北斎さんの富士山 〜復刻版で見る「富嶽三十六景」〜 (16)【PR】

北斎さんの富士山 〜復刻版で見る「富嶽三十六景」〜 (16)【PR】

連載「北斎さんの富士山 〜復刻版で巡る「富嶽三十六景」〜」は、アダチ版画研究所が制作した復刻版で、北斎の「富嶽三十六景」全46図を毎週2図ずつご紹介する企画です。前回の記事はこちら≫

「北斎さんの富士山」の楽しみ方

作品No.1 「江戸日本橋」

アダチ版復刻浮世絵 葛飾北斎「富嶽三十六景 江戸日本橋」(画像提供:アダチ伝統木版画技術保存財団)

数々の浮世絵師が描いてきた日本橋。江戸の商業の中心地として栄えたこの場所の賑わいを、我らが北斎も描いています。が、肝心の橋は画面の外に……川沿いに立ち並ぶ白壁の蔵のパースで、奥行きのある画面を生み出しています。
 

■ カクダイ北斎 
浮世絵に描かれる日本橋は、ほとんどの場合、富士山と江戸城と3点セットで描かれます。日本一の山に、公方様(将軍)のお城に、五街道の起点。江戸っ子の矜持がうかがえますね。

アダチ版復刻浮世絵 葛飾北斎「富嶽三十六景 江戸日本橋」より(画像提供:アダチ伝統木版画技術保存財団)

■ ふじさんぽ
今回のふじさんぽスポットは、ずばり「日本橋」。初めて江戸日本橋が架けられたのは、1603年のこと。以後、火災によりたびたび架け替えられ、1911年(明治44年)に完成した現在の石造の橋梁は20代目に当たるとか。1999年に国の重要文化財に指定されました。64年の東京五輪の際に、橋の上空に建設された首都高速道路は、今後、地下への移設を予定しています。


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作品No.4 「礫川雪ノ旦」

アダチ版復刻浮世絵 葛飾北斎「富嶽三十六景 礫川雪ノ旦」(画像提供:アダチ伝統木版画技術保存財団)

一面の銀世界を、高台の茶店の座敷から眺める人々。遠くにはっきりと富士山の姿が見えます。雪晴れの日のキリッと冷たい青空が、藍のボカシ(グラデーション)で見事に表現されていますね。

■ カクダイ北斎
見晴らしの良い茶店には、数名の男女の姿が。どうやら食事らしきものも運ばれてきています。これからみんなで雪見酒でしょうか?

アダチ版復刻浮世絵 葛飾北斎「富嶽三十六景 礫川雪ノ旦」より(画像提供:アダチ伝統木版画技術保存財団)

■ ふじさんぽ
礫川は、現在の東京都文京区小石川のこと。北斎が描いた茶店は崖のように切り立った場所にありますが、実際この一帯はかなり高低差が激しく、坂が多いです。今回のふじさんぽスポットは、そんな山あり谷ありの小石川で桜を楽しめる「播磨坂さくら並木」を選びました。


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editor's note:2月12日は陰暦の元日にあたります。新たな年のスタートに合わせて、五街道の起点の「江戸日本橋」を選びました。そしてまた北斎には比較的珍しい雪景色を描いた「礫川雪ノ旦」。ところで小石川と言えば、懐かしい「礫川浮世絵美術館」。残念ながら2014年に閉館されましたが、およそ16年にわたり、小石川1丁目のビルの5階で医学博士の松井英男氏の浮世絵コレクションを公開し、多くの浮世絵ファンの目を楽しませてくれました。

※ 葛飾北斎の「葛」の字は環境により表示が異なります。また「富嶽三十六景」の「富」は作中では「冨」が用いられていますが、本稿では常用漢字を採用しています。
 

       
「北斎さんの富士山」連載目次
第1回(2020.10.30)「本所立川」「駿州片倉茶園ノ不二」 第2回(2020.11.06)「遠江山中」「深川万年橋下」□□□□
第3回(2020.11.13)「駿州江尻」「相州仲原」 第4回(2020.11.20)「神奈川沖浪裏」「穏田の水車」
第5回(2020.11.27)「下目黒」「青山圓座枩」 第6回(2020.12.04)「尾州不二見原」「従千住花街眺望ノ不二」
第7回(2020.12.11)「五百らかん寺さざゐどう」「登戸浦」 第8回(2020.12.18)「甲州犬目峠」「東海道吉田」
第9回(2020.12.25)「相州箱根湖水」「東海道程ケ谷」 第10回(2021.01.01)「凱風快晴」「江都駿河町三井見世略図」
第11回(2021.01.08)「駿州大野新田」「東海道江尻田子の浦略図」 第12回(2021.01.15)「東都駿臺」「隅田川関屋の里」 
第13回(2021.01.22)「信州諏訪湖」「甲州伊沢暁」 第14回(2021.01.29)「御厩川岸より両国橋夕陽見」「相州江の島」
第15回(2021.02.05)「相州梅沢庄」「甲州三坂水面」 第16回(2021.02.12)「江戸日本橋」「礫川雪ノ旦」
第17回(2021.02.19)「相州七里濱」「武陽佃嶌」 第18回(2021.02.26)「甲州石班沢」「武州玉川」
第19回(2021.03.05)「山下白雨」「身延川裏不二」 第20回(2021.03.12)「東都浅草本願寺」「常州牛堀」
第21回(2021.03.19)「東海道金谷ノ不二」「武州千住」 第22回(2021.03.26)「東海道品川御殿山ノ不二」「甲州三嶌越」
   
第23回(2021.04.02)「上総ノ海路」「諸人登山」   

 

文・「北斎今昔」編集部
提供・アダチ版画研究所