山口 晃

道後百景 伊佐爾波神社

「道後アート2016」のアートワークのひとつ、「道後エトランゼマップ」のために山口晃氏が描き下ろした本作。よそからやってきた夏目漱石が松山を舞台に書いた小説『坊ちゃん』のように、アイロニーとユーモアを込めて、“よそもの”視点で道後の街並みが描かれています。温泉街を見下ろす高台にある「伊佐爾波神社」へと続く、長い石段を望む参道には、夏目漱石に扮した山口氏の姿も見えます。まさに、現代の“名所絵”と言える作品です。

photo by Yohei Sogabe

夏目漱石に扮した
絵師・山口晃氏が、
道後温泉の名所絵を
描き出します。

日本三大八幡造りの
一つに数えられる、
豪華絢爛な
伊佐爾波神社の楼門。

神社の境内まで、
135段にも及ぶ
急な石段が続きます。

参道には、
夏目漱石に扮した
山口晃氏の姿。
絵師の遊び心が
感じられます。

山口晃氏が描いた、
版を彫るための
原稿となる下絵です。

絵師の筆遣いを
感じながら、
忠実に版を
彫っていきます。

木版画独自の
鮮やかな色彩で
一枚一枚
摺り上げていきます。

人間国宝・
岩野市兵衛が漉いた、
楮100%の手漉き和紙
(越前生漉奉書)を使用。

作家の細部への
こだわりを
忠実に彫りあげる

遠近や質感などが線によって巧妙に表現されている山口氏の作品において、特にアウトラインの彫は重要な役割を果たします。彫師は、線に込めた山口氏の意図を汲みながら忠実に彫りあげました。

“ぼかし”の技を駆使し、
名所絵にさらなる
遠近感を生みだす

広重の名所絵にも多く見られる“ぼかし”。平らな版木の上で摺師の技一つで綺麗なグラデーションを生みだします。随所に“ぼかし”を駆使することで、遠近感も生まれ、道後の名所「伊佐爾波神社」の魅力がさらに増しています。

photo by Yohei Sogabe

山口晃

1969年東京生まれ、群馬県桐生市に育つ。
96年東京芸術大学大学院美術研究科絵画専攻(油画)修士課程修了。13年自著『ヘンな日本美術史』(祥伝社)で第12回小林秀雄賞受賞。鳥瞰図・合戦図などの絵画のみならず立体、漫画、インスタレーションなど表現方法は多岐にわたる。主な個展に「望郷TOKIORE(I)MIX」(メゾンエルメス8階フォーム、東京)、「山口晃展 前に下がる 下を仰ぐ」(水戸芸術館現代美術ギャラリー)等。成田国際空港、副都心線西早稲田駅のパブリックアート、富士山世界遺産センターシンボル絵画を手がけるなど幅広い制作活動を展開している。

部数
100部
画寸法:
34.9×24.7 cm
額寸法:
54.0×43.0 cm  専用額について
額仕様:
約1.6kg、木製、アクリル(UVカット70%)
版種
木版画
用紙
越前生漉奉書(人間国宝 岩野市兵衛)
出版年:
2017年3月
監修
公益財団法人アダチ伝統木版画技術保存財団
制作
株式会社アダチ版画研究所
協力
道後温泉事務所
ミヅマアートギャラリー
納期
ご注文から1週間以内