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喜多川歌麿(1753-1806)による「高名美人六家撰」は、寛政6・7年(1794-1795)、歌麿の全盛期の頃の作品であり、その代表作の1つに数えられます。高名美人とは寛政時代の江戸で有名な美女のことで、研を競う数多い美人の中から、難波屋おきた・辰巳路考・高島屋おひさ・扇屋花扇・日之出屋後家・富本豊雛の6名を選んで描いたものです。この6名はいずれも、当時江戸で名高い美人でした。これらの絵の右肩には「判じ絵」が描かれていますが、これはその美人の名を絵で表したものです。
難波屋おきたの場合は、二把の菜と矢と沖と田の絵が描かれています。菜が二把で「なにわ」、矢は「や」、沖は「おき」、田は「た」であり、これを続けて読めば「なにわやおきた」となります。江戸の浮世絵師は、とても洒落気にあふれており、しばしばこのような謎解き遊びを作品の中に取り入れました。歌麿は、他の浮世絵師に比べて鋭い写実性を根底にもった絵師ですが、この6名の女性像は歌麿が理想とする女性美であって、実在の女性たちの風貌とは異なります。歌麿は、この一枚絵の画面の中で彼の理想とする女性美を生き生きと表現しています。