季節のうつろいを浮世絵で感じる

~春満開 ニッポン桜紀行~

今季おすすめの一枚

歌川広重「小金井橋夕照」

満開の桜が立ち並び、遠くに雪白の富士を望む玉川上水・小金井橋の夕暮れ。「東海道五拾三次」を刊行後、人気、芸術性ともに絶頂期であった広重が描く「江戸近郊八景」の一枚です。
この「江戸近郊八景」は、元々狂歌の会での配り物として制作されました。大衆にも広く親しまれた狂歌のように、人懐こく温かみのある描写で、穏やかな江戸郊外の情景を楽しむことができる一方、上品な色彩やメリハリの利いた巧妙な描線からは、気高い芸術性も感じられます。それ故、広重が描いた数々の江戸名所の中でも傑作と言われています。
特に、隙の無い完璧な構図は特筆すべきもの。狂歌を記すために空が広く描かれているのですが、一文字ぼかしで彩られた夕景や、見晴らしの良い河川敷との均衡が少しの狂いもなくとられており、広重の緻密な構成力が窺えます。
江戸の春の華やかさだけでなく、暮れ行く街の静寂感も余すところなく捉えた情感溢れる逸品です。

歌川広重「小金井橋夕照」
  • 川辺の広々とした桜並木。しっかりとした幹が、古木であることを窺わせます。このあたりの桜は「小金井桜」と呼ばれ、古くからの桜の名所として親しまれていたようです。

    川辺の広々とした桜並木。しっかりとした幹が、古木であることを窺わせます。このあたりの桜は「小金井桜」と呼ばれ、古くからの桜の名所として親しまれていたようです。

  • 土手に台を設け、のんびりと各々の時間をすごす花見客の様子が見られます。

    土手に台を設け、のんびりと各々の時間をすごす花見客の様子が見られます。

  • 「江戸近郊八景」は広重が特注で描いた江戸郊外の名所シリーズ。どの作品にも狂歌が添えられています。

    「江戸近郊八景」は広重が特注で描いた江戸郊外の名所シリーズ。どの作品にも狂歌が添えられています。

  • 幅を広めにぼかした「拭き下げぼかし」、摺師の腕の見せどころです。

    幅を広めにぼかした「拭き下げぼかし」、摺師の腕の見せどころです。

スタッフのお気に入り

葛飾北斎「新板浮絵王子稲荷飛鳥山之図」

桜の名所、飛鳥山で満開の桜のもと、人々が花見に興じる様子を描いた本作は、画面全体に淡い桜色の花霞が広がり、春を満喫いただくのにオススメの作品です。霞の間に描かれた人々に目を向けると、江戸の庶民にとって花見がどれほど楽しいものだったかがわかりますね。 40代の頃に描いた作品で、タイトルにもある通り「浮絵」という、西洋の遠近感を感じさせる手法をとっています。70歳を超えて「冨嶽三十六景」で大ヒットを生み出す前の試行錯誤の過程も感じることのできる風景画ではないでしょうか。

周

歌川広重「隅田川水神の森真崎」

広重、晩年の傑作「名所江戸百景」の中の人気作品です。隅田川を挟んで手前に満開の八重桜、向こう側に筑波山を望みます。極端な遠近法を用いた構図にも関わらず、全体を柔らかい色調でまとめることで、奇抜さを上手く抑えこんでいます。画面の端から端まで完璧な計算を元に描かれており、どこを見ても退屈しない、見れば見るほど新たな発見がある作品です。

こうこ

こうこ

葛飾北斎「鷽に枝垂桜」

濃い藍色の背景に白く咲く垂桜。春の到来を告げる鷽が、朝露に濡れた花をついばみにやってきます。
最近ではあまり見かけられない鷽ですが、その澄んだ鳴き声と愛嬌で江戸時代には「うそひめ」と呼ばれ親しまれていたそう。開き始めた垂桜の枝にとまり戯れる愛くるしい鷽は、まるで春の訪れを喜んでいるかのようです。
鮮麗な色彩と正確なデッサン、そして北斎らしい見事な配置が魅力の、華やかな一枚です。

杉本

杉本

喜多川歌麿「娘道成寺」

美しい踊り子の大首絵を描いた「当世踊子揃」。その中でも、とりわけ愛嬌があり、無垢な表情を浮かべるこの踊り子に、まさしく"一目惚れ"をしてしまいました。
舞踊の演目である「道成寺」。桜をあしらった華やかな扇子を手に、軽やかに舞う踊り子の姿が生き生きと表現されています。また、踊り子の愛らしい佇まいをより引き立ているのが、背景に施された「雲母(きら)引き」という技法。実際にお手に取っていただくと、和紙の上にのせた雲母(うんも)がきらきらと輝いているのが良くわかります。うららかな春の魅力がたっぷりつまった作品です。

渡邉

渡邉

関連商品のご案内季節ごとに掛け替えて楽しみたい方に、おすすめの商品をご紹介いたします。

アダチ特製浮世絵専用額(大判)

アダチ特製浮世絵専用額
(大判)

浮世絵の定番サイズに合わせた専用額です。木製のフレームに、丈夫で軽いUVカットのアクリル板を使用。縦横両対応で、浮世絵を差し替えてお楽しみいただけます。

差し替え用マット

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作品によって、画面の大きさや枠の形が異なるため、アダチ版画では各作品にあわせてマットをご用意しております。差し替えの際はご一緒にご注文ください。

額スタンド

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壁にかけずに作品を楽しむのなら、「額スタンド」がおすすめです。組み立て式ですので、収納・保管も簡単です。

おすすめ作品を展示中! アダチ版画 目白ショールーム

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現在目白ショールームでは、桜を中心とした春の浮世絵を展示中です。あたたかな春の陽気を感じるこの頃、街歩きの途中で、浮世絵でも春を感じてみませんか。ぜひお待ちしております。

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品質へのこだわり

品質へのこだわり

アダチの浮世絵は、手にして初めて分かる、熟練の技術と日本の伝統が詰まっています。

製作工程

制作工程

一切機械を使うことなく一枚一枚職人の手仕事により丁寧に作られている木版画です。

厳選素材・道具

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江戸当時の風情を感じられる当時の浮世絵の再現にこだわり、厳選した素材と道具を使用。

職人紹介

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最高の作品を創り出すために、日々技術の研鑽を積む熟練の職人たち。

浮世絵の基礎知識

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意外と知らない?浮世絵の世界。浮世絵の基礎知識をご紹介。