絵筆のタッチを再現したような、温かみのある色彩が魅力のハンドメイドアクセサリーブランド「Palnart Poc（パルナートポック）」。おとぎ話の世界から抜け出してきたような花や小鳥、星のモチーフが乙女心をくすぐります。かと思えば、日々の食卓に上るような食材、さらには人気アニメ「ポケモン」のキャラクターまで、思わずクスッと笑ってしまうユニークなモチーフも幅広く揃えています。そんな「Palnart Poc」の姉妹ブランド「数-SUU-」の新作に、今春浮世絵モチーフの帯留め・根付が登場しました！

和装のおしゃれに浮世絵の帯留め

今春浮世絵モチーフの帯留めを発売したのは、「Palnart Poc」の姉妹ブランドである和小物ブランド「数-SUU-」。甘すぎず、遊び心のあるデザインで、和装好きの根強いファンを獲得しています。大正時代の雑誌に出てくるような、ちょっとレトロなテイストのモチーフが、とってもかわいいんです。

また「数-SUU-」では、日本美術史の人気作をモチーフにした帯留めも発表してきました。おなじみ「鳥獣戯画」や国芳の「がしゃどくろ」まで帯留めにしているんですよ。

具体的な参照作品について触れられていない商品も、屏風や掛け軸などに描かれてきた伝統的なモチーフを上手に帯留めにアレンジしています。アート好きな方なら、帯の上のワンポイントに「あ！」って思わず反応しちゃいますね。

では、さっそく2022年春の浮世絵の新作を一点ずつ見て参りましょう。

世界の名画「Great Wave」をまとう

「神奈川沖浪裏帯留め」は、あの北斎のグレートウェーブがモチーフ。「神奈川沖浪裏」をデザインに取り入れたファッション雑貨は、Tシャツやトートバッグなど、あらゆるブランドの商品の中に見てきましたが、まさか帯留めで「冨嶽三十六景　神奈川沖浪裏」を表現してしまうとは。全体のフォルムもリズミカルで、遠景の富士山までちゃんとデザインに落とし込んでいるところ、浮世絵ファンのツボを押さえていますよね。

誰もが知る世界の名画ですし、鮮やかなブルーが目を引くので、モデルさんのように青の補色に当たるオレンジや黄色系の着物の帯留めにして、存在感を出しても良いですね。また、これからの時期は藍色や紺色の浴衣と青系統でまとめても素敵です。

宮本武蔵が挑んだ巨鯨

続いては国芳の武者絵から。「宮本武蔵の鯨退治帯留め」です。

武者絵と言っても、剣豪・宮本武蔵は脇役同然で、画面いっぱいに描かれた巨大な鯨が圧巻の作品。なんとなく笑っているようにも見える鯨の表情がチャーミング。モノクロのボディに口の赤が、遠目に見てもキリッとアクセントになっています。

鯨モチーフの帯留めという点でまず個性的ですし、それが浮世絵からの引用とわかってさらに意匠の粋を感じる、二度美味しいアイテムではないでしょうか。鯨の色や模様に合わせて、白黒のモダンな着物と合わせたり、しぶきのイメージで水玉模様の着物と合わせたりもできそう。

ちなみに、この「宮本武蔵の鯨退治帯留め」には、モチーフの元になっている浮世絵をプリントした名刺大のカードが封入されます（なくなり次第終了）。江戸時代から続く伝統的な木版の技術の継承に努めるアダチ伝統木版画技術保存財団が、より広い世代に浮世絵の文化や財団の活動を知っていただく機会になれば、とこの特典のカードの制作に画像を提供しました。日本文化を大切にし、手仕事にこだわる「数-SUU-」のクラフトマンシップを感じられて、プレゼントとして贈る時にも嬉しいですね。

お茶目な江戸っ子の粋

そして「数-SUU-」ではこの春、帯留め以外のラインナップも展開。アクセサリー感覚で使える根付が登場しました。桜や金魚のモチーフの中には、なにやらファンキーな猫の姿が……。　

このブチ猫、歌川国芳の浮世絵に描かれた猫でした！　商品名は「はんにゃあめん根付」。ん？「はんにゃあめん」って何でしょう??

この根付、帯に挟む黒い板の部分が、鬼の横顔に見えます。そう、これ、横から見た般若のお面なんです。般若面→はんにゃめん。でもなぜ猫の根付が「はんにゃあめん」？

勘の良い読者の皆様は、帯に挟む板のシルエットと帯の外側に垂らすチャームの部分のシルエットが、同じであることに気づいたかもしれません。実はこの般若の横顔の正体は、アクロバティックな猫の肢体が生み出した影だったんです。だから「はんにゃあめん」なのです。

この根付のモチーフになっているのは、国芳の「絵鏡台　合かゞ身（えきょうだい あわせかがみ）」という団扇絵。影絵遊びを団扇の表裏で表した、遊び心あふれる作品です。団扇の表には襖が描かれていて、そこにこの般若のお面のほか、獅子頭とみみずくの置物の影が映っています。が、くるっと団扇の裏を返すと、それらの影の正体がすべて猫であることがわかるんです。二重三重にひねりの効いた根付ですね！

新型コロナウィルスの登場以降、すっかりお預けになっていたお祭りや花火大会。まだまだ感染防止の対策は必要ですが、今年は各地で再開の兆しが。浴衣のおでかけに数-SUU-の帯留めや根付でおしゃれの幅を広げてみては？　新宿の駅ビルにPalnart Poc、数-SUU-の直営店もありますよ。

商品情報

文・「北斎今昔」編集部