雑貨ブランド「浮世絵贔屓(うきよえびいき)」誕生! 第一弾は金魚のアクリルキーホルダー

雑貨ブランド「浮世絵贔屓(うきよえびいき)」誕生! 第一弾は金魚のアクリルキーホルダー

浮世絵のポータルサイト「北斎今昔」が、このたび雑貨ブランドを立ち上げました。その名も「浮世絵贔屓」。ちょっと難しい漢字ですが「うきよえびいき」と読みます。第一弾は、今年没後160年を迎える歌川国芳の人気シリーズ「金魚づくし」をモチーフにしたアクリルキーホルダー3種。ブランドに込めた想いと商品をご紹介します。

雑貨ブランド「浮世絵贔屓」始動!

浮世絵のポータルサイト「北斎今昔」では、より多くの方に、浮世絵をもっと身近に、気軽に楽しんでもらいたい、そんな思いから雑貨ブランド「浮世絵贔屓(うきよえびいき)」を立ち上げました。

「贔屓(ひいき)」という言葉には、大好きなものをみんなで守り、育てていくような意味合いがあります。ちょっと難しい漢字ですが、「ファン」や「愛好家」という言葉では表しきれない心意気をブランド名に冠しました。

ひいき【贔屓】[名・ス他]自分の気に入ったものに目を掛け力を添えて助けること。また、そうする人。

「北斎今昔」の運営会社であるアダチ版画研究所では、江戸時代から続く伝統的な木版画の制作技術を継承する職人たちが、浮世絵版画の名作の復刻から、現代アーティストの木版画制作までを行っています。職人の高度な技術が生み出す木版画の魅力を、より多くの方に知っていただき、私たちの取り組みを支持していただくためには、その技術の基礎にある浮世絵を、多くの方にもっと身近なものとして、日々の暮らしの中で楽しんでいただくことが重要であると考えます。

江戸時代の浮世絵の制作技術は、今日に至るまで職人の手から手へと受け継がれています。(提供:アダチ伝統木版画技術保存財団)

「浮世絵贔屓」のグッズが、浮世絵との出会いのきっかけとなり、いずれ浮世絵が好きな人たちの目印、浮世絵文化のサポーター証……そんなものになっていったら、と私たちは思っています。

第一弾は国芳の「金魚づくし」をキーホルダーに

「浮世絵贔屓」の記念すべき第一弾商品は、歌川国芳(1798-1861)の作品より、カワイイ浮世絵の代名詞「金魚づくし」をモチーフにしたアクリルキーホルダーです。まずは日常的に身につけられるものから、浮世絵に親近感を持っていただければ、と思います。

カワイイ浮世絵の金魚たちがアクリルキーホルダーになりました。

歌川国芳は、近年、若い世代を中心に人気を得ている浮世絵師で、国芳の展覧会を開くと入場者の平均年齢が他の浮世絵展より下がるというデータも出ているくらい。

浮世絵の購買者の裾野が大きく広がった幕末、勇壮な武者絵からお茶目な戯画まで、幅広いジャンルの作品を手がけ、庶民の圧倒的な人気を得ていた国芳。2021年の今年、没後160年を迎えること、彼の浮世絵師としてのスタンスが、「浮世絵贔屓」の「誰もが気軽に楽しめるものを」というブランドコンセプトと合致することから、彼の作品のグッズ化を決めました。

「金魚づくし」は現在9図が確認されているシリーズ。
歌川国芳「金魚づくし」*アダチ版復刻浮世絵(画像提供:アダチ伝統木版画技術保存財団)

そんな国芳の「金魚づくし」は、現在9図が確認されている戯画シリーズ。夏の風物詩をテーマに、江戸の人々の様子が金魚の姿でユーモアたっぷりに描かれています。シリーズを通じて、涼しげな水色の背景の作品ですので、今回はアクリルという素材を採用しました。

皆さんのご意見をもとにつくりました!

今回、3種のアクリルキーホルダーを作るにあたり、モチーフや素材の選定は、2020年にアダチ版画研究所のtwitterアカウントで実施したアンケートも参考にしました。

 

第一弾は「金魚づくし」9図の人気投票の上位3作の中から、特徴のある金魚をピックアップ。現代の職人が復刻した色鮮やかな浮世絵のデータを使用し、グッズを制作しました。ここでは、モチーフの元になっている作品をご紹介します。

【A. にはかあめんぼう】突然のにわか雨、ではなく降ってきたのはあめんぼう。あめんぼうの細長い足を、夕立の雨足に見立てた心憎い演出の作品。水中なのに、傘をさすのも、なんだかおかしいですね。尾びれで頭を隠しながら走る(?)赤い金魚をモチーフにしました。

歌川国芳「金魚づくし にはかあめんぼう」*アダチ版復刻浮世絵(画像提供:アダチ伝統木版画技術保存財団)

【B. 百ものがたり】「百物語」とは江戸時代に流行った肝試し。百本用意したろうそくの灯りの下、参加者が怪談話を語り終えるごとに一本ずつろうそくを吹き消していきます。岡崎の化け猫伝説などを下敷きにしたと思われる国芳の「金魚づくし」では、金魚鉢の縁から巨大な猫がコンニチワ。てんやわんやの金魚鉢の中で両手を広げる金魚をモチーフに選びました。

歌川国芳「金魚づくし 百ものがたり」*アダチ版復刻浮世絵(画像提供:アダチ伝統木版画技術保存財団)

【C. ぼんぼん】江戸時代、お盆の時期になると子供たちが手をつなぎ、盆唄を歌いながら街中を練り歩く姿が見られました。そんな江戸の夏の風物詩を描いた「ぼんぼん」。人気投票で1位に輝いた作品です。本作では、うちわを手に、大きく口を開けて盆唄を歌う金魚を。

歌川国芳「金魚づくし ぼんぼん」*アダチ版復刻浮世絵(画像提供:アダチ伝統木版画技術保存財団)

そして、お気づきの方もいらっしゃるかと思いますが、実はこの「ぼんぼん」の仔だけ、グッズ化にあたり、編集長が(勝手に)尾びれの部分を描き足しています……国芳師匠、ごめんなさい! 他作品に描かれている金魚5匹くらいから、ひれの描線のカーブを抽出して合成し、他のぶち模様の金魚の模様を合成して重ねました。(※国芳の著作権の期限は切れています。どうかご容赦。)

「浮世絵贔屓」のコンセプト(英文)が "FUN for Ukiyo-e FAN" であることから、どうしてもうちわ(fan)を持った仔を第一弾のグッズに入れたかったという、編集部の密かなこだわりですが、「こんなの、国芳の金魚じゃない!」という方は、ぜひ今後の商品開発にご参加ください。クリエイターの皆様のご参加お待ちしております。

ちなみに、アクリル素材については「割れやすい」などのご意見があったため、今回、欠け・割れの防止になるよう、エッジの面取り加工をしてくださる業者さんに製作をお願いしています。ただ、あくまで普段使いしていただき、日々の生活の中で浮世絵に身近に接していただくことを目指している商品なので、破損が気になる方は、ぜひ予備にもう一つお求めください!

「浮世絵贔屓」のグッズは、どこで買えるの?

現在「浮世絵贔屓」のグッズは、アダチ版画研究所のオンラインストアで販売しております。また、より多くの方に、当媒体について知っていただくためにも、徐々に販売場所を増やしていきたく考えています。

[2021.07.07追記] 2021年7月第2週より、浮世絵専門の美術館、太田記念美術館(東京・原宿)の1階受付で取り扱いいただいております。
[2021.07.15追記] 2021年7月13日より、銀座蔦屋書店(東京・銀座 GINZA SIX 6階)の「江戸の季節」フェアで取り扱いいただいております。【こちらのフェアは終了しました】
[2021.08.20追記] 2021年8月より、サントリー美術館(六本木・東京ミッドタウン ガレリア3階)のミュージアムショップで取り扱いいただいております。
[2021.09.20追記] 2021年9月18日より、府中市美術館(東京・府中)のミュージアムショップで取り扱いいただいております。

ということで、現在、「浮世絵贔屓」のグッズを販売いただけるお店様を募集中です。ご興味を持っていただけたご担当者様、ぜひお問合せフォームより編集部宛に気軽にご連絡ください。

ディスプレイしてもかわいい浮世絵グッズは、売り場をにぎやかにしてくれること間違いなし。取り扱いいただけるお店様、ご連絡お待ちしております!

なお、商品の台紙の裏には、この記事のURLとQRコードを付しています。今後、実店舗でこの商品を手に取った方、人からプレゼントされた方にも、商品のモチーフになっている浮世絵のこと、当媒体のことを知っていただき、浮世絵贔屓になっていただくためです。ささやかではありますが、皆さんと楽しく、浮世絵文化の輪を広げていきたいと思っています。今後の「浮世絵贔屓」の展開にぜひご注目ください。

パッケージはこんな感じです。名刺大の台紙の裏には、当媒体のご紹介も。QRコードでこちらの記事にアクセスいただけるようにしました。

今後の新商品や新規取り扱い店の情報については、近日開設の「浮世絵贔屓」のLINEアカウントでも発信していきたいと思っております。
[2021.07.03追記] 「浮世絵贔屓」のLINEアカウントを開設しました。7月3日〜18日の期間、アカウント開設記念のプレゼントキャンペーンを開催。抽選で10名様に浮世絵Tシャツをプレゼントいたします。

商品情報

■ 浮世絵贔屓 第一弾 アクリルキーホルダー・国芳「金魚づくし」
[価格]各種 550円(税込)
[素材]アクリル(本体)亜鉛合金(アタッチメント)
[購入方法] 浮世絵のアダチ版画 オンラインストア、および 太田記念美術館(東京・原宿)1階受付、サントリー美術館(東京・六本木)ミュージアムショップ、府中市美術館ミュージアムショップにて

文・「北斎今昔」編集部