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「高名美人六家撰」は、寛政6・7年(1794-1795)の最も脂の乗り切った頃の作品で、代表作の一つに数えられます。高名美人とは、寛政時代江戸で有名な美女のことで、研を競う数多い美人の中から、難波屋おきた・辰巳路考・高島屋おひさ・扇屋花扇・日之出屋後家・富本豊雛の六名を選んで描いたものです。いずれも、当時江戸で名高い美人でした。これらの絵の右肩には「判じ絵」が描かれていますが、これはその美人の名を絵で表したものです。
難波屋おきたの場合は、二把の菜と矢と沖と田の絵が描かれています。菜が二把で「なにわ」、矢は「や」、沖は「おき」、田は「た」であり、これを続けて読めば「なにわやおきた」となります。江戸の浮世絵師は、非常に洒落気が多く、人を驚かせて喜ぶ習慣がありました。歌麿は、他の浮世絵師に比べ鋭い写実を根底にもった絵師ですが、この六名の女性の顔は、歌麿が理想とする女性の顔であって、現実の女性ではありません。しかし、この小さな画面を通して、歌麿の感じた女性の美を生き生きと表現している点はさすがです。