話をうかがった Mさん

家族4人と、愛犬1匹でお住まいのMさん。趣味はガーデニングや愛犬の散歩、インテリアショップ巡りとのことで、素敵なご自宅での暮らしがうかがえます。今後の浮世絵の楽しみ方を伺った際には、「愛犬の白黒ブチ模様と相性の良い浮世絵も欲しいです」とのこと。
 

 





■ リビングのフォーカルポイントに浮世絵を飾る

―以前からご自宅に絵を飾ってらっしゃったとのことですが、昨年のリフォーム時にも絵をかけることは想定されていたのですか?

  お部屋の奥に飾っていただいている「游亀」も、アダチ版画でご購入頂いています。  
 
Mさん: 「はい。この、3枚の浮世絵を掛けているリビングのスペースは他の壁面と違って、元々絵画を飾るために確保したスペースです。家族が集まる部屋のフォーカルポイント(※)となる部分ですので、良いものを飾りたいと考えておりました。」

※フォーカルポイント...建築やインテリア業界で使われる用語で、飾り棚や床の間など、視線が集中する場所を指します。
 

Mさんはこのスペースに、浮世絵以外にも様々なジャンルの作品を飾られているそう。ミッドセンチュリーアートや、トルコのイズニックタイル、また、キリムの織物など、季節や時期によって掛け替えをして楽しんでいるそうです。

―飾っていない作品は、どのように保管されていらっしゃるのでしょうか。
 
Mさん: 「湿気・カビに注意して、換気の良い場所に保管しております。定期的に布で埃汚れを除去しております。」
 

長く作品をお楽しみいただくために、保管も徹底されている様子がうかがえます。掛け替える作品を選ぶ際のポイントについても伺いました。

―浮世絵以外の作品も含めて、絵を購入される際のこだわりや、気を付けていることはございますか?
 
Mさん: 「内装材・家具は無垢材を使用したものが多いので、天然のウッドとの相性に特に気を付けております。あとキーワードとして、ヴィンテージ、レトロ、ノスタルジック、トラディッショナル、こちらのテイストが感じられるものを選んでいます。
また、絵を掛けるにあたっては、額縁を部屋に合わせることは大事です。」
 





■ 「額」と「余白」で洗練された雰囲気に

「額縁を部屋に合わせることが大事」というMさん。アダチ特製浮世絵専用額については、嬉しい感想をいただきました。
 
Mさん: 「アダチ版画さんの額縁は、濃い茶色でしたので我が家のインテリアにマッチしました。またダーク系ですのでキリッとしたイメージが強く、全体が引き締まった感じとなり、上品で知的な印象になったと思います。アダチ版画さんの浮世絵は、どんな空間にもマッチすると思います。」
 
  Mさんのお部屋にも掛けていただいている、アダチ特製浮世絵専用額は、和洋問わず様々なお部屋に合うと、多くのお客様にご好評いただいています。

そして、額縁以外にも、インテリアに絵を取り入れるうえで、大切にしていることがもうひとつ。
 
 
Mさん: 「特に心がけたのは、作品のディスプレイの仕方です。絵をセンスよくディスプレイするためには、飾るものを厳選することが大切だと思います。たとえ飾るスペースがたくさんあっても、あえて詰め込まず、余白を意識して配置すると、洗練された雰囲気が生まれるのではないでしょうか。」
 




■ 「香り」と「浮世絵」でおもてなし

また、Mさんは、趣味であるアロマと浮世絵の組み合わせが、ご自宅に来られた方々への「最高のおもてなし」でもあると仰います。

 
Mさん: 「私はアロマが趣味で、お香、香水、キャンドル、ポプリなど、香りに関するものを多数所有しています。中でも、白檀、伽羅、沈香など、古くから日本にある香りと、浮世絵との相性は抜群です。香炉やキャンドルなど、おもてなしの香りと組み合わせて使うと、描かれている絵のイメージと相まって、更に素敵な空間を演出できると思います。」
 

そしてなんと、現在、飾っていらっしゃる春信の「二月 水辺梅」に合わせた、おすすめの香りも教えてくださいました。
 
Mさん: 「アロマキャンドルでしたら、MAD et LENの"FIGUE(いちじく)"。作品に描かれている、うるおいに満ちた夜の空気感や少年と少女のシックでストイックな逢引のイメージにぴったりだと思います。お香でしたら、「沈香」の気品と静けさのイメージが、この作品の奥ゆかしさや優しさと重なるように思います。」
 
 
 
 
 
Mさんがおすすめくださった「MAD et LEN」の"FIGUE"
 

お話を伺い、アダチ版画の浮世絵をインテリアとして皆様にさらに楽しんでいただくために、まだまだ様々なご提案ができるのではないかと、改めて考えるきっかけをいただきました。

最後は、今後の浮世絵の楽しみ方について、展望を伺いました。




■ 和モダンスタイルのインテリアの中で、浮世絵を楽しんでいきたい

―最後に、今後どのように浮世絵を楽しんでいきたいかなどございましたら、お教えください。
 
Mさん: 「いくつかビジョンがあるのですが、まず、これまで同様に、新しいものを季節や気分によって、かけ替えて楽しんでいきたいと思います。また、和モダンスタイルが好きなので、そのテイストに合う浮世絵を見繕うのもいいですね。
 
  例えば、仙台箪笥をリビングとダイニングの境目に置いているのですが、この仙台箪笥や、藍色のエントランスラグに合う作品も探していけたらと思っています。」  
インタビュー後、春信の「二月 水辺梅」をこの仙台箪笥のところに飾ったお写真も送ってくださいました!他の陶器やクロスとの相性もよく、とてもマッチしていて素敵ですね。
 

今後もインテリアに合わせて、浮世絵を楽しんでいきたいとおっしゃってくださったMさん。このたびはインタビューにご協力いただき、本当にありがとうございました。次回のお買い物の際には、今回拝見したご自宅とわんちゃんのお写真を参考に、ぜひわんちゃんと一緒に楽しんでいただける作品をおすすめしたいと思います。
 

歌川広重「高輪うしまち
 

歌川広重「京橋竹がし
 
 
広重の「名所江戸百景」より、愛らしい子犬の姿に心和む「高輪うしまち」。そして川岸に竹材が並ぶ京橋の問屋街を描いた「京橋竹がし」。「竹」と「犬」を組み合わせると「笑」になることから、ご家族の団欒の場に、こちらもご提案したいと思います。
 





飾って楽しむアダチの浮世絵
お客様インタビュー~浮世絵のある暮らし~ 第3回(前編)


2021年1月からスタートした企画「お客様インタビュー〜浮世絵のある暮らし〜」では、お客様にアダチの浮世絵の、ご自宅での楽しみ方を伺っています。

今回お話を伺った、建設会社に勤務されているMさんは、ご自宅をリフォームされたばかり。第1・2回の記事をご覧になり、アダチの復刻版浮世絵を飾った素敵なお部屋の写真を送ってくださいました。アダチの浮世絵との出会いや楽しみ方、そしてこだわりの詰まったインテリアについてたくさんお話を伺うことができました。前編・後編の二回に渡って、お届けします。



 


今回お話をうかがった Mさん

家族4人と、愛犬1匹でお住まいのMさん。趣味はガーデニングや愛犬の散歩、インテリアショップ巡りとのことで、素敵なご自宅での暮らしがうかがえます。今後の浮世絵の楽しみ方を伺った際には、「愛犬の白黒ブチ模様と相性の良い浮世絵も欲しいです」とのこと。
どんな浮世絵が合うか、アダチのスタッフも考え中です。
 

 





■ "桜"に縁を感じて、桜にまつわる絵を探していた

―最初にアダチ版画を知ったきっかけについて教えてください。
 
Mさん: 「10年前に自宅を新築したのですが、内装材として、ブラックチェリー材(北米産のサクラの木材)を採用しました。その後、庭に山桜を植えたことや自宅の住所が「桜が丘」ということから、サクラにご縁があると感じて、桜にまつわる絵を探していました。おそらくアダチ版画さんのHPだったと思いますが、「桜花に富士図」を見つけ、これだと思い、目白のショールームで現物を確認後に購入させていただいたのです。」
 


葛飾北斎「桜花に富士図
―長い間お付き合いいただいてありがとうございます。
  Mさん: 「アダチ版画さんからの年賀状は大事にとっておりまして、はがきサイズの額に入れて部屋のちょっとしたスペースに飾っております。」  

―最初に「桜花に富士図」を買われたあと、別の浮世絵を3点購入されているのですよね。
 
Mさん: 「はい、広重の「深川洲崎十万坪」、北斎の「木曽路ノ奥阿弥陀之滝」「甲州石班沢」を購入しました。3作品ともそれぞれ魅力や見どころに溢れる作品でどれも気に入っています。」
 

―お送りいただいたお写真では、さきほど挙げていただいた3作品をひとつの壁に掛けていらっしゃいますが、当初から3作品は並べて飾る予定だったのでしょうか。

 
Mさん: 「いいえ、リフォーム以前、この3作は全く別々の壁に飾ってありました。今回お送りした写真は、昨年自宅をリフォームした際に、リフォーム会社のHP掲載のために撮影したものです。同じ壁面に集めたところ、思いの他バランスよく納まったので、これはいいと思い、決定しました。」
 





■ 「甲州石班沢」で知った藍色の魅力

この3作品の中でも、特にご自身の思い入れの強い作品が、北斎の「甲州石班沢」とのこと。


葛飾北斎「甲州石班沢
 
Mさん: 「ワントーンコーディネートがもともと好きで、第一印象としては青の濃淡だけで描かれているところに惹かれました。またこの絵がきっかけで紺青、ベロ藍、広重ブルー、北斎ブルー、ジャパンブルーの藍色文化に興味を持ちました。青色(藍色)の魅力を再発見した、非常に思い入れの深い絵です。」
 

大河ドラマの影響もあり、今年益々注目の集まる「藍色」。Mさんのご自宅では、この作品をきっかけに、浮世絵以外のインテリアにも、藍を取り入れています。




■ インテリアの専門家にも好評です
 
Mさん: 「この作品をきっかけに藍色を好きになったことから、リフォーム時にはエントランスに、濃い藍色のラグを取り入れました。
 

 
また、そのラグを購入したカーペット専門店の方からは、壁に飾ってある浮世絵が素敵だということで、藍色の絨毯をご提案いただいています。
 


写真提供:MUNI CARPETS
  その絨毯は、「甲州石班沢」と同じく、藍一色の濃淡だけで表現されており、非常に美しいデザインです。」  

お部屋のインテリアとも相まって、「甲州石班沢」は、Mさんのご自宅を訪れた方からも大変評判がいいそうです。
 
Mさん: 「リフォーム会社のインテリアコーディネーターさんにも好評で、やはり青の濃淡だけで表現しているところが一番の魅力ではないかと思います。」
 

Mさんも挙げていた北斎の浮世絵に使用されている藍、「ベロ藍」(プルシアンブルー)は、江戸時代当時、海外から輸入された化学顔料。それまでの日本で使用されていた藍色とは異なる、鮮やかな青の色味は、瞬く間に世間で流行したといわれています。その高い人気から「藍摺絵」と呼ばれる、藍色の濃淡だけで表現する作品も登場し、北斎の代表作『冨嶽三十六景』にも「甲州石班沢」をはじめ、藍摺絵の作品が10図ほど存在します。
 

葛飾北斎「信州諏訪湖
 

葛飾北斎「相州七里濱
 

江戸時代の人々を熱狂させたベロ藍の美しさは、いつの時代でも人々を魅了するものなのだな、と改めて感じました。

他にも「中学生の次男が教科書で『冨嶽三十六景』を習ったことをきっかけに、図書館で浮世絵の本を借りてくるようになりました」というエピソードを教えてくださったMさん。ご自宅に浮世絵が飾ってあることも、影響を与えているのかもしれませんね。

続いて、昨年リフォームされたというご自宅についてもお話を伺います。
今回送っていただいたお写真は、お部屋の隅々までインテリアへのこだわりを感じ、アダチ版画のスタッフの間でも話題になっていました。




■ フランク・ロイド・ライトが設計したような家にあこがれて


―差し支えなければ、ご自宅の間取りをうかがえますでしょうか。
 
Mさん: 「二階建ての一軒家です。家全体はコンパクトなのですが、空間は開放的にというコンセプトを意識して作りました。また、初めから、手持ちのミッドセンチュリーデザイン家具が似合うような空間を想定していたこともあり、クラシックかつ、トラディショナルな感じを持つ素材や色使いを採用しました。新しいばかりでなく、ヴィンテージが似合うような、履き込んだジーンズのような味わいのある家といえば判りやすいでしょうか。」
 

―まさにこだわりの詰まったご自宅ですね。
 
Mさん: 「フランク・ロイド・ライトが設計する様な、ミッドセンチュリースタイル(※)の建築が好きで、映画「シングルマン」に出てくるような住宅にあこがれておりました。さすがに映画のような、立派な住宅は作れませんが、少しでも近づきたいという思いから、今回の自宅リフォームでは、ライトの建築テーマ「自然と建築との融合」を目指しています。」
 

フランク・ロイド・ライトは、20世紀に活躍した世界的な建築家。彼が手がけた建築のうち8件が世界遺産に登録されており、日本では帝国ホテルの設計を行ったことでも知られています。また現在も、ライトのデザインした照明器具にはファンが多く、Mさんもそのひとりで、ご自宅には3台の照明をお持ちとのことです。


アダチ版画のある目白にも、ライトが設計した
重要文化財「自由学園明日館」があります。

そして、ライトは浮世絵の熱心な収集家でもあり、その作風には、浮世絵が強く影響を与えていたとする説もあります。
Mさんもそのことはご存知で、そういった背景も含めて、ライトの照明と浮世絵の組み合わせを楽しまれているようでした。

次回は、浮世絵やアート作品を飾る際に心がけていること、そして、Mさんならではの浮世絵の楽しみ方について、詳しく伺います。インテリアへの造詣が深いMさんのお話には、参考にしたいポイントがたくさん詰まっていました。ぜひ後編もお楽しみに。

※ミッドセンチュリースタイル...インテリア業界では、1950年代を中心に1940~1960年代にデザインされた家具やインテリア、建築物などに使われる呼び名。ポップな色合いや、曲線を多用したデザインが特徴として挙げられます。





飾って楽しむアダチの浮世絵
お客様インタビュー~浮世絵のある暮らし~ 第2回




2021年1月からスタートした企画「お客様インタビュー〜浮世絵のある暮らし〜」では、お客様にアダチの浮世絵の、ご自宅での楽しみ方を伺っています。

二回目にお話を伺ったのは、神奈川県にお住まいのライター、小俣荘子さん。

昨年9月に、東京都美術館で開催していた浮世絵展「THE UKIYO-E 2020」の会場出口販売にて、初めてアダチの浮世絵を購入された小俣さん。ご自身のインスタグラムに、購入された広重の「猿わか町夜の景」のお写真とともにその時の感想を綴られていたのをアダチのスタッフが拝見し、今回のインタビューへとつながりました。


日本文化や職人の技術に触れることが好きという小俣さん。アダチ版画の復刻版浮世絵をどう楽しんでいるのでしょう?たっぷりとお話を伺いました。

なお、新連載の開始を記念して、本記事の最後には1/31(日)までお使いいただける、国内送料無料のクーポンコードを掲載しています。ぜひご利用ください。 キャンペーンは終了いたしました



 


今回お話をうかがった 小俣荘子さん

衣食住・日本文化などをテーマとするコンテンツの企画やディレクションをはじめ、日本文化の入り口マガジン「和樂web(小学館)」や、中川政七商店の工芸や物づくりに関するメディアなどで記事の執筆を行なっている。

淡路島生まれとのことで、島好きのアダチスタッフと島トークで盛り上がりました!
 

 





■ "窓から景色を眺めるように" 浮世絵に描かれた風景を楽しむ

―今は、お住まいのどちらに作品を飾っていただいているのでしょうか?
  小俣さん: 「私の家は多世帯住宅で、両親や親せきと同居しているのですが、家族皆が集まる実家部分のリビング(洋室)に飾っています。当初は、私と夫が住んでいるフロアに飾ろうと思っていたのですが、壁の広さやインテリアとのバランスも考え、現在の場所に落ち着きました。」  


―これまでは現代アートを飾っていたとのことですが、洋室に浮世絵を掛けることに、とまどいなどはなかったですか?
  小俣さん: 「あまり気にせずに飾れました。たとえば、大きな絵画や合わせるインテリアが限定されるような特徴的な額装のものでしたらまた違ったと思いますが、どこに置いても不思議と馴染むように感じました。以前、浮世絵は江戸時代の庶民が日常的に楽しんでいたものだと知る機会があり、プロダクトデザイン的なものなんだなと認識していたので、いい意味で身構えることなくチャレンジできた気がしています。

実際に額装した浮世絵を飾ってみると、絵に合わせてカットされたマット(作品と額のアクリル板の間に挿し入れる厚紙)があることで、それが窓枠のような役割になって、壁の向こうに浮世絵の風景が存在しているように感じました。どこか別世界を覗いているような......。他の世界に私たちを誘い出してくれる窓ができた!そんなイメージです。だから、洋室に飾ることに違和感がうまれなかったのかもしれません。」
 

―本当に素敵な感性をお持ちですね。窓の向こう......目から鱗です!

浮世絵は、同じシリーズの作品でも、少しずつ画寸や絵の枠が異なります。アダチ版画では、作品ごとに画面のサイズに合わせてぴったりとマットをカット。額の中に若干の奥行きが生まれることによって、より作品を美しく引き立てます。




■ 復刻版で、江戸時代の人たちと同じ目線で浮世絵を楽しめることが嬉しい

―アダチ版画のことは作品の購入以前からご存知だったのでしょうか。
  小俣さん: 「はい。仕事でご縁あって、浮世絵に詳しい方のお話を伺ったり記事を読む機会があり、その時にアダチ版画さんのことを知りました。最近までよく知らない世界でしたが、その歴史的背景や技術に圧倒されて......。元の絵を描く絵師の方をはじめ、たくさんの職人さんの技術によって支えられている世界ですよね。技術が現在まで継承されていることにも、とても興味が沸いています。」  

―ありがとうございます!実際にアダチ版画の浮世絵をご覧になってどのような印象を持ちましたか?
  小俣さん: 「購入した「猿わか町夜の景」は、眺めると作品に吸い込まれるような感覚があり、強く惹かれました。そして、"これ、描いているのではなくて職人さんが摺っているんだよな..."と考えたときに、その腕前に圧倒されました。なにより、江戸時代と変わらない技術で制作しているということによって、当時の人たちが楽しんだ浮世絵を、同じ目線で楽しめているような気がして、それがすごく嬉しかったです。」  




■ 舞台を観た帰り道の興奮やワクワク感を思い出させてくれる作品

アダチの浮世絵を購入するきっかけになった「猿わか町夜の景」について、引き続きお話を伺います。

―「猿わか町夜の景」について、作品を好きになったきっかけや、購入された決め手を教えてください。
 
 

<江戸市中の芝居小屋が集まる芝居町だった猿若町。一番手前には歌舞伎の芝居小屋・森田座の看板が見えます。>
 
 
小俣さん: 「もともと月夜のモチーフが好きだったこともありますが、すごく美しいなぁと一目惚れでした。それから、絵の内容がとても素敵ですよね。芝居小屋の並ぶ町の夜の景色が描かれていて、舞台を見た帰り道の興奮や余韻にひたって「まだ帰りたくないなぁ」とそぞろ歩きしているときの自分の気持ちと絵の世界の様子がリンクしているようで親しみが湧きました。店頭で実物に触れさせていただいて、生で見る版画の美しさとテーマへの思い入れから"早くこの子を連れて帰りたい!"と直感的に思ったことが決め手です。(笑) それから、思うように出かけられない日々が続く今、作中のキラキラとした賑わいが、舞台を観た帰り道の気持ちを呼び起こしてくれる気がして、いいな、と思いました。」
 

―確かに、私も観劇が好きなので、本作品を見たときになんとなくワクワクする気持ち、すごく良く分かります。
  小俣さん: 「そうですよね!我が家では、この作品を見た妹も、"コロナ禍でずっと 家にいるけれど、絵がかかっていると、外に想いを馳せられて、なんかいいよね"と言っていました。この浮世絵を前にして、2人で盛り上がりました。」
 

浮世絵には、身近な季節の草花や風景、洒落の効いたモチーフ、また、人々の暮らしの様子が描かれています。このご時世だからこそ、これまで以上に浮世絵に描かれたそういった風景に、楽しみを見出せるのかもしれません。




■ 家の中に楽しみを見出す『座敷八景』への共感
 
小俣さん: 「実はつい最近「猿わか町夜の景」から、一緒に購入した別の作品に掛け替えをしたんです。」
 

そう言って、現在飾っている鈴木春信の「琴路の落雁」を見せてくださいました。


「琴路の落雁」は、中国の山水画の伝統的な画題『瀟湘八景(しょうしょうはっけい)』にならい、日常の生活を景勝地の風景に見立てた『座敷八景(ざしきはっけい)』というシリーズのうちの一図。琴を、雁の飛ぶ秋の夕景に見立てて描いています。


<障子の向こうに見えるのは秋の七草に数えられる萩の花。琴の弦を支える琴路を、秋の空を飛ぶ雁の群れに見立てた作品です。>
 
 

「そういった洒落が効いたところに面白みを感じた」と、本図を購入された小俣さん。また、掛け替えをしたのには、今だからこその理由がありました。
 
小俣さん: 「家の中にあるもので四季の風景を楽しむという趣向の『座敷八景』って、すごく今の時代らしいなと感じたんです。それで、せっかくなので掛け替えてみました。」
 

小俣さんがおっしゃったように、本作品の題材は、"おうち時間"を充実させることへの関心が高い、今の私たちの心境に通ずる部分があるように思います。季節やゆかりの場所に合わせるだけでなく、作品の題材に共感し、浮世絵を飾る。浮世絵の楽しみ方の多様さをスタッフも改めて感じました。




■ 飾ることで浮世絵をもっと身近に感じるように

―最後に、アダチの浮世絵を飾ってよかった点や、変わった点などあれば教えてください。
  小俣さん: 「実際に飾ることで、浮世絵に対する"距離"が縮まった気がしています。以前は浮世絵と聞いても歴史の中に登場するもので、遠い存在のように感じていました。それが、自宅に飾ったことで、日常の一部にするりと入り込んできました。もっと近い存在で、昔の人と同じように現在の私たちも楽しめるものなんだと気づけて嬉しくなりました。最近では、浮世絵に関するテレビ番組が放送されていても、すごく身近に感じるし、江戸時代の文化にもこれまで以上に興味が湧くようになって、もっと色々と知りたくなりました!」  

終始、浮世絵を知ることの楽しさについてにこやかにお話をしてくださった小俣さん。アダチの浮世絵の購入をきっかけに、もともとお好きであったという浮世絵を、作品の背景にまで、より関心を深めて楽しんでいただけていると知って、とても嬉しくなりました。インタビューにご協力いただき、本当にありがとうございました。







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今回、新連載の開始を記念し、1月31日(日)23:59まで25,000円以上のご注文で国内送料無料。また、アダチ版画浮世絵専用額付きで作品をご購入の方へは、壁掛け用フックをプレゼントいたします。
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飾って楽しむアダチの浮世絵
お客様インタビュー~浮世絵のある暮らし~


2021年の迎春セット「額×浮世絵」では、現代の多様なインテリアに合わせて、アダチの浮世絵を楽しんでいただけるよう、4種類の額とともに、額に合わせた浮世絵をご紹介しています。
そして、このたび、現代のインテリアやライフスタイルに溶け込むアダチの浮世絵の様子をご紹介し、より多くの方が浮世絵との新しい出会いを見つけるきっかけになればと、本ブログにて新たな企画をスタートいたします。実際にアダチ版画の復刻版浮世絵を飾ってお楽しみ頂いている方へインタビューを行う連載(不定期更新)です。
第一回目にお話を伺ったのは、東京都中央区にお住まいの、Fご夫妻です。
半年前に引っ越したばかりという新築のマンションにて、インテリアへのこだわりや、浮世絵のある暮らしについてお話していただきました。


 


今回お話をうかがったFご夫妻:Cさん(左)とKさん(右)

休日にはご家族やご友人を招待し、たびたびホームパーティも行うというおふたり。旅行やワインが共通の趣味で、ご自宅にはワインセラーもあるとのこと!
インテリアへのこだわりだけでなく、そういった趣味のお話でも盛り上がりました。
 

 





■ こだわり抜いた新居のインテリア

玄関を開けると、ご夫妻の素敵な笑顔と共に、早速アダチ版画の浮世絵がお出迎え!
ナチュラルな白木額で額装された歌川広重の「日本橋雪晴」です。


お伺いした12月初頭でも、暖房いらずの暖かい日差しが差し込む明るいリビングには葛飾北斎の「神奈川沖浪裏」。北欧テイストで統一されたお部屋には、インテリアへのこだわりが随所に感じられます。


―本当に素敵なお部屋ですね!素人目ながら、家具や照明もすごくこだわっていらっしゃるなと感じます。なにかインテリア関係のお仕事をされていたのでしょうか?
  Cさん: 「いえ、全然!インテリアに関っていたことと言えば、学生時代にインテリアショップで少しアルバイトをしていたくらいです。ダイニングテーブルなどの家具は、今回の引越に合わせて、新しくオーダーをして作りました。」  


―持って生まれたセンスを感じます!
こちらのご新居に絵を掛けるということは、あらかじめ決めていたのでしょうか?
  Cさん: 「はい。壁の面積が大きいので、殺風景のままよりはなにか飾ろうと。」
Kさん: 「そうだよね。それと、もともと一緒に住んでいた家に、現代アートの作品を置いて飾っていたのですが、せっかくならそれを壁に掛けて飾りたいという話にもなり、絵を掛ける前提で照明などを考えました。」
 

―照明まで!
  Kさん: 「昼は日差しが明るいので分かりにくいですが、夜になると、より陰影がついて雰囲気が変わるんですよ。」
Cさん: 「それでせっかくなら他の絵も飾りたいね、ということになり、飾る作品を探し始めました。」
 

―そうだったんですね。アダチ版画の浮世絵は、以前からご存知だったのでしょうか。
  Cさん: 「はい。海外の友人に贈り物として利用したこともあったんです。その時は「神奈川沖浪裏」や「赤富士(凱風快晴)」をプレゼントして、すごく喜んでくれて。彼の実家にも贈ったりもしました。」
Kさん: 「そうだね。帰省した時に、飾っていましたよ。」
 

Cさんは、以前アメリカやドイツに短期留学されていたとのこと。当時のご友人を訪ねた際に直接手渡され、とても喜んでくれたのが嬉しかったと、笑顔で話してくださいました。
「神奈川沖浪裏」や「凱風快晴」は、アダチ版画のオンラインストアでも、国内外からギフトとして常に人気の高い作品ですが、こうして実際に贈った方、また、贈られた方の反応を伺うことができ、アダチ版画の浮世絵が、人の心をつなぐコミュニケーションツールのひとつにもなっていることを改めて実感しました。




■ 北欧系インテリアショップでの浮世絵との出会い

―北欧テイストの洋間に、「和」のイメージが強い浮世絵がとても自然に馴染んでいらっしゃいますね。最初からアダチ版画の浮世絵は、選択肢のひとつにあったのですか?
  Cさん: 「いえ、はじめは、やはり洋風の部屋なので、あまり「和」が強いテイストは合わないのかな、と思い、現代アートの作品を探していました。
でも、家具をオーダーするために行った北欧家具を扱うインテリアショップに、浮世絵が飾ってあるお店があって。それに、物件を回っていた時も、洋風のマンションのエントランスに浮世絵が掛かっていたところもみかけて、"あ、意外と北欧系のインテリアにも合うのかもしれないな"と思い始めたんです。」
Kさん: 「そうですね、僕も、北欧テイストの部屋に、あえて和のものを取り入れたインテリアにするのも、面白いかもね、と話していました。」
 


北欧系のインテリアと日本の浮世絵。以前からアダチ版画でも「意外に合う組み合わせ」としてご紹介もしていましたが、実際にFさまのご自宅にお伺いし、あまりの相性の良さに、アダチ版画のスタッフも驚きました。
近年「ジャパンディ」(「ジャパン」と北欧風を意味する「スカンディ」を掛け合わせたインテリアの用語)と呼ばれる、和と北欧を掛け合わせたインテリアが世界で注目されているとも言います。
華美な装飾を排除し、シンプルな美しさが特徴である北欧のインテリアの要素は、無駄を省いた省略美が評価される浮世絵との融和性も高いのかもしれません。




■ せっかくなら自分たちに関わりのある作品を飾りたかった

そして、最終的に浮世絵の購入の決め手となったのは、作品と新居の関わりとのこと。
  Cさん: 「マンションの近くに日本橋や隅田川があるので、せっかくだから家に飾るものは、自分たちや住まいに関わりがあるものがいいなという話になったんです。
それでアダチ版画さんのショールームに伺って、玄関の「日本橋雪晴」を購入しました。それも、いろいろ迷ったんだよね。」
Kさん: 「いろんな日本橋の作品があったからね。」
 


―そのいろいろな日本橋の作品の中で、広重の「日本橋雪晴」を最終的に選ばれたのは?
  Cさん: 「決め手は...最終的に、一番好きだった絵だから、選びました!(笑)」  

―その「日本橋雪晴」には白木の額を選んでいただいていますが、なにか理由はあるのでしょうか?
  Cさん: 「白木額は、よりこの部屋のインテリアに調和すると思い、選びました。今掛けている「神奈川沖浪裏」の黒っぽい額(※アダチ版画で通常ご用意している、漆塗り風の額)とは、部屋の印象が全く変わりますね。」  

おふたりのご厚意で、玄関の「日本橋雪晴」をリビングに飾った様子も、みせていただきました。


最初に飾っていた「神奈川沖浪裏」では、作品がお部屋のアクセントになっている印象でしたが、白木の額では北欧テイストのインテリアにより調和し、お部屋の雰囲気が柔らかな印象になります。

―ご友人たちとホームパーティもされるとのことですが、掛けている浮世絵について、お客様からなにか反応はあったりするのでしょうか?
  Kさん: 「会話のきっかけになりますね。例えば、玄関に入った瞬間に浮世絵があると、あ、浮世絵だ、となるし、"これ、この辺が描かれた絵なんだ"というように話が広がっていきます。」  

―アダチ版画の浮世絵が、会話のきっかけになっているのは嬉しいです。




■ 今後も季節で差し替えて楽しんでいきたい

最後に、今後、どのように浮世絵を楽しんでいきたいかについてもお話をしてくださいました。

 
Kさん: 「季節によって作品を差し替えるのもいいよね、と話しています。次は広重の「両国花火」がいいかなって。あれも隅田川を描いた作品なので。」
Cさん: 「あとはアダチ版画さんで制作している、現代作家の作品も気になっています。」

 
―広重の「両国花火」だと、またお部屋の印象が違ってみえそうですね。
  Kさん: 「この「神奈川沖浪裏」もそうですし、絵を掛け替えるだけで部屋の雰囲気ががらっと変わるので、簡単に部屋の模様替えになりますね。」
Cさん: 「あ、あの作品もいいって話していたよね。色味とかがこの部屋とも合いそうで...北斎の桜の大きい作品なんですけど」
 


―「桜花に富士図」ですね!どの作品も季節が異なるので(「桜花に富士図」の春、「両国花火」の夏、「日本橋雪晴」の冬)四季で架け替えてお楽しみいただけますね。それに、このお部屋のインテリアともすごく馴染みそうです。


 
Cさん: 「そうですね。やはりインテリアとのバランスをベースに考えつつ、作品の背景などもあわせて楽しんでいきたいと思います。」
Kさん: 「作品に描かれた場所や、その背景を知ることで、より浮世絵を身近に感じることができると感じました。また、職人さんが実際に手作業で制作しているという点もの一つだと思います。自分たちだけでなく、より多くの人にそういった点も伝わればといいなと思います。」
 

インテリアへのこだわりとともに、おふたりの浮世絵の楽しみ方についても、お話してくださったF様ご夫妻。今回はご協力いただき、本当にありがとうございました。





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今回、新連載の開始を記念し、1月31日(日)23:59まで25,000円以上のご注文で国内送料無料。また、アダチ版画浮世絵専用額付きで作品をご購入の方へは、壁掛け用フックをプレゼントいたします。
ご注文時に備考欄へ【 新連載記念クーポン利用 】とご記入いただくことでクーポンの適用となります。
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石こうボードや木壁等に、針を打ち込んでお使いいただく鉄製のフック。
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品質へのこだわり

品質へのこだわり

アダチの浮世絵は、手にして初めて分かる、熟練の技術と日本の伝統が詰まっています。

製作工程

制作工程

一切機械を使うことなく一枚一枚職人の手仕事により丁寧に作られている木版画です。

厳選素材・道具

厳選素材・道具

江戸当時の風情を感じられる当時の浮世絵の再現にこだわり、厳選した素材と道具を使用。

職人紹介

職人紹介

最高の作品を創り出すために、日々技術の研鑽を積む熟練の職人たち。

浮世絵の基礎知識

浮世絵の基礎知識

意外と知らない?浮世絵の世界。浮世絵の基礎知識をご紹介。