
大河ドラマ「べらぼう」タイトルバックは浮世絵がいっぱい!
2025年の大河ドラマ「べらぼう」の主人公は、江戸時代の版元・蔦屋重三郎。ドラマのタイトルバックは、江戸時代の出版物と写真をコラージュしたワクワクするようなアニメーションです。毎週見ているのに全く見飽きませんよね。しかも、蔦重が日本橋進出する新章突入の際には、新しいバージョンになりました。
実はきょうから新しくなったタイトルバック。みなさん、どこが変わったか気が付きましたか?
— 大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」日曜夜8時 (@berabou_nhk) May 4, 2025
ぜひフルバージョンで比べて見てください☺
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約2分半の映像に、一体どれだけの江戸時代の出版物が引用されているのでしょうか。編集部が、錦絵を中心に、タイトルバックに使用されている作品を調査! 作品画像が見られる各作品所蔵先のウェブサイトのURLとともにご紹介します。(※掲載している所蔵先の作品を映像に使用しているわけではありません。)
タイトルバック動画(フルバージョン)はこちら
【大河ドラマべらぼう】メインテーマ(オープニング)ノンクレジットタイトルバック | NHK
【大河ドラマべらぼう】(2)ノンクレジットタイトルバック | メインテーマ | NHK
|歌川広重「名所江戸百景 八ツ見のはし」
「べらぼう」のタイトルの後ろにある柳の木、こちらの作品を加工したもののように見えます。
▶︎ 東京国立博物館 https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/523066

|葛飾北斎「冨嶽三十六景 従千住花街眺望ノ不二」
柳の木の後ろに見える景色は、北斎が描いた千住の風景。吉原からも比較的近い場所です。
▶︎ 国立国会図書館 https://www.ndl.go.jp/landmarks/details/detail457.html?sights=senju

|喜多川歌麿『画本虫撰』
まず最初に、歌麿の美麗な狂歌絵本『画本虫撰』が登場。
▶︎ 千葉市美術館 https://www.ccma-net.jp/collection/works/4918/
|歌川広重「東都名所新吉原五丁町弥生花盛全図」
吉原遊廓を俯瞰する広重の風景画。仲の町に桜が並んでいて、春の景色を描いていることがわかります。
▶︎ 江戸東京博物館 https://museumcollection.tokyo/works/6245002/
|『吉原細見 秋の夕映』
そして蔦重の人生のターニングポイントとなった、吉原のガイドブック『吉原細見』も、もちろんタイトルバックに使用されています。
▶︎ 国立国会図書館 https://dl.ndl.go.jp/pid/2539537
※『NHK大河ドラマ・ガイド べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜 後編』(NHK出版)では「籬の花」と解説されていますが、大門の形や五十間道の表記から、タイトルバックに使用されているのは、安永8年刊行の『吉原細見』と判断しました。
|東洲斎写楽「二代目嵐龍蔵の金貸石部金吉」
|東洲斎写楽「橘屋中車(三代目市川八百蔵の八幡太郎源のよし家)」
|東洲斎写楽「三代目大谷鬼次の江戸兵衛」
横浜流星さんが登場するシーンで、嵐龍蔵の左手、市川八百蔵の右手、大谷鬼次の右手が使用されています。
▶︎ 城西大学水田美術館 https://www.josai.ac.jp/museum/collectiondb/3020/
▶︎ シカゴ美術館 https://www.artic.edu/artworks/87273/tachibanaya-chusha-the-actor-ichikawa-yaozo-iii-as-hachiman-taro-minamoto-no-yoshiie
▶︎ 東京国立博物館 https://www.tnm.jp/modules/r_collection/index.php?controller=dtl&colid=A10569.471

|東洲斎写楽「四代目松本幸四郎の肴屋五郎兵衛」
|東洲斎写楽「市川鰕蔵の竹村定之進」
|東洲斎写楽「二代目嵐龍蔵の金貸石部金吉」(既出)
版画制作の職人たちの手をコラージュしたシーンで、松本幸四郎、市川鰕蔵、嵐龍蔵の頭部が使用されています。
▶︎ 東京国立博物館 https://emuseum.nich.go.jp/detail?langId=ja&webView=&content_base_id=100297&content_part_id=16&content_pict_id=0
▶︎ 東京国立博物館 https://www.tnm.jp/modules/r_collection/index.php?controller=dtl&colid=A10569.470

|北尾重政『一目千本 華すまひ』
壺に生けられた枝は『一目千本』の桜のひと枝。この後も、他の花が何カットか登場します。
▶︎ 大阪大学 https://hdl.handle.net/11094/98120
|葛飾北斎『画本東都遊』
|歌川国貞「今様見立士農工商」
|歌川広重「江戸高名会亭尽 新吉原衣紋坂日本堤」
北斎が描いた耕書堂(二代目)の店先、国貞が描いた絵草紙屋の店先を組み合わせています。遠景には広重の描いた衣紋坂の風景。
▶︎ 東京都立図書館 https://www.library.metro.tokyo.lg.jp/portals/0/edo/tokyo_library/modal/index.html?d=5640
▶︎ アドミュージアム https://www.admt.jp/collection/item/?item_id=9
▶︎ メトロポリタン美術館 https://www.metmuseum.org/art/collection/search/45315
|北尾重政・勝川春章『青楼美人合姿鏡』
金魚鉢や花入れなど、室内の小物が切り抜かれています。
▶︎ 国立国会図書館 https://ndlsearch.ndl.go.jp/imagebank/theme/seirobijin

|喜多川歌麿「婦女人相十品 ポッピンを吹く娘」
|東洲斎写楽「三代目佐野川市松の祇園町の白人おなよ」
歌麿の代表作「ポッピンを吹く娘」の少女の姿に、写楽の描いた役者・佐野川市松が一部重ねられています。
▶︎ 東京国立博物館 https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/511522
▶︎ 東京国立博物館 https://emuseum.nich.go.jp/detail?langId=ja&webView=&content_base_id=100297&content_part_id=5&content_pict_id=0

|喜多川歌麿「青楼十二時 続 申ノ刻」
花魁道中のように複数の作品をコラージュしています。
▶︎ 東京国立博物館 https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/459567

|東洲斎写楽「三代目大谷鬼次の江戸兵衛」(既出)
横浜流星さん演じる蔦重を橋の上に下ろすのは、大谷鬼次の左手です(先ほど使用されていたのは右手)。
|喜多川歌麿「名君 閨中の粧ひ」
江戸城内のイメージと思われる空間の襖絵には、化粧をする歌麿の美人画が大きく描かれています。
▶︎ メトロポリタン美術館 https://www.metmuseum.org/art/collection/search/37007

|葛飾北斎「百物語 小はだ小平次」
謁見の間のような空間に並んだ人々の頭が、次々に髑髏に……。北斎が描いた怪談物の浮世絵です。
▶︎ すみだ北斎美術館 https://hokusai-museum.jp/modules/Collection/collections/view/74
|葛飾北斎「冨嶽三十六景 凱風快晴」
|葛飾北斎「冨嶽三十六景 山下白雨」(イメージソース)
|葛飾北斎「冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏」(イメージソース)
|歌川広重「六十余州名所図会 阿波 鳴門の風波」
いずれの作品も蔦重亡き後に出版された錦絵ですが、浮世絵と言えばコレという名作で、蔦重の生きた時代のうねりを思わせるドラマティックな映像を作っています。
▶︎ 島根県立美術館 https://shimane-art-museum-ukiyoe.jp/fugaku/shinjo/h189.html
▶︎ 慶應義塾大学 https://dcollections.lib.keio.ac.jp/ja/ukiyoe/0727
▶︎ メトロポリタン美術館 https://www.metmuseum.org/art/collection/search/45434
▶︎ 国立国会図書館 https://ndlsearch.ndl.go.jp/gallery/landmarks/sights/narutokaikyo
|山東京伝・歌川豊国『箱入娘面屋人魚』
荒れ狂う海の中を『箱入娘面屋人魚』の人魚が波間を泳いでいます。ちなみに蔦重の肖像が描かれた「まじめなる口上」の一部が、前半に登場しています。
▶︎ 早稲田大学 https://www.wul.waseda.ac.jp/kotenseki/html/he13/he13_01961_0035/index.html
|喜多川歌麿『潮干のつと』
歌麿の『画本虫撰』で始まった映像の締めくくりに、また歌麿の狂歌絵本『潮干のつと』を登場させる心憎い演出。
▶︎ 千葉市美術館 https://www.ccma-net.jp/collection/works/6033/
音楽で楽しむ「べらぼう」の世界
特定できなかった作品も多数あり、タイトルバックの映像には、まだまだたくさんの作品が使用されています。(出版物ではありませんが「百鬼夜行絵巻」なども登場しています。)ここに掲載していない作品を特定できたら、ぜひ編集部宛に教えてください。
そして、この映像をさらに魅力的なものにしているのが、江戸文化の華やかさや力強さを感じさせる音楽です。作曲は、大河ドラマ「麒麟がくる」の音楽も担当した、ジョン・グラムさん。グラムさんは、日本の歴史や文化を熱心に学び、ドラマの物語世界を豊かに膨らませていらっしゃいます。
そんな「べらぼう」の世界の音楽をオーケストラの演奏で楽しむ「ありがた山のコンサート」が、2025年7月8日に東京オペラシティコンサートホール:タケミツメモリアルで開催されました。当日の模様が8月3日(日)にNHK総合で放送されます。(当媒体を運営するアダチ版画研究所も、当日ロビー展示でご協力しました!)大河ドラマ「べらぼう」ファンの皆様は、要チェックですね!
[NHK総合] 8月3日(日) 午後1:50 〜 2:48(予定)
大河ドラマ「べらぼう」の世界を音楽と映像で綴るオーケストラコンサート。ドラマの様々なシーンで流れる曲を名場面にのせて東京フィルハーモニー交響楽団が演奏。花總まりの情感たっぷりな朗読がドラマに誘い、安達祐実・中村蒼・えなりかずき・ひょうろくの軽快なトークがコンサートを盛り上げます。劇中音楽を全て作曲したジョン・グラムも登場。「麒麟がくる」に続き2作目となった「べらぼう」の音楽に込めた思いを伝えます。(NHKウェブサイトより)
【出演】ジョン・グラム(大河ドラマ「べらぼう」音楽)/花總まり(朗読)/安達祐実(トーク)/中村蒼(トーク)/えなりかずき(トーク)/ひょうろく(トーク)
文・「北斎今昔」編集部
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